高圧電力の固定単価プランと市場連動型プランとは? メリット・デメリットを徹底解説

高圧電力の固定単価プランと市場連動型プランとは? メリット・デメリットを徹底解説

伊藤忠エネクス メディア編集部

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高圧電力の料金制度は、「固定単価プラン」と「市場連動型プラン」に大別されます。それぞれ基準となる単価の算定方法が異なり、どちらにもメリット・デメリットがあるため、電気の使用において何を重視するのかによって、選ぶべき料金プランが変わります。

本記事では、高圧電力の2つの料金制度について、違いを分かりやすく解説していきます。高圧電力の乗り換えや新規契約を検討している企業のご担当者さまは、本記事の内容を参考に、自社に適したプランを検討してみてください。

※本記事の内容は2023年12月時点の情報です。

固定単価プランとは?

高圧電力の固定単価プランとは、使用電力量に応じて変動する「電力量料金」の単価が固定されている料金制度です。

高圧電力の固定単価プランの電気料金は、以下の項目で構成されています。

電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 燃料費調整額 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金

それぞれの料金の内訳は、以下の通りです。

  • 基本料金(基本料金単価 × 契約電力 × 力率割引および割増):契約電力と力率に応じた固定料金
  • 電力量料金(電力量料金単価 × 使用電力量):使用電力量に応じた従量料金【電力量料金単価は契約期間中固定】
  • 燃料費調整額(燃料費調整単価 × 使用電力量):化石燃料の価格変動に合わせて設定される変動料金
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金(ふかきん)(再生可能エネルギー発電促進賦課金単価 × 使用電力量):全ての需要家が使用電力量に応じて負担する従量料金

固定単価プランでは、プラン内容の変更や料金改定がない限り、契約期間中の「電力量料金単価」が固定されています。プランによっては、季節や使用時間帯の単価が設定されている場合もあります。

固定単価プランは、電力の小売自由化以前からある、最も一般的な料金プランです。電力の小売自由化によってたくさんの新電力が誕生した現在でも、多くの電力会社が固定単価プランを用意しており、特に大手の電力会社が採用しています。

高圧電力の電気料金の仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

高圧電力の見積もりは「燃料費調整額」を要確認! 電気料金の仕組みを解説

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市場連動型プランとは?

高圧電力の市場連動型プランは、電気の小売自由化によって誕生した新しい料金制度です。日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に合わせて、30分ごとに電力量料金単価が変動します。

高圧電力の市場連動型プランの電気料金は、以下の項目で構成されています。

電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金

それぞれの料金の内訳は、以下の通りです。

  • 基本料金(基本料金単価 × 契約電力 × 力率割引および割増):契約電力と力率に応じた固定料金
  • 電力量料金(電力量料金単価 × 使用電力量):30分ごとに変動する電力量料金単価と使用電力量に応じた変動料金【電力量料金単価はJEPXの取引価格に応じて30分ごとに変動】
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金単価 × 使用電力量):全ての需要家が使用電力量に応じて負担する従量料金

基本的な項目は固定単価プランと同じですが、電力量料金に調達コストの変動が反映されるため、この料金制度の場合は、燃料費調整額を設けないケースが多いです。なお、JEPXの取引価格に合わせて電力量料金単価が変動するといっても取引価格がそのまま反映されるわけではなく、算出方法や条件は電力会社ごとに異なりますのでご注意ください。

燃料費等調整額や電源調達調整費などの独自項目で市場価格を電気料金に反映させるパターンも

電力会社の中には、市場価格を電気料金に反映させるために、「燃料費等調整額」や「電源調達調整費」などの独自項目(独自燃調)を設けているところもあります。

このケースの電気料金は、一般的に以下の項目で構成されています。

電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 独自項目 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金

それぞれの料金の内訳は、以下の通りです。

  • 基本料金(基本料金単価 × 契約電力 × 力率割引および割増):契約電力と力率に応じた固定料金
  • 電力量料金(電力量料金単価 × 使用電力量):使用電力量に応じた従量料金【電力量料金単価は契約期間中固定】
  • 独自項目(独自項目単価 × 使用電力量):市場価格を反映させるための変動料金
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金単価 × 使用電力量):全ての需要家が使用電力量に応じて負担する従量料金

