新電力とは? 電力供給の仕組みや乗り換えるメリット・デメリットを解説!

新電力とは? 電力供給の仕組みや乗り換えるメリット・デメリットを解説!

伊藤忠エネクス メディア編集部

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来 「 社会とくらしのパートナー」として 全国各地の地域に根ざし生活に欠かせないエネルギーをお届けしてまいりました。 老舗エネルギー商社ならではの情報を発信します。

電力会社を比較していると「新電力」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。新電力とは、電力自由化に伴って電力小売市場へ新規参入した企業のことです。しかし、電力会社や料金プランの選択肢が多様化している中「これまでの電力会社と何が違うのか」「乗り換えるメリットはあるのか」といった疑問を持つ方もいるでしょう。

本記事では電力会社の乗り換えを検討している方へ向けて、新電力の電力供給や料金プランの仕組みを詳しく解説します。契約を切り替える際のチェックポイントもご紹介するので、複数社を比較検討する際の参考にしてみてください。

※本記事は2026年1月時点の情報です

新電力とは?

新電力とは、2000年からスタートした電力小売部門の自由化以降に参入した、新しい電力会社の総称です。電力自由化以降、これまで地域の大手電力会社(旧一般電気事業者)が担っていた電力の小売事業に他の事業者も参入できるようになりました。その結果、ガス会社や通信会社、旅行会社など異業種で事業を行う事業者が、新たに電力小売部門を立ち上げて参入するケースが増加しました。

また全ての家庭や事業者(需要家)は、所在地のエリアに縛られることなく自由に電力会社を選べるようになりました。

電力自由化とは?

電力自由化とは?

そもそも、電力供給は電気をつくる「発電」、電気を運ぶ「送配電」、電気を販売する「小売」という3つの部門から成り立っています。

これまでは東京電力や九州電力といった地域の大手電力会社10社が、発電から小売までの流れを独占していました。この電気事業の在り方を見直し、他の事業者も参入できるようにするための制度改革が「電力自由化」です。新規参入を促すことで、電気料金の価格抑制や電力市場の活性化が期待されていたのです。

1995年・1999年の電気事業法改正を経て、2000年3月に特別高圧電力の小売自由化がスタートしました。その後、2004年4月・2005年4月には高圧電力の、2016年4月には低圧電力の小売自由化が始まり、小売部門の全面自由化が実現しました。

なお、発電部門は1995年の電気事業改正法により新規参入が自由になりました。とはいえ発電設備を保有・管理するには多額の資金が必要なことから、新電力の多くは自社で大規模な発電設備を持たない、もしくは発電設備の保有規模が限定的な場合が多いです。そのため多くの新電力は、電力の仕入れと小売を担うことに特化しています。

また送配電部門については、2020年4月に地域の大手電力会社の送配電部門を分社化する「法的分離」が実施され、電力業界全体で自由化を健全に推し進められるような制度改革が行われています。

新電力の普及率

電力小売全面自由化以降の新電力の普及率について見てみましょう。当初10%台からスタートした高圧電力の2024年度における新電力シェア率は20.6%、5%でスタートした特別高圧電力のシェア率は9.8%でした。両者とも2022年度に減少に転じたものの、2023年度から再び増加傾向にあります。

また地域別に全区分の新電力シェア率を見てみると、東京エリアはシェア率が約30%と最も高く、一方で中部・北陸・四国・沖縄エリアは約10%程度にとどまっていることが分かります。新電力の中には供給エリアを一部に限定しているところもあるため、エリアによる普及率の違いが出ているようです。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」. https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/086_03_00.pdf,(2025-2-28).

新電力が電力を供給する仕組み

新電力が電力を供給する仕組み

先述の通り、地域の大手電力会社(旧一般電気事業者)は「発電」「送配電」「小売」の3つの部門を一貫して自社で担ってきましたが、新電力は主に電力の仕入れと小売を担っている企業が多いです。

そのため新電力は日本卸電力取引所(JEPX)を利用したり、発電事業者と相対取引(市場を介さずに直接条件を決めて売買すること)をしたり、自社で小規模の発電設備を保有したりしながら、電力を調達しています。

確保した電力は、地域の大手電力会社グループの一般送配電事業者が保有する送配電網を利用して需要家へ届ける流れが一般的です。そのため、新電力は一般送配電事業者へ送配電網の使用料(託送料金)を支払っています。発電・送配電・小売の区分ごとに分社化したことで、地域の大手電力会社グループの小売電気事業者も一般送配電事業者に託送料金を支払う点は同じです。

新電力に切り替えることで電気の質が低下したり、停電が増えたりする?

新電力へ切り替える際の懸念として、地域の大手電力会社と比べて「電気の質が落ちるのでは?」という声がよく聞かれます。結論からいうと、新電力であっても地域の大手電力会社であっても、同じ送配電網を利用しているため、電気の質が変わったり停電が増えたりすることはありません。

さらに、新電力として電力事業に参入する際には、経済産業大臣の登録が必要です。登録されている事業者は2026年1月22日時点で801社と膨大ですが、どこも一定の審査を通過した事業者です。気になる新電力がある場合は、会社情報や設立の背景を調べた上で乗り換えを検討するのがおすすめです。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「登録小売電気事業者一覧」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/ , (2026-01-22).

