業務用エアコンの電気代はいくら? 1時間・1カ月稼働させた場合の目安や削減のポイントを紹介

業務用エアコンの電気代はいくら? 1時間・1カ月稼働させた場合の目安や削減のポイントを紹介

伊藤忠エネクス メディア編集部

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オフィスや店舗、工場などで快適な環境を維持することは、従業員の満足度を高め、業務効率を上げるためにも重要です。しかし、業務用機器の中でも業務用エアコンは消費電力が大きく、電気料金が高騰し、2023年、2024年と猛暑を更新する中で、年々コストが増大している法人さまも多いのではないでしょうか。

本記事では、業務用エアコンの概要や電気代の目安、電気代を削減するポイントなどを解説します。業務用エアコンの節電は、長い目で見れば大幅なコスト削減につながる可能性が高いです。電気料金を少しでも削減したい方は、ぜひ本記事をご一読ください。

※2024年12月時点の情報です

業務用エアコンとは?

業務用エアコンの特徴

業務用エアコンは、一般的にオフィスや店舗、工場、施設などに設置されるエアコンです。家庭用エアコンよりも出力が高く、広い空間の温度を快適にするために作られています。家庭用エアコンは室外機1台に対して室内機を1台しか設置できませんが、業務用エアコンは室外機1台に対して複数の室内機の設置が可能です。

業務用エアコンには、主に以下のような種類があります。

  • 天井埋め込み型
  • 天井吊り下げ型
  • 壁掛け型
  • 床置き型

業務用エアコンの消費電力

家庭用エアコンの消費電力は「◯畳当たり◯kW」で表記されるのが一般的ですが、業務用エアコンの消費電力は「◯馬力」で表されます。1馬力は約2.8kWです。出力は製品によって異なりますが、馬力が大きいほど空調性能が高く、広い空間でも快適な温度に保つことができます。

業務用エアコンの電源

業務用エアコンは、製品の種類によって単相のものと三相のものがあります。単相と三相は、電気機器に電気を送り込む方法のことです。単相は比較的消費電力の小さな電気機器に送電する際に用いられる方法で、三相は大型の電気機器に送電する際に用いられる方法です。

単相には100Vと200Vがあり、単相100Vの場合、送電する電線と受電する電線の2本で電気が送受電される仕組みです。単相200Vの場合は、3本の電線によって電気が送受電されます。通常、コンセントが2つ穴の場合は100V、3つ穴の場合は200Vで、100Vよりも200Vの方がより多くの電気を電気機器に送り込めます。3馬力程度の小さな業務用エアコンは、単相200Vで稼働させることが可能です。

3馬力より大きい業務用エアコンの場合は、三相200Vを選ばなければなりません。単相100V・200Vの場合は、一般家庭と同じように従量電灯と呼ばれる電気契約を結ぶのが一般的ですが、三相の場合は動力プラン(低圧電力)の契約が必要です。

業務用エアコンの電気代はどのくらい?

業務用エアコンの電気代は、以下の計算式で算出可能です。

  • 業務用エアコンの電気代 = 消費電力(kW)× 使用時間(h)× 1kWh当たりの電気料金(円 / kWh)

消費電力はメーカーによって異なる他、同じ製品でも冷房あるいは暖房によっても変わってきます。

1時間稼働させた場合の電気代の目安

業務用エアコンを1時間稼働させた場合、どの程度の電気代がかかるのかをダイキンの業務用エアコン「machiマルチ」を例に見てみましょう。

ここでは1kWh当たりの電気料金を、全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している目安単価である31円 / kWh(税込)で計算します。計算式は、「消費電力(kW)× 1時間 × 31円」です。

馬力・消費電力1時間当たりの電気代の目安
3馬力冷房(7.1kW)220.1円
暖房(8.0kW)248.0円
4馬力冷房(10.0kW)310.0円
暖房(11.2kW)347.2円
5馬力冷房(12.5kW)387.5円
暖房(14.0kW)434.0円
6馬力冷房(14.0kW)434.0円
暖房(16.0kW)496.0円
8馬力冷房(20.0kW)620.0円
暖房(22.4kW)694.4円
10馬力冷房(25.0kW)775.0円
暖房(28.0kW)868.0円

※参考:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会.「よくある質問 Q&A」.https://www.eftc.or.jp/qa/ ,(2024-10-21).

※参考:DAIKIN.「店舗・オフィスエアコン スカイエア カタログ 2024/03」.https://ec.daikinaircon.com/ecatalog/DKCB001/catalogview.html ,(2024-10-21).

