脱炭素化に向けた企業の取り組み事例一覧! 取り組みを進めるメリットや補助金についても解説

脱炭素化に向けた企業の取り組み事例一覧! 取り組みを進めるメリットや補助金についても解説

伊藤忠エネクス メディア編集部

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来 「 社会とくらしのパートナー」として 全国各地の地域に根ざし生活に欠かせないエネルギーをお届けしてまいりました。 老舗エネルギー商社ならではの情報を発信します。

CO2排出量増加による地球温暖化が世界的な問題となっている今、日本でも多くの企業が脱炭素経営に舵を切っています。では、脱炭素経営とはどのようなもので、具体的にどのような取り組みを行えばよいのでしょうか。

本記事では、企業が取り組むべき脱炭素経営の概要や脱炭素化を目指すメリット、各企業が行っている取り組みの事例を解説します。後半では活用できる補助金についてもご紹介しているので、脱炭素経営への具体的な取り組みを検討している企業の経営者・担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事の内容は2024年12月時点の情報です

企業が取り組むべき脱炭素経営とは?

そもそも脱炭素とは、地球温暖化の主な原因であるCO2の排出量を実質ゼロにする取り組みのことです。脱炭素が重視されるようになった背景の一つに、2015年12月に採択されたパリ協定があります。パリ協定とは「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」ことを目標に掲げ、CO2排出量実質ゼロを目指す、気候変動に対応するための国際的な枠組みです。

パリ協定が採択されて以降、世界の120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」を宣言しており、日本も2020年10月に宣言しました。2050年カーボンニュートラルとは、2050年までにCO2排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすることを目指すものです。

脱炭素経営とは、この脱炭素の視点を織り込んだ企業経営のことです。地球沸騰時代の到来ともいわれる昨今、企業には気候変動への対策を取り組むべき重要課題として捉え、自社のみならずサプライチェーン全体でCO2排出量を削減していくことが求められています。

なお、脱炭素経営については、以下の記事でも詳しく解説しています。


※参考:外務省.「2020年以降の枠組み:パリ協定」.https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html ,(2024-10-21).

※参考:脱炭素ポータル.「カーボンニュートラルとは」.https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/ ,(2024-10-21).

※出典:グリーン・バリューチェーン プラットフォーム.「脱炭素経営とは」.https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/decarbonization.html ,(2024-10-21).

脱炭素経営に向けた取り組み

ここからは脱炭素経営に向けた取り組みのうち、代表的な4つをご紹介します。

TCFD(IFRS・SSBJ)

TCFDとは、Task Force on Climate-Related Financial Disclosuresの略称で、企業が財務情報と併せて、自社の気候変動に対する取り組み状況や事例などを開示する枠組みです。日本語では、気候関連財務情報開示タスクフォースとも呼ばれます。

世界的に環境問題への対策が求められている現在、従来の財務状況に加えて、環境への取り組みなども企業価値に加味されるようになってきています。

そこで投資家が適切な投資判断を行えるよう、企業や団体に対し気候関連財務情報の開示を促すことを目的として、TCFDが設立されました。2023年11月24日時点で、世界の4,925の企業・団体が賛同しています。賛同機関が最も多いのは日本で、1,488もの機関が賛同しています。TCFDに賛同している国内企業の一例をご紹介します。

  • 伊藤忠エネクス株式会社
  • 日本電信電話株式会社
  • トヨタ自動車株式会社
  • イオン株式会社
  • ENEOSホールディングス株式会社
  • 第一三共株式会社
  • 三菱商事株式会社
  • 株式会社野村総合研究所

なお、TCFDは2023年10月に解散し、2024年以降は新たに設立されたISSB(国際サステナビリティ基準委員会)が、TCFDをベースに作られた国際開示基準「IFRS S1,S2」を定めています。日本ではSSBJ(サステナビリティ基準委員会)が設立され、国際開示基準への意見発信や、日本国内の基準(SSBJ)の開発が行われています。SSBJは、2025年3月に公表される予定です。

※参考:TCDF Consortium.「TCFDとは」.https://tcfd-consortium.jp/about ,(2024-10-21).

