ホルムズ海峡封鎖で電気代はいくら上がる?法人向けリスク対策3選

ホルムズ海峡封鎖で電気代はいくら上がる?法人向けリスク対策3選

伊藤忠エネクス メディア編集部

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来 「 社会とくらしのパートナー」として 全国各地の地域に根ざし生活に欠かせないエネルギーをお届けしてまいりました。 老舗エネルギー商社ならではの情報を発信します。

ホルムズ海峡の封鎖で電気代はいつ、いくら上がるのか——2026年2月末、米国・イスラエルによるイラン攻撃を受け、ホルムズ海峡が事実上の通航停止状態に入りました。3月末時点で封鎖は約1か月が経ち、海峡を通るエネルギー輸送には大きな支障や遅延が生じ、原油価格・LNG価格には上昇圧力がかかっています。
自社の電気代への影響はいつ出るのか——本記事ではプラン種別ごとの影響経路とタイミング、法人向けのモデルケース試算、そして今日から取れる具体的な対策をまとめました。

この記事でわかること

  1. ホルムズ海峡の情勢緊迫化が電気代に波及する「2つの影響」の違い
  2. 法人の月間使用量別・シナリオ別の電気代増加目安(モデルケース試算)
  3. 今月中に着手すべき3つのアクション(切替タイムライン付き)

※本記事は2026年3月時点の情報です。

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自社は市場連動プランか?契約種別の確認方法

電気代への影響度は、契約しているプランが「市場連動型」か「固定単価型」かで大きく異なります。まず自社の契約種別を確認してください。

確認方法は3つあります。

1.検針票の「料金メニュー名」欄を見る:
「市場連動」「JEPX連動」「スポット連動」などの文言が含まれていれば市場連動型の可能性が高いです。

2.電力会社のマイページにログインする:
契約メニュー名が表示されます。「〇〇プラン(市場連動)」などの記載を確認してください。

3.契約書の料金算定条項を確認する:
「日本卸電力取引所の価格に基づき算定」等の記述があれば市場連動型です。

「固定単価プランだから安心」とは限りません。固定単価プランでも、燃料費調整額を通じて燃料価格の変動は電気代に反映されます。影響の経路と大きさが異なるだけです。

関連記事:市場連動型プランとは? 固定単価プランとの違いや切り替えのメリット・注意点を解説

なぜホルムズ海峡封鎖で電気代が上がる?2つの影響経路

電気代への影響は、「燃料費調整額による影響」と「JEPXスポット価格による影響」の2つのパターンで波及します。どちらのパターンで影響を受けるかは契約プランによって異なります。

項目パターンA
燃料費調整額ルート
パターンB
JEPXスポット価格ルート
対象プラン固定単価プラン
市場連動プラン(一部)
市場連動プランのみ
影響タイミング数か月後
(燃調の算定期間+反映ラグ)
即日〜翌日ベース
(翌日受渡のスポット市場)
影響の大きさ比較的緩やか
(平均燃料価格で平滑化)
急激
(需給ひっ迫時にスパイク)

パターンA:燃料費調整額による影響

一般的な燃料費調整制度では、直近3か月間の原油・LNG・石炭の貿易価格を平均し、その後の電気料金に反映することが多いです。但し、大手電力会社含め算定期間を見直ししている動きもある為、契約先の電力会社の算定方法・反映タイミングを自社の契約約款で確認することが大切です。2026年3月の燃料価格上昇は、一般論としては早ければ2026年夏以降の電気料金に波及しえると考えられます。

日本のLNG輸入に占めるホルムズ海峡経由の割合は2025年実績で6.3%です。内訳はカタール5.3%、UAE1.0%です。日本のLNG調達はオーストラリアやマレーシアなどに分散していますが、世界全体ではホルムズ海峡がLNG・原油の重要な輸送路であるため、海峡情勢の悪化は日本の直接輸入分だけでなく、国際LNG市場全体の需給ひっ迫やスポット価格上昇を通じても影響します。一方で原油については、日本は輸入の約9割を中東に依存しており、原油価格の上昇がLNG長期契約価格や発電コストに波及する可能性があります。石油の基礎知識や日本の輸入構造については、関連記事「石油とは」もあわせてご覧ください。