1カ月稼働させた場合の電気代の目安

業務用エアコンを1カ月間1日24時間フル稼働させた場合の電気代も、同じくダイキンの業務用エアコン「machiマルチ」を例に見てみましょう。

1kWh当たりの電気料金は31円 / kWh(税込)とし、「消費電力(kW)× 24時間 × 31円 × 30日」で計算します。

馬力・消費電力1カ月当たりの電気代の目安
3馬力冷房(7.1kW)158,472円
暖房(8.0kW)178,560円
4馬力冷房(10.0kW)223,200円
暖房(11.2kW)249,984円
5馬力冷房(12.5kW)279,000円
暖房(14.0kW)312,480円
6馬力冷房(14.0kW)312,480円
暖房(16.0kW)357,120円
8馬力冷房(20.0kW)446,400円
暖房(22.4kW)499,968円
10馬力冷房(25.0kW)558,000円
暖房(28.0kW)624,960円

※参考:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会.「よくある質問 Q&A」.https://www.eftc.or.jp/qa/ ,(2024-10-21).

※参考:DAIKIN.「店舗・オフィスエアコン スカイエア カタログ 2024/03」.https://ec.daikinaircon.com/ecatalog/DKCB001/catalogview.html ,(2024-10-21).

夏と冬ではどちらの方が電気代は高くなる?

夏と冬ではどちらの方が電気代は高くなる?

エアコンが最も多くの電力を消費するのは、稼働してから設定した温度になるまでの間です。設定温度と外気温の差が大きいほど、使用電力量も多くなります。

地域によっても異なりますが、夏の場合、設定温度と外気温の差は5〜10度程度であることが一般的です。一方、冬で外気温が0度の場合、エアコンの設定温度を20度にすると外気温との差は20度にもなり、設定温度になるまでにより多くの電力を消費します。

通常、夏よりも冬の方が使用電力量が多くなるため、電気代も高くなる傾向にあります。

エアコンはつけっぱなしの方がいい?

前述した通り、エアコンは稼働してから設定温度になるまでの間に最も多くの電力を消費します。小まめにスイッチを操作すると、その都度電力を消費してしまうため、電気代が高くなりやすいです。

24時間稼働している店舗や工場などであれば、つけっぱなしにしておいた方が電気代を抑えることができるでしょう。逆にオフィスのように、夜間などエアコンを使用しない時間帯は、電源を切った方が電気代の削減につながります。

業務用エアコンの電気代を削減するポイント

業務用エアコンの電気代を削減する9つのポイント

業務用エアコンの電気代を削減する9つのポイントをご紹介します。

使用前に室内の換気をする

夏場に業務用エアコンの電気代を削減するためには、使用前に室内を換気する習慣を付けましょう。

窓を開けて室内にこもった熱を外に出すことで室温が下がれば、設定温度になるまでの時間が短くなり、効率的に室内を冷却することができます。風上と風下の窓をそれぞれ開けると、空気が循環がしやすくよりスムーズに換気をすることが可能です。

風量を「自動」に設定する

業務用エアコンの風量を「自動」に設定することでも、電気代を削減できます。

風量を「強」に設定した場合、設定温度に達した後も強風のまま稼働し続けるため、余分な電力を消費してしまいます。「自動」に設定することで、「設定温度に達するまでは強風、設定温度になった後は微風」というように自動で運転モードが変わるので、電気代を削減できるでしょう。

扇風機やサーキュレーターを併用する

業務用エアコンの電気代を削減するには、扇風機やサーキュレーターの併用も効果的です。

業務用に限ったことではありませんが、エアコンを使用する際は扇風機やサーキュレーターを同時に使うと空気が循環して、効率良く室内の温度を保つことができます。また夏場は体感温度が下がりやすくなるため、エアコンの設定温度を無理に下げることなく、快適に過ごしやすくなります。

冷房時は冷たい空気が下にたまるので、エアコンの冷風が降りてくる場所に扇風機やサーキュレーターを前向きに設置し、空気が壁に当たるようにすると、効率良く室温を下げることが可能です。暖房時は暖かい空気が上にとどまるため、扇風機やサーキュレーターを上向きに設置して空気を循環させましょう。

風向きを調整する

風向きの調節によっても、業務用エアコンの電気代を削減できます。

前述した通り、冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまりやすい性質があります。夏に風向きを下にすると、足元だけが冷えて天井付近の空気は暖かいままなので、室温が不均一になりやすい状況です。反対に冬に風向きを上にすると天井付近ばかりが暖まり、足元は冷えたままで、やはり室温が不均一になってしまいます。

室温が均一になると、同じ温度でも夏場は涼しく、冬場は暖かく感じやすいです。効率的にエアコンが使えるように、夏は上向き、冬は下向きに風向きを設定しましょう。

小まめに掃除やメンテナンスをする

業務用エアコンの電気代を削減するには、小まめに掃除やメンテナンスを行うことも大切です。

エアコン内部にほこりや汚れ、花粉が蓄積してしまうと、空気を吸い込みにくくなるため、部屋の温度を調整するためにより多くの電力が必要になります。2週間に1回程度を目安に掃除やメンテナンスを行えば通気性が維持できるので、電気代を削減できるでしょう。フィルターがあまり汚れていない場合や、フィルターの取り外しができない場合は、掃除機で汚れを吸い取るだけでも構いません。

