非化石証書とは? 証書の種類や取引方法、市場の仕組みを徹底解説

非化石証書とは? 証書の種類や取引方法、市場の仕組みを徹底解説

伊藤忠エネクス メディア編集部

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来 「 社会とくらしのパートナー」として 全国各地の地域に根ざし生活に欠かせないエネルギーをお届けしてまいりました。 老舗エネルギー商社ならではの情報を発信します。

脱炭素社会の実現へ向けて、政府や自治体、発電事業者だけではなく、一般企業にもさまざまな環境対策の取り組みが求められています。一般企業が行える施策のうちの一つが、非化石価値取引市場での非化石証書の購入です。

本記事では、非化石価値取引市場や取引される非化石証書について詳しく解説します。脱炭素経営に取り組んでいる、あるいは、これから取り組もうとしている企業のご担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事の内容は2024年12月時点の情報です

非化石価値(環境価値)とは?

非化石価値(環境価値)とは、「発電時に、二酸化炭素を排出しない環境に優しい方法で作られた電気である」という付加価値のことです。

石油や石炭、LNGといった化石燃料によって発電された電気は、発電時に二酸化炭素を排出するため、電気そのものの価値(kWh価値)だけを有しています。

一方、非化石エネルギーによって発電された電気は、発電時に二酸化炭素を排出しないため、電気そのものの価値の他に、非化石価値を有しているのです。

非化石エネルギーの種類

そもそも非化石エネルギーとは、再生可能エネルギーや原子力といった、化石燃料以外のエネルギー源のことです。主に以下のようなエネルギー源を指します。

  • 太陽光
  • 風力
  • バイオマス(動植物に由来する有機物)
  • 水力
  • 地熱

など

非化石証書とは?

非化石証書とは?

非化石証書は、非化石エネルギーから発電された電気が有している非化石価値(環境価値)を証書化したものです。市場で売買でき、小売電気事業者が非化石証書を購入すれば、購入した分だけ、販売する電気のCO2排出量が少なくなるとみなされます。

また一般企業が非化石証書を購入すれば、購入した分だけ、使用する電気のCO2排出量が少なくなるとみなされ、脱炭素経営に取り組んでいるという姿勢を世間に示すことができます。

非化石証書制度が導入された理由

2024年現在、世界規模で地球温暖化への対策が求められています。非化石証書制度は2018年より、環境対策の一つとして主に以下の理由で導入されました。

  • エネルギー供給構造高度化法の達成のため
  • 再エネ賦課金の負担軽減のため

エネルギー供給構造高度化法の達成のため

エネルギー供給構造高度化法(高度化法)とは、2009年に制定された非化石エネルギー源の利用を促す法律です。

高度化法では、日本でエネルギーを供給している小売電気事業者に対し、2030年までに非化石エネルギーによって発電された電気の比率(非化石電源比率)を44%以上にするよう定めています。しかし、発電所を所有していない中小規模の小売電気事業者は、電力の調達を市場に頼るしかないため、高度化法の目標を達成することは難しいケースが多いのです。 

そこで導入されたのが、非化石証書制度です。非化石エネルギー由来の電気の価値を可視化して売買できるようになったことで、設備投資をしなくても、非化石電源比率を上げられるようになり、多くの小売電気事業者で高度化法の目標達成の可能性が高まりました。

※参考:資源エネルギー庁.「エネルギー供給構造高度化法の中間目標の策定について」.https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/pdf/032_04_03.pdf ,(2019-05-31).

再エネ賦課金の負担軽減のため

日本では再生可能エネルギーを普及させるために、全ての需要家が「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」を負担しています。再エネ賦課金は電力会社がFIT制度で再エネ由来の電力を買い取る際に要する費用を賄うもので、電気料金の値上がりが続く昨今、需要家の大きな負担となっています。

