電力のピークカット・ピークシフトとは? コツを理解して高圧の電気料金を効率的に削減!
2024年は4月から容量拠出金制度の開始や託送料金の変更などが続き、電力会社から電気料金値上げのお知らせが届いた企業も少なくないでしょう。2024年8月〜10月には政府主導で電気料金・ガス料金の補助金事業(酷暑乗り切り緊急支援)が行われたため、電力需要の高まる夏季は使用電力量に応じた料金の値下げを受けられました。冬季も再び政府の補助金制度の実施が決定したものの、今後どのくらい電気料金が値上がりする可能性があるのか、ある程度見通しを立てておきたいものです。
本記事では、2025年の電気料金や電力会社の動向、電気料金の値上がりが続く要因を詳しく解説します。値上げへの対策も併せてご紹介しますので、自社が取り組めるものがあればぜひ検討してみてください。
※本記事の内容は2024年12月時点の情報です
2025年の電気料金は値上がりが続いた2024年とは異なり、おそらく横ばい、もしくは再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の値上げによる緩やかな上昇推移になると予想されます。2024年に一部の電力会社で電気料金が値上がりした要因の一つである容量拠出金については、おそらくほとんど影響がないか、あったとしてもやはり一部の電力会社のみに限定されるでしょう。
そもそも容量拠出金とは、容量市場において小売電気事業者・一般送配電事業者・配電事業者が負担する費用のことです。容量市場とは、4年後に供給可能な電力容量をオークション形式で取引し、将来必要な電力供給力を確保する制度で、最初のオークションは2020年4月に行われました。実際の取引は4年後の2024年4月に始まり、容量拠出金の負担もこの時からスタートしています。
2024年は、オークションの約定価格が1万4,000円台(/kW)と高額だったため容量拠出金を電気料金に転嫁する電力会社も見られましたが、2025年分の約定価格は3,500円~5,000円(/kW)程度なので、料金の値上げを行う電力会社は少ないのではないかと予想されます。
しかし、東京ガス株式会社は容量市場が始まったことを理由に、2025年2月利用分から一部の料金メニューで値上げを実施すると発表しました。他の電力会社でも同様の動きがある可能性はゼロではないため、契約している電力会社の動向をしっかりチェックしておきましょう。
※参考:電力広域的運営推進機関.「容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2024年度)」.https://www.occto.or.jp/market-board/market/oshirase/2020/files/200914_mainauction_youryouyakujokekka_kouhyou_jitsujukyu2024.pdf,(2024-11-28).
※参考:電力広域的運営推進機関.「容量市場メインオークション約定結果(対象実需給年度:2025年度)」.https://www.occto.or.jp/market-board/market/oshirase/2021/files/220119_mainauction_keiyakukekka_saikouhyou_jitsujukyu2025.pdf,(2024-11-28).
ここでは、2025年の電気料金にまつわるトピックスのうち、現時点で分かっているものをご紹介します。どのタイミングで値上がり・値下がりをするのか、どのくらいの影響があるのかをしっかり確認しておきましょう。
2024年11月22日に閣議決定された総合経済対策に基づき、2025年1月〜3月まで電気料金・ガス料金の補助金事業(電気・ガス料金負担軽減支援事業)を再開することが決まりました。これにより、2025年1月使用分から3月使用分まで、電気料金が値下がりする見込みです。補助金が再開された背景には、2021年から続く物価高や暖房などによって冬の使用電力量の増加が見込まれることが挙げられます。
適用される値引き単価は、以下の通りです。
補助の適用期間 | 対象の電力契約区分 | 税込値引き単価 |
2025年1月・2月使用分 | 低圧電力 | 2.5円/kWh |
高圧電力 | 1.3円/kWh | |
2025年3月使用分 | 低圧電力 | 1.3円/kWh |
高圧電力 | 0.7円/kWh |
政府は11月25日から補助金に参加する小売電気事業者の募集を開始したため、現時点ではどの電力会社が参加するかは未定です。詳細は、経済産業省の電気・ガス料金支援に関するWebサイトをチェックしてみてください。
※参考:内閣府.「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策 ~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」.https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2024/1122_taisaku.pdf ,(2024-11-28).
※参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「令和6年度「電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金」に係る補助事業者募集要領」.https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2024/data/1125_01_01.pdf ,(2024-11-28).
