過去の電気料金高騰の要因を徹底解説! 2024年の電気料金の見通しや企業が選ぶべき優良新電力の条件とは?
少子高齢化による患者数の減少や、新型コロナウイルス以降に受診控えが続いた影響などにより、厳しい経営状況に陥っている病院は少なくありません。病院の主な収入源は診療報酬のため、患者数が減っても健全な病院運営を維持するには、コストの削減が必要不可欠です。
本記事では、今すぐ検討・実施できる病院のコスト削減アイデアをご紹介します。質の高い医療を提供するためには、病院の経営が安定していることが重要です。病院経営にお悩みの方は本記事を参考にして、コスト削減を実現しましょう。
※本記事の内容は2024年12月時点の情報です
医業利益とは、病院の売上(医業収益)から医業費用(医療の提供にかかる経費)を差し引いた額のことです。
2024年9月に一般社団法人 日本病院会らが公表した「2024年度 病院経営定期調査 – 中間報告(集計結果)- 」によると、全病院のうち74.7%が2023年度の医業利益が赤字だったことが分かっています。稼働病床100床当たりの医業利益で見ると、2023年度は約2億29万円の赤字です。2022年度の赤字額である約2億978万円と比較するとやや状況は回復していますが、それでも経営に苦しんでいる病院が多いことが伺えます。
病院経営を圧迫している原因には、少子高齢化や新型コロナウイルス以降の受診控えによる患者数の減少、人材不足に対応するためのコストの増加などが挙げられます。これに加えて、世界的な物価高騰による影響は医療業界にも及んでおり、医療材料費や水道光熱費などのコストが大幅に膨らんで、打撃を受けている病院もあります。
赤字から回復して健全な経営を行うには、収益を増やしてコストを削減する必要がありますが、病院の場合、主な収入源である診療報酬は患者数に左右されるため、いかにコスト削減に取り組むかが重要な鍵を握ります。
※参考:一般社団法人 日本病院会・公益社団法人 全日本病院協会・一般社団法人 日本医療法人協会.「2024年度 病院経営定期調査 – 中間報告(集計結果)- 」.https://ajhc.or.jp/siryo/20240917report.pdf ,(2024-09-17).
病院のコストを削減する上で見直したい4つの経費項目について解説します。
病院のコスト削減で見直したい経費の一つが人件費です。働き方改革や2022年に新設された看護職員処遇改善評価料などの影響で、2023年度の人件費にかかるコストは2022年度よりも1.2%増加しています。
人件費は、病院経営でかかるコストの大半を占めているといっても過言ではありません。厚生労働省が示す「病院経営管理指標」によると、一般病院での人件費率の相場は55.7%でした。
経費の半分近くを占める人件費を削れば大幅なコスト削減が実現しますが、人材がいなければ成り立たない病院経営において、人件費の削減はなかなか難しいのが実情です。
※ 参考:公益社団法人 日本看護協会.「看護職員の処遇改善に向けて」.https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/chingin/improvement/index.html ,(2024-10-27).
※ 参考:一般社団法人 日本病院会・公益社団法人 全日本病院協会・一般社団法人 日本医療法人協会.「2024年度 病院経営定期調査 – 中間報告(集計結果)- 」.https://ajhc.or.jp/siryo/20240917report.pdf ,(2024-09-17).
※ 参考:厚生労働省医政局委託.「医療施設経営安定化推進事業 令和4年度 病院経営管理指標【別冊】(1-7)」.https://www.mhlw.go.jp/content/001252727.pdf ,(2024-10-27).
委託費も病院のコスト削減で見直したい項目の一つです。
委託費とは、外部に業務を依頼した際に発生する経費のことで、主に以下のような費用が当てはまります。
いずれも病院運営を行う上では欠かせないものですが、委託先や委託の頻度を変えることで削減できる可能性があります。
経費の中で比較的大きな割合を占める医療材料費も、コスト削減でチェックしたい項目の一つです。
医療材料費とは、医療を提供するためにかかる材料費のことで、医薬品費の他、レントゲンフィルムや包帯、縫合糸などの診療材料費、注射針や体温計などの医療消耗器具備品費などがあります。
「2024年度 病院経営定期調査 – 中間報告(集計結果)- 」に記載の材料費を基に医業収益に対する構成比を計算すると、2023年度の全病院の医療材料費率は30.7%を占めていることが分かります。
医療材料費は診療を行う上で不可欠なため、大幅に減らすことは難しいかもしれません。しかし改善の余地がある可能性は高いので、積極的に見直してみましょう。
※参考:一般社団法人 日本病院会・公益社団法人 全日本病院協会・一般社団法人 日本医療法人協会.「2024年度 病院経営定期調査 – 中間報告(集計結果)- 」.https://ajhc.or.jp/siryo/20240917report.pdf ,(2024-09-17).