非化石証書制度を導入すれば、証書の売上の一部が再エネ賦課金の原資となるため、単価が下がって需要家の負担を減らせるのです。

非化石証書・グリーン電力証書・J-クレジットの違い

非化石証書と似たものとして、グリーン電力証書とJ-クレジットがあります。どちらも環境価値を可視化して取引できるようにするものですが、それぞれ違いがあります。

非化石証書グリーン電力証書J-クレジット
売り手発電事業者、低炭素投資促進機構証書発行事業者経済産業省・環境省・農林水産省
買い手小売電気事業者、(一部)需要家小売電気事業者、需要家小売電気事業者、需要家
対象電源非化石エネルギー由来の電源
※再生可能エネルギー由来以外の非化石電源(電子力など)も含む
再生可能エネルギー由来の電源のみ
※二酸化炭素の排出量の削減・吸収量が対象
取引形態取引所オークション証書発行事業者から直接購入売り出しオークション
転売××
対応可能な国際的イニシアチブCDP、SBT、RE100
※RE100については、トラッキング付きFIT非化石証書、非FIT非化石証書(再エネ指定)のみ対象
CDP、SBT、RE100 CDP、SBT、RE100
※RE100については、再エネ電力由来のみ対象

グリーン電力証書は再生可能エネルギー由来の電気の環境価値についての証書で、発行事業者が第三者機関である一般財団法人日本品質保証機構の認証を得た上で、発行・取引をします。

非化石証書とグリーン電力証書の大きな違いは、対象となる電気にあります。非化石証書は「二酸化酸素を排出しない非化石電源で発電された電気(再生可能エネルギーはもちろん、原子力発電の電気なども含む)」を対象とする一方で、グリーン電力証書は「再生可能エネルギーによって発電された電気」のみを対象とする点が大きく異なります。

J-クレジットは、国が二酸化炭素の排出削減量や吸収量をクレジットとして認証する制度です。非化石証書とJ-クレジットの大きな違いは、創出できる対象者にあります。非化石証書は発電事業者や低炭素投資促進機構のみが創出できる一方で、J-クレジットはどのような事業者であってもクレジットを創出・取引可能です。

また非化石証書やグリーン電力証書は購入者のみが使用できるものですが、J-クレジットは購入者がさらに転売することもできます。

※資源エネルギー庁.「非化石価値取引市場について」.https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/pdf/049_04_00.pdf , (2021-04-15).

※日本品質保証機構(JQA).「グリーンエネルギー認証」. https://www.jqa.jp/service_list/environment/service/greenenergy/ , (2024-05-30).

※J-クレジット制度.「J-クレジット制度について」. https://japancredit.go.jp/about/outline/ , (2024-05-30).

非化石価値取引市場で取引される3つの非化石証書

非化石証書は3種類に分けられ、対象の電源や証書を売買する主体などが異なります。

FIT非化石証書(再エネ指定)非FIT非化石証書(再エネ指定)非FIT非化石証書(再エネ指定なし)
対象電源FIT電源(太陽光、風力、バイオマス、小水力、地熱)非FIT再エネ電源(卒FIT、大型水力など)非FIT非化石電源(原子力、ごみなど)
証書の売り手低炭素投資促進機構(GIO)発電事業者発電事業者
証書の買い手小売電気事業者、需要家小売電気事業者小売電気事業者
取引される市場再エネ価値取引市場高度化法義務達成市場高度化法義務達成市場
価格の決定方法マルチプライスオークションシングルプライスオークションシングルプライスオークション

FIT非化石証書(再エネ指定)

FIT非化石証書(再エネ指定)は、FIT制度で買い取られた電気の環境価値に対する非化石証書です。対象となる電気は、太陽光発電や風力発電、水力発電、バイオマス発電、地熱発電などが挙げられます。

FIT非化石証書の売り手は、FIT法に基づく費用負担の調整機関である低炭素投資促進機構(GIO)で、再エネ価値取引市場にて、マルチプライスオークション方式で取引されます。マルチプライスオークション方式の詳細については後述します。

非FIT非化石証書(再エネ指定)

非FIT非化石証書(再エネ指定)は、FIT制度で定められた買取期間を過ぎた電気(卒FIT)や、FIT制度の対象とならない電気(大型水力発電)の環境価値に対する非化石証書です。

非FIT非化石証書(再エネ指定)の売り手は発電事業者で、高度化法義務達成市場にて、シングルプライスオークション方式で取引されます。シングルプライスオークション方式の詳細については後述します。

非FIT非化石証書(再エネ指定なし)

非FIT非化石証書(再エネ指定なし)は、FIT制度で買い取られない非化石発電で作られた電気の環境価値に対する証書です。

前述した非FIT非化石証書(再エネ指定)と異なる点として、再エネ由来ではない電気が対象となることが挙げられます。具体的には、原子力発電や廃プラスチックを利用したごみ発電などです。非FIT非化石証書(再エネ指定なし)の売り手は発電事業者で、高度化法義務達成市場にて、シングルプライスオークション方式で取引されます。

トラッキング付きFIT非化石証書とは?