先述した政府の補助金が終了するため、2025年4月使用分からは再び電気料金の値上がりが予想されます。
気象庁の向こう3カ月の天候の見通しによると、2024年12月〜2025年2月の気温は全国的にほぼ平年並みとのことです。まだ2025年4月の天候の見通しは出ていませんが、もしも寒さが続くようなら電力需要が高まる可能性は十分にあります。それに伴って電気料金の値上がりも起こり得るので、早めに節電対策を検討しておきましょう。
※参考:気象庁.「向こう3か月の天候の見通し 全国 (12月~2月)」.https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?term=P3M ,(2024-11-28).
毎年4月は、再エネ賦課金の新しい単価が適用される月でもあります。再エネ賦課金とは、FIT制度で太陽光や風力といった再生可能エネルギーを用いて発電された電気を電力会社が買い取る際にかかる費用をまかなうために、国民全員が負担するお金のことです。この再エネ賦課金は、当該年度の開始前に経済産業大臣が設定する「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価(再エネ賦課金単価)」を用いて算出します。
ここ5年間の再エネ賦課金単価は、以下のように推移しています。
年度 | 再エネ賦課金単価 |
2020年度 | 2.98円/kWh |
2021年度 | 3.36円/kWh |
2022年度 | 3.45円/kWh |
2023年度 | 1.40円/kWh |
2024年度 | 3.49円/kWh |
2023年度は、制度開始以来、初の引き下げとなりました。その理由は2022年の燃料価格の高騰です。両者の関係を解説する前に、再エネ賦課金単価の算定方法を見てみましょう。
ポイントとなるのは、回避可能費用等です。回避可能費用とは、電力会社がFIT制度に基づいて再生可能エネルギー由来の電力を買い取ることで想定よりも発電量が減り、その結果免れる支出のことです。回避可能費用の算定には、過去の日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格を用います。2023年度の回避可能費用は、ロシアのウクライナ侵攻によって燃料価格が高騰し、それに合わせて値上がりした2022年の市場価格を踏まえて算定されました。そのため、他の年度と比べて回遊可能費用が大きく膨らみ、結果的に再エネ賦課金単価が引き下げられたと考えられます。
2024年は市場価格の大きな変動は見られなかったため、2025年度の単価は値上がりすると予想されます。
※参考:経済産業省.「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します」.https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230324004/20230324004.html ,(2024-11-28).
2025年の電気料金の見通しを立てるには、どのような要因で電気料金が値上がりするのかを把握しておくことも重要です。ここでは、電気料金の高騰に直結しやすい代表的な要因を3つご紹介します。
石油やLNG、石炭といった化石燃料の調達価格は、燃料費調整額として電気料金に反映されています。そのため、燃料価格が値上がりすると電気料金が高くなりやすいです。
燃料価格は、2020年の世界的なLNG在庫不足やロシアによるウクライナ侵攻による燃料供給バランスの崩壊などによって高騰し、2023年後半から徐々に落ち着きはじめています。2024年12月時点の大手電力会社のLNG在庫を見てみると、過去5年間の平均と同じくらいの水準を維持しているため、在庫量の逼迫による電気料金の高騰リスクは低いでしょう。
これらの状況を踏まえると、2025年も大きな変化はなくほぼ横ばいか緩やかな値上がりが続く見込みです。ただし、ロシアによるウクライナ侵攻の状況や中東を巡る地政学リスクの影響は、引き続き注視する必要があるでしょう。
※参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「今夏の電力需給及び今冬以降の需給見通し・運用について」.https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/082_04_00.pdf ,(2024-11-28).
※参考:経済産業省 電力・ガス基本政策小委員会.「発電用LNGの在庫状況」.https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electricity_measures/pdf/denryoku_LNG_stock.pdf ,(2024-12-05).
国内の電力需給バランスが崩れることも、電気料金の値上げに直結します。2020年12月から2021年1月に起こった電力の逼迫がよい例です。
事の発端は、予測に反した強い寒波の到来により、電力需要が増加したことです。需要に応えるために、国内の火力発電所は稼働を増やしましたが、トラブルにより石炭火力発電所が相次いで停止。またLNG火力発電所は在庫逼迫により稼働制限がかかり、電力は常に売り切れの状態となってしまったのです。このように電力需要に対して供給が追い付かない状況になると、電気料金、特に市場価格が値上がりします。
政府はこのときの反省を踏まえ、電力広域機関や発電事業者らに情報共有の徹底を求め、電力の供給力確保と安定的な供給体制づくりを検討しています。2024年12月から2025年2月にかけては、電力需要に対してどの程度供給量の余裕があるかを示す最大予備率が10%以上確保できていることから、国内で供給力が低下する可能性は低く、電気料金への影響は少ない予想です。
※参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「2020年度冬期の電力需給ひっ迫・市場価格高騰に係る検証 中間取りまとめ 」.https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210616003/20210616003-3.pdf ,(2024-11-28).
