再生可能エネルギーとは?種類やメリット・デメリットを徹底解説!

再生可能エネルギーとは?種類やメリット・デメリットを徹底解説!

伊藤忠エネクス メディア編集部

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地球温暖化対策のための「カーボンニュートラル」や持続可能な社会の実現が求められている現在、環境にやさしい再生可能エネルギーの導入が国や自治体レベルで、また企業レベルでも注目されています。再生可能エネルギーと一口に言ってもその種類はさまざまで、利用するエネルギー源によって特徴も異なります。

本記事では、再生可能エネルギーの種類やそれぞれの特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。

再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギー(再エネ)とは
利用するスピードよりも速く再生産され、資源が枯渇せず永続的に利用できる自然由来のエネルギーのことです。

地球温暖化を引き起こす主因である温室効果ガス(CO2など)を排出せず、また国内で調達できることから、近年注目が集まっています。

再生可能エネルギーは日本でも少しずつ普及しつつあり、資源エネルギー庁の資料によると、日本における再生可能エネルギーの電力比率は2020年度で約20%となっています。再生可能エネルギーの発電設備容量は世界第6位で、太陽光発電に関しては中国、アメリカに次ぎ世界第3位です。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「日本のエネルギー 2022年度版 『エネルギーの今を知る10の質問』」(参照2023-7-14).

https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2022/007/

再生可能エネルギーが注目される理由

再生可能エネルギーが注目されている大きな理由は、やはり温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーであるからです。現在、異常気象の頻発など、気候変動に関するさまざまなリスクが世界的に顕在化しています。こうした状況を受け、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出を削減するべく、世界中で脱炭素の取り組みが加速しています。

日本においても脱炭素社会の実現に向けて、2050年までにCO2の排出量を実質的にゼロにすることを目指す「カーボンニュートラル」が掲げられています。この目標を達成するためには、火力発電の発電割合を縮小し、再生可能エネルギーの利用を大きく促進することが欠かせません。

また日本は資源が少ないためエネルギーの自給率が低く、石油や天然ガスをはじめとした化石燃料の大部分を輸入に頼っています。近年は地政学リスクが高まっていることもあり、海外からの化石燃料の供給が途絶える事態も想定し、国内で調達可能なエネルギー源をいかに確保するかが重要になっています。

こうした現状において、純国産エネルギーとなる再生可能エネルギーの存在は非常に重要です。再生可能エネルギーの普及を促進するため、再生可能エネルギーを電力会社が一定価格で買い取るFIT制度(固定価格買取制度)を導入するなど、国もさまざまな施策を実施しています。

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーは、自然界に存在するあらゆるエネルギーを活用するものであり、その種類はさまざまです。ここでは資源エネルギー庁による定義をもとに、主な再生可能エネルギーの種類をご紹介します。

※以下参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「再生可能エネルギーとは」.(参照2023-7-14)

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/

太陽光発電

1つ目は、太陽光による発電です。太陽の光が専用のパネルに取り付けられた太陽電池(半導体素子)に当たることで、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換します。日本は太陽光発電に関して高い導入実績を誇っており、その導入容量は中国、アメリカに次いで世界第3位です。

太陽が出ていればいつでもどこでも発電できることや、ビルや住宅の屋根といった比較的狭いデッドスペースでも、パネルさえ設置できれば発電できることが特長です。オフィスや自宅などに設置することで、停電時の非常用電源として活用できる点もメリットとして挙げられます。

一方で、天候によって発電量が左右されやすく、また設備コストが比較的高い点などがデメリットです。


太陽光発電については、以下の記事で詳しく解説しています。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「日本のエネルギー 2022年度版 『エネルギーの今を知る10の質問』」(参照2023-7-14)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2022/007/

風力発電

2つ目は、風の運動エネルギーを利用する風力発電です。風の力で風車を回すことで、その回転エネルギーを電気エネルギーに変換します。

太陽光発電とは異なり夜間であっても発電でき、海洋上にも設置できることが特長です。日本では陸上風力発電の導入が進んでいるものの、風力発電に適した土地が限られていることから、今後は洋上風力発電の割合が増加すると予想されています。

