太陽光発電のメリットとは?補助金制度についても解説!

太陽光発電のメリットとは?補助金制度についても解説!

伊藤忠エネクス メディア編集部

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カーボンニュートラルをはじめとした地球温暖化対策に世界中が取り組む中、環境に対してクリーンな発電方法である太陽光発電が引き続き注目を集めています。太陽光発電はCO2を排出しないだけでなく、企業の電気料金を削減したり、停電時の非常用電源としても活用できたりと多くのメリットがありますが、一方で、初期費用が高いことや、メンテナンスの手間やコストがかかることなど、いくつかデメリットもあります。

本記事では、太陽光発電のメリットやデメリット、導入時に役立つ補助金制度などをご紹介します。

太陽光発電とは?

太陽光発電とは?
太陽光発電は再生可能エネルギー(再エネ)の一つで、太陽の光がソーラーパネルに取り付けられた太陽電池(半導体素子)に当たることで電気が作り出される仕組みです。

日本において太陽光発電は最もメジャーな再生可能エネルギーで、その導入容量は2020年に72GWと再生可能エネルギーの中で最も割合が大きく、世界で見ても中国、アメリカに次いで第3位と高い導入実績を誇っています。

日本においてここまで太陽光発電が普及したのは、FIT制度(固定価格買取制度)の導入によるところが大きいでしょう。


太陽光発電を含む再生可能エネルギーについての基礎知識は、以下の記事で詳しく解説しています。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」」. "7.再エネ"(参照2023-7-27)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2022/007/

太陽光発電のメリット

日本で最も導入されている再生可能エネルギーの太陽光発電ですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットは以下の7つです。

  • 電気料金の削減につながる
  • 環境への負荷が少ない
  • 脱炭素経営の促進につながる
  • 停電時にも発電可能
  • 電気料金の上昇の影響を受けにくい
  • 売電収入を得られる
  • 補助金制度により比較的安価に導入できる

電気料金の削減につながる

太陽光発電で発電した電気は自家消費できるため、従来のように電力会社から購入する電力量を減らすことができ、電気料金の削減につながります。後述しますが、近年は燃料価格の高騰や円安などの影響で電気料金が値上がりしているため、太陽光発電の導入による電気料金の削減のメリットは、より大きなものになるでしょう。

環境への負荷が少ない

現在の日本は火力発電の割合が最も大きいですが、化石燃料を燃やすと温室効果ガス(CO2)が排出され、大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)も排出されます。

太陽光発電では発電の過程で温室効果ガスや大気汚染物質を排出しないため、環境への負荷が少ないです。

脱炭素経営の促進につながる

日本政府が2050年までのカーボンニュートラル実現を宣言したことなどを受けて、脱炭素経営を掲げる企業が増えています。

脱炭素経営とは
企業が「脱炭素」を経営方針に取り入れ、その実現に向けた行動を起こしていく経営のあり方です。脱炭素経営を掲げることで、消費者や取引先の企業、求職者などから「社会的な課題解決に取り組む先進的な企業」という良いイメージを持たれ、企業価値の向上につながります。

また近年は投資家の環境問題への関心が高まっていることから、脱炭素経営を掲げることで投資家から評価されやすくなり、資金調達の面で有利になるメリットもあります。

発電の過程で温室効果ガスを排出しない太陽光発電を取り入れることは、CO2排出量を削減するための具体的な取り組みであり、脱炭素経営を実現する第一歩となります。

停電時にも発電可能

太陽光発電は非常時の備えにもなります。ソーラーパネルやパワーコンディショナー、分電盤などに損傷がなければ、自然災害などによって停電が発生したときでも、自家発電をして電気を使用することが可能です。蓄電地を併設することで、発電ができない夜間でも、蓄えた電気を使用できます。

電気料金の上昇の影響を受けにくい

前述した通り、近年は燃料価格の高騰や円安の影響により、相次いで電気料金の値上げが実施されています。東京電力エナジーパートナー・北海道電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の大手7社は、2023年6月に14〜42%の規制料金の値上げを実施。高圧・特別高圧区分でも、2023年4月に東京電力エナジーパートナー・北海道電力・東北電力・中部電力ミライズ・北陸電力・中国電力・四国電力の大手7社が値上げを実施しました。

太陽光発電により電気の自家消費を行うことで、電力会社から購入する電力が減り、仮に電気料金の値上げが実施されたとしても、その影響を小さくすることができます。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「2023年6月の電気料金、なぜ値上がりするの?いくらになるの?」(参照2023-7-27)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/denkidai_kaitei.html

売電収入を得られる

自家消費しきれずに余った電力を電力会社に売り、収入を得られる点もメリットです。FIT制度により、経済産業大臣が定めた固定価格で売電できます。

なお、2023年度の10kW未満の売電価格は16円、10kW以上50kW未満の売電価格は10円/kWhです。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「買取価格・期間等」(参照2023-7-27)

