オフィスや工場、店舗などを運営する法人で、一定以上の電力を使用する場合は、高圧電力での契約が必要です。高圧電力は契約プランや料金の決まり方が低圧電力とは異なります。そのため「契約プランや料金はどう決めるの?」「どの電力会社を選べばよいのか分からない」といった疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、高圧電力の契約種別や料金の内訳、契約プランの決まり方などをご紹介します。電力会社の選び方や電気料金を削減する方法も併せて解説するので、高圧電力について知識を深めたいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。
※本記事の内容は2025年12月時点の情報です
目次
高圧電力には、契約電力の規模に応じた以下の3つの契約種別があります。
どの区分に該当するかによって、契約電力の決まり方が異なります。以下で詳しく見ていきましょう。
※参考:e-GOV 法令検索.「電気事業法施行規則等の一部を改正する省令(令和四年経済産業省令第九十六号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/409M50000400052 ,(2023-03-20).
高圧小口の詳細は、以下の通りです。
| 契約電力(kW) | 50kW以上、500kW未満 |
| 供給電圧 | 6,000V |
| 利用される施設 | 小規模なオフィスビルや工場、施設 |
| 契約電力の決まり方 | 実量制 |
高圧小口は、契約電力が50kW以上、500kW未満の法人が対象となる区分です。供給電圧は6,000Vで、小規模なオフィスビルや工場、各種施設などで多く利用されています。
高圧小口は、契約電力の決め方が「実量制」である点が特徴です。実量制とは、当月を含む直近12カ月間の最大需要電力(最大デマンド値)の中で最も大きい値を基準に契約電力を決定する方法です。
たった1カ月だけでも最大需要電力の値が大きくなってしまうと、その影響が12カ月間残ってしまうため、日常的なデマンド値の管理が重要です。
高圧大口の詳細は、以下の通りです。
| 契約電力(kW) | 500kW以上 2,000kW未満 |
| 供給電圧 | 6,000V |
| 利用される施設 | 中小規模なオフィスビルや工場、学校、病院、商業施設 |
| 契約電力の決まり方 | 協議制 |
高圧大口は、契約電力が500kW以上、2,000kW未満の法人が対象となり、中小規模のオフィスビルや工場、学校、病院、商業施設などで利用されることが多いです。
供給電圧は高圧小口と同じ6,000Vですが、契約電力の決まり方が「協議制」である点が異なります。協議制では、最大デマンド値だけではなく、使用する設備の内容や同業種の負荷率などを踏まえ、電力会社と需要家が話し合いながら契約電力を決定します。
協議制で契約した場合、月の最大需要電力が契約電力以上になると、超過分に応じて違約金が発生する可能性があります。適切な契約電力になるよう、事前に使用状況を整理しておくことが重要です。
特別高圧の詳細は、以下の通りです。
| 契約電力(kW) | 2,000kW以上 |
| 供給電圧 | 20,000~140,000V |
| 利用される施設 | 大規模な工場やデパート、オフィスビル、テーマパーク、空港、鉄道会社 |
| 契約電力の決まり方 | 協議制 |
特別高圧は、契約電力が2,000kW以上の大規模な事業者向けの区分です。供給電圧は20kV以上となり、大規模な工場やデパート、大型オフィスビル、テーマパーク、空港、鉄道会社などが利用施設として該当します。
契約電力は高圧大口と同様に協議制で決定され、最大デマンド値や使用設備、負荷特性を踏まえて個別に設定されます。
高圧電力の電気料金は毎月必ず発生する固定費や、燃料価格の変動に応じて足し引きされる費用など、複数の要素で構成されています。
ここからは、高圧電力の電気料金の内訳について解説していきます。
基本料金は、使用電力量に関わらず毎月発生する固定費です。高圧電力では、契約電力を基準に金額が決まる点が特徴といえます。基本料金は以下のように算出します。
| 基本料金 = 基本料金単価 × 契約電力 × 力率割引および割増 |
主な構成要素は、基本料金単価、契約電力、力率の3つです。力率とは、送電された電力のうち、有効活用された電力の割合を示す指標です。
