高圧電力の見積もりは「燃料費調整額」を要確認! 電気料金の仕組みを解説
毎月の電気料金に含まれている「燃料費調整額」。この単価は、原油や液化天然ガス(LNG)、石炭などの価格や為替レートの変動によって毎月変わります。そのため大規模なビルや工場、施設などでは、月の使用電力量が同じであっても、電気料金が数万円から十数万円単位で上下することも珍しくありません。
5〜6年前と比べると電気料金の水準が上がっていることから「燃料費調整額はどのように算出されるのか」「電力会社によって単価が異なるのはなぜか」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、燃料費調整額の仕組みや算出方法、規制料金と自由料金での違いを分かりやすく解説します。
高圧電力・特別高圧電力の見積もり時にチェックすべきポイントも解説しているので、電力会社の乗り換えを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は2026年1月時点の情報です
目次
燃料費調整額とは、原油やLNG、石炭といった火力発電で使われる燃料の価格変動を月々の電気料金に反映させるための項目です。3カ月の平均燃料価格があらかじめ設定された基準燃料価格よりも高ければ、その増加分が電気料金に上乗せされ、逆に安ければその減少分が差し引かれます。
燃料費調整制度は1996年1月、主に電力会社の経営を安定させる目的で導入されました。
日本は電力の大半を火力発電により賄っており、その燃料である原油やLNG、石炭のほとんどを海外から輸入しています。2023年度の実績でも、発電電力量の約68%が火力発電によるもので、燃料の海外依存度は原油および石炭が99.7%、天然ガスが97.9%となっています。
これらの燃料価格は国際情勢や需要の増減、為替レートなどによって日々変動しますが、特に規制料金においては、料金改定の際に経済産業大臣の認可が必要であるため、その変動を電気料金に反映させるのに大変な手間がかかります。一方で、特に燃料価格が値上がりした際に、その増加分を適切に電気料金に反映できなければ電力会社が全て負担することになり、経営悪化を招きかねません。そこで調整枠として導入されたのが燃料費調整額であり、当初は四半期ごとに燃料価格の変動を電気料金へ反映する仕組みでした。
その後、2009年に制度の見直しが行われ、3カ月間の平均燃料価格が2カ月後の電気料金に反映される現在の仕組みとなりました。
※参考:経済産業省 自然エネルギー庁.「燃料費調整制度について」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/fuel_cost_adjustment_001/ ,(2026-1-13).
※参考:経済産業省 自然エネルギー庁.「令和5年度(2023年度)におけるエネルギー需給実績(確報)」. https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/honbun2023fykaku.pdf ,(2026-1-13).
※参考:経済産業省 自然エネルギー庁.「2.安定供給」. https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2024/02.html ,(2026-1-13).

では、燃料費調整額は、どのように電気料金に反映されているのでしょうか。規制料金をはじめとする従来の料金プラン(固定単価プラン)の電気料金の算出方法は、以下の通りです。
電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金
燃料費調整額はこのうち「電力量料金」の中に含まれており、毎月の単価と使用電力量に応じて算出されます。
電力量料金 = (電力量料金単価 × 使用電力量) + (燃料費調整単価 × 使用電力量)
先述した通り、燃料費調整額は3カ月の平均燃料価格と基準燃料価格を比較し、その差額を電気料金に加減算する仕組みです。平均燃料価格が基準燃料価格より高いと「プラス」に調整(加算)され、安いと「マイナス」に調整(減算)されることから、それぞれ「プラス調整」「マイナス調整」と呼ばれます。
なお、自由料金においては必ずしも燃料費調整を行う必要はなく、特に日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格に応じて電力量料金単価が変動する市場連動型プランでは、市場価格に燃料の調達コストが反映されているため、燃料費調整額を設けていないケースが多いです。

ここからはエリア電力会社の規制料金を例に、燃料費調整単価の算出方法を解説します。毎月の燃料費調整単価の算出方法は、以下の通りです。
燃料費調整単価[銭/kWh] = (平均燃料価格 – 基準燃料価格) × 基準単価 ÷ 1000
国が電気料金の支援事業を行う場合は、算出された燃料費調整単価に、さらに値引き単価が反映されます。
※参考:東京電力エナジーパートナー.「燃料費調整制度・市場価格調整制度とは」. https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/adjust2/index-j.html ,(2026-1-13).

平均燃料価格とは、原油・LNG・石炭の輸入価格を、加重平均した価格です。3カ月間の原油・LNG・石炭の貿易統計価格を基に算定され、2カ月後の電気料金に反映されます。例えば、1月の平均燃料価格は、前年の8月〜10月の貿易統計価格を基に算出されています。
原油・LNG・石炭はそれぞれ熱量や数量の単位が異なるので、以下の計算式を用いて原油換算1kl当たりの平均燃料価格を算定します。
平均燃料価格 = A × α + B × β + C × γ
基準燃料価格とは、電力会社が料金プランを策定または改定した際に定めた、料金設定の前提となる平均燃料価格のことです。平均燃料価格同様、3カ月間の原油・LNG・石炭の貿易統計価格を基に算定されますが、どの期間を対象とするかは各電力会社が独自に決めています。こちらも、熱量や数量の単位の違いを加味して、原油換算1kl当たりの基準燃料価格が算定されています。
基準単価とは、平均燃料価格が1kl当たり1,000円変動した際の電力量1kWh当たりの変動額です。

