RD(リニューアブルディーゼル)とは? 特長から価格、導入事例まで徹底解説!

RD(リニューアブルディーゼル)とは? 特長から価格、導入事例まで徹底解説!

「2050年カーボンニュートラル」の達成を目指す動きが世界中で広がっている中、企業にも脱炭素経営が望まれています。脱炭素化を目指せるソリューションにはさまざまなものがありますが、サプライチェーンの中で車両を利用する企業が導入を検討したいものの一つがバイオ燃料です。従来の燃料からバイオ燃料に切り替えるだけで、CO₂排出量を100%削減できます。

本記事では、次世代のバイオ燃料として注目されているリニューアブルディーゼル(RD)について詳しく解説します。RDの特長はもちろん、供給場所や価格についてもご紹介するので、軽油からの燃料転換をご検討中の方はぜひ参考になさってください。

RD(リニューアブルディーゼル)とは?

RD(リニューアブルディーゼル)とは、廃食油や廃動植物油といった食料と競合しない10種類以上の原料から製造される、次世代型バイオ燃料です。軽油の代替燃料として注目されており、主にトラックやバス、建設機械、発電機、船舶の燃料として利用されています。

2024年5月からは、大手航空会社でも航空機地上支援機材の代替燃料としてRDを利用する実証が開始されました。将来は、航空機の運航以外で発生するCO₂の削減に向けて本格導入される見込みです。

RD(リニューアブルディーゼル)の特長

RD(リニューアブルディーゼル)には企業の脱炭素化をサポートする3つの特長があります。その他にもさまざまな特長があるので、以下で詳しく見ていきましょう。

軽油対比でCO₂排出量を100%削減(温対法・省エネ法)

国内の温対法(地球温暖化対策推進法)・省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)では、バイオ由来の燃料によるCO₂排出量は報告対象外であるため、軽油からRDへ燃料転換をすれば、CO₂排出量を100%削減することが可能です。 ※原料の調達から製造、使用までの一連の流れで発生する環境負荷を指す「LCA(ライフサイクルアセスメントベース)」においては、CO₂排出量を軽油対比で最大90%削減可能

RDの利用によってCO₂排出量が削減されるのは、RDがカーボンニュートラルな燃料だからです。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計量を、実質ゼロにする考え方です。

軽油の原料は地中に眠っている原油です。軽油を燃やす際に排出されるCO₂はもともとは地中にあったものであるため、大気中にその分のCO₂が増えることになります。一方、RDはすでに地上に存在している廃棄する油を原料としています。RDを燃やすと軽油と同様にCO₂が排出されますが、それらはもともと地上に存在していたもののため、大気中のCO₂量は増えていない=CO₂排出量実質ゼロとなるのです。

サステナブルな原料で循環型の社会を実現

RDは食料と競合しない、以下のサステナブルな原料から水素化精製を経て製造されています。

  • 廃食用油
  • 廃動物油
  • 残渣油
  • 植物油
  • 廃魚油 他、計10種類以上の原料

廃棄する油を再利用するので無駄がなく、循環型社会の実現に貢献できます。

ドロップイン燃料のため、初期投資不要

RDはドロップイン燃料のため、軽油から燃料転換する際に車両やエンジンを交換したり、設備を新設したりする必要がありません。軽油を使用する車両や機械であれば、すでにあるものをそのまま利用できるので、初期投資が不要です。また一般車に比べると電気化・水素化が難しい、大型自動車や建設機械などでも燃料転換できるので、手軽に脱炭素化に着手できます。

その他の特長

ここまでご紹介したもの以外にも、RDには以下に挙げるような特長があります。

特長内容
貯蔵安定性酸化しにくいため、長期保存できる
PM・NOx低減燃やしたときのすすが出にくく、人体に悪影響を及ぼすPM(粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)の低減につながる車体負荷の軽減、労働環境の改善にも役立つ
寒冷地でも使用可能流動点がマイナス22度と、3号軽油と同等の数値であるため、寒冷地でも使用できる
におい・見た目ほぼ無臭・無色透明でクリーン

RDは環境に優しいだけではなく、機能性にも優れていることがお分かりいただけるでしょう。

RD(リニューアブルディーゼル)の原料・製造方法

先述した通り、RD(リニューアブルディーゼル)は廃食用油や廃動物油、残渣油、植物油、廃魚油といった10種類以上のサステナブルな原料をもとに製造されています。なお、これらの原料は世界中から調達されています。

またRDは水素化精製と呼ばれる方法で製造されています。水素化精製とはその名の通り水素を利用する技術で、原料となる油と水素を高温高圧で反応させることで、油に含まれる不純物を取り除きます。水素化精製で製造すると、燃料がよりクリーンで高品質になるため、環境に優しい燃料の製造によく利用される技術です。

RD(リニューアブルディーゼル)の供給場所

RD(リニューアブルディーゼル)の給油方法は、オンロード車とオフロード車で異なります。

オンロード車とはナンバープレートがあり、公道を走れる車です。主にサービスステーションで給油を行います。一方、オフロード車はナンバープレートがなく、公道を走れません。決められた区域内を巡回パトロールするように、必要な現場へ燃料を届ける「パトロール給油」という方法で給油されます。オンロード車かオフロード車か見分けるには、ナンバープレートの有無を確認するのがよいでしょう。