トラッキング付きFIT非化石証書とは、「いつ・どこで・どのような過程で電力が作られた」という属性情報が紐づいた証書のことです。具体的には、以下のような情報が可視化されています。

  • 設備ID
  • 発電設備区分
  • 発電設備名
  • 設置者名
  • 発電出力(kW)
  • 認定日
  • 運転開始日または予定日
  • 設備の所在地
  • 割当量(kWh)

これらの属性情報は、国際的なイニシアチブに参加する条件を満たすために必要です。例えば、企業が事業活動で使用する電気を100%再エネ由来のものにすることを目指すイニシアチブ「RE100」が指定する再生可能エネルギーには、原子力発電を含みません。そのため、発電設備区分を明確に提示して太陽光や水力、風力由来の電力であることを証明する必要があります。また2022年に「技術要件」として、運転開始から15年以内の発電設備から証書を購入することが追加で規程されました。これにより運転開始日または予定日の情報が必要となります。

FIT非化石証書は2019年2月からトラッキングの実証を開始しており、約定量は年々増加傾向にあります。2021年8月からは非FIT非化石証書(再エネ指定)にもトラッキング情報が付与され、企業の再エネ化・脱炭素化を推し進めています。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「FIT非化石証書のトラッキング化について」.https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/033_01_00.pdf ,(2024-12-2).

※参考:一般社団法人 日本卸電力取引所.「非化石価値取引」.https://www.jepx.jp/nonfossil/market-data/ ,(2024-12-02).

2024年に改定されたトラッキングのルール

2024年に改定されたトラッキングのルール

資源エネルギー庁は2024年8月入札分から、非化石証書のトラッキングについてルールの改定を行いました。ここでは一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)の資料を基に、5つの変更点について、詳しく解説します。

※参考:一般社団法人 日本卸電力取引所.「非化石価値取引の改定~全量トラッキングの実現 2024年度分から~」.https://www.jepx.jp/nonfossil/news/pdf/jepx20240304.pdf ,(2024-12-03).

全量トラッキング

これまで、一部の非化石価値にトラッキング情報が付与されていましたが、今後はFIT非化石証書・非FIT非化石証書(再エネ指定あり・なし)を含めた全ての非化石価値にトラッキング情報が付与されることになりました。トラッキング情報の詳細は以下の通りです。

  • 発電設備区分
  • 発電所名
  • 発電所所在地
  • 運転開始後15年未満か否か

これにより、国際的イニシアチブに対応可能な非化石価値が増え、日本におけるカーボンニュートラルを実現しやすくなるでしょう。

費用の見直し

今後非化石価値取引がさらに活性化することを見据え、トラッキングにかかる費用のあり方が見直されました。具体的な変更点は以下の通りです。

改訂前改訂後
年会費12万円60万円
売買手数料0.01円/kWh0.001円/kWh
非化石証書発行手数料販売証明書:1万円
トラッキング付き非化石証書:無料
トラッキング付き非化石証書:無料

売買手数料よりも固定費である年会費の負担が増え、その費用は口座管理費などに充てられるとのことです。また非化石価値を購入する小売事業者や需要家だけではなく、発電事業者も会員となり年会費を負担することになりました。

さらに、2024年度から年会費の期間を非化石価値の取引期間と合わせて、8月から翌年7月とする点も変更となっています。

トラッキング付与の方法

これまで、非化石証書を購入する際は「トラッキングの申請→トラッキングの割当を確認→JEPXにて電力量の入札→約定→トラッキングの付与・非化石証書の発行」と5段階のステップを踏む流れでしたが、申請から付与までのプロセスが長いことが課題となっていました。今回そのフローが見直され、今後は電力量入札時にトラッキングの希望項目を選択し、約定後に希望に基づきトラッキングが付与される、2段階のステップへと変更されました。

またトラッキングに関する優先割り当ては、再生可能エネルギー電気特定卸供給契約に基づく割当・小売買取・発電事業者との個別合意の3種類がありましたが、今後は以下のように変更されます。

  • 小売買取、個別合意に基づく優先割り当ては、基本的に廃止(ただし、一定の条件を満たすものについては経過措置あり)
  • 希望するトラッキングの優先度は、約定価格(非FITは入札価格)の高い順となる
  • 約定価格が同一の場合は、約定量に応じて按分する
  • 希望が実現できない場合、無作為に割り当てられる