原子力発電は火力発電と同様に発電量を調整しやすいため、電力の需給状況に合わせて柔軟な稼働ができる電源の一つです。かつては日本の年間発電量の25〜35%を占めていましたが、2011年に東日本大震災が起きて以降、その割合は一桁台まで減りました。原子力発電の代わりに燃料費がかさむ火力発電の割合が増えたことも、電気料金の値上がりが続く要因の一つです。
2024年11月15日に宮城県にある女川原子力発電所2号機が再稼働を果たし、ようやく東日本でも原発稼働が始まったものの、全国で再稼働に至っている原発はいまだに2割程度です。また稼働状況も東西の格差が大きく、西日本よりも東日本の方が火力発電への依存度が高いため、電気料金の水準も相対的に高くなっています。
2025年は、島根原子力発電所2号機や柏崎刈谷原子力発電所の6・7号機の再稼働が見込まれており、再稼働の割合が増えていくことが期待できます。
※参考:電気事業連合会.「発電設備と発電電力量」.https://www.fepc.or.jp/smp/nuclear/state/setsubi/index.html ,(2024-11-28).
※参考:電気事業連合会.「日本の原子力発電所 稼働状況一覧」.https://www.fepc.or.jp/sp/re-operation/ ,(2024-11-28).
先述の通り、電気料金は今後もさまざまな要因で値上がりする可能性があります。そのため、実際に電気料金が値上がりしてから対策を講じるよりも、あらかじめ電気料金を削減する方法を社内で検討しておくのが望ましいです。
ここでは、すぐに取り組める対策を中心にご紹介します。
2016年に電力の小売全面自由化以降、さまざまな電力会社や料金プランが登場し、選択の幅は広がっています。そのため現在の契約内容を見直し、自社の電力使用状況に合った電力会社や料金プランに切り替えるだけで電気料金を削減できる可能性があります。
電気料金の明細書や使用状況が分かる資料を用意できたら、複数の電力会社に見積もりを依頼し、削減の見込みがあるかどうか確認してみましょう。どのように電力会社を比較したらよいか迷ってしまう場合は、以下の3つのポイントを参考にしてみてください。
一つ目のポイントは、電力会社の安定性です。電力会社によっては、燃料価格や電力市場価格の高騰を理由に事業から撤退・倒産してしまうリスクもゼロではありません。契約が続けられない状況になってしまったら、急いで別の電力会社を探したり最終保障供給制度を利用したりする必要があります。手間がかかるのはもちろん、自社に適した電力会社をじっくり選べないまま割高な料金プランで契約することになってしまったり、標準的なメニューよりも高い料金設定の最終保障供給契約を結ばなければならなくなってしまったりして、電気料金の削減どころかむしろ増加してしまう恐れもあります。
電力会社の安定性を確認するなら、以下の条件を満たしているかどうかをチェックしてみましょう。
二つ目のポイントは電気料金の構成です。電気料金の削減となると、各社の見積もりのうち、電気料金の合計を見て一番安いところを選ぼうとする方が多いでしょう。しかし、電気料金の内訳は電力会社によって異なるため、どのような構成で料金が決まるのかをきちんと確認することが大切です。
特にしっかりと比較したいのは、以下の3項目です。
項目名 | 比較したい理由 |
基本料金 | ・電力会社によって基本料金単価が異なる |
電力量料金 | ・電力会社によって電力量料金単価が異なる ・電力会社によっては燃料費(等)調整額を本項目に含めているケースがある |
燃料費(等)調整額 | ・電力会社によっては、本項目に市場価格調整額や離島ユニバーサル料金といった独自の項目を含めているケースがある |
これらの内容を契約前にチェックしておかないと、社会情勢の変化や異常気象の影響で、電気料金が想定以上に高くなってしまう可能性があるため、注意しましょう。
三つ目のポイントは料金プランと電力の使用状況・ニーズがマッチしているかどうかです。
料金プランには、大きく分けて固定単価プランと市場連動型プランの2つがあります。それぞれのメリットとデメリットは以下の通りです。
概要 | メリット | デメリット | |
固定単価プラン | 電力量料金単価があらかじめ契約で定められているプラン | ・市場価格の変動の影響を受けにくい ・1カ月当たりの使用電力量がおおよそ一定であれば、月々の電気料金が大きく変わることがないので、先の見通しが立てやすい | 市場価格が高騰した場合の差額を電力会社が背負うと、事業の撤退・倒産リスクが高まり、電力会社の乗り換えを余儀なくされる可能性もある |
市場連動型プラン | 日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に合わせて、30分ごとに電力量料金単価が変動するプラン | 市場価格が安価な時に電気を使えば、電力量料金を削減できる | 市場価格が高騰すると、電気料金も値上がりしてしまうので大きな金額の負担を強いられるリスクがある |
