業務用電力とは? 産業用電力との違いや電力会社ごとの単価を紹介

業務用電力とは? 産業用電力との違いや電力会社ごとの単価を紹介

伊藤忠エネクス メディア編集部

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高圧電力・特別高圧電力に対応している小売電気事業者は多く、各社がさまざまな料金メニューで電力を提供しています。大手電力会社と電力需給契約を結んでいる企業であれば、「業務用電力」というメニューを利用しているところも多いのではないでしょうか。

本記事では、業務用電力の概要や産業用電力との違い、電力会社ごとの単価などをご紹介します。業務用電力から他のメニューへの切り替えを検討している企業や、逆に業務用電力への切り替えを検討している企業は、ぜひ参考にしてみてください。

※2024年12月時点の情報です

業務用電力とは?

業務用電力と産業用電力

業務用電力とは、旧一般電気事業者と呼ばれる大手電力会社10社が、法人向けに提供している料金メニューです。大手電力会社とは、北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の10社のことです。業務用電力と対になる料金メニューとして、産業用電力もあります。

業務用電力は、動力用200Vと電灯用100Vを組み合わせて電力供給を行うメニューのため、オフィスや商業施設、学校、病院といった施設に幅広く対応しています。一方で産業用電力は、主に中規模以上の工場などを対象にしたメニューです。

なお、業務用電力と産業用電力は契約電力によって、さらに高圧電力と特別高圧電力に分けられます。高圧電力は契約電力が50kW以上、供給電圧が6,000V以上の契約区分で、特別高圧電力は契約電力が2,000kW以上、供給電圧が20,000V以上の契約区分です。

高圧電力については、以下の記事で詳しく解説しています。

業務用電力の種類

料金単価が変わる区分とは?

業務用電力を使用するオフィスビルや施設は、日中や平日の使用電力量が多い傾向にあります。そのため業務用電力では、以下のように2つの料金プランが設定されているケースも多いです。

  • 時間帯や曜日にかかわらず電力量料金単価が変動しないプラン(ただし、夏季とその他季で電力量料金単価が変動する)
  • 使用電力量の少ない夜間や休日の電力量料金単価が安いプラン

なお、一般的な季節・休日・時間帯の区分は以下の通りです。

  • 夏季:7月1日から9月30日までの期間
  • その他季:夏季以外の期間
  • 休日:土曜日、日曜日、「国民の祝日に関する法律」で定められている休日(ただし、土曜日が休日に含まれるかは電力会社によって異なる)
  • ピーク時間:夏季の平日午後1時から午後4時までの時間帯
  • 昼間時間:毎日午前8時から午後10時までの時間帯で、ピーク時間および休日の該当する時間を除く
  • 夜間時間:ピーク時間および昼間時間以外の時間帯(休日は、終日夜間時間の扱いになる場合もある)

電力会社によって、業務用電力の料金プランは異なります。ここからは業務用電力の料金プランの違いについて、北陸電力と九州電力を例をご紹介します。

【北陸電力の業務用電力の料金プランの違い】

料金プラン特徴基本料金(/kW)電力量料金(/kWh)
業務用電力時間帯や曜日にかかわらず電力量料金単価が一定2,151.00円夏季27.25円
その他季27.25円
業務用季節別時間帯別電力時間帯や曜日によって電力量料金単価が異なる
※休日は終日、夜間時間の単価を適用
2,151.00円ピーク時間27.88円
昼間時間(夏季)27.88円
昼間時間(その他季)27.88円
夜間時間25.86円

【九州電力の業務用電力の料金プランの違い】

料金プラン特徴標準電圧基本料金(/ kW)電力量料金(/kWh)
業務用電力A時間帯や曜日にかかわらず電力量料金単価が一定6,000V2,142.78円夏季16.98円
その他季16.05円
20,000V1,917.55円夏季15.51円
その他季14.69円
60,000V1,917.55円夏季15.51円
その他季14.69円
業務用季時別電力A
※新規加入の申込受付を終了
時間帯によって電力量料金単価が異なる
※休日は終日、夜間時間の単価を適用
6,000V2,142.78円ピーク時間19.74円
昼間時間(夏季)17.27円
昼間時間(その他季)16.32円
夜間時間15.17円
20,000V1,917.55円ピーク時間17.72円
昼間時間(夏季)15.55円
昼間時間(その他季)14.73円
夜間時間14.26円
60,000V1,917.55円ピーク時間17.72円
昼間時間(夏季)15.55円
昼間時間(その他季)14.73円
夜間時間14.26円

※2025年4月1日以降の料金

※参考:北陸電力.「高圧で受電されるお客さま」.https://www.rikuden.co.jp/jiyuka/ryokin2.html ,(2024-11-12).