電気料金は大きく「規制料金」と「自由料金」に分けられます。規制料金はその算定基準が法律により定められており、改定する際には先述した通り、経済産業大臣による認可が必要です。一方、自由料金は原則として電力会社の裁量で設定でき、審査や認可などの制限はありません。そのため、燃料費調整額においても、規制料金と自由料金では違いがあります。
ここでは、代表的な違いを2つご紹介します。
※参考:経済産業省 自然エネルギー庁.「電気料金の改定について(2023年6月実施)」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/kaitei_2023/ ,(2026-1-13).
※参考:東京電力エナジーパートナー.「燃料費調整制度とは」. https://www.tepco.co.jp/ep/private/fuelcost2/index-j.html ,(2026-1-13).
一つ目の違いは、燃料費調整単価の上限の有無です。規制料金では、燃料価格の増加分について電気料金に反映できる上限があり、基準燃料価格の1.5倍までとなっています。
一方、自由料金においては上限を設けないのが主流です。以前は、大手電力会社では規制料金と同様に自由料金にも上限を設けていましたが、自由料金においては上限の撤廃が進んでいます。
二つ目の違いは、独自項目の有無です。規制料金においては、先述した通り、燃料費調整単価の算出方法が明確に定められています。一方、自由料金では、電力会社ごとに燃料費調整単価の算出方法を決めることができるため、独自項目が追加されていたり、その場合に、従来の燃料費調整額と区別するために「燃料費”等”調整額」といった名称が付けられていたりします。
ここでは、自由料金の代表的な独自項目を2つご紹介します。
一つ目は「離島ユニバーサルサービス調整額」です。一般送配電事業者には、燃料価格が高くなりやすい離島の需要家にも、本土と同程度の料金水準で電力供給を行うことが義務付けられています。そこで、離島の需要家に供給する電力の燃料費の変動を託送料金に反映し、本土や離島にかかわらず全ての需要家で負担する仕組みが離島ユニバーサルサービス調整制度です。
自由料金の燃料費等調整額に含まれていることが多い項目で、電力会社によっては、同じ料金プランでも含まれるエリアと含まれないエリアで分かれていることがあります。
※参考:九州電力送配電.「離島ユニバーサルサービス調整単価」. https://www.kyuden.co.jp/td/service/wheeling/stipulation/universal.html ,(2026-1-13).
二つ目は「市場価格調整額」です。程度に差はあれど、供給する電力の一部をJEPXから調達している電力会社がほとんどです。その市場からの調達価格(=市場価格)の変動を電気料金に反映するための項目が、市場価格調整額です。
電力量料金単価が市場価格に応じて30分ごとに変動する市場連動型プランとは異なり、2〜3カ月の平均市場価格を基に算定することが多く、固定単価プランでありながらも、市場価格の変動を電気料金に反映したいという場合に用いられるようです。
燃料費調整額と市場価格調整額の両方を含む料金プランもあれば、燃料費調整は行わず、市場価格調整のみを行うプランもあります。
※参考:東京電力エナジーパートナー.「燃料費調整制度・市場価格調整制度とは」. https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/adjust2/index-j.html ,(2026-1-13).

毎月の電気料金に少なくない影響を与える燃料費調整額ですが、電力会社を乗り換える際に見落とされがちな項目でもあります。しかし、特に使用電力量の多い高圧電力や特別高圧電力では、たった数円の単価の違いでも電気料金は万単位で変動するため、注意が必要です。
高圧電力や特別高圧電力の見積もりを比較する際に、必ず確認すべき2つのポイントについて解説します。
まず提案されている料金プランが、燃料費調整を行うプランかどうかを確認しましょう。燃料費調整を行うプランの場合は、次に、見積もりに「燃料費調整額」や「燃料費等調整額」が含まれているかを確認します。現在の電気料金や複数の見積もりと比較する際は、必ず、燃料費調整額や燃料費等調整額を含んだ総額で比べることが大切です。
「燃料費調整額」や「燃料費等調整額」が含まれていない場合は、改めて燃料費調整額を確認できる見積書を依頼すると共に、契約しようとしている電力会社のWebサイトなどで燃料費調整単価が公表されているか確認してみましょう。
先述した通り、自由料金では燃料費等調整単価の算出方法が電力会社や料金プランごとに異なります。中には、基本料金と電力量料金の安さはそのままに、エリア電力会社の水準を大幅に上回る独自の燃料費調等整単価を設定し、燃料費等調整額を引き上げることによって利益を確保する電力会社もあるため、その算出方法や項目の内訳、上限の有無は必ずチェックしておきたいポイントです。特に燃料費調整が行われるのか、市場価格調整が行われるのか、または両方なのかはしっかりと確認しておきましょう。
その電力会社の燃料費等調整単価が高いか安いかは、エリア電力会社の燃料費等調整単価との比較により判断できます。
その他、高圧電力・特別高圧電力の見積もり時に確認すべきことは、以下の記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
燃料費調整額は、燃料価格の変動を電気料金に反映する仕組みです。規制料金の燃料費調整額の算出方法がベースにはなっていますが、自由料金においては、電力会社や料金プランによって算出方法や項目の内訳が異なります。電力会社を乗り換える際には、必ず燃料費等調整額を含めた総額で比較するようにしましょう。
伊藤忠エネクスの法人向け電力供給サービス「TERASELでんきforBiz.」では、毎月の燃料費等調整単価をWebサイト上で公表しています。もちろんお見積りの際には、燃料費等調整額を含めた料金の詳細をしっかりとご説明いたします。
お客さまの電力の使用状況やニーズに応じて、適切なプランをオーダーメイドでご提案いたしますので、電力会社の乗り換えや新規契約をご検討中の企業のご担当者さまは、ぜひお気軽にご相談ください。
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