独自項目の内容は電力会社によって、大きく異なります。例えば、大手電力会社が採用している燃料費等調整額は、固定単価プランの燃料費調整額とは1文字違いの別物で、「燃料費調整単価」に「離島ユニバーサル調整単価」や「市場価格調整単価」を加えた「燃料費等調整単価」を算定し、そこに使用電力量を乗算します。また新電力に多い電源調達調整費は、各電力会社が定めた基準単価と一定期間のJEPXの平均取引価格の差額に、使用電力量を乗算して算出することが多いです。

これらのケースは一見、固定単価プランに見えることから、契約の際には注意が必要です。

燃料費等調整額や電源調達調整費といった独自の項目を設けているかどうかは、電気需給約款で確認できます。また経済産業省が制定した「電力の小売営業に関する指針」では、市場連動型の料金プランで小売供給を行う場合は、適用される料金単価を確認できる仕組みを導入するなど、需要家が電気料金の見通しを立てやすいようにすることを電力会社の努力義務としています。電力会社の乗り換えなどで見積もりを依頼する際には、見積書に入っていない項目や条件がないかをしっかり確認するとともに、電力会社のWebサイトなどで分かりやすい情報提供がされているかも確認すると良いでしょう。

※参考:経済産業省. 「電力の小売営業に関する指針」. https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220401005/20220401005-1.pdf , (2023-12-19)

固定単価プランのメリット

先述した通り、高圧電力の固定単価プランでは、基本料金と電力量料金単価が固定されます。その月の使用電力量が前月と同じであれば、燃料費調整額が高騰しない限り、電気料金はほとんど変わりません。市場連動型プランと比べると、市場の変化による大幅な料金変動が起こりにくいため、安定した金額で電気を使用し続けることが可能です。電気料金の増減を考慮する必要がなく、企業の経営もより安定するでしょう。

固定単価プランのデメリット

固定単価プランの場合、燃料価格や市場価格の高騰による影響は、全て電力会社が受けることになります。実際、2021~2022年にかけては、さまざまな理由により調達コストの高騰が続き、結果、多くの新電力が事業撤退や倒産、廃業に至りました。

高圧または特別高圧で電力の供給を受けている需要家は、契約している電力会社が撤退や倒産、廃業し、どの小売電気事業者からも電力の供給を受けることができなくなった場合に、電気の使用場所を管轄する一般送配電事業者から一時的に電力を供給してもらうことができます。これを最終保障供給といいます。

最終保障供給は、あくまで新たな電力会社と契約するまでのつなぎのため、原則1年以内の契約となっており、また最終保障供給の長期化を防止するため、その料金は一般送配電事業者の標準料金メニューよりも割高に設定されています。固定単価プランを契約する場合は、倒産のリスクが少ない電力会社を選ばなければ、予期せぬ乗り換え先の再検討や、一時的な電気料金の値上がりを余儀なくされる可能性があるのです。

市場連動型プランのメリット

高圧電力の市場連動型プランは、JEPXの取引価格が一定水準よりも安いタイミングなら、固定単価プランよりも電気料金が安くなります。市場価格の推移に応じて使用電力量をコントロールできるのであれば、電気料金を抑えられる可能性が高いでしょう。

なおJEPXの取引価格は、需要が多い時間帯は高くなり、需要が少ない時間帯は安くなります。近年の約定価格の変動を見ると、需要の少ない深夜から早朝の時間帯や、太陽光発電の稼働が増えて供給量を確保しやすい昼間の時間帯は、料金が下がる傾向にあるようです。夜間に稼働する工場やランチ営業がメインの飲食店などは、固定単価プランから市場連動型プランへの切り替えによって、電気料金が大幅に下がるケースもあると考えられます。

※参考:一般社団法人日本卸電力取引所JEPX. 「約定価格(円/kWh)」. 
https://www.jepx.jp/electricpower/market-data/spot/ , (2023-12-19)

市場連動型プランのデメリット

一方で、電気料金が高額になる場合もあります。高圧電力の市場連動型プランでは、JEPXの取引価格が急激に高騰すると、電気料金も跳ね上がってしまいます。本来なら企業の会計上は固定費であるはずの光熱費が大幅に膨らむことで、思わぬ打撃を受けてしまう可能性もゼロではありません。

また実際の電気料金を事前に把握できないため、経営計画に対し、大きな誤算が生まれる可能性もあります。予算管理を重視する企業にとっては、市場連動型はリスクの大きな料金制度といえるでしょう。

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固定単価プランと市場連動型プランのどちらで契約するのが良い?