※参考:SSBJ.「サステナビリティ基準委員会」.https://www.ssb-j.jp/jp/ ,(2024-10-21).

SBT

SBTとは、Science Based Targetsの略称で、CDP、国連グローバルコンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体が共同で運営をしている国際的イニシアチブです。日本語では「科学根拠に基づく目標設定」という意味になります。

先述した通り、パリ協定では「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」という「2度(1.5度)目標」が掲げられました。SBTでは2度(1.5度)目標達成に向けて、温室効果ガス排出量の削減目標の基準が設けられています。企業は5~10年先の温室効果ガス排出量の削減目標を自ら設定し、それがSBTに認定されるとSBT参加企業として認められる仕組みです。中小企業向けのSBTもあるため、企業規模にかかわらず取り組みやすいでしょう。

なお、SBTの認定を受ける前段階として、2年以内のSBT認定の取得を宣言する「コミット」の申請を行うこともできます。

現在、日本でSBT認定を受けている国内企業と、コミット中の国内企業の一例をご紹介します。

【SBT認定企業】

  • 旭化成ホームズ株式会社
  • アサヒグループホールディングス株式会社
  • 日産自動車株式会社
  • ANAホールディングス株式会社

【コミット中の企業】

  • 株式会社竹中工務店
  • サッポロホールディングス株式会社
  • 川崎重工株式会社
  • 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「今さら聞けない「パリ協定」 〜何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」.https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/ondankashoene/pariskyotei.html ,(2024-08-17).

※参考:環境省.「SBT(Science Based Targets)について」.https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/SBT_syousai_all_20240301.pdf ,(2024-10-21).

RE100

RE100とは、Renewable Energy 100%の略称で、企業が事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目指した国際的イニシアチブです。国際環境NGOであるThe Climate Group(TCG)によって運営されています。

RE100では、世界的企業もしくは国内で認知度が高い企業など、一定程度の影響力を持つことも参加条件の一つとなっていることから、主に大企業を対象とした取り組みです。国内では、以下のような企業がRE100に参加しています。

  • 富士通株式会社
  • 日清食品ホールディングス株式会社
  • イオン株式会社
  • アサヒグループホールディングス株式会社
  • 第一生命保険株式会社

再エネ100宣言 RE Action

再エネ100宣言 RE Actionとは、企業や団体が消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを促進する日本独自のイニシアチブです。RE100の参加条件を満たさない中小企業などが目指す枠組みとして、一般社団法人再エネ100宣言 RE Action協議会が運営しています。

2023年10月31日時点で342団体が参加しており、2022年度には参加団体のうち73団体が再生可能エネルギー100%を達成しました。

※参考:再エネ100宣言 RE Action.「再エネ100宣言 RE Action年次報告書2023」.https://saiene.jp/annualreport ,(2024-10-21).

企業が脱炭素化を進めるメリット

企業が脱炭素化を進めることで得られる、5つのメリットをご紹介します。

優位性の構築

企業が脱炭素化を進めるメリットの一つは、優位性の構築です。

近年、世界的企業や国内の大企業では、自社の温室効果ガス排出量削減を推進するだけではなく、サプライチェーン全体での排出量削減を目標として掲げているケースが多く見られます。脱炭素に向けた国際的な取り組みであるSBTの認定を受けるには、サプライチェーン全体での排出量削減を求められることもあり、今後はそういった企業が増えていく見通しです。

脱炭素化を推進すれば、サプライチェーン全体で温室効果ガス排出量の削減を目指している企業に対するアピールにつながります。自社の競争力が向上し、売上や受注を増やせる可能性があるでしょう。

光熱費・燃料費の削減

光熱費や燃料費の削減につながることも、企業が脱炭素化を進めるメリットの一つです。

例えば、省エネ設備を導入すれば、消費エネルギーを抑えられます。また太陽光発電システムを導入すれば、電力の自家消費ができるようになります。その結果、光熱費や燃料費にかかるコストが抑えられるでしょう。

