【2024年度】伊藤忠エネクスの夏季節電プログラム
詳細はこちら 詳細はこちら近年、エネルギーの世界では、「デマンドレスポンス(DR)」に注目が集まっています。日本においても、大手電力会社を中心にデマンドレスポンスキャンペーンなどが展開されており、徐々に認知度が上がってきています。本記事では、デマンドレスポンスについて、詳しく解説していきます。取り組みの内容や種類はもちろん、日本で主流となっている仕組みや参加方法、注意点まで解説しますので、デマンドレスポンスにご興味をお持ちの方は、ぜひ、参考にしてください。
目次
デマンドレスポンス (Demand Response)は、近年エネルギーの世界で使われるようになった言葉であり、電力の需要(消費量)と供給(発電量)のバランスを保つことを目的とした取り組みです。略して「DR」と呼ばれることも多く、日本語では「需要応答」と言います。
デマンドレスポンスでは、需要家(電力を使用する企業や一般家庭)が、電力の供給状況に応じて、賢く電力需要を制御します。最も代表的な手法は、電力需要に対して供給量が少なくなるタイミングで、需要家が照明や空調、その他機器・設備の使用を調整、あるいは、停止することで需要を抑制する、いわゆる「節電」です。その他、生産設備などの稼働を電力需要の多い時間帯から少ない時間帯へ変更する「ピークシフト」や、あらかじめ電力需要の少ない時間帯に蓄電池を充電しておき、需要の多い時間帯にためておいた電力を利用する「放電」などがあります。
日本におけるデマンドレスポンスでは、電力需要に対して供給量が少なくなるタイミングで需要の抑制を行った需要家に対し、抑制量に応じたインセンティブが贈られるのが一般的です。
需要家が企業なのか一般家庭なのかで、デマンドレスポンスの取り組み方やインセンティブがやや異なります。
需要家が企業の場合、照明や空調などを調整・停止する一般的な節電の他、生産設備などの稼働を調整・停止して電力需要の抑制を行いますが、単純に設備の稼働を減らすだけでは、生産量が減少してしまいます。そのため、先述したピークシフトや放電を組み合わせ、設備の稼働が減らないよう計画的に電力需要を制御することが重要です。インセンティブは、需要抑制量に応じた料金の支払いや電気料金の値引きであることが多いです。
一方で、需要家が一般家庭の場合は、使用しない照明を消す、使用しない家電のコンセントを抜く、エアコンの温度を調整するといった、一般的な節電で電力需要を抑制します。太陽光発電システムや蓄電池を設置している場合は、自家消費や放電を組み合わせることで、より効率的に電力需要を抑制できます。インセンティブは、需要抑制量に応じたポイントが進呈されることが多いです。
デマンドレスポンスは、近年エネルギーの世界で注目が集まっている取り組みですが、なぜこのような取り組みが必要とされているのでしょうか。
高騰する電気料金の削減や、環境対策としての電気使用量の削減といった側面もありますが、一番の理由は、電力の安定供給のためです。電力を安定供給するためには、電力の需要(消費量)と供給(発電量)が常に一致している必要があり、これを「同時同量の原則」と言います。電力の需要と供給が一致しなくなってしまうと、電気の品質(周波数)が低下してしまい、電力の正常な供給が行えなくなります。最悪の場合、大規模停電(ブラックアウト)が発生してしまうことも。
このようなリスクへの対策として、電力の供給状況に応じて賢く需要を制御し、電力の安定供給を維持するデマンドレスポンスの取り組みが必要とされているのです。
電力の安定供給を維持するための方法として、従来は「需要に供給を合わせる」取り組みが一般的でした。しかし、天候などの条件によって発電量が変動する再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大により、供給量の変動が大きくなり、また再生可能エネルギーは、火力発電のように急な電力需要の増加へ対応するのは難しいことなどから、「供給に需要を合わせる」デマンドレスポンスが重要視されるようになったのです。