2021~2022年に高騰した電気料金は、2023年に入ってからは比較的落着いています。JPEXの約定価格は、以下のように推移しています。

年度約定価格(円/kWh)
20197.93
202011.21
202113.46
202220.41
202310.73

※参考:一般社団法人日本卸電力取引所JEPX. 「約定価格(円/kWh)」. 
https://www.jepx.jp/electricpower/market-data/spot/ , (2023-12-19)

2021~2022年の取引価格が高騰した要因には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行からの経済回復による化石燃料の需要増加や、エネルギー輸出大国・ロシアのウクライナ侵攻に対する市場の混乱と経済制裁、さらには歴史的な円安などが挙げられます。こういった世界規模のリスクを事前に全て予測するのは難しく、市場連動型プランに乗り換える場合は、ある程度の電気料金の高騰は起こり得るものと認識しておく必要があるでしょう。そのため、電気料金の高騰のリスクを背負いたくない企業には、固定単価プランの方がおすすめです。

一方で、確かに市場連動型プランには電気料金を抑えられる可能性があり、特に2023年はその傾向が強かったといえます。直近の電気料金を抑えたい企業や、電気料金を安くできる可能性を持っておきたい企業は、市場連動型プランを選んでも良いでしょう。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022)第2節 世界的なエネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ侵略」. https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2022/html/1-3-2.html , (2023-12-19)

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「2021年初頭、電力供給が大ピンチに。どうやって乗り切った?(前編)」. https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/2020_2021winter_denryokukyokyu01.html# , (2023-12-19)

固定単価プランで契約する場合は電力の調達方法や企業規模をチェック

固定単価プランで契約する場合の電力会社のチェックポイント

先述した通り、固定単価プランは電力会社にとってリスクのある料金制度です。固定単価プランで契約する場合は、調達コストの高騰で簡単に倒産してしまうような電力会社ではないか、電力の調達方法や企業規模をしっかり確認しましょう。どのようなところから電力を調達しているのか、また調達先のバランスが良いかどうかを確認しておくことが大切です。

倒産のリスクが低い会社、高い会社を見極める具体的なポイントをご紹介します。

倒産のリスクが低い電力会社

自社の発電所を持っている電力会社や、複数の供給源から電力を調達している電力会社は、倒産のリスクが比較的低いといえるでしょう。発電所を所有していない新電力の場合は、他社からの購入とJEPXを介した取引のバランスが良いところを選ぶのがおすすめです。

また当然ながら、電力以外の多角的な事業を行っている電力会社や、規模の大きな企業グループに属している電力会社も、倒産リスクは低いはずです。

倒産のリスクが高い電力会社

電力の調達をJEPXを介した取引のみに頼っている電力会社は、倒産のリスクが比較的高いといえます。市場価格の変動がそのまま調達コストに跳ね返ってきてしまうため、先述した通り、取引価格が高騰した場合には、電力会社に大きな負担がかかってしまうからです。また固定単価プランで電力を供給しているのであれば、調達コストが上がっても電気料金を引き上げにくいため、利益を確保できなくなってしまうでしょう。このことから、倒産につながってしまう可能性が高いと考えられます。

まとめ

高圧電力の契約を見直す際は、検討しているプランの料金制度をしっかりと見極めた上で、自社に適したものを選びましょう。固定単価プランを選ぶ場合は、倒産のリスクが低い電力会社かどうかを確認することも大切です。

伊藤忠エネクスは、半世紀以上にわたって石油製品・LPガスを中心としたエネルギーを全国のお客さまにお届けしている「エネルギー商社」です。伊藤忠エネクスが提供する法人向け電力では、電気料金が高騰するリスクの少ない固定単価プランを採用しています。またエネルギー商社の基盤を生かし、複数の供給源からバランス良く電力を調達するなど、安定した電力供給を維持し続ける環境づくりに取り組んでいます。電力会社の乗り換えや新規契約をご検討中の企業のご担当者さまは、ぜひお気軽にご連絡ください。

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