※参考:九州電力.「業務用電力A」.https://www.kyuden.co.jp/agreement_rate_gyomua_h26_5.html ,(2024-12-10).

※参考:九州電力.「業務用季時別電力A」.https://www.kyuden.co.jp/agreement_rate_gyomukijia_h26_5.html ,(2024-12-10).

業務用電力の電気料金の計算方法

業務用電力の電気料金の基本的な計算方法は、以下の通りです。

  • 基本料金(基本料金単価 × 契約電力 × 力率割引および割増) + 電力量料金(電力量料金単価 × 使用電力量 ± 燃料費調整額)+ 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金単価 × 使用電力量)

基本料金は契約電力に基づいて算出され、使用電力量にかかわらず毎月発生します。力率割引および割増の力率とは、供給された電力のうち有効な電力の割合のことで、一般的には85%を上回ると割り引き、下回ると割り増しされます。

電力量料金は、使用電力量に応じて変動する従量料金です。契約する小売電気事業者や料金メニューによって単価は異なり、先述した通り、季節や時間帯、曜日などで、単価が変動するプランもあります。また電力量料金には、燃料費調整額が含まれます。燃料費調整額とは、燃料価格の変動に応じて単価が設定される調整金のことで、使用電力量に応じて支払います。

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、FIT制度によって再生可能エネルギー由来の電力を買い取る際に必要な費用を賄うために、全ての需要家が負担するものです。再エネ賦課金の単価は、毎年度経済産業大臣が設定するため、どの電力会社でも同じです。各電力会社の業務用電力の電気料金を比較する際は、基本料金と電力量料金の単価を比較するようにしましょう。

電力会社別業務用電力の単価一覧

大手電力会社10社の業務用電力の基本料金と電力量料金の単価を、各社一プランずつピックアップしてご紹介します。電力会社を比較検討する際の参考にしてください。なお、以下でご紹介しているのは、時間帯や曜日にかかわらず電力量料金の単価が変動しない料金プランです。その他の料金プランについては、各電力会社の公式Webサイトでご確認ください。

電力会社料金プラン名基本料金(/kW)電力量料金単価(/kWh)
夏季その他季
北海道電力業務用電力(標準電圧6,000V)2,642.60円23.29円23.29円
東北電力業務用電力(標準電圧6,000V)2,031.70円31.67円30.47円
東京電力エナジーパートナー業務用電力(契約電力500kW未満)
※2025年度以降、新規の申込受付停止
1,890.00円20.32円19.16円
北陸電力業務用電力2,151.00円27.25円27.25円
中部電力ミライズ高圧業務用電力FR(季節別)(プランB)1,914.26円19.62円18.63円
関西電力高圧電力AS1,911.80円18.07円17.00円
中国電力業務用電力
※2025年4月1日以降
1,996.50円22.17円20.73円
四国電力業務用電力(高圧・500kW未満)1,665.08円28.66円27.48円
九州電力業務用電力A(6,000V)
※2025年4月1日以降
2,142.78円16.98円16.05 円
沖縄電力業務用電力(500kW未満)1,967.93円32.87円31.38円

※参考:北海道電力.「標準電圧6,000Vで受電されるお客さま向け料金単価表」.https://www.hepco.co.jp/business/price/unitprice/unitprice04.html ,(2024-11-12).

※参考:東北電力.「[高圧受電]事務所ビル・商業施設等のお客さま」.https://www.tohoku-epco.co.jp/dbusiness/menu/hight_bus.html ,(2024-11-12).

※参考:東京電力エナジーパートナー.「業務用電力(契約電力500kW未満)」.https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/plan_h/plan06.html ,(2024-11-12).