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html

補助金制度により比較的安価に導入できる

太陽光発電の導入には設備費用や工事費用といった初期費用がかかりますが、国や自治体が実施している補助金制度を活用することで、比較的安価に導入できます。太陽光発電の導入に活用できる補助金制度の詳細については後述します。

太陽光発電のデメリット

太陽光発電には多くのメリットがありますが、その一方で、いくつかデメリットもあります。主なデメリットは以下の4つです。

  • 初期費用が高い
  • メンテナンスの手間・コストがかかる
  • 発電量が安定しない
  • 反射光によるトラブルが発生する恐れがある

初期費用が高い

太陽光発電の初期費用の相場は年々下落傾向にあり、さらに補助金制度も活用できるとはいえ、依然として導入にはある程度まとまったお金がかかる点がデメリットです。経済産業省の資料によると、2021年に設置された10kW以上の太陽光発電システムの導入費用は、平均で25万円/1kWとなっています。

補助金制度を活用しても初期費用の捻出が難しい場合は、PPAモデルでの導入を検討してみると良いでしょう。PPAモデルは「第三者所有モデル」とも呼ばれ、PPA事業者が、需要家の保有する敷地に無償で太陽光発電設備を設置し、そこで発電した電気を需要家がPPA事業者から買い取って使用する仕組みです。初期投資なしに太陽光発電システムを導入でき、また契約期間中はPPA事業者がメンテナンスを行ってくれるため、次に挙げているデメリットのメンテナンスの手間・コストもかかりません。


PPAモデルについては、以下の記事で詳しく解説しています。

※参考:経済産業省 調達価格等算定委員会 . 「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」(参照2023-7-27)

https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20220204_1.pdf

メンテナンスの手間・コストがかかる

屋外に設置し、直射日光や風雨にさらされるソーラーパネルは、経年劣化が避けられません。モジュールが汚れることで発電量が低下するリスクや、台風や地震などで破損するリスクもあります。またそもそも、50kW未満の太陽光発電で、全量自家消費の場合(FIT制度による売電をしていない場合)以外は、定期的な設備の点検・メンテナンスが義務化されており、先述したPPAモデル以外は、その手間とコストが必ずかかります。

なお、50kW以上の太陽光発電では、年2回の電気主任技術者によるメンテナンスが義務付けられており、50kW未満の太陽光発電では、設置後1年目、以降は最低でも4年に1回のメンテナンスが推奨されています。

発電量が安定しない

当たり前のことですが、太陽光発電は太陽が出ていないと発電できません。曇りや雨の日は発電量が落ちるため、梅雨の時期や冬などの日照時間が少ない季節は、太陽光発電の恩恵を受けにくいデメリットがあります。

また消費電力の多い時間帯に雨が降ってしまうなど、電力需要の多寡と天候の良し悪しが一致するわけではないため、多くの電力が必要なときに太陽光発電で十分な電力を確保できない可能性もあります。

反射光によるトラブルが発生する恐れがある

ソーラーパネルに反射した太陽光が眩しいと、近隣の住民や事業者から苦情が寄せられるといったトラブルが生じる可能性もゼロではありません。設置する前に設置場所の角度や周辺の建物の状況を調べるなど、無用なトラブルを避ける工夫が必要です。

太陽光発電の導入に活用できる補助金制度

ここからは、太陽光発電の導入に活用できる補助金制度をご紹介します。主な補助金制度としては、以下の2種類があります。

  • ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
  • 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業

ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業

自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入を支援する補助金です。ストレージパリティとは、蓄電池を導入しないよりも導入した方が経済的にメリットのある状態のことです。

対象者 自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池などの導入を行う民間事業者・団体
要件 ・平時において導入する太陽光発電設備による発電量の一定割合(戸建て住宅:30%以上、その他:50%以上)を導入場所の敷地内で自家消費すること
・停電時にも必要な電力を供給できる機能を有する太陽光発電設備などを導入すること
・【オンサイトPPAモデルまたはリースモデルで業務・産業用の定置用蓄電池をセットで導入する場合】補助対象設備の法定耐用年数が経過するまでに、需要家とPPA事業者またはリース事業者との契約で、補助金額の4/5以上がサービス料金、リース料金の低減などにより需要家に還元、控除されるものであること
・【オンサイトPPAモデルまたはリースモデルで業務・産業用の定置用蓄電池をセットで導入しない場合】補助対象設備の法定耐用年数が経過するまでに、需要家とPPA事業者またはリース事業者との契約で、補助金額相当分(全額)がサービス料金、リース料金から還元、控除されるものであること
・再エネ特措法に基づくFIT制度またはFIP制度による売電を行わないものであること など
補助率 太陽光発電設備に対して、
・オンサイトPPAまたはリースの場合は、5万円/kW
・自己所有型の場合は、4万円/kW
・戸建て住宅に限り、蓄電池セット導入の場合は、7万円/kW
公募詳細 https://www.eic.or.jp/eic/topics/2022/st_r03c/001/