エネルギー価格の上昇が続いている昨今、光熱費や燃料費の削減で享受できるメリットは大きいはずです。削減できたコストを設備投資や人材育成に充てれば、企業のさらなる成長も目指せます。


知名度・認知度の向上

知名度や認知度の向上も、企業が脱炭素化を進めることで得られる大きなメリットです。

積極的に脱炭素経営に取り組み、一定の効果を上げている企業や、最新の再生可能エネルギー設備を導入した企業などは、メディアに取り上げられる機会が増え、より多くの人に知ってもらえる可能性があります。

また国や自治体から表彰を受けて知名度や認知度がアップし、新規取引につながるケースも珍しくありません。

従業員のモチベーション向上・人材獲得力の強化

企業が脱炭素化に取り組むと、従業員のモチベーション向上や人材獲得力の強化にもつながります。

勤務先の企業が気候変動という重要課題に積極的に取り組み、社会に貢献していることは、従業員にとっても誇りになるはずです。その結果、従業員からの信頼が高まり、モチベーション向上につながる可能性があります。加えて、脱炭素化の取り組みについても従業員の協力を得られるようになる他、業務効率がアップして企業の成長につながる可能性もあるでしょう。

また脱炭素化を通して社会に貢献すると、求職者からも良いイメージを持たれるようになります。日本総研が2020年に実施した調査では、大学生の55.3%が「環境問題や社会問題に取り組んでいる企業で働く意欲がある」と回答しました。環境や社会問題に配慮した企業への就職を希望する「エシカル就活」は、近年新たなトレンドになってきています。人材の確保に頭を抱える企業が多い今、脱炭素経営に取り組むことが課題解決の糸口になるかもしれません。

※参考:日本総研.「若者の意識調査(報告)― ESG およびSDGs、キャリア等に対する意識 ―」.https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/200813report.pdf ,(2020-08-13).

資金調達のしやすさ

資金調達がしやすくなることも、企業が脱炭素化を目指す重要なメリットといえるでしょう。

近年、投資判断を行う際に、脱炭素化に向けた取り組みを進めている企業を優遇する金融機関も出てきました。例えば、三井住友銀行や滋賀銀行は、温室効果ガス排出量削減率や、再生可能エネルギーの生産量・使用量といった、持続可能な社会の実現に向けた目標の達成状況に応じて貸付金利が変動する「サステナビリティ・リンク・ローン」という融資商品を用意しています。

資金調達がしやすくなれば、さらなる脱炭素経営の推進や企業の成長につなげられるでしょう。

※三井住友銀行.「サステナビリティ・リンク・ローン」.https://www.smbc.co.jp/hojin/financing/sustainable/sll/ ,(2024-10-21).

※滋賀銀行.「『しがぎん』サステナブル評価融資サステナビリティ・リンク・ローン」.https://www.shigagin.com/pdf/company_ESG_SLL.pdf ,(2024-10-21).

脱炭素化に向けた企業の取り組み事例

脱炭素経営を推進している企業は、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。ここからは大手企業から中小企業まで、10の企業の脱炭素化に向けた取り組み事例をご紹介します。「脱炭素に向けて取り組みをしたいけれど、何をすればよいか分からない」という企業は、参考にしてみてください。

伊藤忠エネクス株式会社

伊藤忠エネクス株式会社は、60年以上にわたりエネルギー総合商社としてさまざまなサービスを提供している企業です。

2030年までにCO2排出量50%削減、2050年までにカーボンニュートラル達成を目標としており、最終的にはサプライチェーン排出量の削減と事業を通して、社会全体の温室効果ガス削減を目指しています。

