【令和6年度】省エネ設備の導入や入れ替えで利用できる補助金事業一覧! 来年度の各省の予算概要も併せてチェック

【令和6年度】省エネ設備の導入や入れ替えで利用できる補助金事業一覧! 来年度の各省の予算概要も併せてチェック

伊藤忠エネクス メディア編集部

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来 「 社会とくらしのパートナー」として 全国各地の地域に根ざし生活に欠かせないエネルギーをお届けしてまいりました。 老舗エネルギー商社ならではの情報を発信します。

近年は省エネ法の改正により、さらなる省エネ化やエネルギー管理の強化、建築物の消費エネルギー量の削減などが求められています。法令適用するために、省エネ設備や省エネシステムの導入をお考えの企業の担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。省エネに関する設備の新設・入れ替えには、省エネ補助金を活用するのがおすすめです。

本記事では、省エネ法改正のポイントと企業への影響について解説した後、国や省庁が実施する省エネ補助金を一覧でご紹介します。2025年度以降の省エネ補助金についても予測しているので、今後の参考にしてみてください。

※本記事の内容は2024年12月時点の情報です

省エネとは?

省エネとは
省エネとは省エネルギーの略で、石油や石炭、天然ガスといった限りあるエネルギー資源を効率良く使ったり、消費量を減らしたりすることをいいます。

現代社会の暮らしは電気やガスなどのエネルギーを消費することで成り立っています。

しかし、エネルギーを使い過ぎると資源が枯渇したり、地球環境が破壊されたりするため、省エネによって資源を保全し環境を守ることが大切です。経済産業省ではエネルギーの効率的な利用の促進のため、資源エネルギー庁を発足し省エネ法を制定しています。また補助金制度の整備によって、省エネの推進に取り組んでいます。

近年厳格化が進む省エネ法の改正ポイントと企業への影響

1979年、オイルショックを機に制定された省エネ法は、2050年のカーボンニュートラル達成へ向けて、繰り返し改正が行われています。企業が省エネに積極的に取り組む動きは増えているものの、目標実現のためにはさらなる省エネの強化や非化石エネルギーの導入、電気需要の最適化などが必要です。また近年課題とされているのは、日本の温室効果ガス排出量の3分の1を占める、建築物のエネルギー消費量です。

ここからは、2023年・2024年・2025年の省エネ法改正のポイントと、企業への影響を解説します。

2023年の改正ポイントと影響

2023年の省エネ法改正のポイントで企業への影響があるのは、以下の3つです。

  • エネルギーの定義を拡大
  • 非化石エネルギーへの転換
  • 電気需要の最適化

エネルギーの定義を拡大

2023年4月の省エネ法改正では「エネルギー」という言葉の定義が見直され、石油や液化天然ガス、石炭などの化石エネルギーだけではなく、木材、水素、非化石熱や非化石電気(太陽熱や太陽光発電電気など)といった非化石エネルギーも含まれるようになりました。

2020年10月に日本政府は、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を宣言し、さまざまな分野で非化石エネルギーの導入拡大が進められています。それに伴い、非化石エネルギーを含めた全てのエネルギーの合理的な使用が求められるためエネルギーの定義が拡大されたのです。

非化石エネルギーへの転換

省エネ法改正後は、非化石エネルギーへ転換するための目標に関する中長期計画の作成と、非化石エネルギーの使用状況などの定期報告が必要です。今までも一定規模以上の工場や事業所に対して化石エネルギーの使用状況や合理化計画の提出を義務付けていましたが、今後は非化石エネルギーも対象となります。

電気需要の最適化

省エネ法改正後は、大規模な需要家を中心に電気需要の最適化を図るための取り組みが求められます。例えば、再生可能エネルギーの発電量が電力需要を上回った際には消費電力を増やす動き(上げDR)を、電力の供給力が低下している際には消費電力を減らす動き(下げDR)を行うことが挙げられます。