室外機周辺を整理し日よけを設置する

夏場は室外機周辺を整理し日よけを設置すると、業務用エアコンの電気代削減に効果的です

エアコンの熱交換は室外機と室内機によって行われますが、室外機周辺にものを置いていると排出された空気を再度吸ってしまうため、熱交換能力が低下します。室外機の周辺を整理し、空気の通り道を確保することが大切です。

また室外機に直射日光が当たる場合も、熱交換能力が下がってしまいます。室外機に日よけを設置したり、日陰に移動させたりすると消費電力を抑えやすいです。

新しいエアコンに変更する

新しいエアコンに変更することも、業務用エアコンの電気代を削減する方法の一つです。

省エネ性能の高いエアコンに変えるだけで、より少ない電力で快適な温度を維持できるようになるため、電気代が大きく変わる可能性があります。

業務用エアコンを購入する際は、省エネ性能の指標となるAPF値を確認するようにしてください。APF値が大きければ大きいほど、省エネ性能が高くなります。

デマンドコントローラー・デマンド監視装置を設置する

デマンドコントローラーやデマンド監視装置を設置することも、業務用エアコンの電気代削減に効果的です。デマンドコントローラーやデマンド監視装置とは、以下のようなシステムです。

  • デマンドコントローラー:30分間の平均使用電力(デマンド値)を監視し、あらかじめ設定したデマンド値を超えないように自動制御するシステム
  • デマンド監視装置:設定したデマンド値を超えそうになると通知してくれるシステム機

デマンドコントローラーやデマンド監視装置を設置すると、電気の使用状況が可視化されるため節電を意識しやすくなります。特に自動で使用電力を調節してくれるデマンドコントローラーを設置すれば、より効果的に電気代を削減できるでしょう。

電気の契約を変更する

現在契約している電気料金プランを見直すことで、業務用エアコンはもちろん、オフィスや店舗、工場全体の電気代を削減できる可能性があります。

例えば、同じ高圧電力でも、電力会社によって料金単価や電気料金の計算方法は異なります。複数の電力会社のプランを比較し、自社の電力使用状況に応じた契約に変更することで、電気料金を削減できる可能性があります。

また低圧電力で契約している場合、高圧電力に切り替えることで、電気料金が安くなる可能性もあります。ただし、低圧電力から高圧電力に切り替えるには、キュービクルと呼ばれる受電設備を設置する必要があります。切り替えた場合にどの程度電気料金を削減できるのか、設置費用も含めてシミュレーションしてみてください。

業務用エアコンをお得に使いたいなら伊藤忠エネクスのサービスがおすすめ

最後に伊藤忠エネクスが提供する、業務用エアコンをお得に使えるサービスを3つご紹介します。

省エネルギー商材サービス

省エネルギー商材サービスを利用すれば、初期費用0円で省エネ性能の高い業務用エアコンを導入できます。最大5年間の保証があり、6年目以降はサービス料もかからないため、さらに大幅な電気代の削減が可能です。

デマンドコントローラー

伊藤忠エネクスは空調設備に特化したデマンドコントローラー「Ai-Glies」を提案しています。Ai-Gliesは、室外機に制御器を設置することで外気の不快指数を監視し、室温が変化する前に自動で空調の出力を調整します。室内を快適に保ちつつ、デマンド値や使用電力量を抑制できるため、無理なく電気料金の削減が可能です。制御器はソーラー給電に対応しているため、導入コストも抑えやすいです。

デマンドコントローラーに関するお問い合わせ

03-4233-8041 平日9:00〜17:30

TERASELでんきforBiz

TERASELでんきforBizは、伊藤忠エネクス株式会社が提供する法人向け電力供給サービスです。

施設の使用電力量や企業のニーズに合わせて、オーダーメイドプランでの提案が可能なため、効率的に電気料金を削減できます。Webサイト上で、30分ごとの使用電力量を確認できるので、節電意識の向上も期待できます。

TERASELでんき for Biz. 法人向け電力供給サービス 詳細はこちら

まとめ

消費電力が大きい業務用エアコンですが、使い方を工夫することで電気代を削減できます。本記事でご紹介した節電方法を参考に、電気料金の削減を目指してみてください。

業務用エアコンの電気代を削減するために、伊藤忠エネクスの省エネルギー商材サービスや、デマンドコントローラー、TERASELでんきforBizなどのサービスを利用するのがおすすめです。電力の使用状況やニーズに合わせて適切なサービスの提案が可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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