伊藤忠エネクスでは、オンロード車・オフロード車のどちらにも供給場所を提供しています。

オンロード車向けの供給場所は、以下の通りです。

オンロード車の供給場所住所営業時間休業日給油形態
エネクスフリート大井埠頭店東京都大田区東海5丁目1724時間毎週土19:00~日21:00年末年始ゴールデンウィークフルサービス
東部ネットワーク海老名営業所神奈川県海老名市杉久保南5-14-159:00~16:00毎週日曜日年末年始セルフサービス
佐藤石油店 飛島トラックステーション愛知県海部郡飛鳥村竹之郷6-939:00~18:00年末年始ゴールデンウィークフルサービス
エネクスフリート 大阪南港店大阪府大阪市住之江区南港東1-4-924時間無休スタッフ給油乗用車セルフ

営業時間や休業日は変更になる可能性がありますので、こちらより最新情報をご確認の上、ご利用ください。

オフロード車向けの供給場所は、関東・関西・九州の一部エリアにあります。いずれも今後増設される予定のため、詳細はこちらをご確認ください。

上記以外の給油方法もございますので、詳細はお問い合わせください。

RD(リニューアブルディーゼル)の価格

2024年時点でのRD(リニューアブルディーゼル)の価格は、供給方法や場所、頻度、数量によって異なりますが、軽油の約3~5倍です。

なお、伊藤忠エネクスのRDをご利用いただく際は、一定期間以上の継続利用をお願いしております。またパトロール給油の場合は、1回100リットル以上の給油をお願いしております。価格や最低契約期間などの詳細はお問い合わせください。

RD(リニューアブルディーゼル)の注意点

RD(リニューアブルディーゼル)は軽油と混ぜて使用することはできません。RDは軽油ではなく燃料炭化水素油に分類され、地方税法において、軽油とその他の燃料を混ぜてはいけないと定められているためです。

そのため、軽油からRDに切り替える際は、車のエンプティランプと燃料メーター0の確認が求められます。また軽油との混和を防ぐために、給油する車両の給油口付近には、RDステッカーを貼り付けなければなりません。もちろん、RDの残量が少なくなってきたからといって、途中で軽油を給油するということもできません。

またオンロード車の場合は「自動車用炭化水素油譲渡証」の携帯が必須となります。携帯せずに運転した場合、地方税法に基づき罰せられる可能性があるため注意が必要です。

伊藤忠エネクスのRD(リニューアブルディーゼル)

伊藤忠エネクスでは全国の輸送用トラックやバス、建設機械、船などの燃料としてRD(リニューアブルディーゼル)の提供を行っています。製造元は世界有数のRDメーカーであるフィンランドのNESTE社です。伊藤忠商事が輸入・調達し、伊藤忠エネクスが供給・販売しています。

伊藤忠エネクスは、ISCC(国際持続可能性カーボン認証)を取得しており、また2024年6月21日にはRDが合成燃料の類型として初のエコマーク商品に認定されました。さらに、輸入・調達元の伊藤忠商事および供給・販売元の伊藤忠エネクスはRDの全国展開を目指し、軽油に最大40%のRDを混和した「RD40」の製造・供給を進めています。先述した通り、従来の100%RDは軽油と混ぜることはできませんが、RD40は地方税上の軽油に該当するため軽油との併用が可能です。走行中に燃料が不足した際に軽油を継ぎ足せるので、より利便性が向上するでしょう。

脱炭素経営を目指している企業や軽油からの燃料転換に興味がある企業は、お気軽に伊藤忠エネクスにお問い合わせください。RDに関する疑問点や使用場所、対象をお伺いいたします。

導入事例

伊藤忠エネクスのRDの導入実績として、東京都の事例をご紹介します。

東京都では脱炭素化に加え、バイオ燃料関連産業の活性化への寄与を目的に「バイオ燃料活用における事業化促進支援事業」を実施しています。伊藤忠エネクスはオーシャン ネットワーク エクスプレス ジャパン株式会社、三愛オブリ株式会社、サントリーホールディングス株式会社、全日本空輸株式会社および日本コンテナ輸送株式会社の連合各社とともにこの事業に応募し、支援の対象として選ばれました。各社の陸上輸送車両や空港施設の作業車両に伊藤忠エネクスが供給するRDを活用することで、東京都の脱炭素化を推進しています。

他にもさまざまな業界で伊藤忠エネクスのRDの供給が進んでいます。詳しくは、プレスリリース一覧をご確認ください。

まとめ

RDは食料と競合しない、廃食油や廃動植物油を原料として製造される次世代型バイオ燃料です。カーボンニュートラルの考えに基づき、温対法・省エネ法においてCO₂排出量を実質ゼロにできます。

燃料を軽油からRDに切り替えるだけで利用できるので、既存の車両や設備を交換・新設する必要がありません。そのため、比較的手軽に取り入れられる脱炭素化ソリューションとして注目されています。

伊藤忠エネクスには、さまざまな業界へRDを供給している実績があり、供給場所も全国各地に拡大予定です。RDの導入に関して疑問をお持ちの方や、バイオ燃料の導入にご興味のある方は、まず伊藤忠エネクスへご相談ください。

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