基本料金は契約電力の設定や力率に左右されるため、設備の状態や使用状況の把握が重要です。
電力量料金は、実際の使用電力量(kWh)に応じて変動する費用です。使用電力量が増えれば増えるほど、電力量料金も連動して高くなります。一般的には、電力量料金単価を基準に算出されます。
| 電力量料金 = 電力量料金単価 × 使用電力量 |
契約プランによって計算方法や単価設定が異なる場合があるため、見積もり時に内訳を確認することが大切です。
燃料費調整額は、燃料価格の変動を電気料金に反映させるための仕組みです。日本の電力は火力発電への依存度が高く、発電に必要な原油やLNG、石炭などの価格は市場動向や為替の影響を受けます。その変動分を調整するのが燃料費調整額です。
計算方法は以下の通りです。
| 燃料費調整額 = 燃料費調整単価 × 使用電力量 |
燃料費調整単価は、原油やLNG、石炭などの輸入価格(貿易統計価格)の平均を基に算出されます。算定方法や基準額、係数などは電力会社ごとに異なるため、最終的な燃料費調整単価にも差が生まれます。また電力会社や契約プランによっては燃料の輸入価格ではなく、電気の市場価格を基に算出するケースがある他、似たような役割の費用が異なる名称で含まれている場合もあるため、見積もり時に必ず確認しておきましょう。
近年は燃料価格の変動が大きく、この項目が注目される場面も増えています。
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、再生可能エネルギーの普及を目的とした制度に基づく費用です。電気を利用する全ての需要家が、使用電力量に応じて負担します。
| 再生可能エネルギー発電促進賦課金 = 再生可能エネルギー発電促進賦課金単価 × 使用電力量 |
再エネ賦課金単価は国が毎年度決定しており、使用電力量が多いほど負担額が大きくなる仕組みです。
高圧電力には、主に電力量料金の決まり方が異なる2つの契約プランがあります。以下で詳しく解説していきます。
固定単価型は、契約期間中の電力量料金単価が一定に保たれる料金制度です。電力小売自由化以前から存在する一般的な契約プランで、大手電力会社を中心に現在も広く採用されています。
固定単価型の電気料金の計算方法は以下の通りです。
| 電気料金 = 基本料金 + (電力量料金 ± 燃料費調整額) + 再生可能エネルギー発電促進賦課金 |
この方式の特長は、契約期間中の電力量料金単価が固定されるため、月々の電気料金の見通しを立てやすい点にあります。
一方で、市場価格が下落した場合でも電力量料金単価が下がるわけではない点は、事前に理解しておく必要があります。
市場連動型は、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格を基に、電力量料金単価が決まる契約プランです。取引価格は30分ごとに変動するため、電力量料金単価も時間帯ごとに変わります。電力小売自由化に伴って生まれた、比較的新しい契約プランといえます。
市場連動型の電気料金の計算方法は、以下の通りです。
| 電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金 |
市場価格が安い時間帯に電力を使用できれば、電気料金を抑えられる可能性があります。一方で、市場価格が高騰した場合は、電気料金が大きく上昇するリスクもあります。使用する時間帯によって向き・不向きが分かれるため、慎重な検討が必要です。
高圧電力の契約プランは、電力会社が電気の使用状況や要望に合ったものを提案してくれるため、低圧電力のように自分で選ぶ必要はありません。原則として、個別の見積もりを通じて契約条件が決まります。
一般的な流れは、問い合わせの後に12カ月分の使用電力量や電力の使用状況を伝えると、電力会社から見積もりが提示されます。
また電力会社は需要家の「市場連動型は避けたい」「再エネ比率を高めたい」といった要望も踏まえて、契約内容を設計します。

高圧電力の契約では、電気料金の安さだけではなく契約プランの内容や契約条件、事業者の信頼性も重要です。ここからは、高圧電力の電力会社の選び方をご紹介します。
電力会社によって取り扱っている契約プランは異なります。市場連動型のみを提供する会社もあれば、固定単価型も用意している場合もあります。環境価値を通常メニューに付加できるかといった点も、比較の視点になるでしょう。