※参考:北陸電力.「高圧で受電されるお客さま」.https://www.rikuden.co.jp/jiyuka/ryokin2.html ,(2024-11-12).

※参考:中部電力ミライズ.「高圧業務用電力(標準電圧6,000ボルト・契約電力500kW以上)」.https://miraiz.chuden.co.jp/business/electric/menu/office/hi_over/ ,(2024-11-12).

※参考:関西電力.「高圧(契約電力500kW未満)」.https://biz.kepco.jp/elec/menu/500kw_less/ ,(2024-11-12).

※参考:中国電力.「標準料金表」.https://www.energia.co.jp/elec/pdf/20250401hyojunryokin.pdf ,(2024-12-10).

※参考:四国電力.「「ご契約番号(10桁)」をご案内しているお客さま および新規にご契約いただくお客さま」.https://www.yonden.co.jp/business/price/plan/10.html ,(2024-11-12).

※参考:九州電力.「業務用電力A」.https://www.kyuden.co.jp/agreement_rate_gyomua_h26_5.html ,(2024-11-12).

※参考:沖縄電力.「高圧受電のお客さま(事務所ビルや商業施設など)」.https://www.okiden.co.jp/corporation/price-menu/high-voltage/ ,(2024-11-12).

業務用電力の新規申込は今後終了するケースが増えてくる?

現在、大手電力会社では業務用電力のメニューを提供していますが、今後は業務用電力の新規申込を終了するケースが増えてくる可能性があります。

実際に東京電力エナジーパートナーは、2025年度以降、業務用電力の新規申込受付を終了すると発表。2024年4月からは高圧電力・特別高圧電力向けの新たな標準メニューとして、ベーシックプラン・市場調整ゼロプラン・市場価格連動プランを提供しています。3つのプランは、燃料価格とJEPXのスポット市場価格を反映させる割合がそれぞれ異なります。

近年の燃料価格の高騰や電気の市場価格の変動などの影響を受け、単価の見直しだけではなく、東京電力エナジーパートナーのように料金メニュー自体の見直しを実施する電力会社も今後増えてくるかもしれません。

※参考:東京電力エナジーパートナー.「業務用電力(契約電力500kW未満)」.https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/plan_h/plan06.html ,(2024-11-12).

※参考:東京電力エナジーパートナー.「業務用電力(契約電力500kW以上)」.https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/plan_h/plan04.html ,(2024-11-12).

業務用電力の電気料金の削減方法

業務用電力の電気料金を削減したいなら、複数の電力会社の料金メニューを比較して、自社に適したプランに切り替えるのがおすすめです。

先述の通り、一口に業務用電力といっても、いくつかのプランに分かれている電力会社が多いです。例えば、夜間に電力を多く使用する企業であれば、当該時間帯に電力量料金単価が安くなるプランを選択すれば、電気料金を削減できるでしょう。

また現在、大手電力会社と契約しているなら、新電力と呼ばれる電力会社の高圧・特別高圧の料金メニューに切り替えるのも選択肢の一つです。新電力とは電力小売自由化以降に小売電気事業に参入した企業のことで、各社さまざまな料金メニューを提供しています。多くの電力会社の中から、自社の電力使用状況やニーズに合った電力会社を探してみてください。

まとめ

業務用電力は、高圧電力・特別高圧電力の料金メニューの一つです。現在、大手電力会社は業務用電力を提供していますが、今後は東京電力エナジーパートナー以外の電力会社も新規申込受付を終了する可能性がゼロではありません。「なるべく電気料金を抑えたい」とお考えの企業の担当者の方は、早めに自社の電力使用状況に合ったプランへの切り替えをご検討ください。

エネルギー商社として60年以上の歴史を持つ伊藤忠エネクスは、法人向け電力供給サービス「TERASELでんきforBiz」を提供しています。企業の電力使用状況やニーズ、目的に応じてオーダーメイドで料金プランをご提案するので、電気料金を無理なく削減できます。また電力提供と環境価値を組み合わせて電力由来のCO2排出量を実質ゼロにすることもでき、再エネ化・脱炭素化にもつながります。電力契約の変更をご検討中の企業の担当者の方は、お気軽に伊藤忠エネクスにご相談ください。

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