それぞれの特徴を踏まえて、自社に適したプランを選択しましょう。
伊藤忠エネクスが展開する法人向け電力供給サービス「TERASELでんきforBiz」は、企業の電力使用状況やニーズに合わせたオーダーメイドプランで電力を提供しています。60年以上の歴史を持つエネルギー総合商社のノウハウを生かして、電気料金の削減に貢献します。
伊藤忠グループ全体で19カ所の発電所を保有しており、電力会社としての安定性が高いのも魅力の一つです。また企業のニーズに合わせて必要な分の環境価値の調達も行えるので、再エネ化や電力由来のCO2排出量の削減はもちろん、RE100や温対法にも対応できます。
電力会社の乗り換えや料金プランの変更を検討している企業は、ぜひ伊藤忠エネクスにご相談ください。
積極的に節電を行えば使用電力量が減るため、目に見えて電気料金の値下がりを実感できます。具体的な対策は小規模なものから大規模なものまで幅広くあるので、自社で行いやすいものから徐々に取り組んでいきましょう。
特に空調と照明は、電力消費に占める割合の合計値が6〜7割を超えるため、優先的に着手するのがおすすめです。
※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「冬季の省エネ・節電メニュー」.https://www.meti.go.jp/press/2023/10/20231031006/20231031006-5.pdf ,(2024-11-28).
省エネ機器と聞くとLED照明などが思い浮かびますが、空調や給湯器、冷凍冷蔵設備、モーターなども、最新の機器は効率が大幅に向上しているため、機器を入れ替えるだけで節電になります。
設備の導入や入れ替えにコストはかかるものの、国や自治体が行っている補助金を活用すれば、自社の金銭的な負担を減らせます。節電に成功すれば電気料金を削減できるので、早期に投資回収ができるでしょう。
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導入コストを抑えたい企業や、既存の設備をまとめて省エネ機器に入れ替えたい企業におすすめです。
省エネルギー商材斡旋サービス
03-4233-8041 平日9:00〜17:30デマンドレスポンスとは、電力の供給状況に応じて需要家が電気の使用量を増やしたり節電をしたりする取り組みです。企業が契約している電力会社がデマンドレスポンスを実施していれば、要請があった際に対応するだけで調整した電力量に応じたインセンティブ(報酬)を受け取ることができます。インセンティブの内容は電力会社によって異なりますが、電気料金の割引が多いです。
節電要請に応えて自社の使用電力量を減らせば、電力量料金が値下がりし、かつインセンティブも受け取れるので電気料金の削減効果が高いです。
デマンドレスポンスへ対応するには、電力の使用状況を見える化する体制を整えることが重要です。最近は30分ごとの電力使用状況をWebサイトで確認できる電力会社もあるので、そのようなサービスがないか確認してみてください。
伊藤忠エネクスでは、夏と冬に「節電プログラム」と称したデマンドレスポンスを実施しています。伊藤忠エネクスと電気需給契約を締結している企業は、伊藤忠エネクスのWebサイトのマイページからプログラムへの登録を行えば無料で参加できます。節電をしてほしい日の前日の17時までにメールが届くので、指定された時間に節電を行ってください。万が一、節電目標に届かなくてもペナルティはありません。
2024年12月から2025年2月まで行われる冬の節電プログラムでは、対象の時間帯に節電達成すると10円/kWhを電気料金から割り引く特典を受けられます。使用電力量などにもよりますが、伊藤忠エネクスの達成シミュレーションによると、得られる電気料金の削減効果は数十万円にもなります。使用電力量の多い企業であれば、特典による電気料金の削減効果も大きいため、節電要請が来たら積極的に取り組みましょう。
2024年冬の概要については、こちらのWebサイトをご確認ください。
高圧電力や特別高圧電力は、基本料金と電力量料金(燃料費調整額含む)、再生可能エネルギー発電促進賦課金の3つの合計で電気料金を算出します。基本料金は電気の使用量に関係なく毎月発生するので、基本料金を下げられればその分の電気料金を継続的に削減できます。
基本料金を下げるには、契約電力の仕組みを理解することが大切です。契約電力とは、一度に使用できる電力の上限を指し、30分ごとの使用電力の平均値のうち1カ月の中で最も大きい値(最大需要電力)によって決まります。高圧電力は500kW未満であれば実量制となり、当月を含めた過去12カ月のうち、最も値の大きい最大需要電力に基づいて契約電力が決まります。一方、500kW以上であれば協議制となり、最大需要電力や使用する設備(受電設備含む)、同業種の負荷率といった要素を基に契約電力が決まります。細かい決め方の違いはありますが、どちらも最大需要電力が基本料金を下げる大きな要素となります。