政府は「LNGの在庫は十分にあり、直ちに電気料金が上がるわけではない」との見解を示しています(2026年3月10日、資源エネルギー庁LNG検討会)。電力・ガス会社は数か月分のLNG在庫を保有しており、短期的には一定の時間的余裕があるとされています。ただし、封鎖が長期化すれば在庫の取り崩しが進み、夏場以降の調達コスト上昇は避けられません。

自社の燃料費調整単価は、契約先電力会社の公式サイト「料金のお知らせ」ページ、または毎月の検針票「燃料費調整額」欄で確認できます。

※参考:日本貿易振興機構(ジェトロ)「日本のLNG輸入量のホルムズ海峡依存度は6.3%」
https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/03/7dc85f3bc19692d8.html

※参考:資源エネルギー庁「中東情勢を踏まえた資源エネルギー庁の対応について」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/energysecurity/index.html

※参考:資源エネルギー庁「LNGをめぐる動向と電力・ガスの安定供給について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/lng/pdf/004_03_00.pdf

パターンB:JEPXスポット価格による影響

市場連動プランの電力料金は、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場価格に連動します。JEPXの価格は翌日受渡で30分単位で決まるため、LNG火力発電のコスト上昇や需給ひっ迫は比較的早く反映されやすい仕組みです。

過去の事例として、2021年1月には寒波による需要急増とLNG供給減少などが重なり、JEPXスポット市場価格が急騰しました。経済産業省の資料では、2021年1月13日にスポット市場の1日平均価格が約154.6円/kWh、1月15日にはコマごとの最高価格が251.00円/kWhを記録しています。平常時の価格と比較すると、20倍前後の水準となりました。

今回のホルムズ海峡情勢と2021年1月の違いは、2021年が「寒波による需要増」と「LNG供給減」の複合要因だったのに対し、今回は中東情勢悪化に伴う供給・物流不安が主因である点です。ただし、夏場の冷房需要増と燃料調達不安が重なれば、市場価格の上振れリスクは高まります。

※参考:経済産業省「2020年度冬期スポット市場価格の高騰について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/034_b09_00.pdf

法人規模別・シナリオ別の電気代影響試算【モデルケース】

2つの影響経路のうち、まず燃料費調整額ルートの影響額を具体的に試算します。以下はモデルケース試算であり、自社の実績値で再計算が必要です。検針票の月間使用量と現在の燃料費調整単価を確認のうえ、下記の計算式で試算してください。

試算の前提条件

  • 契約種別:高圧(一般的な法人契約の一例)
  • 燃料費調整額の上昇幅:+5円/kWh(緩やかなシナリオ)、+10円/kWh(深刻なシナリオ)の2段階
  • 市場連動プランの追加上乗せ:JEPXスポット価格高騰による上乗せ分は含まない(別途リスクとして記述)
  • 計算式:月間影響額 = 月間使用量(kWh) × 燃料費調整額の上昇幅(円/kWh)

以下はモデルケースであり、概算の一例です。業種相場ではありません。

月間
使用量
想定規模の一例+5円/kWh(年額)+10円/kWh(年額)
3万kWh小規模オフィスの一例
(契約電力50〜100kW程度)
+180万円+360万円
10万kWh中規模工場の一例
(契約電力200〜400kW程度)
+600万円+1,200万円
30万kWh大規模施設の一例
(契約電力400kW以上)
+1,800万円+3,600万円

※上記は燃料費調整額の上昇幅のみを単純に乗じた概算です。実際の影響額は契約メニュー・力率・再エネ賦課金・使用パターン等によって異なります。規模名称は月間使用量のイメージを伝えるための仮称であり、業種・業態の平均値を示すものではありません。自社の直近12か月の検針票から月間使用量を確認し、上記の計算式で試算してください。

一部の市場連動プランの場合、上記に加えてJEPXスポット価格の上昇分が上乗せされます。2021年1月のような極端な高騰局面では、通常月より大幅にコストが膨らむ可能性があります。プランによっては価格上限(キャップ)が設けられている場合がありますが、すべてのプランに共通するわけではありません。契約内容で上限の有無を個別に確認してください。 

