【高圧電力】電力会社を乗り換えるデメリットとは? 後悔しないためのポイントを徹底解説

【高圧電力】電力会社を乗り換えるデメリットとは? 後悔しないためのポイントを徹底解説

電力の小売自由化が始まって以降、新電力と呼ばれる電力会社が次々と登場しています。電力会社を乗り換えるとさまざまなメリットがありますが、同時にデメリットもあります。乗り換えてから後悔しないために、事前にしっかりと把握しておきましょう。

本記事では、高圧電力で電力会社を乗り換えるデメリットやメリット、電力会社を乗り換える際に確認しておくべきポイントをご紹介します。電力会社を乗り換えようか検討中の企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事の内容は2025年11月時点の情報です

電力会社を乗り換えられる電力小売自由化とは?

電力小売自由化とは、2000年に始まった電気の小売事業制度の改革のことです。それまでの電力小売事業は、東京電力や関西電力などの大手電力会社の独占事業でした。電力小売自由化はこの仕組みを見直し、他の事業者の電力小売事業への参入を可能にする制度です。

電力小売自由化は2000年3月に特別高圧を対象に始まり、2004年4月・2005年4月に高圧、2016年4月に低圧と、段階的に行われました。現在では選べる電力会社の数は格段に増え、料金プランも複雑化しています。

自由化以降に新規参入した小売電気事業者は「新電力」と呼ばれています。新電力への乗り換えを検討する際は、メリットだけではなくデメリットも事前に把握することが重要です。

【高圧電力】電力会社を乗り換えるデメリット

高圧電力 電力会社を乗り換えるデメリット

高圧電力で電力会社を乗り換える際に考えられる、主なデメリットをご紹介します。

自社に適したプランを選ばないと電気料金が高くなる可能性がある

電力会社を乗り換える際、自社に適したプランを選ばなければ電気料金が高くなる可能性があります。

新電力の参入によって現在、日本には多くの小売電気事業者があり、それぞれが多様なプランを提供しています。プラン内容も複雑化している傾向にあるので、料金の内訳や計算方法、契約内容をしっかりと確認しないまま電力会社を乗り換えてしまうと、電気の使用状況によっては、電気料金が乗り換え前よりも高くなってしまう可能性もゼロではありません。

例えば、「JEPX(日本卸電力取引所)」の取引価格に応じて電力量料金単価が変動する市場連動型プランでは、市場価格が落ち着いているときは電力量料金が抑えられますが、高騰しているときは電力量料金も高くなってしまいます。

さらに「燃料費等調整額」や「電源調達調整費」といった名称で、独自の燃料費調整額(独自燃調)を上乗せしている電力会社もあり、基本料金や電力量料金が安くても、独自燃調によって電気料金が高額になってしまう場合もあります。燃料費調整単価は電力会社によって異なるので、高いか安いかを判断するには、大手電力会社の燃料費調整単価と比較してみるのがおすすめです。

事前に比較検討する手間がかかる

事前に比較検討する手間がかかることも、電力会社を乗り換えるデメリットといえるでしょう。

前述した通り、高圧電力を提供している電力会社は多数あり、それぞれプランが異なります。たとえプラン名が同じだったとしても、料金単価や契約内容は異なるので、しっかり確認しなければなりません。

また高圧電力の場合は基本的に、電力会社に見積もりを依頼して比較検討することになります。見積もりを依頼する際には、過去の使用電力量や電気料金などの情報が必要なので、あらかじめ準備しなければなりません。さらに、見積書のフォーマットは電力会社によって異なるので、電力に関する知識がないと、各社の見積もりを確認するのにも時間がかかってしまうかもしれません。 

自社に最適な電力会社を見つけるには、電気料金や契約内容の確認・比較検討に、一定の手間や時間がかかることを認識しておきましょう。

電力会社の対応が悪い可能性がある

電力会社の対応が悪い可能性があることも、電力会社を乗り換えるデメリットの1つです。

電力会社に限ったことではありませんが、担当者の対応の良し悪しは会社によって異なります。担当者の対応が悪ければ、後日何らかのトラブルが起きた際やプランの変更をしたいときなどに、適切な回答や対応をしてもらえない可能性もあります。

