電力のピークカット・ピークシフトとは? コツを理解して高圧の電気料金を効率的に削減!

電力のピークカット・ピークシフトとは? コツを理解して高圧の電気料金を効率的に削減!

伊藤忠エネクス メディア編集部

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来 「 社会とくらしのパートナー」として 全国各地の地域に根ざし生活に欠かせないエネルギーをお届けしてまいりました。 老舗エネルギー商社ならではの情報を発信します。

企業にとって、近年の電気料金の値上がりは無視できない問題です。電気料金の削減方法にはさまざまなものがありますが、企業にとって取り組みやすいのが電力のピークカット・ピークシフトです。この2つの手法は電気料金の削減効果が高いといわれているので、具体的な導入方法を知りたい企業も多いでしょう。

本記事では、電力のピークカット・ピークシフトの仕組みや実施によって得られる効果、具体的な実施方法を分かりやすく解説します。電気料金削減のための取り組みを検討している企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

※2024年12月時点の情報です

ピークカットとは?

ピークカットとは

ピークカットとは、1日のうちで最も使用電力が多い時間の消費電力を抑え、1カ月の最大需要電力(最大デマンド値)を下げることです。

デマンド値とは、30分間の使用電力の平均値です。1日を30分1コマで区切ると48コマ、1カ月を30日とすると1,440コマとなります。その中で最も大きい値がその月の最大需要電力です。高圧電力や特別高圧電力はこの最大需要電力を考慮して契約電力が決まるため、電気料金の基本料金に影響します。

ピークカットを行って1カ月の最大需要電力を下げれば、基本料金を抑えることができるため、電気料金の削減が可能です。またピークカットを導入すると、使用電力量自体も削減できるので、電気料金の削減効果を感じやすいでしょう。

ピークシフトとは?

ピークシフトとは?

ピークシフトとは、1日で最も使用電力が多い時間帯の消費電力を、他の時間帯に分散させることです。

ピークシフトを行うと、1日の使用電力量を変えずにデマンド値を下げることができ、基本料金を抑えることができます。また電気量料金単価は、使用電力量が多いピーク時間と昼間時間、夜間時間などで異なる単価になっているケースも多いです。電気料金が高いピーク時間の使用電力量を減らし、電気料金が安い時間にシフトすることで、時間帯別単価の差額分の電力量料金を削減することも可能です。

ピークカットは1日の中で最も使用電力が多い時間の消費電力を抑える必要がありますが、ピークシフトは1日の使用電力量は変わりません。そのため、使用電力量自体を削減するのは難しい企業でも導入しやすいです。

ピークカット・ピークシフトの導入で電気料金を削減できる仕組み

ピークカット・ピークシフトの導入が電気料金の削減につながる仕組みを、さらに詳しく見ていきましょう。

基本料金の削減

高圧電力・特別高圧電力の基本料金は、「基本料金単価 × 契約電力 × 力率割引および割増」で算出するのが一般的です。

先述した通り、1カ月の中で最も大きいデマンド値がその月の最大需要電力になりますが、基本料金の計算に用いられる契約電力は、当月だけではなく、当月を含めた過去12カ月間で最も大きい最大需要電力に基づいて決定されます。そのため、たった30分でもデマンド値が大きくなってしまうと、以降1年間の契約電力が大きくなり、基本料金も高くなってしまうのです。

逆にピークカットやピークシフトを導入してデマンド値を抑えれば契約電力も抑えることができるので、基本料金の削減が可能なのです。

電力量料金の削減

高圧電力・特別高圧電力の電力量料金は「電力量料金単価 × 使用電力量」で算出されます。電力量料金の削減の仕組みは、ピークカットとピークシフトで異なります。

ピークカットの場合、1日の中で最も使用電力が多い時間帯の消費電力を抑えるため、使用電力量が減り、その分の電力量料金を削減可能です。またデマンドレスポンスを実施している電力会社と契約している場合は、デマンドレスポンスに参加して目標値を達成することで、インセンティブを受け取ることができます。

デマンドレスポンスとは、電気の需給バランスを取るために、需要家が消費量を制御することで、発電量に消費量を合わせる取り組みです。節電プログラムの一環として、指定の時間の消費電力を抑え、目標を達成できたら電気料金を割引するというデマンドレスポンスを実施している電力会社も多くあります。

ピークシフトの場合は、前述した通り、電力の使用を電力量料金単価が高い時間帯から安い時間帯にシフトさせることで、電力量料金を削減できます。一例として、東京電力の業務用季節別時間帯別電力(契約電力500kW以上)の電力量料金を見てみましょう。

【2025年4月1日から適用の業務用季節別時間帯別電力(契約電力500kW以上)電力量料金】

時間帯単位単価
ピーク時間
※夏季平日(土曜含む)の13〜16時
1kWh22円81銭
昼間時間
※平日(土曜含む)の8〜22時
※ピーク時間を除く
夏季(7月1日~9月30日)1kWh22円10銭
その他季1kWh20円67銭
夜間時間
※ピーク時間および昼間時間以外の時間
※日・祝、1月2・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は全日夜間時間
1kWh15円35銭

このように同じ夏季だったとしても、ピーク時間と夜間時間では7円46銭も単価が異なります。単価で見るとそれほど大きな差には感じないかもしれませんが、高圧電力や特別高圧電力は使用電力量が多いため、ピークシフトを実現できれば大幅に電力量料金を削減できる可能性があります。

※参考:東京電力エナジーパートナー.「電気料金単価表(特別高圧・高圧)」.https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2024/pdf/24×1303.pdf ,(2024-12-18).