新電力に乗り換えるメリット

新電力に乗り換えるメリット

新電力へ乗り換えると、コスト削減や環境対策などさまざまなメリットを得られます。ここでは、代表的な5つのメリットについて、詳しく解説します。

電気料金が安くなる可能性がある

電力自由化以降、多くの事業者が新規参入したことにより市場競争が激しくなりました。その結果各事業者の企業努力などが進み、単価が安く設定されているプランや、電気の使い方によっては料金を大幅に削減できる可能性のあるプランなどが登場しました。そのため自社に適した電力会社を選んで乗り換えれば、電気料金が今よりも安くなる可能性があります。

電気の使い方を変えなくてもコスト削減できる可能性があるのは、新電力に乗り換える大きなメリットの一つです。

多様な選択肢の中から自社に適したプランを選べる

高圧電力・特別高圧電力の電気料金プランは、電力量料金単価が変わらない「固定単価プラン」と、JEPXの市場価格に連動して電力量料金単価が変動する「市場連動型プラン」の2つに大別されます。しかし、一口に固定単価プランや市場連動型プランといっても、内容は電力会社によってさまざまです。例えば、電力量料金単価は固定で従来通り燃料費調整を行うプランや、時間帯や曜日で単価が変わるプラン、市場価格と連動する電力量料金単価に上限が設けられているプラン、再生可能エネルギー由来電力100%のプランなど特色のあるメニューが存在します。選択肢が多ければ多いほど、需要家は自社の電気の使用状況に適した料金プランを選びやすくなるでしょう。

再エネ由来電力や環境価値の利用で、企業価値を高められる可能性がある

日本は、温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いた合計を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を、2050年までに達成すると掲げています。そのため、温室効果ガス削減の取り組みは、多くの企業にとって重要な経営課題の一つとなっているでしょう。

新電力の中には、再生可能エネルギー由来の電力を中心とした料金プランや、非化石証書などの環境価値の調達オプションを提供している事業者もあります。このような新電力へ乗り換えれば、電力使用に伴うCO2排出量の削減や実質的な再生可能エネルギー由来電力の導入につながり、環境負荷の低減に貢献できます。

また環境対策への取り組みを対外的に示すことで、CSR(企業の社会的責任)やサステナビリティなどの側面から、企業イメージや投資家たちからの評価の向上を図ることもできるでしょう。日本は発電に必要な燃料のほとんどを輸入に頼っているのが現状ですが、再生可能エネルギーの利用拡大により化石燃料への依存度が下がれば、中長期的に国内のエネルギー自給率の向上にも寄与すると考えられます。

エネルギー利用の最適化を図れる

新電力の中には、電力小売以外のエネルギーソリューションを提供しているところもあります。これらのサービスを利用することで、企業全体のエネルギー利用の最適化を図れる点も、乗り換えのメリットです。例えば、LED照明や高効率空調といった省エネ設備や、太陽光発電設備の導入サービスを利用すれば、電力使用量や買電量自体を減らせます。

エネルギー利用の見直しや最適化を図れれば、中長期的なコストの適正化にもつながるでしょう。

複数拠点の契約や支払いを一本化できる

地域の大手電力会社は電力の供給エリアが限定されているため、全国に支店や工場・営業所などがある企業の場合、エリアごとに電力会社や料金プラン、支払いのフローが分かれていました。その点、全国に電力を供給している新電力を選べば、複数拠点の電力供給契約や支払いを一本化することが可能になり、総務・経理部門の負担軽減にもつながると考えられます。

新電力に乗り換える際の注意点

新電力に乗り換える際の注意点

新電力だけに限った話ではありませんが、電気料金の内訳や契約条件を十分に理解せずに乗り換えてしまうと、想定したメリットが得られないことも少なくありません。ここでは、事前に確認しておきたい、新電力に乗り換える際の主な注意点について解説します。

電気料金が高くなってしまう可能性がある

新電力に乗り換えると電気料金が安くなる可能性がある一方、かえって電気料金が高くなってしまう可能性もゼロではありません。例えば、料金プランが自社の電気の使用状況に合わないケースや、キャンペーン終了後に料金単価が変わるケースなどが挙げられます。

新電力を比較検討する際には、自社の電気の使用状況と料金プランの仕組みを照らし合わせて、電気料金の削減が見込めるのかを確認することが重要です。また電気料金の内訳を把握し、想定されるリスクを許容できるかどうかも検討しておきましょう。

事業撤退・倒産・廃業の可能性がある

新電力の中には、経営基盤や運営ノウハウが確立していない事業者も存在します。そのため、燃料価格や電気の市場価格の高騰などにより経営状況が悪化した場合、事業の撤退や倒産、または廃業に至るリスクに留意する必要があります。