問い合わせの際に丁寧に対応してくれるか、メールなどの返信が早いか、アフターサポートが充実しているかなどをチェックして、信頼できる電力会社かどうかを確認しましょう。

解約時に違約金が発生することがある

解約時に違約金が発生する電力会社もあり、自由なタイミングで解約できないことがあるのもデメリットの1つといえます。

電力会社によっても異なりますが、高圧電力の契約では解約の申し入れ期間が決められているケースも多いです。そのため、契約後に「やっぱり他の電力会社にしたい」と乗り換えをすると、タイミングによっては違約金が発生してしまう恐れもあります。

契約をする前に、電気供給約款や電力受給契約書などに記載されている、契約期間や解約月、違約金・解約金の有無といった細かい契約内容を確認しておくことが大切です。

倒産・撤退のリスクがある

電力会社の乗り換えで新電力を選ぶ場合、倒産や撤退のリスクがあることも理解しておきましょう。

電力の小売自由化が開始されて以降、新電力は増加傾向にありました。しかし近年は、倒産する会社や電力小売事業から撤退する会社も増えてきています。株式会社帝国データバンクが2024年3月に行った『「新電力会社」事業撤退動向調査』によると、倒産・廃業もしくは事業撤退を行った新電力の数は、以下の通りです。

倒産・廃業をした企業数事業撤退をした企業数合計
2022年3月14社3社17社
2023年3月26社57社83社
2024年3月32社87社119社

2024年3月時点で倒産・廃業もしくは事業撤退を行った新電力の合計は119社でした。この数字は、2021年4月時点で登録されていた新電力の約2割を占めています。また2022年3月に実施した同調査と比較すると、倒産・廃業もしくは事業撤退を行った新電力は2年間で7倍にも増えており、2022年から右肩上がりに増加している状況です。

万が一、契約していた電力会社が倒産・事業撤退した場合は、供給停止日までに新たな電力会社との契約を締結する必要がありますが、供給停止日までに乗り換え先を見つけられない場合でも、電力供給が止まることはありません。新たな電力会社と契約するまで、各エリアの大手電力会社から電力の供給を受けられる「最終保障供給」という仕組みがあります。

ただし、最終保障供給の契約期間は原則1年以内である上に、大手電力会社の標準メニューよりも料金が割高に設定されています。また新たに契約する電力会社の電気料金や契約内容を比較検討するための手間や時間もかかってしまうので、電力会社を乗り換える際には、事前に企業や電力事業の安定性をチェックするようにしましょう。

※参考:PRTIMES.「新電力会社の撤退・倒産、2年で7倍 支払い負担増で約4割の企業が料金値上げ」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000840.000043465.html ,(2024-03-28).

【高圧電力】電力会社を乗り換えるメリット

電力会社を乗り換えると、もちろんメリットがあります。高圧電力で電力会社を乗り換えることで得られる主なメリットをご紹介します。

電気料金を削減できる

電力会社を乗り換える最も大きなメリットは、電気料金を削減できることです。

「自社に適したプランを選ばないと電気料金が高くなる恐れがある」と先述しましたが、反対に自社に適したプランを選ぶことができれば無理なく電気料金を削減できます。

新電力の中には、企業の電気の使用状況を踏まえて、個別にカスタマイズした料金プランを提案してくれる電気会社もあります。複数の電力会社に見積もりを依頼し、比較検討を重ねて、自社に合ったプランを選びましょう。

事務作業の効率化につながる

全国各地に事業所がある企業の場合、新電力への乗り換えで事務作業を効率化できる可能性があります。

大手電力会社の場合、基本的には供給エリアごとにそれぞれの電力会社と契約しなければなりません。全国各地に事業所を抱えている企業は、各電力会社の請求書をそれぞれ受領して確認することになり、事務作業に手間がかかってしまいます。

新電力の中には、エリアをまたいでの契約が可能な電力会社も多くあります。そういった電力会社を選べば請求書を一本化でき、支払先も1つにまとめられるので、事務作業の効率化につながり、担当者の負担を軽減できるでしょう。

環境に優しいプランを選べる

環境に優しいプランを選べることも、電力会社を乗り換えるメリットの1つです。

2015年12月にパリ協定が採択されて以降、世界各国で温室効果ガス排出量の削減を目指す取り組みが推進されています。日本も例外ではなく、CO2排出量削減に向けた取り組みを積極的に行っている企業も増えています。