再生可能エネルギー電気特定卸供給契約に基づく割当は継続されますが、申請が必要となるので、詳しくはJEPXへお問い合わせください。

※参考:一般社団法人 日本卸電力取引所.「FITトラッキング【優先割当】申請説明資料」.https://www.jepx.jp/nonfossil/news/pdf/jepx20240408.pdf ,(2024-12-03)

非化石価値の証書化

非化石価値は、これまで保有のみで「保有量証明書」によって価値認定を行っていましたが、今後は非化石価値の利用確定処理を行い、PDFの証明書として発行することで利用できるようになります。

証書化するステップが必要となったので、注意が必要です。

非化石価値の利用方法

今回から利用目的別に証書化の方法が変わります。

購入した非化石価値を需要家として利用する場合は、証書化する際に需要家(法人のみ)の情報を入力します。代理購入事業者として調達する場合も、実際に非化石価値を利用する需要家(法人のみ)の情報を入力します。代理購入事業者として調達する場合、扱えるのはFIT非化石価値のみです。

また小売電気事業者が自社で提供する電力小売メニューに非化石価値を付加する場合は、小売電気事業者とメニューの情報を入力します。代理購入事業者として他社が供給する電力小売メニューに非化石価値を付与する場合も、実際に電力小売メニューを提供する小売電気事業者とメニューの情報を入力します。こちらも代理購入事業者として調達する場合、扱えるのはFIT非化石価値のみです。

ルール改定の影響

ルール改定後初となる、2024年8月31日の市場取引結果を見てみましょう。

再エネ価値取引市場では、2023年第1回入札と比較して約定量が約2倍に増加し、買い入札に参加する企業も20%ほど増えました。買い入札の内訳を見てみると、全体の83%が運転開始15年以内を満たす電源に集中しており、RE100基準を満たす非化石証書のニーズの高まりが伺えます。電源種別では、太陽光と水力の約定率が高くなっており、売り入札に対して50〜90%の割合で約定していました。

高度化法義務達成市場のうち、非FIT非化石証書(再エネ指定)は、2023年第1回入札と比較して約定量が3倍近く増加しました。一方で、再エネ指定なしは1年前と比較して約定量が110億kWhも減少。こちらも国際的イニシアチブへ対応できる非化石証書かどうかによって、約定量に差が出る結果となりました。

※参考:資源エネルギー庁.「非化石価値取引について」./https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/pdf/096_04_02.pdf ,(2024-09-27).

非化石価値取引市場とは?

非化石価値取引市場とは?

非化石価値取引市場とは、その名の通り、非化石証書を取引するための市場です。2018年にJEPXによって開設され、当初は小売事業者向けの市場でしたが、需要家の脱炭素化へのニーズが増加したことで見直され、現在は以下の2つの市場に分かれています。

  • 再エネ価値取引市場
  • 高度化法義務達成市場

再エネ価値取引市場

再エネ価値取引市場は、売り手である低炭素投資促進機構(GIO)から、小売電気事業者と需要家が非化石証書を直接購入できる市場です。RE100への参加など、需要家の再エネ由来の電気の必要性が高まってきたことを受け、2021年11月に開設されました。

再エネ価値取引市場の取引対象は、FIT電源です。FIT電源とは、再生可能エネルギー由来の電源で、かつ、「FIT制度」によって買い取られたものを指します。

高度化法義務達成市場

高度化法義務達成市場は、市場が2つに分かれる前の非化石価値取引市場を引き継いだ市場で、先述した高度化法が定めている小売電気事業者の非化石電源比率目標を達成することを目的としていることから、小売電気事業のみが非化石証書を購入できます。

高度化法義務達成市場の取引対象は、非FIT電源です。非FIT電源とは、再生可能エネルギー由来の電源のうち、FIT制度の適用を受けていないものを指します。

非化石価値取引市場の仕組み

再エネ価値取引市場と高度化法義務達成市場では、オークションの方式が異なります。

再エネ価値取引市場:マルチプライスオークション方式

再エネ価値取引市場

再エネ価値取引市場では、FIT非化石証書(再エネ指定)がマルチプライスオークション方式で取引されます。

マルチプライスオークション方式とは、売り手が価格を提示せずに出品し、買い手が希望価格を示すものです。売り手と買い手の合意に基づいて価格が成立するため、需要と供給に応じて価格が変動します。