これらの改正により、企業は自社の使用電力量をリアルタイムで把握できるようにしたり、省エネに向けた取り組みをさらに強化したりする必要があるでしょう。

2024年の改正ポイントと影響

2024年4月の省エネ法改正のポイントは「大規模非住宅建築物(延床面積2,000平方メートル以上)の省エネ基準の引き上げ」です。BEI(一次エネルギー消費性能)基準値が1.0以下から0.75〜0.85以下にまで引き上げられ、改正前の基準から15〜25%程度のエネルギー消費量削減が求められています。

建築物の用途によってBEI基準値は異なるものの、大規模非住宅建築物を建てる場合はこれまで以上に省エネ化を推し進める必要があります。従来の設計手法の見直し、高度な省エネ技術を導入するには、社内で新たな技術を習得するための人材育成や、専門家への協力要請、専門部署の設置などが欠かせません。

また施工現場でも、品質管理体制を新たに見直す必要があるでしょう。

※参考:国土交通省.「2024年4月(予定)から大規模な非住宅建築物の省エネ基準が変わります」.https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001519932.pdf ,(2022-10).

2025年の改正ポイントと影響

2025年の省エネ法改正のポイントで企業への影響があるのは、以下の4つです。

  • 原則、全ての新築建築物に対して省エネ基準適合が義務化される
  • 増改築を行った場合は、増改築部分を省エネ基準へ適合させる必要がある
  • 建築確認手続き中に省エネ基準への適合性審査が行われる 
  • 建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)が合理化される

2024年の改正時点では、大規模・中規模非住宅建築物のみに適用されていた省エネ基準適合の義務が、2025年4月以降は一部を除く全ての非住宅・住宅建築物に適用されます。2025年4月以降に増改築を行った場合は、手を加えた部分が省エネ基準適合の対象となります。

2025年4月以降にオフィスビルを建てたり増築したりする小規模事業者は、今回から新たに省エネ基準適合が義務付けられます。そのため、省エネ基準を満たしていないとそもそも着工ができない可能性があるので、注意が必要です。

また全ての建築物への省エネ基準適合義務化に伴い、建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)が合理化されます。国土交通省は、省エネ適判手続きを判定するチャートで「省エネ適判が必要な場合」「省エネ適判が不要な場合」「省エネ適判手続きの合理化」の3つのルートを作り、選択すべき手続きを示しました。

厳格化していく省エネ改正法に対応するべく、企業は省エネ化のための高度な知識・技術の習得や社内体制の見直しを求められるでしょう。しかし、新たな省エネ技術の進歩や、持続可能な建築物の増加は、カーボンニュートラルの達成へ向けてプラスに働くでしょう。

※参考:国土交通省.「2025年4月(予定)から全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けされます」.https://www.mlit.go.jp/common/001500386.pdf ,(2022-10).

※参考:国土交通省.「省エネ基準適合義務制度の解説 P16」.https://www.mlit.go.jp/common/001627105.pdf ,(2024-12-05).

省エネ補助金を活用するメリット

省エネ化のニーズや重要性が高まる中、政府は省エネにつながる取り組みに対して補助金支援を実施しています。ここからは、省エネ補助金を活用する3つのメリットをご紹介します。

投資回収年数を短縮できる

補助金は融資やローンなどとは異なり、返済する必要がありません。そのため、省エネ技術や設備の導入をする際に省エネ補助金を活用できれば、投資した費用の回収年数を短縮できます。早期の投資回収が見込めれば、経営計画への影響も少なく、投資家や株主といったステークホルダーからの信頼を失わずに、省エネ経営を進められるでしょう。

電気料金などのランニングコストを削減できる

省エネ補助金を活用して社内の古い設備を高効率の省エネ設備に変えれば、エネルギー消費量を削減でき、中長期的なランニングコストの削減につながります。

例えば、新しいモデルの業務用エアコンの場合、人感センサーや温度センサーが付いており、状況に合わせて温度や風量を調節する機能が備わっています。人の手で小まめに空調の調整をしなくても、適温を保てるので手間なく消費電力を抑えられ、電気料金の削減につなげられるでしょう。