電力会社の中には、環境負荷の少ない再生可能エネルギー電源で発電した電力を供給したり、環境価値を調達して「CO2排出量実質ゼロ」を実現したりするプランを提供しているところも多いです。電力会社を乗り換えて環境に配慮したプランを選べば、企業価値を高めることにもつながります。

電力会社を乗り換える際に確認しておくべきポイント

電力会社を取り換える際に確認しておくべきポイント

電力会社を乗り換えてから後悔しないために、事前に確認しておくべきポイントをご紹介します。

料金プランを確認

電力会社を乗り換える際は、料金プランを確認しましょう。

高圧電力の場合、料金プランには大きく分けて「固定単価プラン」と「市場連動型プラン」があります。固定単価プランは、あらかじめ契約によって電力量料金単価が定められているプランです。市場連動型プランは、JEPXの取引価格に応じて電力量料金単価が変動するプランです。

自社に適したプランを選ばないと電気料金が高くなる可能性がある」の見出しでも少し触れましたが、改めて固定単価プランと市場連動型プランのメリット・デメリットを整理してみましょう。

固定単価プランのメリット・デメリット

固定単価プランのメリット・デメリットは以下の通りです。

固定単価プランのメリット・電気料金の予測がしやすく予算管理がしやすい
・市場価格の変化に振り回されずに電力を使用できる
固定単価プランのデメリット・市場価格が下がっていても単価が変わらない
・電力会社によっては契約数を制限しており上限に達すると申し込めない

固定単価プランは先述した通り電力量料金単価が固定されているため、毎月の固定費を把握して予算管理をしたい企業や、電気の市場価格が高騰した際のリスクを負いたくない企業におすすめです。

一方で、市場価格が安くなっても単価は据え置きのため、コストを削減できる機会を逃す可能性もあります。市場価格に応じて電気料金が下がる方が良いと考える企業には、あまり向かないかもしれません。

また電力会社によっては、固定単価プランの契約数に上限を設けている場合があります。固定単価プランは電力会社側が市場価格の変動を吸収するので、契約数が多過ぎるとリスクも増えるためです。新電力を選定する際は、候補の電力会社が契約を受け付けているかどうかも併せて確認しましょう。

市場連動型プランのメリット・デメリット

市場連動型プランのメリット・デメリットは、以下の通りです。

市場連動型プランのメリット・市場価格が安ければ、その分電気料金も安くなる
・市場価格に応じて使用電力量を調整すれば、コストを削減できる
市場連動型プランのデメリット・市場価格が高騰した際の影響を直接受ける
・実際の電気料金を事前に把握できないため予算管理が難しい

市場連動型プランは市場価格に合わせて電気料金も変わるため、コストを削減する機会を持っておきたい企業におすすめです。

ただし、市場価格が高騰した場合にコストが高くなってしまうリスクがあります。2025年現在は固定単価プランに比べて、市場連動型プランの方が電気料金が安い傾向にありますが、世界情勢や気候の変化により状況が変わる点には注意が必要です。

また電気料金を事前に予想するのが難しいため、予算管理がしにくい点もデメリットといえます。

見積もりの総額を確認

電力会社を乗り換える際は、見積もりの総額を確認することも重要です。

デメリットでもご紹介した通り、電力会社の中には独自の燃料費調整額を設定しているところもあり、乗り換えたことでかえって電気料金の総額が高くなってしまったというケースもゼロではありません。

基本料金や電力量料金だけを比較するのではなく、必ず電気料金の総額を確認するようにしましょう。

違約金の有無を確認

違約金の有無を確認することも、電力会社選びでは欠かせません。

先述した通り、高圧電力の契約では契約期間や解約月が設定されているケースが多く見受けられます。契約期間内に解約すると高額な違約金が発生する電力会社を選ぶと、もしも他社でさらに安いプランを見つけたとしても、乗り換えが難しくなります。

