【太陽光発電の6つの優遇措置とは?】設備投資減税による優遇措置を解説

【太陽光発電の6つの優遇措置とは?】設備投資減税による優遇措置を解説

伊藤忠エネクス メディア編集部

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太陽光発電は、クリーンなエネルギーを生み出す設備として注目されています。発電した電力を売却したり、自社で利用したりすることを目的として、太陽光発電設備を導入する企業はここ数年で増えてきました。

「太陽光発電を開始する際に活用できる優遇措置」と「導入を支援してくれる事業や制度」も合わせて紹介しますので、太陽光発電設備の設置を検討している企業の皆様は、ぜひ参考にしてください。

太陽光発電に関する6種類の優遇措置・支援制度を詳しく解説

太陽光発電に関する6種類の節税方法・支援制度を詳しく解説

太陽光発電の税制優遇を受けるには、「免税事業者として消費税納付の免除を受ける」、「中小企業経営強化税制を利用する」といった方法が挙げられます。

「環境エネルギー対策資金」や「環境リスク調査融資促進利子補給事業」などの導入支援制度も上手に活用すれば企業の負担を減らすことにもつながります。

1.免税事業者として消費税納付の免除を受ける

免税事業者として消費税納付の免除を受けることは、太陽光発電に関する優遇方法の1つです。

免税事業者とは
免税事業者とは、消費税の計算における基準期間の中で、課税売上高が1,000万円未満の事業者のことです。主に中小企業や個人事業主が免税事業者に該当するでしょう。

自社が免税事業者に該当する場合、商品やサービスを販売したときに受け取った消費税を納める必要はありません。

そのため太陽光パネルにより発電した電力を売却する際も売却先から料金と一緒に受け取った消費税を納めなくて済みます。

課税事業者も消費税の還付を受けることが可能です。課税事業者になると、「支払った消費税」と「受け取った消費税」の差額を納付する義務が発生します。

簡略化した例で考えると、太陽光パネルの設置に2,000万円(消費税200万円)かかり、電力売却により200万円(消費税20万円)の売上があった場合、差額の180万円の消費税を納める必要があります。ただし、仕入れにかかる消費税(200万円)が、売上にかかる消費税(20万円)を上回っているため、納付した消費税の還付が可能です。ただし、消費税の還付を受けられるのは導入の初年度だけになります。

いったん課税事業者になると、3年間は免税事業者に戻ることができません。どちらの形態が自社にとって有益かきちんと見極めてから変更の申請を行いましょう。

2.中小企業経営強化税制を利用する

中小企業経営強化税制とは
中小企業経営強化税制とは、中小企業が設備投資を行ったときに、費用の即時償却や税額控除といった優遇措置を受けられる制度です。

対象の太陽光発電設備は、発電した電力をすべて自社で消費する自家消費型と、50%以上の電力を自社で消費して一部を売却する余剰売電型です。自家消費率50%未満の余剰売電型や投資用の太陽光発電設備は、対象外になってしまうので注意しましょう。

太陽光発電設備を導入したら、即時償却もしくは税額控除の優遇措置を受けることができます。

即時償却とは、導入費用の全額をその年の経費として計上することです。一般的に設備投資にかかった費用は、耐用年数に応じて減価償却をする必要があり、数年に分けて経費計上します。

即時償却を行うと経費をまとめて計上できるため、設備導入の初年度に支払う税金を大幅に減額できます。支払う税金を減らして、他の設備投資を行いたい場合などは、即時償却を選ぶと良いでしょう。

税額控除は、支払う法人税額を減額できる制度です。資本金が3,000万円未満の企業の場合は10%、資本金が3,000万円以上1億円以下の企業の場合は7%の税額控除を受けられます。

例えば、資本金5,000万円の企業が1,000万円の太陽光発電設備を導入した場合、7%の70万円を法人税額から減額できます。ただし、税額控除の上限は、その年の法人税額の20%までなので注意しましょう。

中小企業経営強化税制による優遇措置を利用するためには、2025年3月31日までに担当省庁から計画認定を受けなければなりません。この期限は申請完了だけではなく、認定を受けるところまで行う必要があります。

太陽光発電設備の計画や工事には時間がかかるので、うまくスケジュールを立てて事業を進めることが大切です。

本制度は随時延長されてきた背景が存在し、2025年以降も引き続き優遇措置を受けられる可能性はあります。経済産業省が制度内容や期間延長に関する情報を発信しているので、利用を検討している企業は定期的にチェックしておきましょう。(※)

※参考:経済産業省「令和5年度税制改正に関する経済産業省要望」
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2023/pdf/07.pdf(参照2023-1-24)

3.再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置を受ける

課税標準の特例措置
再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置とは、太陽光や風力といった発電設備に係る固定資産税を減額できる制度です。

太陽光発電設備を設置した場合、発電出力が1,000kW以上なら3/4、発電出力が1,000kW未満なら2/3の割合で固定資産税を軽減できます。(※)

適用される期間は、固定資産税が課せられるようになった年度から3年度分です。対象となる太陽光発電設備は、自家消費型のみであるため注意しましょう。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置(固定資産税)」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/support/dl/koteisisan.pdf(参照2023-01-24)

4.環境・エネルギー対策資金を利用する

環境・エネルギー対策資金とは
環境・エネルギー対策資金とは、日本政策金融公庫が実施する融資制度です。この制度を利用すれば、非化石エネルギーの導入を行う場合に、金利を引き下げて融資を受けられます。