会社のイメージアップを図れる

省エネ補助金の採択事業者に選ばれると、インターネット上に社名が公表されるので、省エネ経営に力を入れていることを広くアピールできます。

省エネ補助金を受けるには審査に通る必要があり、事業計画書や資金計画書、導入前後の比較図、エネルギー使用量の原油換算表など多くの書類を用意しなければなりません。採択事業者に選ばれれば「厳しい基準をクリアしているきちんとした会社」であるというイメージが付き、会社のイメージアップにつながります。

国や省庁が主催する省エネ補助金事業一覧

ここからは2024年度に実施され、今後も公募が見込まれる省エネ補助金事業をご紹介します。各補助金事業の概要は、以下の通りです。

補助金名 補助率 補助金上限
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金 工場・事業場型
(先進設備・システムの導入)
企業の規模によって3分の2~2分の1以内 15億円/年度
工場・事業場型
(オーダーメイド型設備の導入)
企業の規模によって3分の1~2分の1以内 15億円/年度
電化・脱炭素燃転型 2分の1以内 上限額:3億円/事業全体
エネルギー需要最適化型 企業の規模によって3分の1~2分の1以内 1億円/事業全体
省エネルギー投資促進支援事業費補助金 設備単位型 3分の1以内 1億円/事業全体
エネルギー需要最適化型 企業の規模によって3分の1~2分の1以内 1億円/事業全体
工場・事業場における先進的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業) CO2削減計画策定支援 4分の3相当もしくは補助金上限額のどちらか低い方 50万~100万円※支援内容によって異なる
省CO2型設備更新支援 3分の1
※支援メニューによって異なる
1億円~
※支援メニューによって異なる
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業 3分の1~2分の1相当 10億円(1事業当たり)
既存建築物省エネ化推進事業 3分の1 5,000万円/件

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金

「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」は、省エネを目的とした設備・システムなどの導入・更新に対して一部支援される補助金です。実施団体、公募期間は以下の通りです。

  • 実施団体:経済産業省、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)
  • 公募期間:4次公募期間は2024年9月13日(金)~2025年1月14日(火)※複数年度事業のみ

この省エネ補助金事業は3種類に分類されます。それぞれ以下で詳しく解説します。

工場・事業場型

1つ目の「工場・事業場型」は、先進設備・システムの導入とオーダーメイド型設備の導入の2つに対する補助金です。詳細は以下の通りです。

先進設備・システムの導入オーダーメイド型設備の導入
概要資源エネルギー庁に設置された「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」において決定した審査項目に則り、SIIが設置した外部審査委員会で審査・採択した先進設備・システムの導入・更新を支援する機器設計が必要な設備、事業者の使用目的に合わせたオーダーメイド型設備の導入・更新を支援する
応募資格申請単位において、原油換算量ベースで、以下いずれかの要件を満たす事業

・省エネ率+非化石割合増加率:30%以上
・省エネ量+非化石使用量:1,000kl以上
・エネルギー消費原単位改善率:15%以上
申請単位において、原油換算量ベースで、以下いずれかの要件を満たす事業

・省エネ率+非化石割合増加率:10%以上
・省エネ量+非化石使用量:700kl以上
・エネルギー消費原単位改善率:7%以上
補助対象経費設計費・設備費・工事費設計費・設備費・工事費
補助率中小企業など:3分の2以内
大企業・その他:2分の1以内
中小企業など:2分の1以内
大企業・その他:3分の1以内
※投資回収年数7年未満の場合は3分の1以内
補助金上限
※()内は非化石申請時
上限額:15億円/年度(20億円/年度)
下限額:100万円/年度(初年度を除く)

※複数年度事業の1事業当たりの上限額は30億円(40億円)
※連携事業の上限額は30億円(40億円)
※複数年度事業の2024年度分(1年度目)については、補助金限度額の下限額を設けない
上限額:15億円/年度(20億円/年度)
下限額:100万円/年度(初年度を除く)

※複数年度事業の1事業当たりの上限額は20億円(30億円)
※連携事業の上限額は30億円(40億円)
※複数年度事業の2024年度分(1年度目)については、補助金限度額の下限額を設けない

補助対象設備として採択された設備・システムについては、補助金事業の公式Webサイトをご確認ください。

※参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」.https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/ ,(2024-12-05).