なお環境価値とは、再生可能エネルギーで発電された電力が持つ「発電時に温室効果ガスを排出しない」という付加価値のことです。企業は非化石証書などを購入することで、この環境価値を取得できます。
先述の通り、高圧電力は見積もりを基に契約条件が決まるため、自社の方針に合った契約プランを提案してもらえるのかを確認することが重要です。
電力会社によっては、供給できるエリアが限定されている場合があります。契約前に、自社の拠点が対応エリアに含まれているかを確認することが大切です。複数拠点を持つ企業では、全国対応可能な電力会社を選ぶことで、契約や請求を一本化でき、業務効率の向上につながるケースもあります。
高圧電力は長期契約になることが多いため、電力会社の経営基盤や実績も確認しておきたいポイントです。
運営母体の企業規模や財務基盤、販売電力量の実績などは、倒産・撤退リスクを見極める判断材料となります。安定供給の観点では、調達方法が偏っていないかといった点も確認すると安心です。
高圧電力の契約は期間が定められており、特定の時期以外に解約すると違約金が発生するケースが多いです。
契約期間の長さや違約金の有無、自動更新の条件などは、事前に確認しておくことが重要です。将来の事業計画や市場環境の変化も見据え、自社の方針に合った内容かを判断しましょう。
電力会社ごとに、対応している支払い方法は異なります。口座振替や銀行振込に加え、クレジットカード決済に対応している場合もあります。クレジットカード決済は、手数料が料金単価に反映されるケースもあるため、実質的なコストや経理処理のしやすさを踏まえて選ぶことが大切です。
高圧電力の契約条件は、電力会社ごとに異なります。そのため、複数社から見積もりを取り、条件を比較することが重要です。また同じ前提条件で見積もりを依頼することで、料金や契約条件の違いが分かりやすくなります。
見積もりを比較する際は、基本料金や電力量料金、燃料費調整額もしくは市場価格調整額などを含めた総支払額で比較することが重要です。
過去の使用実績を基にしたシミュレーションを確認すると、実態に合った判断ができます。
高圧電力の電気料金は、電力会社や使用状況を見直すことで削減につながる場合があります。以下で詳しく見ていきましょう。
先述した通り、電力会社によって契約プランの内容は異なります。そのため、同じ使用電力量であっても、契約先を見直すことで電気料金が下がる可能性があります。
一方で、電気料金の削減効果は電力の使用状況や契約条件によって差が出ます。切り替え先は、先述した選び方を踏まえて、慎重に検討しましょう。
伊藤忠エネクスでは、法人向け電力販売サービス「TERASELでんきforBiz.」をご提供しています。全国のさまざまな業種への供給実績があり、業界や事業規模、電力の使用状況に応じたオーダーメイドのプラン提案が可能です。
切り替え時に設備投資などの初期費用は原則不要です。燃料費調整単価はWebサイトにて公開している他、お見積もりでは明瞭な料金内訳をご提示しますので、しっかり比較・検討していただけます。ご不明点がございましたら、伊藤忠エネクスまでお気軽にお問い合わせください。
電気料金削減の基本は、使用電力量そのものを抑えることです。最新機種のエアコンや冷蔵庫・冷凍庫、複合機などは省エネ性能が高く、使用電力量を抑えられます。設備の導入には初期費用がかかりますが、中長期的な目で見ればコスト削減につながるでしょう。
また空調の設定温度を見直す、不要な照明や機器のスイッチを小まめに切るなど、日常的な節電の積み重ねも有効です。設備面と運用面の両方から検討し、コストと効果のバランスを考えることが大切です。
伊藤忠エネクスでは、省エネルギー商材の斡旋サービスを提供しています。本サービスを利用することで、初期投資0円で省エネ機器を導入できます。
導入後5年間は月額サービス料が発生しますが、消費電力の削減により、結果としてコスト低減につながるでしょう。6年目以降は月額サービス料が不要となり、導入した機器は自社資産として活用できます。
詳細はWebサイトよりご確認いただける他、お問い合わせも承っております。どうぞお気軽にご相談ください。
省エネルギー商材斡旋サービス
03-4233-8041 平日9:00〜17:00高圧電力では、デマンド値を抑えることが、基本料金の削減につながります。先述した通り、契約電力は使用量の合計ではなく、デマンド値を基に設定されており、特に実量制である高圧小口では最大デマンド値が契約電力に直接反映されます。
