マンションやオフィスビル、商業施設などの電気料金を節約したいと考えているのなら、エレベーターの電気代を見直してみるとよいかもしれません。毎日利用されるエレベーターには、思っているよりも電気代がかかっている可能性があります。
本記事では、エレベーターの種類や電気代の目安、エレベーターの電気代を節約するポイントなどを解説します。所有・管理している建物の電気料金の高さにお悩みの場合は、ぜひ参考にしてみてください。
※2024年12月時点の情報です
まずはエレベーターにどのような種類があるのかを見ていきましょう。
ロープ式のエレベーターは、ワイヤーロープを使用してかごを昇降させる仕組みで、日本では主流のエレベーターです。比較的音が静かで、エレベーターの中では電気代を抑えやすい傾向にあります。
ロープ式は「トラクション式」と「巻胴式」の2種類に分けられます。
トラクション式は、ロープでつながったかごと重りでバランスを取るタイプのエレベーターです。機械室のあり・なしで特徴が異なります。
巻胴式は、ロープを巻胴(ドラム)で巻き上げて、ロープとつながったかごを昇降させるタイプのエレベーターです。シンプルな構造で、スペースが確保できない場合や小規模のマンション・ビルに適しています。
油圧式は電動ポンプを使って油圧をコントロールし、圧力によってかごを昇降させる仕組みのエレベーターです。シンプルな構造で場所も取らないため、狭いスペースにエレベーターを設置したい場合や、重量のあるものを運ぶ機会が多い場合に適しています。
油圧式は駆動方式によって「直接式」「間接式」「パンタグラフ式」の3種類に分けられます。
直接式は、油圧シリンダーにかごが直接取り付けられているタイプのエレベーターです。
油圧でシリンダー内にあるピストンを動かすことで、ピストンに固定された棒の力を利用して、かごを昇降させます。積載量が多い場合に適した方式です。
間接式は、ロープや鎖を使って油圧シリンダーの動力をかごに伝え、かごを昇降させるタイプのエレベーターです。直接式より構造が複雑になりますが、比較的音が静かで、スペースも節約しやすい傾向にあります。
パンタグラフ式は、油圧ジャッキとアームを使って、アームの先端に設置されたかごを昇降させるタイプのエレベーターです。手が届かないときに使う伸縮器具・マジックハンドに似た構造で、曲線的な経路にもエレベーターを設置できます。
リニアモーター式は、モーターの回転を直線運動に変換するリニアモーターを使って、かごを昇降させる仕組みのエレベーターです。次世代型エレベーターとして研究が進められており、一部はすでに実用化されています。
水圧式は、文字通り水圧を使ってかごを昇降させる仕組みのエレベーターです。油圧式と異なり、油特有の臭いや引火による火災のリスクを軽減できます。水圧式は消防法で危険物に該当しないので、防火設備も必要ありません。スペースを取らずに利用できるので、低層の建物を中心に導入されています。
エレベーターの消費電力は、エレベーターの種類やサイズ、メーカーなどによって異なります。エレべーターの消費電力が上がりやすいのは、以下のようなシーンです。
エレベーターの電気代は、昇降の速度や積載量などによって変動しますが、1日当たりの目安は以下の計算式で求めることができます。
エレベーターの電気代の目安を、ロープ式の三菱「AXIEZ-LINKs」と日立「アーバンエースHF Plus」を例に見ていきましょう。
ここでは1kWh当たりの電気料金を、31円(全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している目安単価)と仮定して計算します。なお、本記事でご紹介するのはあくまで目安であり、前述した通り、エレベーターの種類やサイズ、メーカー、また契約している電力会社などによって電気代は変動します。
※ 参考:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会.「よくある質問 Q&A」.https://www.eftc.or.jp/qa/ ,(2024-09-29).
以下の条件での三菱「AXIEZ-LINKs」の、電気代の目安をご紹介します。
【電気代の目安】
※参考:MITSUBISHI ELECTRIC.「三菱機械室レス・エレベーター AXIEZ-LINKs」.https://www.mitsubishielectric.co.jp/elevator/catalog/pdf/c-c01-0-ca539.pdf ,(2024-09-29).
以下の条件での日立「アーバンエースHF Plus」の、電気代の目安をご紹介します。
【電気代の目安】
※ 参考:HITACHI.「日立標準型エレベーター アーバンエースHF Plus」.https://www.hbs.co.jp/products/elevator/new/standard/ua/pdf/catalog.pdf ,(2024-09-29).
エレベーターの電気代を節約する4つのポイントをご紹介します。
エレベーターの電気代を節約するには、省エネ性能の高いエレベーターの導入を検討してみましょう。
多くのメーカーが、省エネ性能の高いエレベーターを開発・販売しています。省エネ性能が高いとその分消費電力を抑えられるため、電気代を節約しやすいです。例えば、照明や制御機器などの待機電力を極力抑えられるタイプのエレベーターにする、油圧式ではなくロープ式のエレベータにするといった選択肢を検討してみましょう。
エレベーターの待機場所を変えることも、電気代の節約につながります。
エレベーターは利用されていない間、決まった階で待機しています。常に最下階で待機しているよりも、中間の階で待機している方が移動距離が短くなりやすいため、消費電力を抑えやすいです。
利用時間によってエレベーターの稼働を調整することも、電気代を節約するポイントです。
エレベーターは稼働時間が長くなるほど電力を消費するため、稼働時間の調節によって消費電力を抑えれば、電気代の削減につながります。例えばオフィスビルの場合、出勤時間・昼休憩・退勤時間がエレベーターの稼働のピークとなり、夜間は稼働率が下がります。稼働率が低い時間帯に一部のエレベーターを停止すれば、消費電力を抑えられるでしょう。
電力会社を変更するのも一つの方法です。電力自由化に伴って多くの新電力が登場し、電気料金を安く設定している会社や、省エネに特化したプランを提供している会社、時間帯によって電力量料金が変動するプランを提供している会社もあります。各電力会社のプランを比較検討し、自社に合ったものに変更することで、電気料金の削減につながるでしょう。
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