電化・脱炭素燃転型

2つ目は「電化・脱炭素燃転型」です。こちらは、CO2排出量が多い化石燃料からの転換を目的として、2024年から新設されました。詳細は以下の通りです。

概要指定された設備のうち、化石燃料から電気への転換や低炭素な燃料への転換、電化や脱炭素を目的とした燃料転換を伴う設備の導入を支援する
応募資格・電化・脱炭素目的の燃料転換を伴っていること(ヒートポンプで対応できる低温域は電化のみ)
・SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、補助対象設備として登録および公表した以下の指定設備であること

– 産業ヒートポンプ
– 業務用ヒートポンプ給湯器
– 低炭素工業炉
– 高効率コージェネレーション
– 高性能ボイラ

※上記に該当しない「その他SIIが認めた高性能な設備」のうち、電化・脱炭素燃転に資するとして指定した設備も対象となる
補助対象経費設備費(電化の場合は付帯設備も対象)
補助率2分の1以内
補助金上限
※()内は非化石申請時
上限額:3億円/事業全体(5億円/事業全体)
下限額:30万円/事業全体
※複数年度事業の1事業当たりの上限額は3億円(5億円)

※参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」.https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/ ,(2024-12-05).

エネルギー需要最適化型

3つ目は「エネルギー需要最適化型」です。EMS(エネルギーマネジメントシステム)を導入して、エネルギーの見える化や運用効率の最適化を図ることで、省エネにつなげられます。詳細は以下の通りです。

概要SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録されたEMSを用いて省エネルギー化・エネルギー需要最適化を図る事業者を支援する
応募資格申請単位において、EMSの制御効果と省エネ診断などによる運用改善効果により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たすこと
補助対象経費設計費・設備費・工事費
補助率中小企業など:2分の1以内
大企業・その他:3分の1以内
補助金上限上限額:1億円/事業全体
下限額:100万円/事業全体
※複数年度事業の1事業当たりの上限額は1億円

※参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」.https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/ ,(2024-12-05).

省エネルギー投資促進支援事業費補助金

「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は、さまざまな業務で使われている汎用的な15設備の更新に対する補助金です。実施団体、公募期間は以下の通りです。

  • 実施団体:経済産業省、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)
  • 公募期間:2024年度の応募は終了

この省エネ補助金事業は2種類に分類されます。それぞれ以下で詳しく解説します。

設備単位型

「設備単位型」の概要は、以下の通りです。

概要補助対象であるユーティリティ設備・生産設備への更新を支援する
応募資格SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、以下の補助対象設備へ更新すること

【ユーティリティ設備】
①高効率空調
②産業ヒートポンプ
③業務用給湯器
④高性能ボイラ
⑤高効率コージェネレーション
⑥低炭素工業炉
⑦変圧器
⑧冷凍冷蔵設備
⑨産業用モータ
⑩制御機能付きLED照明器具

【生産設備】
⑪工作機械
⑫プラスチック加工機械
⑬プレス機械
⑭印刷機械
⑮ダイカストマシン
※上記に該当しない 「その他SIIが認めた高性能な設備」 として指定した設備も対象となる
補助対象経費設備費
補助率3分の1以内
補助金上限上限額:1億円/事業全体
下限額:30万円/事業全体

2024年から複数年度事業に対応できるようになったため、応募から交付、完了実績報告、補助金の支払いまでを公募要件の範囲内で複数年にわたって行うことが可能です。

※参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」.https://syouenehojyokin.sii.or.jp/34business/ ,(2024-12-05).