仮に契約していた新電力が事業を継続できなくなったとしても「最終保障供給」の仕組みがあるため、直ちに電気が使えなくなることはありません。しかし、急いで新しい電力会社を探したり短い期間で比較検討したりする必要があるため、乗り換え先の選定は慎重に行うことが重要です。

最終保障供給とは

最終保障供給とは、契約している電力会社が事業撤退や倒産などにより電力を供給できなくなった場合に、一般送配電事業者が一時的に電力を供給する制度です。

ただし、最終保障供給の利用期限は原則一年以内であり、長期的な利用はできません。料金も割高に設定されるため、速やかに新たな電力会社と契約し直す必要があります。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「最終保障供給について」. https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/060_04_00.pdf?utm_source=chatgpt.com ,(2023-3-29).

解約時に違約金がかかる可能性がある

契約更新のタイミング以外で電力会社を乗り換えると、違約金や解約手数料が発生する可能性があります。特に法人契約では、電気料金を抑える代わりに一定期間の継続利用を条件としているケースも見られます。乗り換え後に再度見直す可能性がある場合は、解約条件まで含めて契約内容を確認しておくことが大切です。

新電力との契約時に確認すべきポイント

新電力との契約時に確認すべきポイント

新電力への乗り換え時には複数社から見積もりを取って、電気料金や契約内容を比較するのがおすすめです。ここでは新電力との契約時に、必ず確認しておきたいポイントを解説します。

自社の電気の使い方に合った料金プランかどうか

先述した通り、高圧電力・特別高圧電力の料金プランは、大きく「固定単価プラン」と「市場連動型プラン」に分類されます。固定単価プランは、契約期間中の電力量料金単価が固定されるため、電気料金高騰のリスクが低く、毎月の電気料金の見通しが立てやすいというメリットがあります。ただし、市場価格が安くなってもその恩恵は受けられません。

一方、市場連動型プランはJEPXの取引価格と連動しているため、電力量料金単価の安い時間帯に電力を使用すれば、固定単価プランよりも電気料金が安くなる可能性があります。ただし、固定単価プランと比較すると電気料金が高騰するリスクもあるため、注意が必要です。

こういった特徴を踏まえて、どのようなプランが自社に適しているのかを検討してみましょう。

燃料費調整額も含めて今より安くなるか

固定単価プランは、基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金の4つで構成されています。このうち、燃料費調整額は化石燃料の調達価格を反映する部分ですが、反映の仕方は電力会社によって異なります。なぜなら、電力会社によって電力の調達方法が違うためです。

また燃料費調整額の他に、事業者独自の燃料費調整額である「燃料費等調整額」や「市場価格調整額」などが含まれていることもあります。料金を比較する際は、これらの項目がきちんと見積もりに反映されているか、設定されている単価や算出方法は他社と比べて大きな乖離がないかを必ずチェックしましょう。

燃料費調整額の単価が高いか安いかは、地域の大手電力会社が公表する燃料費調整単価と比べるのがおすすめです。

電源構成のバランス

電源構成とは、事業者がどの発電方法や調達方法で電力を確保しているのかを表す内訳のことです。乗り換え先を比較する際に電源構成をあらかじめ確認することで、電力調達の安定性をチェックできます。

例えばJEPXからの調達割合が多い新電力は、市場価格の変動の影響を受けやすく、電気料金の変動が起こりやすいことが伺えます。また自社で小規模な発電所を持つ新電力や発電事業者と相対取引をしている新電力は、市場価格の変動に左右されにくいため、電気料金の変動リスクを抑えやすいでしょう。

電力会社の安定性

先述した通り、新電力には契約期間中の事業撤退・倒産のリスクがあります。こうしたリスクを避けるためにも、電力会社の規模の大きさや経営基盤の安定性をしっかりと確認しておきましょう。

例えば、規模の大きなグループ会社の一員である、電力事業以外に安定した収益を上げている事業が複数ある、大手の電力会社と提携しているといった特徴がある事業者がおすすめです。会社情報をよく確認し、財務状況や業界評価なども含めて比較検討してください。

以下の記事では、おすすめの電力会社の会社概要や電源構成をご紹介しています。「どのような電力会社があるのか分からない」という方はぜひ参考にしてください。

まとめ

2000年からスタートした電力自由化により、多くの新電力が市場に参入し、市場の競争力が高まりました。その結果、需要家は多くの選択肢の中から、自社に合った電力会社や料金プランを選べる環境になっています。自社に適したところを選べば、電気料金の削減や環境対策への取り組み、エネルギー利用の最適化といった多くのメリットを得られる可能性があります。

ただし、料金プランや契約内容によっては、思わぬ電気料金の上昇や解約金といった想定外の出費が発生する恐れもあるので、注意が必要です。必ず複数社の電気料金の内訳や電源構成、企業の安定性を比較し、自社に適した電力会社を選びましょう。

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電力会社の乗り換えをご検討中の方は、ぜひ伊藤忠エネクスへご相談ください。

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