また電気エネルギーの変換効率が高く、大規模な発電施設を整備すれば火力並みの発電コストを実現できますが、設備の開発コストが高い点がデメリットです。


風力発電については、以下の記事で詳しく解説しています。

バイオマス発電

3つ目は、再生可能な生物資源を用いたバイオマス発電です。動植物から生まれた資源を直接燃やす、あるいは、ガス化した上で燃焼することで得られる熱エネルギーを利用し、タービンを回して発電します。

発電の過程で資源を燃やしますが、バイオマスが成長する過程で燃焼時に排出するCO2と同量のCO2を吸収するため、「京都議定書」においてCO2を排出しないクリーンな発電方法であると定義されています。

食品廃棄物や動物の排泄物、下水汚泥など、これまで廃棄されていたものを活用するため、循環型社会を実現する手段としても注目されています。一方、資源の収集・運搬・管理に手間やコストがかかる点がデメリットです。


バイオマス発電については、以下の記事で詳しく解説しています。

水力発電

4つ目は、水流の力を活用した水力発電です。高い場所から水を落とす際の位置エネルギーにより水車を回し、その回転エネルギーを電気エネルギーに変換します。

多くの河川が流れる水資源に恵まれた日本では古くから導入されており、高い技術力を持っています。また一度発電所を建設すれば長期間にわたって発電でき、天候などの自然状況に関わらず安定したエネルギーの供給が可能です。

一方で、ダムなどの発電設備が大型になるため、初期費用が高く、河川や周辺環境の調査、地元での水利権の調整など、事前の手間やコストが多くかかります。近年では、中小規模の発電施設の建設が活発です。


水力発電については、以下の記事で詳しく解説しています。

地熱発電

5つ目は、地下の熱源を活用した地熱発電です。地下深くにある高熱の蒸気や熱水の持つ熱エネルギーでタービンを回して発電します。

火山地帯が多い日本に適した発電方法であり、天候などの影響を受けにくいことや、昼夜を問わず安定して発電できる点がメリットです。一方で、発電施設建設のための初期費用が高いことや運用開始までに長い時間がかかること、温泉施設などと隣接する可能性が高いため、地元の事業者との調整が必要なことなどがデメリットとして挙げられます。

太陽熱発電

6つ目は、太陽の熱エネルギーで発電する太陽熱発電です。太陽光発電と混同されがちですが、太陽熱発電は太陽光を集めることで生まれる熱によってタービンを回して発電するため、仕組みが異なります。

太陽光発電よりもエネルギーの変換効率が良く、熱を蓄えておくこと(蓄熱)ができるため、夜間や雨天でも発電が可能です。しかし、湿度が高い環境では発電効率が悪いことや、発電には集熱装置を設置するための広い平地が必要とされることから、年間を通じて湿度が比較的高く、広い平地の少ない日本での導入にはあまり向いていません。


太陽熱発電については、以下の記事で詳しく解説しています。

その他の再生可能エネルギー

ここまでご紹介した以外にも、雪氷熱や温度差熱、地中熱、空気熱といった再生可能エネルギー源があります。

また海面の温かい海水と深海の冷たい海水の温度差を利用する海洋温度差発電や、海の潮位差を利用した潮汐力発電、海流による海水の運動エネルギーを活用する海流発電など、海が持つエネルギーを活用した発電方法の研究も進められています。

その海が持つエネルギーを活用した発電方法の中でも注目を集めているのが、波の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する波力発電です。波は永続的に生じるためエネルギーの枯渇の心配がなく、安定したエネルギーの確保が可能であり、また他の再生可能エネルギーと比べてエネルギー効率が優れている点も特長です。

一方で、設置や維持のコストが高いことや、漁業との共存をどのように図るかといった課題があります。


波力発電については、以下の記事で詳しく解説しています。

再生可能エネルギーのメリット

再生可能エネルギーの主なメリットとしては、以下の4つが挙げられます。

  • 環境にやさしい
  • エネルギー自給率アップを図れる
  • エネルギー源が枯渇しない
  • 国が支援する制度が多くある

環境にやさしい

再生可能エネルギーは地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しないことはもちろん、大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)も排出しません。また原子力発電のように放射性廃棄物を生み出す心配もないため、従来の発電方法に比べて環境にやさしい点が大きなメリットです。