最大デマンド値を抑える方法として代表的なのが、ピークカット・ピークシフトです。ピークカットは、使用電力が最大となる時間帯の消費電力そのものを抑える取り組みを指します。
一方、ピークシフトは、電力使用のタイミングを需要の多い昼間の時間帯から夜間などへ移し、分散させる方法です。
空調や生産設備の運転調整、稼働スケジュールの見直しなど、運用改善のみで対応できるケースもあります。ただし、契約電力の基準はあくまで最大デマンド値であり、使用量を減らせば必ず基本料金が下がるわけではない点に注意が必要です。
伊藤忠エネクスでは、空調設備の使用電力量に着目したデマンドコントローラーをご提案しています。空調の稼働状況や外気条件を踏まえ、使用電力量が増加しやすい時間帯の負荷管理を支援する仕組みです。
空調は電力使用の比率が高いため、デマンド値を把握・調整することで、契約電力の抑制につながる可能性があります。詳細な仕様や導入条件については、お気軽に伊藤忠エネクスまでお問い合わせください。
デマンドコントローラー「Ai-Glies」
力率とは、送電された電力のうち、実際に有効活用された電力の割合を示す指標です。高圧電力・特別高圧電力では、一般的には力率が85%を1%上回るごとに基本料金が1%割り引きされ、下回ると1%割り増しとなります。そのため力率を改善できれば、基本料金の削減が期待できるでしょう。
代表的な改善策としては、進相コンデンサの導入などが挙げられます。ただし、状況によって異なるため、改善されるかどうかは導入前に専門業者による確認が必要です。
自家消費型太陽光発電システムは、自社の敷地や屋根に太陽光発電パネルを取り付け、発電した電気を自社で使用できる設備です。これにより、電力会社から購入する電力量を抑えられるため、電気料金削減につながる可能性があります。
初期費用は発生しますが、長期的に電気料金の安定化を図れる点から、長い目で見た節電対策として検討されるケースも多く見られます。
太陽光発電システムの導入方法は自己所有以外にもあり、初期費用が気になる方には「PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデル」がおすすめです。PPAモデルとは、PPA事業者が需要家の保有する建物の屋根の上や土地に太陽光発電設備を設置し、そこで発電した電気を需要家が一定期間にわたりPPA事業者から買い取り、自家消費する仕組みです。PPAモデルでは一般的に初期費用がかからない上に、点検や万が一の故障時の対応もPPA事業者が行うため、手軽に太陽光発電システムを導入できます。
伊藤忠エネクスの自家消費型太陽光発電システム「TERASELソーラー」は初期費用0円でお客さまの保有施設に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を自家消費できるサービスです。当社には、定額にてエネルギーサービス料(設備利用料やメンテナンス費用など)をお支払いいただきます。
自家消費型太陽光発電システムの導入にご興味がおありの方は、ぜひ伊藤忠エネクスまでお気軽にお問い合わせください。
TERASEL SOLAR(自家消費型太陽光発電システム)
03-4233-8041 平日9:00〜17:30オフィスや工場、店舗などで一定以上の電力を使用する法人は、高圧電力での契約が必要です。高圧電力の契約は、低圧のようにあらかじめ用意されたプランから選ぶのではなく、使用状況や要望を踏まえた個別の見積もりで条件が決められるのが一般的です。そのため、電気料金の内訳や契約条件を正しく理解し、複数社の見積もりを比較することが重要です。
伊藤忠エネクスでは、法人向け電力供給サービス「TERASELでんきforBiz.」を提供しています。発電から需給、供給までを一気通貫して対応できる強みがあり、供給地点数は20,000カ所に上ります。電力会社の切り替えをご検討されている方は、ぜひお気軽に伊藤忠エネクスまでお問い合わせください。
また電力会社の見直しに加え、省エネ設備や節電、自家消費型太陽光発電システムなどを組み合わせることで、電気料金の最適化を図ることも可能です。伊藤忠エネクスなら企業の課題に適したさまざまなエネルギーソリューションをまとめてご提案できますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
一覧へ戻る
一覧へ戻る
キーワード検索
キーワード検索