具体的な方法としては、最も使用電力の多い時間に設備を停止したり電源を切ったりして消費電力を減らすピークカットや、使用電力の少ない夜や朝に設備の稼働時間を移動し、ピーク時の消費電力を分散させるピークシフトなどがあります。小規模なものならすぐに取り組めますが、企業活動に影響が出てしまう懸念があるなら蓄電池を活用して買電量を減らしたり、デマンドコントローラーやデマンド監視装置を導入して、最大需要電力の見える化と制御体制を整えるのもよいでしょう。
ピークカットやピークシフトについては以下の記事でより詳しくご紹介しているので、併せてご覧ください。
伊藤忠エネクスでは、デマンドコントローラー「Ai-Glies」をご提案しています。Ai-Gliesは空調設備に特化しており、室外機に設置した制御器が外気温に合わせて出力制御を行うため、デマンド値の上昇を抑えつつ快適な室内環境を保つことが可能です。
制御器はソーラー給電に対応しているので、配線工事の必要がなく低コストで導入することが可能です。デマンドコントローラーにご興味のある企業は、お気軽にお問い合わせください。
デマンドコントローラーに関するお問い合わせ
03-4233-8041 平日9:00〜17:30太陽光発電システムを導入して作った電気を自家消費すれば、使用電力量はそのままに電力会社から購入する電力量を減らせるので、電気料金を削減することが可能です。ただし、太陽光発電システムを自己投資で設置するには数百万円〜数千万円程度の初期費用がかかるため、導入費用やランニングコストと電気料金の削減効果を照らし合わせて、投資回収の見込みを立てられるか試算してみましょう。
太陽光発電システムに興味はあるものの初期費用がネックで導入に踏み切れないという企業は、PPAモデルやリースといった方法がおすすめです。PPAモデルとは、一般的に企業の所有する建物の屋根や屋上、敷地内の遊休地にPPA事業者が無償で太陽光発電システムを設置する方法で、作った電気をPPA事業者から買い取ります。電力会社から買電するよりもPPA事業者へ支払う金額が安ければ、利用するメリットは十分あるでしょう。ただし、設備の利用料やメンテナンス費が月々の料金に上乗せされるケースもあるので、見積もり時に確認してください。
リースとは、太陽光発電システムを事業者から借りて自社の敷地内に設置する方法で、作った電気は自家消費できる他、余剰電力で売電収入を得ることもできます。電力会社から買電するよりも月々のリース料金が安ければ、電気料金を削減できるでしょう。ただし、リース契約は一般的に10年前後と比較的長く、中途解約の際は残リース料を一括で支払わなければならないケースもあるので、利用前に必ず確認してください。
伊藤忠エネクスが提供するTERASELソーラーは、初期費用なしで自家消費型の太陽光発電システムを導入できるサービスです。支払方法は、定額のエネルギーサービス料をお支払いいただく「エネルギーサービス」と、自家消費した電気量×固定単価をお支払いいただく従量払いの「PPA」の2つから選べます。リースとPPAモデルのどちらが自社に適しているかお悩みの企業の方は、両方のスキームを比較・検討してみましょう。
法人向け電力販売サービス「TERASELでんきforBiz」と併せてご契約いただければ、使用電力を100%再生可能エネルギーにすることも可能です。電気料金の削減と企業の脱炭素化の両方を実現したい企業は、ぜひ伊藤忠エネクスにご相談ください。
TERASELソーラー(自家消費型太陽光発電システム)
03-4233-8041 平日9:00〜17:302025年の電気料金の動きは、横ばいもしくは緩やかな値上がりとなる見通しです。しかし、異常気象や地政学リスクによって急激な電気料金の値上がりや電力会社の事業撤退・倒産が起こるリスクもゼロではありません。燃料価格の推移や国内の火力・原子力発電所の動向を注視して、電気料金が値上がりする要因に変化がないか常にアンテナを張っておきましょう。
伊藤忠エネクスでは、法人向けの電力供給サービス「TERASELでんきforBiz」をはじめ、さまざまなエネルギーソリューションを提供しています。本記事でご紹介したように、一口に電気料金の削減と言っても企業に適した対策はさまざまです。使用電力量や設備が稼働している時間帯、再エネ化や脱炭素化に向けた企業のニーズなどを加味した上で、各社に適した対応策をご提案するので、ぜひ伊藤忠エネクスへご相談ください。
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