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市場連動プランの電気代リスクをどう抑える?今すぐできる3つの対策

プラン変更・調達先切替・使用量管理の3方向から手を打てます。まず3つの対策を比較します。

対策初期費用即効性リスク
低減効果
所要期間
上限付きプランへの変更なし〜小個別確認が必要
固定単価プランへの切替なし〜小契約条件による
デマンド管理・使用量削減小〜中小〜中即時〜

対策1:上限付き市場連動プランへの変更

一部の電力会社では、JEPXスポット価格に上限(キャップ)を設けたプランを提供しています。通常の市場連動プランと比べて料金体系が異なることがありますが、価格急騰時の影響を一定水準に抑えやすくなります。すべてのプランにキャップがあるわけではないため、切り替え前に上限価格・適用条件を個別に確認してください。

対策2:固定単価プランへの切り替え

JEPXスポット価格の日々の変動が直接反映されるリスクを回避する有力な方法です。固定単価プランでは、電力量料金単価が契約条件に基づいて決まるため、JEPXの日々の変動の影響を受けません。ただし、固定単価プランでも燃料費調整額は別途反映されるのが一般的です。特に自由料金メニューでは、燃料費調整の上限がないケースもあります。契約条件は必ず確認してください。 

切り替えには一定の期間がかかります。以下はおおよそのタイムラインです。

ステップ所要期間目安やること
現契約の確認1週間解約予告期間・違約金条項の確認
相見積もり取得2〜3週間複数社から見積もりを取得・比較
社内稟議・決裁2〜4週間現契約vs固定単価の年間差額試算・リスクシナリオ・切替スケジュールの3点を添えて稟議
申込・供給開始1〜2か月申込後、メーター対応・系統手続きを経て切替

注意: 現在の契約に「解約予告期間」が設定されている場合があります。高圧契約では解約の1〜3か月前までに通知が必要な場合があります。契約書を確認し、予告期間を逆算してスケジュールを立ててください。

<CTA追加>

対策3:デマンド管理・使用量削減

プランの切り替えには一定期間を要するため、その間にできる即効性のある対策です。

ピークカット:
デマンド値(30分間の平均電力の最大値)を下げることで基本料金の抑制を狙う

使用量の最適化:
空調の運転スケジュール見直し、照明の間引き運転、待機電力や共用部負荷の見直しなどで月間使用量を削減する。燃料費調整額の影響は使用量に比例するため、使用量を削減できれば、その上昇影響も同率で圧縮しやすい

本記事では短期〜中期で実行可能な対策に絞って解説しています。自家発電・太陽光PPAなど長期的な電源調達の多角化は別途検討してください。

担当者がよく聞く疑問

FAQ——担当者がよく聞く5つの疑問

Q1. ホルムズ海峡の事実的閉鎖で電気代への影響はいつから出る?

燃料費調整額は一般的に数か月のタイムラグを経て反映されます。2026年3月の燃料価格上昇は、一般論としては2026年夏以降の料金に波及しえます。一方、市場連動プランでは、JEPX価格上昇が比較的早く料金に反映される可能性がありますので、直近の価格変動に留意する必要があります。

Q2. 市場連動プランから固定単価プランに切り替えれば電気代は完全に安定するか?

JEPXスポット価格の日々の変動が直接反映されるリスクは回避できます。ただし、固定単価プランでも燃料費調整額は別途加算されるのが一般的です。「市場価格の急騰リスクを回避し、燃料費調整額の緩やかな変動のみに抑える」のが固定単価プランの効果です。

Q3. 今すぐ電力会社を切り替えられるか?

契約条件や手続き状況によります。高圧契約では、解約予告期間や社内決裁、切替手続きに時間がかかることが多く、「今日申し込んで即日切替」は一般的ではありません。まず現契約の解約条件を確認することが第一歩です。

Q4. 市場連動プランのまま様子を見るリスクは?

中東情勢悪化が長引き、さらに夏場の需要増が重なった場合、JEPX価格が上振れするリスクがあります。2021年1月には実際に極端な価格高騰が起きています。情報収集と見積もり取得だけでも先に進めておくほうが、選択肢を持ちやすくなります。

Q5. 市場連動プランの解約に違約金はかかるか?