契約期間や違約金に関する内容は、契約時に取り交わす「重要事項説明書」に記載されているのが一般的です。必ず契約前に詳細を確認しておきましょう。

Webサイトを確認

電力会社のWebサイトを確認することも、電力会社選びで押さえておきたいポイントの1つです。

Webサイトに各プランの内容や電気料金の内訳を掲載している電力会社も多くあります。高圧電力に関する知識が十分でない方でも、プラン内容や料金の内訳が理解できるように分かりやすく情報提供をしている電力会社なら、優良な事業者である可能性が高まります。

最終的には問い合わせをして、プランの詳細を確認し見積もりを依頼する必要がありますが、まずはWebサイトで適切な情報提供がされているかをチェックするのがおすすめです。

電力会社の安定性を確認

電力会社を乗り換える際は、電力会社の安定性を確認することも重要です。

万が一、契約している電力会社が倒産や事業撤退してしまうと、再び他の電力会社と契約を結び直さなければなりません。無駄な手間や時間をかけないためにも、乗り換えを検討している電力会社の事業が安定しているかどうかを確認しておきましょう。

以下のような特徴を持つ電力会社は、比較的安定していると考えられます。

  • 大規模なグループ会社に属している
  • 発電設備を保有している
  • 複数のエネルギー源から電力調達をしている
  • 電力小売事業以外にも多角的に事業を展開している
  • 大手電力会社とアライアンス提携を行っている
  • 発電所を保有していない電力会社の場合、他社から購入している電力とJEPXを介した取引のバランスが良い

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電力会社の乗り換えに関するよくある質問

ここからは、電力会社を乗り換える際によくある質問をご紹介します。

電力会社を乗り換えるタイミングはいつ?

電力会社は基本的にいつでも乗り換えられますが、そのタイミングとしてよく挙げられるのは、契約更新が近づいているときです。

契約期間中に電力会社を乗り換えると、違約金が発生する場合があります。契約更新のタイミングであれば余計なコストがかからなくて済むので、現在の契約の満了日や更新期間を確認の上、切り替え日を決定するようにしましょう。

電力会社の乗り換え時に工事は必要?

電力会社を乗り換えても、工事は不要であることが多いです。ただし、会社に設置されているのがアナログ式の電力メーターの場合は、スマートメーターに取り替える工事が必要になります。

スマートメーターとは使用電力量をリアルタイムで確認できるメーターで、交換自体は一般送配電事業者が無料で行います。しかし、交換のために別途工事が必要になると、その分の工事費用は自社で負担しなくてはなりません。

テナントビルなどに会社が入っている場合、ビルのメーターの形式を確認する必要がある他、オーナーによっては工事ができないケースもあるため、事前に確認しましょう。

新電力に乗り換えれば必ず安くなる?

新電力に乗り換えれば必ず電気料金が安くなるとは限りません。先述のように新電力には多くの料金プランが用意されており、自社に合わないプランを選ぶとかえって電気料金が高くなる可能性もあります。

例えば自社の電気の使用状況と料金の仕組みが合っていないと、割高の電気料金を支払わなければならなくなるケースがあります。

乗り換えを検討する際は、自社の使用電力量やピークとなる時間帯などを踏まえて、複数の電力会社を比較検討することが大切です。

新電力に乗り換えると停電しやすくなる?

新電力に乗り換えても、停電しやすくなることはありません。新電力に乗り換えて変わるのは小売電気事業者のみであり、電気の供給は今まで通り地域の一般送配電事業者が担うため、停電の起こりやすさは変わりません。

また災害や事故により停電が発生した際の復旧作業、供給が再開されるタイミングも今まで通りです。新電力に乗り換えると不利になるといったことはないといえます。

まとめ

電力会社を乗り換えると、電気料金を抑えられたり事務作業の効率化ができたりと、さまざまなメリットがあります。しかし、契約する電力会社をしっかり比較検討しないと逆に電気料金が高くなったり、契約をした電力会社が倒産や事業撤退をしたりする可能性もゼロではありません。本記事でご紹介した確認しておくべきポイントを参考に、電力会社を乗り換える際には複数社を比較検討して、自社に適した電力会社を選ぶようにしましょう。

伊藤忠エネクスが提供するTERASELでんきforBizでは、各社の電力使用状況やニーズに合った料金プランをオーダーメイドでご提案します。電力由来のCO2排出量を削減できる環境価値オプションなどもあるので、高圧電力で電力会社の乗り換えを検討している場合は、お気軽にお問い合わせください。

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