地球温暖化対策やSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みなどが求められる中、時代の要請に合った発電方法として、今後さらなる普及が期待されます。

エネルギー自給率アップを図れる

先述した通り、石油や天然ガスなどの化石燃料は埋蔵地域が偏っており、日本はその多くを輸入に頼っています。一方、再生可能エネルギーは太陽光や風力などどこにでもあるエネルギー源を利用するため、活用を推進することでエネルギー自給率を高めることができます。

エネルギー自給率が高まることで、例えば中東で紛争が起き石油が輸入できなくなるといった、世界の地政学リスクの影響を下げることができ、企業活動の将来的な見通しを立てやすくなります。

エネルギー源が枯渇しない

エネルギー源が枯渇しないことも再生可能エネルギーの大きなメリットです。化石燃料は採掘を続けていればいつか枯渇する日がやってきますが、再生可能エネルギーは半永久的に利用でき、循環型社会の構築に役立ちます

また石油や石炭は、供給不足などにより価格が上昇することがよくありますが、実際に枯渇が近づけば、さらに急激に価格が高騰することも予想されます。こうしたエネルギー価格の変動が生じにくい点もメリットの1つです。

国が支援する制度が多くある

再生可能エネルギーの導入は、カーボンニュートラルや持続可能な社会を目指す上で非常に重要であるため、国も補助金や税制優遇といったさまざまな支援制度を整えています。

後述するように、再生可能エネルギーは初期費用が高い点がデメリットですが、導入を後押しする制度を有効活用することで、初期投資を抑えることが可能です。

再生可能エネルギーのデメリット・注意点

再生可能エネルギーには、以下のようなデメリットや注意点もあります。

  • 発電量が変動しやすい
  • 初期費用・発電コストが高い
  • 国や県の許認可などの手続きが必要

発電量が変動しやすい

再生可能エネルギーは、天候や季節などの自然状況によって発電量が左右されやすい特徴があります。そのため電力の需要と供給のバランスを一定に保つための対策が必要です。

例えば、暖房の使用などで電力需要の多い真冬に大雪が降り、太陽光発電による電力供給が見込めないといった事態は、現実に起こり得ます。こうした状況になっても電力の安定供給を維持できるよう、発電した電気をためる蓄電池や、電力需給のバランスを保つために電力需要を制御する「デマンドレスポンス(DR)」なども併用することが重要です。


デマンドレスポンスについては、以下の記事で詳しく解説しています。

初期費用・発電コストが高い

再生可能エネルギーはエネルギー密度の低いものが多く、大規模な発電設備を導入しないと採算が取れないなど、初期費用が高くなりやすいです。

また再生可能エネルギーの発電コストは年々減少傾向ではあるものの、諸外国と比べると日本では依然として高い傾向にあります。

国や県の許認可などの手続きが必要

再生可能エネルギーを導入する際には、国や県の許認可などの手続きが必要で、発電設備を導入するには、電気事業法にのっとった工事計画の届出なども必要です。

再生可能エネルギーを導入する際にはどのような手続きが必要になるのか、国や地方自治体のホームページを確認したり、関連法令や条例を調べたりしておくことが大切です。

まとめ

本記事では、再生可能エネルギーの種類やメリット・デメリットなどについて解説しました。

再生可能エネルギーは温室効果ガスなどを排出しないクリーンなエネルギーであり、地球温暖化対策としてカーボンニュートラルを目指す世界的な潮流にマッチした発電方法です。エネルギー源が枯渇せずどこでも手に入るため、資源の乏しい日本でエネルギー自給率を高める上でも、再生可能エネルギーのさらなる普及が求められています。一方で、現状ではまだ発電コストが高く、太陽光発電や風力発電は天候や季節などによって発電量が不安定になるなどのデメリットもあります。

再生可能エネルギーを導入する際には、それぞれの特徴を踏まえた上で、地域や自社の特性に合った発電方法を選びましょう。

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