新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業

地域との共生を前提とした再エネポテンシャルの活用に向けて、新たな手法による自家消費型・地産地消型の再エネ導入を促進する事業です。太陽光発電の導入に活用できるのは、「建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業」と「地域における太陽光発電の新たな設置手法活用事業」です。

建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業

駐車場を活用した太陽光発電(ソーラーカーポート)の導入に利用できる補助金制度です。

対象者 自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池などの導入を行う民間事業者・団体
要件 ・補助金を使ってソーラーカーポートや蓄電池を導入すること
・導入したソーラーカーポートの発電量のうち、50%以上を自家消費すること
・ソーラーカーポートの導入にかかる費用が以下の基準を下回るものであること
①出力10kW未満:27.25万円/kW
②出力10kW以上50kW未満:26.44万円/kW
③出力50kW以上:17.84万円/kW
・停電時に電力供給可能なシステム構成であること
・FIT制度やFIP制度などを活用し、売電を行わないこと
など
補助率 1/3
公募詳細 http://eta.or.jp/offering/23_04_shin1/230331.php

地域における太陽光発電の新たな設置手法活用事業

営農地・ため池・廃棄物処分場を活用した太陽光発電の導入に利用できる補助金制度です。

対象者 自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池などの導入を行う民間事業者・団体
要件 ・営農地・ため池・廃棄物処分場を活用した太陽光発電設備等の導入を行う事業であること
・本補助金を受けることでの導入費用が以下の基準を下回るものであること
①出力10kW以上50kW未満:26.44万円/kW
②出力50kW以上:17.84万円/kW
・電力の供給先が以下のいずれかであること。
①当該発電設備と同一敷地内の施設又は自営線供給が可能な施設
②農業者、林業者もしくは漁業者またはこれらの者の組織する団体が所有または管理する施設(営農地・ため池事業のみ)
③地方公共団体の施設
・停電時に電力供給可能なシステム構成であること
・FIT制度やFIP制度などを活用し、売電を行わないこと
など
補助率 1/2
公募詳細 http://eta.or.jp/offering/23_05_shin2/230331.php

太陽光発電システムの導入に補助金・助成金を利用したいと考えている方は、ぜひ、こちらの資料もご覧ください。補助金・助成金の基本をわかりやすく解説しています。

【会社の総務担当者必見!!】必ず知っておきたい補助金・助成金の基礎知識

太陽光発電の活用事例

ここからは、太陽光発電システムの活用事例を、環境省および農林水産省の導入事例集をもとにご紹介します。

ソーラーカーポートを活用した事例

ホームセンター「ケーヨーデイツー 八街店」(千葉県八街市)は、敷地内の駐車場の一部にPPA方式でソーラーカーポートを設置。

これにより、太陽光発電で発電した電力を利用可能となったことに加え、雨天時などの駐車場利用の利便性向上も実現しました。また停電時の事業継続性の向上とともに、再生可能エネルギーを活用した地域大型流通拠点のモデルケースとして、災害時における地域インフラ整備にも寄与しています。

※参考:環境省. 「ソーラーカーポート等の新たな自家消費型太陽光等の導入支援事業に関する優良事例」 (参照2023-7-27).

https://www.env.go.jp/earth/jirei%E3%83%BC.pdf

営農地を活用した事例

特定非営利活動法人OIKOS天竜(静岡県浜松市)は、高齢化などにより茶畑が放置されるようになった天竜地区において、後継者育成と茶製品の開発などの新たな産業開拓を目指しており、営農型太陽光発電の売電収入をその活動資金に充てています。

抹茶用の茶の栽培では通常、専用の支柱を設置して遮光幕を張りますが、発電設備の支柱を利用することで資材コストを抑制。また売電収入の一部を地域への還元・施設管理費として営農者に支払うことで、営農者の意欲向上につながっています。

※参考:農林水産省. 「営農型太陽光発電の優良事例」(参照2023-7-27)

https://einou-pv.org/wp/wp-content/uploads/2018/06/0608700f79e6a0960642d194be559aa4.pdf

まとめ

太陽光発電は、温室効果ガスや大気汚染物質を排出しない環境に優しいクリーンな発電方法であり、電気料金の削減や売電収入の獲得など、経済面でのメリットも大きいです。また環境に配慮していることをアピールすることで企業価値の向上につながる他、停電時の非常用電源としても役立ちます。初期費用が高いといったデメリットもありますが、補助金制度を活用したり、PPAモデルで導入したりすることで、導入費用を抑えることも可能です。


伊藤忠エネクスでは自家消費型太陽光発電システム「テラセルソーラー」を提供しています。お客さまの保有施設に太陽光発電設備を設置し、発電した電気は自家消費いただき、当社へは定額エネルギーサービス料(設備利用料、メンテナンス費など)をお支払いいただきます。太陽光発電の初期費用を抑えられる他、CO2排出量の削減や電気料金の上昇リスクの低減など、さまざまなメリットがあります。

テラセルソーラーのサービスの詳細や導入事例は、以下のページをご覧ください。

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