エネルギー需要最適化型

「エネルギー需要最適化型」の概要は、以下の通りです。

概要SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録されたEMSを用いて省エネルギー化・エネルギー需要最適化を図る事業者を支援する
応募資格・設備単位型と組み合わせて申請すること(単独で申請する場合は、本補助金ではなく「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」の対象となる)
・申請単位において、EMSの制御効果と省エネ診断などによる運用改善効果により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たすこと
補助対象経費設計費・設備費・工事費
補助率中小企業など:2分の1以内
大企業・その他:3分の1以内
補助金上限上限額:1億円/事業全体
下限額:100万円/事業全体

※参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ.「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」.https://syouenehojyokin.sii.or.jp/34business/ ,(2024-12-05).

工場・事業場における先進的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)

「工場・事業場における先進的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」は、工場・事業場における脱炭素化のロールモデルとなる取り組みを支援する補助金事業です。実施団体、公募期間は以下の通りです。

  • 実施団体:環境省
  • 公募期間:2024年度の応募は終了

この省エネ補助金事業は2種類に分類されます。それぞれ以下で詳しく解説します。

CO2削減計画策定支援

「CO2削減計画策定支援」の概要は、以下の通りです。

概要CO2削減余地診断経験の豊富な支援機関が工場・事業場の現状と課題を整理し、対策の提案およびCO2削減計画の作成を支援する
応募資格年間CO2排出量50t以上3,000t未満の工場・事業場を保有する中小企業など
※ 中小企業等とは、中小企業基本法第2条に定義される中小企業(個人、個人事業主を除く)の他、独立行政法人、地方独立行政法人、国立大学法人・公立大学法人及び学校法人、社会福祉法人、医療法人、協同組合等、一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人、その他環境大臣の承認を得てGAJ(一般社団法人 温室効果ガス審査協会)が適当と認める者を含む
補助対象経費CO2排出量削減余地の診断およびCO2削減計画の策定支援にかかる委託料など(人件費、業務費、一般管理費)
※DX型計画策定支援では、DXシステム機器や据付工事費用も対象
補助率4分の3相当と、支援内容ごとに定められた補助金の上限額のうち低い額を支給
補助金上限上限額:50万~100万円※支援内容により異なります
下限額:-
※DX型計画策定支援は補助上限を100万円増額

DX型計画策定支援とは、工場や事業場へ1時間ごとのエネルギー使用量などを計測・記録できるシステムを導入し、その結果に基づいて運用改善を行う計画の策定支援のことです。

本CO2削減計画策定支援の採択事業者は、実際にCO2削減計画を実施することで、後述する省CO2型設備更新支援の優先採択枠の対象となります(支援を受けてから4カ年度以内)。CO2削減計画の策定から導入・更新の実施まで補助金支援を受けられるのが、SHIFT事業のメリットです。

※参考:環境省.「令和6年度SHIFT事業」.https://shift.env.go.jp/files/shift/outline/2024leaflet_casestudy_rev.pdf ,(2024-12-05).

省CO2型設備更新支援

「省CO2型設備更新支援」の概要は、以下の通りです。

概要CO2削減計画に基づく設備更新に対し、3つの支援メニュー(①標準事業、②大規模電化・燃料転換事業、③中小企業事業)により補助金を交付する
応募資格年間CO2排出量50t以上の工場・事業場かつCO2削減計画を策定済みの事業者
※「CO2削減計画策定支援」を利用していなくても、指定の様式を用いて事業者がCO2削減計画を策定する場合も含む
※工場・事業場の所有者と補助対象設備の所有者が異なる場合は、共同申請となる
補助対象経費対象設備機器(エネルギー使用設備機器、エネルギー供給設備機器)の導入・更新にかかわる経費(工事費、設備費、測量・試験費など)
補助率※3つの支援メニューにより異なります
①②3分の1
③-
補助金上限3つの支援メニューにより異なります
上限額:①1億円
    ②5億円
    ③0.5億円
下限額:-

採択事業者は、設備導入完了の翌年度にCO2排出量を報告し、CO2排出実績に相当する排出枠を確保することで削減目標を達成します。もしもCO2排出実績に対して排出枠が不足している場合は、排出量取引によって補填することが可能です。補填にかかる費用は企業の自己負担にはなるものの、CO2を着実に削減できる仕組みとなっています。

※出典・参考:環境省.「令和6年度SHIFT事業」.https://shift.env.go.jp/files/shift/outline/2024leaflet_casestudy_rev.pdf ,(2024-12-05).