日本においては、原子力発電所の停止による発電量の減少や、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響による燃料調達コストの上昇も理由として挙げられます。デマンドレスポンスの取り組みによって、電気使用量を抑えたり、再エネ由来の電力を有効に使ったりすることで、比較的価格変動が大きいスポット市場での燃料の追加購入を減らすことができ、日本全体として燃料調達コストを削減することができるのです。
デマンドレスポンスはもはや、日本の重要なエネルギー施策の一つといえるでしょう。
デマンドレスポンスは電力需要を制御する取り組みですが、需要制御には、需要量を減らす「下げDR」と、需要量を増やす「上げDR」の2つのパターンがあります。
「下げDR」は電力需要に対して供給量が少ないときに発動します。電力需要がピークになる時間帯に節電や放電を行うよう需要家へ要請し、電力需要を抑制することで需要と供給のバランスを取ります。
「上げDR」は電力需要に対して供給量が多いときに発動します。供給量が電力需要を上回る時間帯に、電気使用量を増やしたり、蓄電池の充電などを行ったりするよう需要家へ要請し、電力需要を増加させることで需要と供給のバランスを取ります。
再生可能エネルギーは、電力需要が少ない時間帯に供給量が過剰となることがあり、その過剰な電力を消費・吸収するために発動されるケースが多いです。
前項では、デマンドレスポンスの需要制御のパターンについて解説しましたが、ここからは、デマンドレスポンスの需要制御の2つの方法をご紹介します。
電気料金型デマンドレスポンスは、電力需要がピークになる時間帯の電気料金を値上げすることで、需要を抑制する方法です。
電気料金型デマンドレスポンスのメリットは、電力会社にとって比較的簡便な方法で実施できることです。また対象の需要家を地域で指定するといったことが可能なため、選定が容易であり、大多数に適用できます。
デメリットとしては、電力需要のピーク時に電気料金が値上がりするため、需要家の負担が増え、不満が発生しやすいことが挙げられます。電力の小売全面自由化によって、需要家が契約する電力会社を自由に選べるようになったため、契約者数が減る可能性もあります。また電力需要の抑制が需要家の意識や取り組みに左右されるため、確実に効果が得られるとは限らない点もデメリットでしょう。
インセンティブ型デマンドレスポンスは、電力需要の抑制量に応じたインセンティブを設定することで、需要を抑制する方法です。事前に電力会社と契約を結んだ需要家が、電力会社の要請に応じて需要の抑制を行うと、抑制量に応じた料金の支払いや電気料金の値引き、ポイントの進呈といったインセンティブを受け取ることができます。
インセンティブ型デマンドレスポンスのメリットは、電力会社と需要家が契約を結んだ上で下げDRを発動するため、確実な効果が得られることです。またインセンティブが贈られるため、需要家の満足度も高いです。
一方で、電気料金の調整だけで行える電気料金型デマンドレスポンスに比べ、契約の締結やインセンティブの条件の設定など、実施までに手間がかかる点がデメリットとして挙げられます。
アグリゲーターとは、多数の需要家を束ね、電力会社と需要家の間で電力需要をコントロールし、需要家に下げDRを要請したり、インセンティブを贈ったりする事業者のことです。
日本では一般的に、インセンティブ型デマンドレスポンスが採用されています。これまでは、電力会社と需要家が直接契約を結ぶのが一般的でしたが、近年は電力会社と需要家の間に「アグリゲーター」と呼ばれる第三者が介在する「ネガワット取引」が増えてきています。
ネガワット取引でアグリゲーターが需要家を束ねることで、大企業のみならず、中小企業や一般家庭といった、さまざまな需要家がデマンドレスポンスに参加でき、また幅広い小売電気事業者が、デマンドレスポンスを利用できます。小売電気事業者が、他の電力会社と契約している需要家によって生み出された需要抑制量を調達することも可能です。
ネガワット取引の基本的な流れは、以下の通りです。
デマンドレスポンスは、電力会社と需要家の双方にメリットがありますが、本記事では、需要家のメリットを3つご紹介します。
下げDRを要請された際に、節電やピークカットなどで電力需要を抑制した場合、電気使用量が減るため、その分の電気料金が削減されます。また先述した通り、インセンティブ型デマンドレスポンスでは、需要抑制量に応じた料金の支払いや電気料金の値引き、ポイントの進呈といったインセンティブを受け取れるため、企業にとっても一般家庭にとっても大きなメリットがあるといえます。