契約内容によります。高圧契約では契約期間途中の解約に違約金が発生するケースがあります。違約金の有無と金額は契約書の「解約条項」で確認できます。年間の電気代上昇見込み額と違約金を比較し、「違約金を払ってでも切り替えたほうが年間コストが下がるか」を試算するのが判断基準です。

ホルムズ海峡封鎖が日本のエネルギーに影響する理由

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ重要な海上輸送路です。日本のエネルギー依存には二層構造があります。

原油: 輸入の約9割を中東に依存しており、ホルムズ海峡情勢の悪化は原油調達に直接影響しやすい構造です。資源エネルギー庁の「石油備蓄の現況」では、2026年1月末時点で国家・民間・産油国共同備蓄の合計は248日分です。短期的な供給緩衝材はあるものの、長期化すればコスト上昇の影響は避けにくくなります。 石油の基本や主な産出国、日本の輸入量・消費量の全体像は、関連記事「石油とは」で整理しています。

LNG: 調達先の多角化が進んでおり、ホルムズ海峡経由の輸入は全体の約6.3%にとどまります(2025年実績)。オーストラリア(約40%)、マレーシア(約15%)、ロシア(約9%)などが主要な調達先です。ただし、世界のLNG貿易の相当量がホルムズ海峡を通過するため、国際市場全体の需給ひっ迫を通じて日本の調達コストにも間接的に影響する可能性があります。

※参考:資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl001/pdf/2026/260317oil.pdf

まとめ——今日から取れる3つのアクション

ホルムズ海峡情勢の緊迫化による電気代への影響は、市場連動プランでは比較的早く、固定単価プランでも燃料費調整額を通じて数か月後に波及する可能性があります。「直ちに上がらない」は「影響がない」ではありません。今日からできることを3つ挙げます。

現状を把握する:
検針票で契約プラン名・月間使用量・現在の燃料費調整単価を確認する。市場連動プランか固定単価プランかを検討し特定する。

影響額を試算する:
本記事のモデルケース試算を参考に、自社の使用量で年間影響額を算出する。稟議資料として「現契約の年間電気代実績」「切替候補プランの見積額」「差額=年間削減見込み」の3点を整理する。

相見積もりを取得する:
複数の電力会社から固定単価プランや市場連動の上限付プランなどの見積もりを取得し、現契約と比較する。現在の契約先に固定単価プランや上限付きプランへの変更可否を問い合わせるのも有効です。

見積もり依頼時の準備物リスト:

  • 直近12か月分の請求書(月間使用量・最大需要電力の推移等)
  • 現在の契約電力会社名・メニュー名・契約残期間
  • 30分値データ(電力会社のマイページ等からダウンロード可能な場合)
  • 施設の稼働スケジュール(工場の場合はシフト表)

以下に当てはまる場合、早急な検討を推奨します。

  • 市場連動プランを契約しており、価格上限の有無が不明または未設定
  • 月間使用量が大きく、燃料費調整額の上昇が年間数十~百万円規模のインパクトになる
  • 現契約の更新時期が迫っている

まずは自社の検針票で月間使用量と契約プラン名を確認するところから始められます。電力調達の見直しは設備投資と異なり初期費用がかからないケースが多く、まずは情報収集から始めるのが合理的です。総務部・施設管理部門が窓口となり、見積もり依頼を進めてください。

伊藤忠エネクスでは、2010年から電力小売事業をスタートし16年の事業の歴史があります。2022年のウクライナ情勢を乗り越え、今では電力供給地点を20,000地点まで伸ばしており年々供給地点数を増やしております。

伊藤忠エネクスが提供する「TERASELでんき for Biz.」では、法人様の現在の料金プランを拝見した上で電力使用パターンに応じた料金プランをオーダーメイドで提案しています。現在の電力契約書と直近12か月分の検針票をお手元にご用意の上、お気軽にお問い合わせください。

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※掲載内容は2026年3月時点の情報です。最新の料金・制度については各関係機関にお問い合わせください。

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