伊藤忠エネクスが実施している温室効果ガス削減に向けた主な取り組みは、以下の通りです。

  • TCFD提言への賛同を表明:TCFD提言の考え方に基づいたシナリオ分析の実施と開示、経済産業省、環境省、金融庁が設立した「TCDFコンソーシアム」への参加
  • ブルーカーボンの取り組み:福浦漁業協同組合および国立大学法人東京大学との共同でワカメの育成を行い、CO2の吸収・貯留に関する研究を実施
  • COOLCHOICE(クールチョイス)への参加:環境省主導の国民運動に参加し、クールビズやウォームビズ、エコドライブなどの省エネルギー行動を促進
  • NGOであるCDPへの参加:2019年からCDPに参加し、気候変動に関する質問書に回答

※参考:伊藤忠エネクス株式会社.「伊藤忠エネクスが選ばれる理由」.https://service.itcenex.com/enex_reason/ ,(2024-10-21).

※参考:伊藤忠エネクス株式会社.「気候変動」.https://www.itcenex.com/ja/csr/environment/climatechange/index.html ,(2024-10-21).

Apple

Appleは、MacbookやiPhoneなどのデジタル家電の設計・開発・販売などを行っているグローバル企業です。

2020年7月、Appleは2030年までにサプライチェーン全体のカーボンニュートラルを実現させる計画を発表しました。2023年にはAppleで初めてのカーボンニュートラル製品として新しいApple Watchを発表し、2030年までに全ての製品をカーボンニュートラルにすると宣言しています。また2023年9月には、サプライチェーンのうち300社以上のメーカーが、Apple製品の製造における100%クリーンエネルギーの使用を確約したことを発表。世界各国が宣言している2050年カーボンニュートラルよりも20年前倒しで、2030年にはCO2排出量を実質ゼロにすることを目標に前進し続けています。

※参考:Apple.「Apple、2030年までにサプライチェーンの100%カーボンニュートラル達成を約束」.https://www.apple.com/jp/newsroom/2020/07/apple-commits-to-be-100-percent-carbon-neutral-for-its-supply-chain-and-products-by-2030/ ,(2020-07-21).

※参考:Apple.「Apple、初のカーボンニュートラルな製品を発表」.https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/09/apple-unveils-its-first-carbon-neutral-products/ ,(2023-09-12).

※参考:Apple.「Apple、サプライヤークリーンエネルギーの取り組みを前進」.https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/09/apple-advances-supplier-clean-energy-commitments/ ,(2023-09-12).

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニエンスストアやスーパー、専門店、フードサービス、金融サービスなどの事業を手がける企業です。

温室効果ガス削減のための取り組みとして、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指すことを盛り込んだ「GREEN CHALLENGE 2050」を掲げています。2024年7月末時点で、グループの9,000店舗以上に太陽光パネルを設置しました。同時に環境配慮型素材の100%使用や食品ロス・リサイクル対策による循環型経済社会の形成、持続性が担保された材料を100%使用した自然共生社会の実現を目指し、環境問題や社会問題に取り組んでいます。

※参考:株式会社セブン&アイ・ホールディングス.「『GREEN CHALLENGE 2050』について」.https://www.7andi.com/sustainability/g_challenge/about/index.html ,(2024-10-21).

※参考:株式会社セブン&アイ・ホールディングス.「4つの取り組みテーマ「CO₂排出量削減」」.https://www.7andi.com/sustainability/g_challenge/about-detail/co2/index.html ,(2024-10-21).

株式会社ファーストリテイリング

株式会社ファーストリテイリングは、ユニクロやジーユー、セオリーといったブランドを世界的に展開している企業です。

温室効果ガス削減のための長期目標として、2030年8月期までに運営施設で使用するエネルギー排出量の90%削減、原材料・素材の生産、縫製に関わる排出量の20%削減を掲げています。また2030年8月期までに、自社で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することも宣言し、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロの目標達成に向けて積極的な取り組みを行っています。

2023年4月には、さまざまな省エネ技術を採用した「ユニクロ 前橋南インター店」をオープン。従来の店舗と比較して消費電力を40%削減できると想定されています。ユニクロ 前橋南インター店は、国土交通省の建築物省エネルギー性能表示制度BELSの最高ランクを取得しており、経済産業省資源エネルギー庁推奨のZEB Readyにも認定されました。

※参考:FAST RETAILING.「気候変動への対応」.https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/environment/climatechange.html ,(2024-10-21).

