過去の電気料金高騰の要因を徹底解説! 2024年の電気料金の見通しや企業が選ぶべき優良新電力の条件とは?
2016年電力の小売全面自由化によって、企業はさまざまな電力会社が提供するさまざまな料金プランの中から、自社に適したものを選択できるようになりました。一方で、選択肢が増えすぎて、仕組みがよく分からない、どの料金プランがお得なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、近年登場している新しい料金プランの仕組みを知る上で欠かせない、日本卸電力取引所(JEPX)について詳しく解説していきます。電気の市場価格を高騰させる要因や今後の見通しについてもご紹介しているので、高圧電力の乗り換え先を探している企業のご担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
※本記事の内容は2025年11月時点の情報です
目次
日本卸電力取引所(JEPX、ジェイイーピーエックス/ジェイペックス)とは、日本で唯一、卸電力を売買できる市場です。
2000年以前は、東京電力や関西電力などの「一般電気事業者」が発電から供給までを一手に担っていましたが、電力の小売自由化に伴い電気事業法が改正されると、発電・送配電・小売という電力供給の一連の流れが、それぞれ独立した事業者として区分されることになりました。
小売電気事業者として多くの企業が参入しましたが、新電力の大半は発電所を所有しておらず、競争を活発化させるためには、小売電気事業者が安定的に電力を調達できる仕組みが不可欠であるため、2003年に発電事業者と小売電気事業者が電気を取引できる場としてJEPXが設立されたのです。
電気の取引を行うにはJEPXの取引会員になる必要があり、2025年11月時点の取引会員数は346社にも上ります。取引会員になるには年会費の支払いをはじめとした一定の条件があるものの、取引会員数は年々増加傾向にあり、電力市場はますます活発化しています。
※参考:JEPX.「取引会員情報」.https://www.jepx.jp/electricpower/membership/ ,(2025-11-19).
JEPXには6種類の取引市場があり、それぞれ役割や価格の決定方法、取引期間が異なります。
JEPXのメイン市場である「スポット市場」では、翌日に供給する分の電力取引を行います。そのため、一日前市場とも呼ばれます。市場価格といえば、スポット市場価格のことを指すのが一般的です。
JEPXでは基本的に、24時間を30分単位で区切って48コマとし、1コマごとに売買を行います。売買が成立することを「約定(やくじょう)」と呼ぶため、オークションで決定した取引価格は、約定価格といいます。
電力量の最低取引単位は1コマ当たり50kWhで、入札の際は1kWh当たりの価格を0.01円単位で指定します。入札は10日前から可能で、受付時間は午前8時から午後5時までです。毎日午前10時に入札を締め切り、翌日分の取引計算を行います。
スポット市場の約定価格と量は「ブラインド・シングルプライスオークション方式」で決定します。発電事業者は「〇円/kWh以上なら、△△kWh売る」、小売電気事業者は「〇円/kWh以下なら、△△△kWh買う」といった入札情報を取引システムに入力し、他社には開示されない状態(ブラインド)でオークションを行います。すべての入札情報をもとに需要曲線と供給曲線が交わる点を算出し、約定価格と量を決定します。
入札価格にかかわらず、すべての参加者が約定価格(シングルプライス)で取引を行うのも、スポット市場の特徴です。
※参考:一般社団法人 日本卸電力取引所.「日本卸電力取引所取引ガイド」.https://www.jepx.jp/electricpower/outline/pdf/Guide_2.00.pdf ,(2019-01-22)
通常、発電事業者や小売電気事業者は、前日正午までに翌日の発電販売計画と需要調達計画を作成し提出しますが、突発的な発電所の停止や気温の急激な上昇などにより、電力の供給量や需要量が計画からずれてしまう場合があります。こういった計画提出後の需給ミスマッチに対応するのが、当日市場(時間前市場)です。
電力量の最低取引単位はスポット市場と同様に1コマ当たり50kWhで、入札の際は1kWh当たりの価格を0.01円単位で指定します。当日市場は24時間開場しており、毎日17時から電力の受け渡し時間の1時間前まで取引が可能です。例えば、15日13時~14時30分の電力量の取引は、14日17時~15日12時まで入札ができるということです。
当日市場の約定価格と量は、ザラバ取引で決まります。発電事業者は「■時~■時の電力を〇円/kWhで△△kWh売りたい」、小売電気事業者は「■時~■時の電力を〇円/kWhで△△△kWh買いたい」という入札情報を取引システムに入力し、最低価格の売り入札と、最高価格の買い入札が合致すると約定となります。
※参考:一般社団法人 日本卸電力取引所.「日本卸電力取引所取引ガイド」.https://www.jepx.jp/electricpower/outline/pdf/Guide_2.00.pdf ,(2019-01-22)

