ゴルフ場の経営を取り巻く状況は、ここ数年で確実に変わってきています。
長期的なゴルフ人口の減少を背景に、来場者数を大きく伸ばすことは難しく、若年層や新規層の獲得も一筋縄ではいきません。実際、「売上を伸ばす」というよりも、「今の規模を何とか維持する」ことに力を注いでいるゴルフ場も少なくないのが現状ではないでしょうか。
そうした中で、経営をより厳しくしているのがコストの上昇です。
キャディやコース管理スタッフの人件費は年々上がり、肥料や薬剤、燃料といった資材も値上がりが続いています。一方で、これらのコスト増をそのままプレー料金に反映させることは簡単ではありません。結果として、売上が大きく落ちていなくても、利益だけがじわじわと圧迫されているケースが多く見られます。
このような状況だからこそ、これからのゴルフ場経営には、単なるコスト削減といった「守り」だけではなく、次の一手につなげるための「攻め」の視点が求められます。
集客施策や設備投資、サービス改善に取り組むためには、その前提として、まず原資を確保しなければなりません。
そこで現実的な選択肢として浮かび上がるのが、固定費の見直しです。
中でも、多くのゴルフ場でこれまで十分に検討されてこなかった「電気代」について、専門家の立場で分析してみました。
目次
ゴルフ場の電気代が高くなりやすいのには、明確な構造的理由があります。
節電努力だけでは下がりにくいのも、その構造に原因があります。
ゴルフ場は、クラブハウス、レストラン、浴場、ナイター照明、散水設備など、多くの設備を広い敷地内に分散して抱えています。
ゴルフ利用者が多い少ないにかかわらず、それぞれの設備が一定以上の電力を必要とします。来場者数が少ない日でも、浴場・厨房・散水設備は一定水準で稼働するため、使用量がゼロに近づくことがありません。結果として月々の電気料金がどうしてもかかってしまうのです。
ゴルフ場の電力使用には、他の一般的な施設とは異なる特徴があります。
クラブハウスや浴場、散水設備、厨房など、複数の設備が通年で稼働しており、年間を通して一定の電力需要が発生します。一方で、オフィスビルや商業施設と比べると、空調設備が電力使用全体に占める割合は比較的少なく、冷暖房による影響は限定的です。そのため、一般的な電力需要と比べると、季節による使用量の変動は小さい傾向にあります。
ただし、電力の「使われ方」にまったく偏りがないわけではありません。
ゴルフ場は休日の稼働率が高く、来場者が増える春や秋に電力使用も増加しやすいという特徴があります。また、プレー時間帯の特性上、電力の使用は日中に集中しやすく、夜間の負荷は相対的に小さくなります。
こうした平日・休日、季節、時間帯による電力使用の偏りは、電力契約を見直す際の重要なヒントになります。
高圧電力契約では、電気代は「基本料金」と「従量料金」で構成されます。
基本料金は年間の最大需要電力をもとに決まるため、季節変動の大きい施設では大きな割合を占めます。こういった施設では、夏の数時間だけ空調を抑制するだけでも大きな削減メリットを得ることが可能です。
一方、ゴルフ場は年間を通じた電気使用量が比較的安定しているため、基本料金の割合は低く従量料金が多くを占めています。そのため通年を通じて地道に節電をしない限り、電気代を抑えることは難しく結果として電気代が高くなる傾向があります。
ここで、一般的な18ホールのゴルフ場を想定したモデルケースを見てみましょう。
よくあるケースとして契約電力100kW、年間使用電力量40万kWhのゴルフ場の場合は、年間の電気代は800万円程度と推定できます(東京電力管内の場合。燃料費調整単価、再エネ賦課金単価除く)。そのうちの基本料金・従量料金の比率は以下の通りとなることが多いです。
注目すべきは、従量料金が全体の9割近くを占める可能性があるという点です。
従量料金を下げるために節電から着手する方法もありますが、やり方によっては照明・空調・浴場・厨房などの運用に影響するため、サービス品質を損なってしまったり、むしろ人件費などの他コストが増えてしまう可能性もあります。
お客様満足度を維持したままコストを下げるには、まず電力契約(単価・プラン・電力会社)から見直すのが合理的です。
電力契約の見直しが進んでこなかった背景には、いくつかの心理的・実務的な要因があります。
特にコスト削減のシーンでは、「失敗したくない」「トラブルを起こしたくない」という判断が働きやすく、結果として現状維持が選ばれがちです。
しかし、それが長期的には見えない機会損失につながっているケースも少なくありません。

近年、法人向け電力契約の選択肢として注目されているのが 「市場連動型プラン」 です。電力の卸市場価格に連動して電力量料金が変動するプランですが、市場価格が安く推移している背景もあり、当社でも年々お問い合わせ数が増えています。
重要なのは、
「市場連動型=必ず安くなる」わけではない
という点です。
ただし、使用パターンによっては合理的な選択肢になり得ます。
| 料金の分け方 | 安くなるタイミング | 高くなるタイミング |
|---|---|---|
| 平日・休日別 | 休日 :11.39円 | 平日 :13.14円 |
| 季節別 | 春・秋:12.06円 | 夏・冬:13.23円 |
| 時間帯別 | 昼間 :11.42円 | 夜間 :13.05円 |
平休日:土日を休日とし、それ以外を平日としています
季節別:3,4,5,6,10,11月を春秋とし、それ以外を夏・冬としています
時間帯:10〜15時を昼間とし、便宜上それ以外(夕方含む)を夜間としています
このデータから分かる通り、日本の電力単価は平日・夏冬・夕方~夜間に価格が高くなり、昼間・休日・春秋は価格が落ち着きやすい 傾向があります。
ゴルフ場は、まさにこれらの条件に当てはまりやすい業種です。
一方で、市場連動型プランにはリスクもあります。
市場価格が高騰すれば、電気代が想定以上に上がる可能性もあります。
重要なのは、
を冷静に見極めることです。
実際には、市場連動型が向かないゴルフ場も存在します。
その場合は、固定単価型プランの方が安定的で合理的なケースもあります。
大切なのは、
「市場連動型か、固定単価型か」の二択ではなく、自社に合った契約設計を行うことです。
電力契約は、一度決めると長期間そのままになりがちです。
しかし、経営環境や電力市場が変化している今、
過去に決めた契約が最適であり続ける保証はありません。
特にゴルフ場は、市場連動型プランと相性の良い条件を備えているケースが多く、
検討しないまま放置すること自体が機会損失になっている可能性があります。
当社では、ゴルフ場や業務用施設の電力使用パターンをもとに、
を 無料で診断 しています。
無理な切替提案や即決を求めることはありません。
まずは「知ること」から始めてみませんか。
ゴルフ場経営において、電気代は
「削るためのコスト」ではなく、見直し方次第で経営を前に進める材料です。
今の契約を一度、専門家の視点で見直してみませんか?
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