高度化法義務達成市場:シングルプライスオークション方式

高度化法義務達成市場

高度化法義務達成市場では、非FIT非化石証書(再エネ指定)と非FIT非化石証書(再エネ指定なし)が、シングルプライスオークション方式で取引されます。

シングルプライスオークション方式では、入札価格に関わらず、全ての参加者が約定価格(シングルプライス)で取引を行います。全ての入札情報をもとに、売り注文と買い注文が交差する点を算出し、その価格が約定価格となります。

非化石証書の価格と約定量の推移

非化石証書の約定価格や約定量は、JEPXのWebサイトで確認できます。これから非化石証書の購入を検討している企業は参考にしてみてください。

※参考:一般社団法人 日本卸電力取引所.「非化石価値取引」.https://www.jepx.jp/nonfossil/market-data/ ,(2024-12-03).

FIT非化石証書(再エネ指定)

2022年度・2023年度・2024年度のFIT非化石証書(再エネ指定)の約定価格と約定量の推移は、以下の通りです。

年度約定日約定量(kWh)約定価格(/kWh)約定最高価格(/kWh)約定最安価格(/kWh)
2022年度第1回(2022/8/31)3,258,642,2010.30円1.00円0.30円
第2回(2022/11/30)3,293,362,6750.30円0.50円0.30円
第3回(2023/2/28)5,393,865,7710.30円0.80円0.30円
第4回(2023/5/25)4,370,356,6790.30円4.00円0.30円
2023年度第1回(2023/8/31)8,505,485,1670.41円4.00円0.41円
第2回(2023/11/30)8,759,781,2170.40円0.50円0.40円
第3回(2024/2/29)8,167,745,8180.40円0.60円0.40円
第4回(2024/5/24)8,408,544,7540.40円1.00円0.40円
2024年度第1回(2024/8/30)14,378,652,7370.40円0.61円0.40円
第2回(2024/11/29)11,647,557,6280.40円0.60円0.40円

非FIT非化石証書(再エネ指定)

2022年度・2023年度・2024年度のFIT非化石証書(再エネ指定)の約定価格と約定量の推移は、以下の通りです。

年度約定日約定量(kWh)約定価格(/kWh)
2022年度第1回(2022/8/30)315,031,0340.60円
第2回(2022/11/29)3,565,550,0500.60円
第3回(2023/2/27)1,836,1031.30円
第4回(2023/5/24)853,962,5651.30円
2023年度第1回(2023/8/30)628,498,1200.60円
第2回(2023/11/29)76,441,5390.60円
第3回(2024/2/28)852,404,3760.60円
第4回(2024/5/23)148,849,1520.60円
2024年度第1回(2024/8/29)1,731,744,2340.60円
第2回(2024/11/28)1,166,278,0830.60円

非FIT非化石証書(再エネ指定なし)

2022年度・2023年度・2024年度のFIT非化石証書(再エネ指定)の約定価格と約定量の推移は、以下の通りです。

年度約定日約定量(kWh)約定価格(/kWh)
2022年度第1回(2022/8/29)4,361,0000.60円
第2回(2022/11/28)2,157,383,3030.60円
第3回(2023/2/24)136,001,1861.30円
第4回(2023/5/23)1,204,474,4341.30円
2023年度第1回(2023/8/29)11.343.854,9740.60円
第2回(2023/11/28)220,0000.60円
第3回(2024/2/27)304,724,3020.60円
第4回(2024/5/22)22,127,9980.60円
2024年度第1回(2024/8/28)262,301,4280.60円
第2回(2024/11/27)134,855,0940.60円

非化石証書の取引方法

企業が非化石証書を調達するには、以下の3つの方法があります。それぞれメリットやデメリットが異なるので、慎重に比較しましょう。

直接取引

直接取引とは、市場を介さずに発電事業者と直接交渉をして調達する方法です。相対取引とも呼ばれます。双方の合意のもと交わされる契約書に基づいて売買を行うので、市場の影響を受けない点がメリットです。取引価格や条件設定、取引量などを調整しやすく、柔軟性の高さも魅力といえます。

ただし、発電量不足などによる証書不足が起こるリスクがある点には注意が必要です。

市場取引

市場取引とは、企業が再エネ価値取引市場に参加して、非化石証書を購入する方法です。代理購入事業者に非化石価値の調達を依頼する際にかかる手数料は抑えられますが、自社で市場取引を行うにはJEPX会員になる必要があります。