先渡市場とは、将来的に受け渡しをする電力の取引を行う市場です。まとまった期間の電力をあらかじめ確保できるので、市場価格の高騰などのリスクヘッジとして利用されることが多いです。
受け渡しの期間(1年間・1カ月・1週間)と型(24時間型・昼間型)を組み合わせた、以下の5種類の商品から選んで入札をします。商品によって取引期間が異なります。
| 商品 | 概要 | 取引期間 |
| 年間24時間型商品 | 4月~翌年3月末まで、0時~24時を通して電気が受け渡される | 受け渡しが開始する3年前の4月1日~受け渡し開始日の前々月末(2月末)まで |
| 月間24時間型商品 | 土日祝日を含めた1カ月、0時~24時間を通して電気が受け渡される | 受け渡しが開始する前年の同月から受け渡し前々月の19日まで |
| 月間昼間型商品 | 土日祝日を除いた1カ月、8時~18時の間に電気が受け渡される | |
| 週間24時間型商品 | 土~金曜日の1週間、0時~24時を通して電気が受け渡される | 受け渡しが開始する月の前々月20日~受け渡し開始日の3日前まで |
| 週間昼間型商品 | 祝日を除いた月~金曜日の1週間、8時~18時の間に電気が受け渡される |
約定価格と量は、当日市場と同様、ザラバ取引で決まります。毎日前場(10時~12時)と後場(13時~15時)で入札できます。
※参考:一般社団法人 日本卸電力取引所.「日本卸電力取引所取引ガイド」.https://www.jepx.jp/electricpower/outline/pdf/Guide_2.00.pdf ,(2019-01-22)
ベースロード市場とは、原子力や石炭火力、一般水力、地熱など、常時安定して発電できる電源を取引する市場です。ベースロード電源は、発電量を増やしたり減らしたりする細やかな調整は難しいものの、運用コストが比較的低く安定的に電力を供給できます。
しかし、ベースロード電源は、大規模な発電施設が必要で、場所や初期投資のハードルが高いため、日本でベースロード電源の発電所を保有しているのは大手電力会社のみでした。そこで、売買の機会均等を図ることで新電力の競争を活発化させるという目的で、2019年にベースロード市場が開設されたのです。ベースロード電源を持つ大手電力会社は、発電した電力をオークションに出すことが義務付けられています。
現在は、8月・10月・11月・1月の年4回、スポット市場と同様のシングルプライスオークション方式で取引が行われています。
非化石価値取引市場とは、2018年に開設された非化石証書を取引するための市場です。
非化石証書とは、再生可能エネルギー(再エネ)や原子力といった化石燃料以外のエネルギーで発電された電気が持つ、環境価値を証書化したものです。非化石証書を購入すれば、その分だけ使用する電気のCO2排出量を実質的に削減でき、脱炭素経営に取り組んでいることを対外的にアピール可能です。
非化石価値取引市場では、電力そのものではなく、環境価値のみが取引されます。当初は小売電気事業者のみに向けた市場でしたが、需要家の脱炭素化へのニーズが増加したことで、現在は「再エネ価値取引市場」と「高度化法義務達成市場」の2つに分かれています。
| 市場 | 概要 |
| 再エネ価値取引市場 | ・小売電気事業者に加えて、需要家が直接購入できる ・企業が自らの事業で使用する電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ「RE100」への参加など、需要家の再エネ由来の電気の必要性が高まってきたことを受け、2021年に開設された市場 ・再エネ由来の電源かつ、FIT制度で買い取られた電気であるFIT電源が取引対象 |
| 高度化法義務達成市場 | ・市場が2つに分かれる前の非化石価値取引市場を引き継いだ市場 ・小売電気事業者のみが購入できる ・再エネ由来の電源のうち、FIT制度の適用を受けていない非FIT電源が取引対象 |
※参考:資源エネルギー庁.「再エネ価値取引市場について」.https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/pdf/072_07_00.pdf (2022-11-30).
分散型・グリーン売電市場とは、自家用発電設備やコージェネレーション発電設備からつくられた小口の余剰電力を取引するための市場です。2012年に開設されました。最低取引単位がなく、売り手が販売価格や販売量、条件(期間や曜日など)を自由に設定できます。
売電する場合は、JEPXの取引会員にならなくても問題ありません。余剰電力を電力会社の送電網に戻して売電できれば、誰でも参加できるのが特徴です。会費や手数料などもかかりません。
一方で、買電する場合は、JEPXの取引会員になる必要があります。買い手が提示した中で、最も条件の良いものが落札されます。
なお、分散型・グリーン売電市場において、JEPXは電力を買い取ることはしません。取引の場を提供するのみであり、売買契約は当事者間で締結されます。
※参考:経済産業省資源エネルギー庁.「分散型・グリーン売電市場の創設について」.https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/other/cogeneration/003/ ,(2012-06-05).