中小企業向けの融資限度額は、7億2,000万円(直接貸付)、1億2,000万円(代理貸付)です。(※)

※1参考:日本政策金融公庫.「環境・エネルギー対策資金」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/15_kankyoutaisaku.html(参照2023-01-24)

貸付期間はともに20年間で、利率は導入する太陽光発電設備などによって異なります。自家消費型で発電出力10kW以上の設備であれば、基準利率から特別利率に引き下げて融資を受けられるため、大規模な施設を検討している企業は確認してみましょう。(※)

※2参考:経済産業省 資源エネルギー庁「環境・エネルギー対策資金(非化石エネルギー設備関連)」の自家消費型太陽光発電設備に関する仕様等証明書発行について」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/new/information/180402a/ (参照2023-01-24)

5.環境リスク調査融資促進利子補給事業による利子軽減措置を利用する

環境リスク調査融資促進利子補給事業は、環境省が行う支援制度です。地球温暖化などの環境問題の解決に取り組む事業者を支援し、環境改善を促進させることを目的として創設されました。

この制度を利用すれば、地球温暖化対策に関する設備投資で融資を受ける際、利子を軽減してもらえます。太陽光発電設備も利子軽減の対象となるため、融資を受ける場合はこちらも検討してみましょう。(※)

※参考:一般社団法人 環境パートナーシップ会議「令和4年度 環境リスク調査融資促進利子補給事業に係る指定金融機関の公募」
https://epc.or.jp/fund_dept/risk_chousa/r4shiteikinkoubo(参照2023-01-24)

ただし利子の軽減措置を受けるためには、事業計画を作成したり、CO2排出の削減状況をモニタリングしたりしなければなりません。

6.グリーンファンド(地域低炭素投資促進ファンド事業)による出資を受ける

グリーンファンドは、地域活性化や脱炭素社会の実現を目的として創設された制度です。環境省によって運営されており、太陽光発電設備の設置など脱炭素社会の実現につながるプロジェクトの推進に関して支援を受けられます。(※)

※参考:環境省 グリーンファイナンスポータル.「グリーンファンド(地域脱炭素投資促進ファンド事業)」
https://greenfinanceportal.env.go.jp/policy_budget/greenfinance/about.html(参照2023-01-24)

特に大規模な太陽光発電設備を設置する場合は、多額の費用が必要となり、企業の資金や民間金融機関からの融資だけでは足りないケースもあります。グリーンファンドからの出資は原則として総出資額の1/2未満ですが、うまく活用すればリスクを抑えてプロジェクトを推進できるでしょう。

出資を受けるためには、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構へ事前相談を行い、必要な資料を準備しなければなりません。審査を受けて合格すれば、出資を受けられます。

太陽光発電による優遇税制を考えるときのポイント

太陽光発電による優遇税制を検討するときに、気を付けたいことがあります。

太陽光発電による優遇措置を考えるときのポイント

1.売電目的の太陽光発電設備に関する優遇税制は少ない

さまざまな優遇措置を紹介しましたが、対象となるのは自家消費型の太陽光発電設備が多く、売電を目的として設備を導入する場合に利用できる制度はほとんどないのが現状です。

本記事内で紹介した環境・エネルギー対策資金や中小企業経営強化税制などにおいても、売電目的の太陽光発電設備は対象外とされています。太陽光発電設備を設置する前に、電力を自社で使用するのか、売却するのかをしっかりと計画しておきましょう。

2.設置する土地や屋根がない場合は「投資型」

所有する土地や建物の屋上に太陽光発電設備を設置できない場合は、投資型の設備を導入すると良いでしょう。

自社から離れた場所に設置するケースも多いため、自家消費はできませんが、発電した電力を売却することで収入を得られます。消費税の免税や還付も受けられるため、ある程度の効果が期待できるでしょう。

3.細かい経費を忘れずに計上する

太陽光発電設備の設置を考えているなら、細かい経費を忘れずに計上することも大切です。太陽光発電設備を設置するときの費用はもちろん、メンテナンスに関する費用も経費として計上できます。

例えば、設備の調整や修理を依頼したときの外注費、現地確認に立ち会ったときの交通費などです。ヘルメットや安全靴といった備品の購入費用も経費として計上できます。

【まとめ】太陽光発電設備を導入しよう!

本記事では、太陽光発電設備に関する優遇措置や支援制度を紹介しました。

消費税の免除や還付を受けたり、中小企業経営強化税制を利用したりすれば、経済性も両立しながら脱炭素経営が実現できます。

【法人向け】太陽光パネルの導入費用の目安と内訳は?2023年相場から把握

また、太陽光発電設備の導入を支援してくれる制度を活用することも大切です。環境エネルギー対策資金や環境リスク調査融資促進利子補給事業などの制度を利用すれば、リスクを抑えて新しい設備を導入できます。

地球温暖化の防止や脱炭素社会の実現を目的として、さまざまな支援制度が創設されているため、有効活用しましょう。

地球規模で取り組まなければいけない環境対策に力を入れているのが、伊藤忠エネクスです。太陽光発電以外にも、ESGやLED照明に関して、様々な取り組みを行っています。この機会に、ぜひ検討してみませんか?

伊藤忠エネクスのソーラーエネルギーサービス「TERASEL SOLAR」について

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