業務用建築物の脱炭素改修加速化事業

「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」は、既存の業務用施設の脱炭素化を早めるために、外皮の高断熱化および高効率空調機器などの導入を支援する省エネ補助金事業です。百貨店や映画館などの商業施設や学校、病院、ホテルなど幅広い建物が対象で、「脱炭素ビルリノベ事業」とも呼ばれます。実施団体、公募期間は以下の通りです。

  • 実施団体:環境省、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)
  • 公募期間:2024年3月29日(金)~2024年12月27日(金)

概要は以下をご覧ください。

概要温室効果ガスの排出量削減や経済成長などを目的に、既存する建築物の外皮の高断熱化と高効率空調機器などの導入を支援する
応募資格・改修後の外皮性能BPIが1.0以下となっていること
・一次エネルギー消費量の基準値が30%または40%程度以上削減されること
・BEMSによるエネルギー管理を行っていること など
補助対象経費断熱窓、断熱材、高効率空調機器、高効率照明、制御機能付きLED照明器具、BEMSの設置にかかる経費
補助率3分の1~2分の1相当
補助金上限上限額:10億円(1事業当たり)
下限額:500万円(1事業当たり)

外皮性能とは、建物の内側と外側を隔てる外壁、床、屋根、窓などの部分の断熱性能や気密性能のことです。規模の大きい改修となりますが、最大3年間での実施が可能です。

※参考:環境省.「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(経済産業省・国土交通省連携事業)」.https://www.env.go.jp/content/000176220.pdf  ,(2024-12-05).

既存建築物省エネ化推進事業

「既存建築物省エネ化推進事業」は、民間事業者の省エネ改修工事や、省エネ改修工事を含むバリアフリー改修工事にかかる費用の一部を支援する省エネ補助金事業です。実施団体、公募期間は以下の通りです。

  • 実施団体:国土交通省
  • 公募期間:2024年度の応募は終了

概要は以下をご覧ください。

概要既存の建築物の省エネを促進することを目的に、民間事業者が行う省エネ改修工事および省エネ改修工事を伴うバリアフリー改修工事に要する費用を一部支援する
応募資格・躯体(外皮)の省エネ改修を行うものであること(ただし換気設備を設置する場合は、外皮の断熱性能を高める改修は必須としない)
・建物全体におけるエネルギー消費量が、改修前と⽐較して20%以上の省エネ効果が⾒込まれること
・改修後に一定の省エネ性能に関する基準を満たすこと
・改修後の建築物の省エネ性能を表示すること
・省エネルギー改修工事とバリアフリー改修工事にかかわる事業費の合計が500万円以上であること
・改修後に耐震性を有すること
・採択年度中に着手し、原則として当該年度に事業を完了させること
・事例集などへの情報提供に協力すること
補助対象経費・省エネルギー改修工事に要する費用
・エネルギー使用量の計測等に要する費用
・バリアフリー改修工事に要する費用(省エネルギー改修工事と併せて行う場合に限る)
・省エネルギー性能の表示に要する費用
補助率3分の1
補助金上限上限額:5,000万円/件(設備改修にかかわる補助限度額は2,500万円まで)
※バリアフリー改修を行う場合は、当該改修にかかわる補助額として2,500万円または省エネ改修にかかる補助額を限度に加算
下限額:-

公募期間は1カ月程度のため、令和7年度に本補助金へ応募したい企業は、早めに準備を進めておきましょう。

※参考:環境省.「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(経済産業省・国土交通省連携事業)」.https://hyoka-jimu.jp/kaishu/  ,(2024-12-05).