会員加入の承認を受けたら、入会金10万円と年会費60万円を負担しなければならないため、一定以上の購入量がある大企業に適した方法といえます。

代理購入事業者を介して調達する

代理購入事業者を通して非化石証書を購入する方法もあります。以下に挙げるような手間のかかる業務を代理購入事業者が行ってくれるため、スムーズに非化石証書を調達できます。

  • JEPX市場への会員登録のための書類作成
  • 複雑な入札業務
  • 非化石証書に関する最新情報のチェック

ただし、代理購入事業者に支払う手数料が加わるため、直接購入よりも費用がかかる傾向にあります。

企業が非化石証書を購入するメリット

ここまで、非化石証書の役割や種類、調達方法について解説してきましたが、一般企業が積極的に非化石証書を購入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは代表的な6つのメリットについて解説します。

化石燃料への依存度を下げられる

1970年代に起こったオイルショック以降、日本政府はエネルギー政策の見直しを進めていましたが、2011年の東日本大震災により国内の原子力発電所の多くが停止、再び化石燃料への依存度が高まりました。化石燃料による発電はエネルギーの変換効率が高く、安定した電気量を確保できますが、CO2を大量に排出するため、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて徐々に割合を減らしていく必要があります。

先述の通り、非化石証書は化石燃料以外のエネルギーから発電された電気が有している非化石価値(環境価値)を証書化したものです。非化石価値を目に見える形にして値段を付けることによって、再生可能エネルギーによる発電を促進するため、結果的に化石燃料への依存度を下げられます。

企業が非化石証書を購入してニーズがますます高まれば、化石燃料の発電比率削減に貢献できるでしょう。

温暖化対策推進法の対策ができる

1998年に施行された温暖化対策推進法(温対法)では、温室効果ガスを多量に排出する企業に対して、排出量を算定し国に報告することを義務付けています。温対法に基づく報告書に、非化石証書の保有状況を反映させれば、温室効果ガスの排出量を削減できます。

東証プライム市場の上場企業はTCFDの開示に対応しやすくなる

東京証券取引所のプライム市場に上場している企業には、コーポレートガバナンス・コード(企業統治のガイドライン)によって、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示が実質的に義務化されました。TCFDとは、企業の気候変動のリスクと機会について、以下の4項目における取り組みを具体的に開示することを推奨する国際的な組織のことです。

  • ガバナンス:気候変動に対してどのような体制で検討し、どのように経営へ反映しているか
  • 戦略:短期・中期・長期にわたり事業や財務計画に、どのような影響を及ぼすか
  • リスクマネジメント:気候変動のリスクをどのように特定・評価し、低減していくか
  • 指標と目標:リスクと機会に対して、どのような指標を用いて進捗を評価するか

TCFDは2023年に解散し、新たに設立されたISSB(国際サステナビリティ基準委員会)へその役割を移行しました。これによる上場企業への対応はまだ公表されていませんが、ISSBが定めた新しい開示基準「IFRS S2号」に即した開示の質や量を求められたり、S3・S4と開示基準が増えたりする可能性もあるので、早めに適用を進めるのが望ましいでしょう。

段階的に実質再エネ化を進めやすい

非化石証書は、1kWh単位で購入量を決めることができます。そのため、企業が立てた再エネ化の指標や目標に基づいて、足りない分だけを補ったり予算に合わせて段階的に増やしていったりすることが可能です。

また企業がテナントビルに入っており、単独では電力会社を変更できなかったり太陽光発電システムなどの導入ができなかったりする場合も、非化石証書は活用しやすいです。非化石証書のみを調達することができるので、既存の電力契約を変更することなく再エネ化を実現できるでしょう。

企業イメージが向上する

非化石証書を利用してCO2排出量の削減に取り組んでいることを社外へ公表することで、環境問題に取り組む姿勢をアピールでき、企業イメージを向上できます。また温対法に基づく報告書を提出した企業の情報は国が集計して公表しているので、高い実績を報告できれば、環境負荷の低減に貢献した企業としてのイメージも付くでしょう。

消費者や取引先の印象が良くなるだけではなく、環境への配慮が評価され、サプライチェーン全体でCO2排出量削減に取り組んでいる大企業と取引が行える可能性も高まります。さらに、近年は若者の間で、企業の地球環境保全への取り組みや社会貢献活動を重視して就職活動をする「エシカル就活」が徐々に広まりつつあるため、採用においても有利に働くでしょう。