先述した通り、市場価格はオークションによって決まりますが、以下のようなことが要因となって、高騰することがあります。
実際、日本でもこれらの要因によって電気料金が高騰しました。例えば大寒波と燃料不足、発電所の停止などが重なった2020年12月~2021年1月や、ロシアのウクライナ侵攻による燃料価格の高騰と円安などが重なった2022年は、記憶に新しいでしょう。
過去の電気料金高騰の事例については、以下の記事で詳しく解説しています。

先述した通り、2020年以降の市場価格は大きく変動しています。2020年から2022年までのスポット市場の約定価格は、以下に挙げる複数の原因によって高騰しました。
2022年に価格高騰のピークを迎えた後、2023年以降は落ち着いています。2025年10月29日に、国際金融機関である世界銀行は「原油・天然ガスをはじめとした世界の一次産品価格は、2026年に6年ぶりの安値になる見通しである(価格の下落は4年連続)」と公表。一次産品価格が安値になる理由には、世界経済の成長鈍化や原油の供給過剰、各国の金融・財政政策の不確実性などが挙げられるようです。燃料価格が下がることで、電気の市場価格も下がると考えられます。
また日本は太陽光発電の普及が進んでいることもあり、日中の市場価格が下がりやすいです。電気の供給が需要を上回るケースも多く、市場価格が0.01円/kWhになる時間帯もあります。
一方で夜間や天候が悪い日は、依然として市場価格は上昇しやすいです。市場価格に連動する料金プランを利用している企業が電力コストをなるべく抑えるためには、価格が高騰する時間帯の使用電力量を減らす工夫が欠かせません。
※参考:世界銀行.「一次産品価格、石油の供給過剩拡大に伴い、2026年に6年ぶりの安値に」.https://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2025/10/28/commodity-markets-outlook-october-2025-press-release ,(2025-10-29)
電気の料金プランには、大きく分けて固定単価プランと市場連動プランの2種類があります。
固定単価プランとは、基本料金単価と電力量料金単価が固定されているプランです。プラン内容の変更や料金の改定が発生しない限り、基本料金単価や電力量料金単価が変わることはありません。毎月の電気料金は使用電力量に応じて変動します。
市場連動型プランとは、JEPXの市場価格に合わせて30分ごとに電力量料金が変動するプランです。使用電力量の他、電気を使うタイミングによっても電気料金が変わります。市場価格が安いときに電気を使用すれば電気料金を抑えられる一方で、市場価格が高いときに電気を使用すれば、その分電気料金も高くなってしまうのです。
では、固定単価プランと市場連動プランはどちらがお得なのでしょうか。目先の電気料金だけを見れば、現在は市場連動プランの方がお得である可能性が高いです。しかし、市場連動プランは電気料金が高騰するリスクを孕んでいます。過去に実際に起こったように、燃料価格が高騰したり、需要量に対して供給量が大幅に少なかったりすると、市場価格は一気に高騰し、電気料金が跳ね上がります。市場価格には上限が設けられているとはいえ、通常時で80円/kWh、需給がひっ迫している場合は200円/kWhまでは高騰する可能性があり、使用電力量の多い企業の場合は、1カ月で数十万〜数百万円も電気料金が高くなる可能性も。
市場連動プランは、メリットも大きいけれどリスクも大きいということを、覚えておいてください。
伊藤忠エネクス株式会社では、法人向け電力販売サービス「TERASELでんきforBiz」を提供しています。TERASELでんきforBizではお客さまの使用電力量やご要望に合わせて適したプランをご提案しており、固定単価プランと市場連動プランの両方に対応可能です。
マイページでは、30分ごとの使用電力量やCO2排出量を確認できるため、コスト管理や脱炭素に向けた取り組みの検討もしやすいでしょう。電気料金の削減のために電力会社の乗り換えを検討している企業のご担当者さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
JEPXの市場価格は、2020年から2022年まで高騰していましたが、2023年以降は落ち着いています。世界銀行によると、燃料価格をはじめとした一次産品価格は4年連続で下がっており、2026年には6年ぶりの安値となる見込みです。燃料価格が下がることにより、電気の市場価格も下がる可能性が高いでしょう。
市場価格が低い水準のままであれば、市場連動プランに切り替える方が電気料金が安くなる可能性が高いです。しかし、電気の市場価格はさまざまな要因によって高騰する恐れがあり、2020年12月~2021年1月のような事態が今後も起こらないとは言い切れません。
先述した通り、伊藤忠エネクスの「TERASELでんきforBiz」では、固定単価プランと市場連動プランの両方を取り扱っており、お客さまが最大限メリットを得られる適切なプランをご提案できます。電力会社の乗り換えによる電気料金の削減を検討している企業のご担当者さまは、ぜひ一度、伊藤忠エネクスにご相談ください。
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