デマンドレスポンスに参加することで、電気の使用状況や削減量が可視化されるため、エネルギー使用の効率化にもつながります。エネルギー使用や節電に対する意識が変わり、日常の電気使用量が自然と減少するといったことも期待できるでしょう。
電力需要の抑制は地球温暖化対策の有効な手段の1つです。デマンドレスポンスの取り組みとして節電やピークカットなどを実施したり、再エネ由来の電力を有効活用したりすることで、温室効果ガス(CO2など)の削減につながり、地球環境の保全に貢献できます。
また近年、地球温暖化対策といった環境保全への貢献は、社会的な責務として重要視されており、世界中の多くの企業がさまざまな活動に取り組んでいます。デマンドレスポンスへの参加をきっかけに積極的に地球温暖化対策に取り組むことで、社会的な責務を果たしているというアピールや評価にもつながるでしょう。
ここからは、一般的なデマンドレスポンスへの参加方法と、参加における注意点を解説します。なお実際の参加方法は募集によって異なりますので、必ず募集概要をご確認ください。
小売電気事業者と直接契約を結ぶ場合の一般的な参加方法は、以下の通りです。
伊藤忠エネクスでもデマンドレスポンスを実施しています。デマンドレスポンスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
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詳細はこちら 詳細はこちらアグリゲーターと契約を結んで、調整力公募に入札する場合の一般的な参加方法は、以下の通りです。
デマンドレスポンスへ参加する際には、いくつか注意点もあります。参加後にギャップが生まれないよう、あらかじめ把握しておきましょう。
繰り返しになりますが、インセンティブ型デマンドレスポンスでは、需要抑制量に応じたインセンティブが贈られます。需要抑制量は、下げDR実施時間帯と同じ時間帯の標準的な想定電気使用量と、実際の電気使用量の差分です。BCP対策用の設備や、事業計画の変更などで稼働を停止している設備といった遊休資産を活用できる場合は、多額のインセンティブを得られますが、稼働中の設備のみで電力需要を抑制する場合は、想定したほどのインセンティブを得られない可能性もあります。後者の場合は、節電による電気料金の削減に+αのインセンティブが受け取れるという認識で参加すると良いでしょう。
下げDRの要請に応えられなかった場合に、ペナルティが課せられる取り組みもあり、インセンティブが減額されます。参加するデマンドレスポンスにペナルティがあるかどうか、契約時に必ず確認しましょう。
デマンドレスポンスには、随時募集している取り組みもあれば、年1回の入札で参加事業者を決める取り組みもあります。またピークシフトによって電力需要を抑制する場合には、事前に事業計画の検証や生産体制の見直しなどが必要になるでしょう。どの取り組みに参加し、どのように電力需要を抑制するかによって、参加までにかかる時間と手間が変わるので、デマンドレスポンスへの参加を検討している場合には、早めに電力会社やアグリゲーターへ相談することをおすすめします。
本記事では、近年エネルギーの世界で注目が集まっているデマンドレスポンス(DR)について解説しました。エネルギーに関する課題の多い日本において、デマンドレスポンスは重要な取り組みの一つです。現在の快適な生活を維持し続けるためにも、企業はもちろん、一般家庭も取り組むべき施策といえます。日本で主流となっているインセンティブ型デマンドレスポンスは、需要家にとってメリットの多い取り組みです。きっかけは電気料金の削減のため、インセンティブのためでも良いので、まずは、手軽に参加できるキャンペーンなどから取り組んでみてはいかがでしょうか。
伊藤忠エネクスでもデマンドレスポンスを実施しています。デマンドレスポンスにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
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