三井不動産株式会社

三井不動産株式会社は、賃貸事業や分譲事業、マネジメント事業、施設営業事業などを行っている企業です。

三井不動産グループ全体で、2030年度までに温室効果ガス排出量を2019年度比で40%削減することを掲げており、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指しています。具体的には、新築・既存物件の環境性能向上、物件共用部や自社利用部の電力グリーン化、入居者・購入者に向けたグリーン化メニューの提案、再生可能エネルギーの安定確保といった取り組みを実施しています。

※参考:三井不動産グループ.「「三井不動産グループ脱炭素行動計画」の進捗~サプライチェーン全体を巻き込んだ取り組み~」.https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/carbon_neutral/pdf/20231018_02.pdf ,(2024-10-21).

株式会社村田製作所

株式会社村田製作所は、電子部品の開発・製造・販売を行っている企業です。

代表取締役専務執行役員を委員長として気候変動対策委員会を立ち上げ、再生可能エネルギーの調達や自社のIoTを活用したエネルギーマネジメントシステムの構築など、温室効果ガス排出量削減に向けたさまざまな取り組みを実施し、2050年までに再生可能エネルギー100%にすることを目指しています。

国際的な環境非営利団体CDPが行っているCDP気候変動調査では、2021年度・2023年度に回答企業の上位2%に該当するA評価を獲得しました。またCDPのサプライヤー・エンゲージメント評価では、2020年度から4年連続で最高評価の「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選ばれています。

※参考:株式会社村田製作所.「環境とムラタ」.https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/environment_murata/climate_change ,(2024-10-21).

株式会社リコー

株式会社リコーは、複合機・プリンターやソフトウェア、消耗品などを製造・販売している企業です。

2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標とし、再生可能エネルギーを利用するためのVPPA(仮想電力購入契約)の締結や、生産拠点でのPPAモデル導入推進などを実施しています。また省エネルギー製品の開発や、リユース・マテリアルリサイクルの促進、紙からデジタルサービスへの転換といった取り組みを行い、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減を目指しています。

省エネ・創エネ関連事業も行っており、脱炭素貢献製品の開発などを通して、新たなビジネスチャンスも創出しています。

※参考:RICOH.「脱炭素社会の実現」.https://jp.ricoh.com/sustainability/environment/zero_carbon_society ,(2024-10-21).

※参考:RICOH.「脱炭素社会の実現に向けた取り組み」.https://jp.ricoh.com/sustainability/environment/zero_carbon_society/initiative#office ,(2024-10-21).

株式会社大川印刷

株式会社大川印刷は、印刷物の企画やデザイン、制作などを行う企業です。ソーシャルプリンティングカンパニーとして環境や社会、ガバナンスを考慮した経営を行っており、100%再生可能エネルギーを使って制作物を印刷している点が特徴です。

再生可能エネルギーを利用することで、2019年度は売上アップとエネルギーコスト削減の両立を実現しました。また太陽光発電で作られた電力を利用したBCP対策も実施し、非常時にも滞りなく事業を運営した実績もあります。さまざまな取り組みがメディアに取り上げられたことで取引先や受注量も増え、売上高経常利益率も1.8%増加しました。

※参考:大川印刷.「会社案内」.https://www.ohkawa-inc.co.jp/wp-content/uploads/2020/03/%E5%A4%A7%E5%B7%9D%E5%8D%B0%E5%88%B7%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%A1%88%E5%86%85.pdf ,(2024-10-21).

※参考:環境省.「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック〜温室効果ガス削減目標を達成するために〜」.https://www.env.go.jp/earth/SMEs_handbook.pdf ,(2024-10-21).