2025年も補助金事業は実施される? 各省の予算概算要求をチェック!

2025年度に同様の省エネ補助金が実施されるかどうかは、実施団体から発表があるまで分かりません。しかし、補助金の申請には手間や時間がかかるので、早めに準備しておきたい企業も多いでしょう。

ここでは、予算を確保している各省庁の予算概算要求を基に、2025年も補助金事業が実施されるのかの見通しをご紹介します。

予算概算要求とは、翌年度の予算編成に向けて、各省庁が取り組みたい事業と必要な費用の見積もりを盛り込んだ要求書を、財務省に提出することです。予算概算要求の内容や金額が変わる可能性はあるものの、各省庁が補助金を継続する意思があるかどうかを確かめられます。

経済産業省

経済産業省の令和7年度の予算概算要求によると「(1)国内投資拡⼤の継続・対⽇投資の拡⼤ 」の中に、以下の記載があります。

  • 省エネルギー投資促進・需要構造転換⽀援事業費【1,743億円】(GX)
  • 省エネルギー設備への更新を促進するための補助⾦【350億円(110億円)】(エネ特)

上記から、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金と、省エネルギー投資促進支援事業費補助金が実施されると予想されます。

※出典・参考:経済産業省.「令和7年度概算要求・税制改正要望について」.https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2025/pdf/01.pdf ,(2024-08-30).

環境省

環境省の令和7年度の予算概算要求のうち「重要政策推進枠」要望一覧には、「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の記載があり、要望額は合わせて50億円です。

また一般会計の中には「地域脱炭素推進費」として762億円との記載もあったため、環境省が地方自治体が実施する再エネ化への補助金事業を支援する可能性もあります。企業の所在する自治体のWebサイトを小まめにチェックして、補助金の公募がないか確認しましょう。

※参考:環境省.「「重要政策推進枠」要望一覧」.https://www.env.go.jp/content/000248561.pdf ,(2024-12-05).

※参考:環境省.「令和7年度歳出概算要求書(一般会計)」.https://www.env.go.jp/content/000248527.pdf ,(2024-12-05).

※参考:環境省.「地域脱炭素推進交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、特定地域脱炭素移行加速化交付金等)」.https://www.env.go.jp/content/000248488.pdf ,(2024-12-05).

国土交通省

国土交通省の令和7年度の予算概算要求には、以下の記載があります。

  • (2)脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進
    (a)脱炭素効果の高い住宅・建築物の普及や木材利用の促進などを通じた住宅・建築物の脱炭素対策等の強化 [1,263 億円(1.19)]
  • 既存ストックの省エネ改修への支援等の強化

上記から、既存建築物省エネ化推進事業、もしくはそれに関連した省エネ補助金事業が実施されると予想されます。

※出典・参考:国土交通省.「令和7年度 予算概算要求概要 P12」.https://www.mlit.go.jp/page/content/001760274.pdf ,(2024-08).

環境に配慮したオフィスを目指すならZEBの推進がおすすめ

2025年度時点では、省エネ法の規制対象とされるのは新築建設物と増改築部分のみですが、今後は既存建築物の省エネ化が求められる可能性も否定できません。そのため、今のうちから省エネ化を進めておくことが大切です。

オフィスビルの省エネ化に取り組む場合は、ZEBの推進をおすすめします。ZEBとは、ビルを省エネ改修することで年間エネルギー消費量を大幅に削減しつつ、企業が自らエネルギーを創り出す「創エネ」によって、収支ゼロを目指す建築物です。

ZEBに向けた取り組みは、パッシブ技術を利用したものと、アクティブ技術を利用したものに分けられます。パッシブ技術はエネルギーを極力使わないための手法を指し、アクティブ技術は設備の効率化でエネルギーを無駄なく使う手法を指します。以下はそれぞれの具体的な取り組みの例です。