投資家からの評価が高まる

近年、環境問題や労働問題、人権問題などに積極的に取り組む企業へ投資をする「ESG投資」がトレンドになっています。このような中長期的な問題について真摯に取り組む企業こそが持続可能であり、成長していけるという考えに基づいています。

非化石証書を活用して自社のCO2排出量を削減できれば、投資家から高い評価を得られるでしょう。投資家は企業が公表する情報はもちろん、RE100やSBTといった国際的イニシアチブへの参加状況や公表内容を見て評価をします。非化石証書を活用するなら、こうしたイニシアチブへの参加を前提に非化石証書の種類を選定するのがよいでしょう。

企業が非化石証書を購入する際の注意点

企業が非化石証書を購入する際の注意点

非化石証書には多くのメリットがありますが、実際に購入して活用する際に注意しておきたいポイントもあります。

市場価格が変動するリスクがある

先述した通り、非化石証書の約定価格は入札の結果によって大きく変動する可能性があります。例えば、2022年度のFIT非化石証書の約定価格を見てみると、同じオークションでも約定最高価格と約定最低価格に1〜3円程度の差が出ています。非FIT非化石証書(再エネ指定)の約定価格も、2022年度の第2回入札では0.60円/kWhだったのが第3回入札では1.30円/kWhへ上がり、2023年度第1回入札では再び0.60円/kWhへと下がっています。

タイミングによっては、非化石証書を購入する予算を上回ってしまう場合がある点に注意が必要です。

※参考:一般社団法人 日本卸電力取引所.「非化石価値取引」.https://www.jepx.jp/nonfossil/market-data/ ,(2024-12-03).

発電種別や発電所所在地などの情報をよく確認する

非化石証書は、種類によって発電方法や発電場所、施設の稼働年数が異なります。RE100への報告に利用したい、エネルギーの地産地消を行いたいなど非化石証書を利用する目的に合わせて、条件に合致した非化石証書であるかをしっかり確認しましょう。

2024年度から全量トラッキングが始まり、企業が入札時に希望する条件を指定することができるようになったためリスクは減りましたが、代理購入事業者を利用する場合は、あらかじめきちんと条件を伝えておく必要があるでしょう。

購入した証書の期限が切れる前に使用する

非化石価値取引市場は8月、11月、2月、5月の年4回開催されます。ただし、どのタイミングで購入したとしても、非化石証書の有効期限は次の6月末です。

5月のオークションで購入した非化石証書は、使用期限まで1カ月程度しかないため、期限切れにならないよう注意が必要です。

伊藤忠エネクスの環境価値オプション(非化石証書の代理購入)

伊藤忠エネクスでは、お客さまの使用電力量に合わせて「トラッキング付きのFIT非化石証書(再エネ指定)」を調達することができます。RE100に対応した「運転開始から15年以内の発電所」由来の非化石証書の調達も可能ですので、非化石証書の購入を検討している企業のご担当者さまは、お気軽にご相談ください。

まとめ

2050年カーボンニュートラルへ向けて、脱炭素経営に取り組んでいる企業も多いでしょう。電力由来のCO2排出量を削減したいなら、電力会社が提供している環境価値のある電気料金プランを契約するのが一般的です。しかし、こういった料金プランが脱炭素化に関するイニシアチブ全てに対応しているわけではありません。例えば、RE100に参加するには、先述した通り、トラッキング付きのFIT非化石証書(再エネ指定)が必要です。

非化石価値取引市場で一般企業が非化石証書を直接購入するには、さまざまな対応が必要で、手間がかかります。スムーズに非化石証書を調達したいという場合は、ぜひ、伊藤忠エネクスの法人向け電力販売サービス「TERASELでんきforBiz」の環境価値オプションをご利用ください。RE100に対応した「運転開始から15年以内の発電所」由来の非化石証書の調達も可能です。

また自社の再エネ比率を高めたいという場合には、自家消費型太陽光発電システムのTERASELソーラーを導入するという方法もあります。「TERASELでんきforBiz」と併せてご契約いただければ、使用電力を100%再生可能エネルギーにすることも可能です。脱炭素経営の取り組みについても、貴社に適したご提案ができますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

TERASELソーラー(自家消費型太陽光発電システム)

03-4233-8055 平日9:00〜17:30
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