ピークカットの導入方法

企業が取り組める、ピークカットの主な導入方法は以下の通りです。

  • 太陽光発電システムで作った電気を自家消費する
  • デマンドコントローラーを導入する
  • 節電を行う

取り組みやすいのは節電ですが、その他の2つの方法も同時に行うことで、より効果的に使用電力を抑えることができるでしょう。

ここからは、上記3つの方法の実施を支援する伊藤忠エネクスのサービスをご紹介します。

伊藤忠エネクスのTERASELソーラー

伊藤忠エネクスのTERASELソーラーは、初期投資不要で自家消費型の太陽光発電システムを導入できるサービスです。自社の建物の屋根の上や敷地内の遊休地などに太陽光発電システムを設置し、発電した電力を自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らすことができます。

お支払い方法には定額のエネルギーサービス料をお支払いいただく「エネルギーサービス」と、自家消費した電気量×固定単価をお支払いいただく従量払いの「PPA」の2種類があります。月額の費用はかかるものの、初期投資が不要で買電量を抑えることができるため、トータルでコスト削減ができる可能性や企業の脱炭素経営が期待できます。

TERASELソーラー(自家消費型太陽光発電システム)

03-4233-8041 平日9:00〜17:30

伊藤忠エネクスのデマンドコントローラー

デマンドコントローラーとは、デマンド値をリアルタイムでモニタリングし、あらかじめ設定した値に近づくと自動で設備の出力を制御してくれるシステムのことです。

伊藤忠エネクスでは、空調設備に特化したデマンドコントローラー「Ai-Glies」をご提案しています。資源エネルギー庁によると、夏季17時頃のオフィスビルで消費される電力の48.6%は空調が占めています。「Ai-Glies」なら、消費電力割合の高い空調設備を自動で制御してデマンド値を抑えることが可能です。室外機に設置した制御器で気候や温度に合わせて空調の温度を自動調整するので、デマンド値を抑えつつも室内を快適に保つことができます。

デマンドコントローラーに関するお問い合わせ

03-4233-8041 平日9:00〜17:30

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「夏季の省エネ・節電メニュー」.https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230609003/20230609003-6.pdf ,(2024-11-12).

伊藤忠エネクスの省エネルギー商材 斡旋サービス

今使用している照明や空調などを省エネ性能の高いものに切り替えるだけで、職場の環境を大きく変えることなく、使用電力を抑えられます。環境省によると、一般電球の年間消費電力量は108kWhですが、電球型のLEDはわずか15kWhで、約86%も消費電力を抑えられます。しかし、全ての照明をLEDに変えるとなると導入費用がかさんでしまうため、なかなか入れ替えられないという企業もあるでしょう。

伊藤忠エネクスの提供している「省エネルギー商材 斡旋サービス」なら、初期費用ゼロで最新の省エネ設備を導入できます。5年間ご利用いただくと設備の所有権は契約者に移り、6年目からはサービス利用料金もかからなくなるため、さらなるコスト削減が可能です。

※参考:デコ活 くらしの中のエコろがけ.「LEDランプ」.https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/ledlight01.html ,(2024-11-12).

ピークシフトの導入方法

企業が取り組める、ピークシフトの主な導入方法は以下の通りです。

  • 電力の使用状況を見える化し、設備の稼働時間を使用電力の多い時間から少ない時間に変更する
  • エアコンなど起動時に多くの電力を消費する設備は、使用電力の少ない時間帯に起動時間を変更する
  • 蓄電池を導入して電力量料金が安い時間に充電し、使用電力の多い時間帯に蓄電池の電力を使用する

自社の電力使用状況を踏まえ、無理なく実践できそうな方法を検討してみてください。

まとめ

ピークカットやピークシフトを実現すれば、デマンド値が大きくなるのを防いで基本料金を抑えられます。また同時に電力量料金も減らせるので、効率的に電気料金を削減できます。電気料金の値上がりにお悩みの企業は、ぜひ本記事を参考にピークカットやピークシフトに取り組んでみてください。

伊藤忠エネクスでは、以下に挙げるようなピークカットに適したサービスを提供しています。

お客さまの業種や電力の使用状況などを踏まえて、さまざまなエネルギーソリューションの中から適切なご提案をいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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