山形精密鋳造株式会社

山形精密鋳造株式会社は、ロストワックス鋳造法という方式で自動車部品などを製造している企業です。

山形精密鋳造株式会社の場合、事業に欠かせない溶解電気炉で多くのエネルギーを消費しており、この部分での省エネには限界がありました。そこで他の工程で省エネの取り組みを行い、実績を残しています。具体的には、省エネルギーセンターによる省エネ無料診断を受けた後に、補助金を活用して省エネ効果があるインバーター付きコンプレッサーやLED照明などを導入。また現場から省エネに関するアイデアを募る仕組みを構築し、社内全体で省エネに取り組める体制を整えました。

省エネ無料診断の結果を参考にした設備投資によって、光熱費の削減も実現しています。

※参考:環境省.「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック〜温室効果ガス削減目標を達成するために〜」.https://www.env.go.jp/earth/SMEs_handbook.pdf ,(2024-10-21).

中部産商株式会社

中部産商株式会社は、鋳造用耐火物の製造・販売や鋳造用副資材の販売などを行っている企業です。

鋳造用耐火物の製造ではガスや電気など多くのエネルギーを消費しますが、中部産商株式会社では、トンネル炉の空気比の最適化を図った他、補助金の活用による新型炉導入で適切な焼成温度の調整を可能にしました。その結果、エネルギーの使用量を削減することができ、1,000万円以上の光熱費の節約に成功しました。また省エネ対策によって大幅に利益がアップし、多品種を少量生産するスタイルでも拡販を実現しています。

※参考:環境省.「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック〜温室効果ガス削減目標を達成するために〜」.https://www.env.go.jp/earth/SMEs_handbook.pdf ,(2024-10-21).

脱炭素化を目指す企業が利用できる補助金

脱炭素経営に取り組むにはある程度の費用がかかることが多いですが、補助金を活用すれば負担を軽減しながら脱炭素化を目指せます。脱炭素化を目指す企業が利用できる可能性がある、3つの補助金をご紹介します。

なお、補助金ごとに要件や公募期間は異なります。利用する前に必ず公式Webサイトで最新の情報を確認するようにしてください。

ストレージパリティ補助金(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)

ストレージパリティ補助金(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)は、太陽光発電と蓄電池の導入の一部を支援する補助金です。ストレージパリティとは、太陽光発電設備や蓄電池を導入した方が、導入しない場合よりも経済的になる状態を意味します。

法人と個人事業主が対象で、公募の概要は以下の通りです。

主な要件・自家消費型の太陽光発電設備の導入を行う事業であること
・戸建て住宅を除き、導入する太陽光発電設備の「太陽電池出力」が10kW以上であること(戸建て住宅は「太陽電池出力」が10kW 未満の申請のみ可)
・定置用蓄電池または車載型蓄電池(充放電設備を含む)の導入を行う事業であること
・戸建て住宅を除き、導入する蓄電池の「定格容量」が4,800Ah・セル以上であること
・平時において、導入する太陽光発電設備による発電電力を導入場所の敷地内(オンサイト)で自家消費すること(戸建て住宅は自家消費率50%以上であること)
など
補助金額太陽光発電設備:2,000万円(上限)
蓄電池:1,000万円(上限)

※参考:環境省.「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)の公募について」.https://www.env.go.jp/press/110821.html ,(2022-03-31).

※参考・出典:一般財団法人 環境イノベーション情報機構 (EIC).「令和 5 年度(補正予算)および令和 6 年度ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金) 公募要領」.https://www.eic.or.jp/eic/topics/2024/st_r05c/002/files/SP_R5SR6_yoryo_v4.pdf?1729550185935 ,(2024-08-01).

※参考:一般財団法人 環境イノベーション情報機構 (EIC).「令和 5 年度(補正予算)および令和 6 年度ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金) Q&A 集」.https://www.eic.or.jp/eic/topics/2024/st_r05c/002/files/SP_qa_R5SR6_v2.pdf?1729291400608 ,(2024-04-17).