パッシブ技術アクティブ技術
・昼光利用
・外皮性能の向上
・高断熱化
・日射遮蔽
・自然換気 など
・太陽光利用
・高効率空調
・高効率昇降機
・高効率給湯
・高効率照明
・地下水利用
・地中熱利用 など

これらの手法を用いて、まずはZEB Readyの状態を目指します。ZEB Readyとは50%以上の省エネ状態を実現することで、創エネを行う前の準備段階です。建築物の高効率化を進めた後は、太陽光発電など創エネ技術を取り入れて75%以上省エネのNearly ZEB、100%以上省エネのZEBへと段階的に進めていきます。

伊藤忠エネクスが提供するZEB推進に適したサービス

伊藤忠エネクスでは、建築物のZEBを推進できるさまざまなサービスを提供しています。ここでは3つのサービスをご紹介します。

デマンドコントローラー

伊藤忠エネクスでは、デマンドコントローラー「Ai-Glies」のご提案を行っています。Ai-Gliesは、室外機に制御器を設置して、気候や温度に合った最適な出力に自動調整する機器です。

そもそもデマンドコントローラーとは、消費された電力をリアルタイムで計測し、30分ごとの平均使用電力が設定した値を超えないよう設備を自動制御する機器です。自動で使用電力が調整されるので手間なく省エネを実現でき、電気料金の削減にもなります。デマンドコントローラーについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

デマンドコントローラーに関するお問い合わせ

03-4233-8041 平日9:00〜17:30

省エネルギー商材斡旋サービス

省エネルギー商材斡旋サービスは、初期費用0円でLED照明設備や空調設備を導入できるサービスです。シミュレーションの作成から現地調査、最新の省エネ設備の設置工事まで伊藤忠エネクスが対応します。5年間サービス料を支払うだけで、最新の省エネ設備を利用できます。6年目以降は、所有権がお客さまに移るのでサービス料なしで使い続けることが可能です。照明や空調を省エネルギー設備に切り替えれば、建築物の省エネが一気に進み電気料金も大幅に削減できます。

TERASELソーラー

TERASELソーラーは、初期投資不要で太陽光発電システムを導入できるサービスです。

お客さまの保有する建物の屋根や屋上、敷地内の遊休地などに太陽光発電システムを取り付ける工事やメンテナンスは、全て伊藤忠エネクスが対応します。つくった電気は自家消費できるので、自社施設をZEB化したい企業におすすめです。お支払い方法は、定額のエネルギーサービス料をお支払いいただく「エネルギーサービス」と、自家消費した電気量×固定単価をお支払いいただく従量払いの「PPA」の2種類があります。

法人向け電力販売サービス「TERASELでんきforBiz」と併せてご契約いただければ、使用電力を100%再生可能エネルギーにすることも可能です。省エネだけではなく脱炭素経営を実現したい企業は、ぜひお問い合わせください。

TERASELソーラー(自家消費型太陽光発電システム)

03-4233-8055 平日9:00〜17:30

まとめ

省エネ法の対象拡大や厳格化が進められている中、建築物のエネルギー消費量の規制は、今後も厳しくなることが予想されます。今のうちから建築物の省エネ化を進めるなら、国や省庁が実施する省エネ補助金を活用しましょう。省エネ補助金をうまく活用すれば、設備投資にかかる費用やランニングコストを削減でき、企業のイメージアップにもなります。補助金ごとの概要や応募資格、補助率などをしっかり理解して、自社に適した省エネ設備を導入・入れ替えし、さらなる省エネ化を目指しましょう。

伊藤忠エネクスでは、 省エネ法への対策に役立つさまざまな法人向けサービスを提供しています。デマンドコントローラーや省エネルギー商材を導入すれば、無理なく省エネを進められます。またTERASELソーラーを利用すれば、創エネによって建築物のZEBを推し進めることも可能です。

省エネ・創エネのどちらのソリューションも必要としている企業の担当者の方は、伊藤忠エネクスにお気軽にご相談ください。

TERASELでんき for Biz. 法人向け電力供給サービス 詳細はこちら 一覧へ戻る 一覧へ戻る

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