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金は、高い省エネ効果が期待できる設備やエネルギー管理システム、脱炭素化や電化を目的とした燃料転換設備などの導入にかかる費用に対する補助金です。法人と個人事業主を対象としています。

補助金の種類は、以下の4種類です。

  • 工場・事業場型:先進設備・システムの導入
  • 工場・事業場型:オーダーメイド型設備の導入
  • 電化・脱炭素燃転型:指定設備のうち、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備などの導入
  • エネルギー需要最適化型:EMS(エネルギーマネジメントシステム)機器の導入

公募の概要は以下の通りです。

主な要件工場・事業場型(先進設備・システムの導入)の場合、以下のいずれに該当すること
・省エネ率+非化石割合増加率:30%以上
・省エネ量+非化石使用量:1,000kl以上
・エネルギー消費原単位改善率:15%以上
補助金額工場・事業場型(先進設備・システムの導入)の場合
・上限額:15億円 / 年度(※非化石申請時:20億円 / 年度)
・下限額:100万円 / 年度(※非化石申請時:初年度を除く)
補助率は大企業であれば2分の1以内、中小企業であれば3分の2以内

※参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」.https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/ ,(2024-10-21).

※参考・出典:一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」.https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/ ,(2024-10-21).

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)は、工場や事業場で行われる脱炭素化のための取り組みを支援する補助金です。中小企業などの法人を対象とした「CO2削減計画策定支援」と、年間CO2排出量が50t以上の工場・事業場に対してCO2削減計画を策定している事業者を対象とした「省CO2型設備更新支援」の2種類があります。

公募の概要は以下の通りです。

主な要件省CO2型設備更新支援の場合
・年間CO2排出量50t以上の工場・事業場に対してCO2削減計画を策定済みである事業者
・工場・事業場の所有者と補助対象設備の所有者が異なる場合は、共同申請となる
補助金額標準事業:1億円(上限)
大規模電化・燃料転換事業:5億円(上限)
中小企業事業:5,000万円(上限)

※参考:SHIFT.「令和6年度SHIFT事業」.https://shift.env.go.jp/files/shift/outline/2024leaflet_casestudy_rev.pdf ,(2024-10-21).

※参考・出典:SHIFT.「令和6年度SHIFT事業」.https://shift.env.go.jp/files/shift/outline/2024leaflet_casestudy_rev.pdf ,(2024-10-21).

脱炭素化に向けた取り組みを始めるなら伊藤忠エネクスのサービスがおすすめ

企業が脱炭素化に向けた取り組みを始めるなら、伊藤忠エネクスのサービスを利用するのがおすすめです。伊藤忠エネクスが提供している、脱炭素化に役立つ主なサービスをご紹介します。

サービス名概要
TERASELでんきforBiz実質再エネ化や実質CO2排出量ゼロの他、コスト削減も実現できる法人向け電力供給サービス
TERASELソーラー契約者の保有施設に太陽光発電システムを設置し、電力を自家消費できるサービス
GXコンサルティングサービス企業のCO2排出状況を見える化し、電気・ガス・燃料のプロが削減に向けた伴走支援を行うサービス
省エネルギー商材サービス初期費用なしで、省エネ効果のあるLED照明や空調設備を導入できるサービス
GTL燃料軽油対比でCO2排出量を8.5%削減できるGLT燃料(天然ガス由来の軽油代替燃料)を供給
リニューアブルディーゼル廃食油や廃動植物油などを原料とする次世代型バイオ燃料・リニューアブルディーゼルを供給

まとめ

脱炭素経営は、環境や社会に貢献するだけではなく、ビジネスチャンスの拡大やコスト削減など、企業にとってもさまざまなメリットがあります。本記事でご紹介した事例を参考に、脱炭素化に向けた具体的な取り組みを検討してみてください。

伊藤忠エネクスは、60年以上にわたってエネルギー総合商社として培ったノウハウを生かし、企業の脱炭素経営をサポートいたします。本記事内でご紹介した通り、以下に挙げるような脱炭素化に役立つさまざまなサービスをご提供しています。

お客さまに適したサービスをご提案しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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