病院のコストを削減するには、水道光熱費も見直してみましょう。
病院の中でも病棟は、温度を一定に保つために空調を24時間稼働させています。環境省が公表した資料によると、病院や医療関連施設でかかるエネルギー消費の約30%が冷暖房と空調動力で消費されています。
また病院にある設備の中には、MRIやCTなど電力停止ができないものも多いため、病院の電気料金は高くなりやすいです。医科大学の外来棟(延べ床面積7万5千㎡程度)では、年間の電気料金が1億円程度になるという事例もあります。
「2024年度 病院経営定期調査 – 中間報告(集計結果)- 」を基に医業収益に対する構成比を見てみると、水道光熱費の割合は2%ほどでそれほど高くはありません。しかし近年は、ロシアのウクライナ侵攻などを原因とした燃料価格の世界的な高騰により、水道光熱費のうち特に電気料金が上がっています。
水道光熱費などの固定費は、他の経費項目よりもスムーズに削減しやすいため、積極的に見直しを行いたい項目です。
電気料金の高騰に関しては、以下のページで詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
※ 参考:環境省.「2.5 病院・ 医療関連施設 」.https://www.env.go.jp/earth/report/h15-07/02_02e.pdf ,(2024-10-27).
病院経営にかかるコストを削減するための取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、先述した経費項目のコストを削減できる8つのアイデアをご紹介します。
病院の人件費を削減するには、パートやアルバイトの割合を増やす方法があります。
医師や看護師の数を減らすと適切な医療を提供できなくなる恐れがあるため、人数をカットするのはなかなか難しいと考えてしまうものです。また人件費を削減するためとはいえ、賞与をカットしたり昇給をなくしたりするとスタッフのモチベーションが低下して、離職や医療の質の低下につながるリスクもあります。
人件費のうち、常勤スタッフにかかるコストは患者の数にかかわらず発生する固定費ですが、パートやアルバイトの割合を増やせば、固定費を減らして調整しやすい変動費に変えることが可能です。例えば、特別な知識を必要としない単純業務を常勤スタッフが行っているなら、必要に応じてパートやアルバイトを雇うことで人件費を削減できます。パートやアルバイトでの雇用によって、社会保険料や福利厚生費を軽減できる可能性もあるでしょう。
また単価の高い非常勤医を多く雇用すると、それだけ人件費が膨らみやすいです。非常勤医による診療時間や曜日を見直す、常勤医を採用するといった工夫も人件費の削減につながります。
業務の生産性を上げることも、人件費の削減につながる取り組みです。
まず院内の環境整備を実施し、人的負担が大きい業務や必要のない業務を洗い出してみましょう。負担が大きい業務にシステムやツールを導入すれば、業務の生産性が向上し、その他のコア業務に時間を割けるようになります。また必要のない業務を削減すれば、時間外勤務を減らすことができるので、人件費の削減につながるはずです。
システムやツールの導入費用と人件費を比較し、どちらが病院のコスト削減につながるか試算してみましょう。
病院のコストを削減するためには、委託業務を見直すことも大切です。
委託業務の中には、検査といった診療を行う上で欠かせない専門的なものから給食・清掃など専門性が求められないものまで、さまざまな業務があります。
委託費を見直すために、まずは現在委託している業務を洗い出してリスト化してみましょう。その中で院内で対応できる業務があれば、委託契約を終了することでコストを削減できます。委託契約には契約期間が定められていることが多いため、更新時期を確認し、タイミングを考慮しながら見直しを進めることが大切です。ただし、むやみに委託費を削ると人件費が増えてしまうこともあるので、費用対効果を考えながら検討しましょう。
また清掃委託費の場合、フロアに防汚加工をして汚れにくくしておけば、清掃を依頼する頻度を落とせるため、清掃委託費を軽減できるかもしれません。完全に委託をやめることができない業務でも、工夫次第で頻度や内容を変更して費用を削減できる可能性もあるので、院内でできる工夫がないか考えてみるとよいでしょう。
医療材料の在庫を適正量にすることも、病院のコスト削減に効果的です。医療材料は診療を行うために欠かせないものですが、在庫管理が十分にできておらず、過剰在庫を抱えたり医薬品が使用期限切れになってしまったりすることもあるのではないでしょうか。
各医療材料の適正在庫量や発注頻度、管理方法などを見直すことで、医療材料費を削減できるかもしれません。在庫管理に手が回らないなら、システムやツールを導入するのも一つの方法です。管理業務の生産性が向上するので、人件費削減にもつながります。過剰在庫は保管スペースや保管機器にかかる電気料金にも影響するため、問題を解消することで他の固定費を削減できる可能性も高いです。
医療材料の仕入れ先や価格を見直すのも、病院のコスト削減につながります。
まず材料の市場価格を確認し、適正な単価で取引できているかを確かめましょう。市場価格よりも高く仕入れている場合は、医療卸業者への交渉の余地があります。複数の業者から見積もりを取って、比較してみるのも一つの方法です。
また一括購入や長期契約を行う他、医療材料ごとに異なる業者から仕入れている場合は一つの業者にまとめるなどの工夫をすることで、現在の価格よりも低価格で仕入れられる可能性もあります。消費量が多いほど価格交渉がしやすい傾向にあるので、現在仕入れている医療材料を洗い出してみましょう。
それほど消費量が多くない医療材料の場合は、他の病院や医療機関と連携を取り、共同購入をして価格を抑える方法もあります。
水道光熱費のうち、水道料金のコストを削減するには、節水器や地下水の利用も検討してみましょう。
節水器を導入すれば、水の勢いを変えずに吐水量を減らせるので、水道料金を抑えられます。給水栓に節水器を設置するので、患者やスタッフの意識に左右されることなく節水できるでしょう。
また地下水濾過システムを導入すれば、敷地内の地下水を飲料水などに利用することが可能です。特に水道使用量が増えるほど料金単価が上がる累進課金制を採用している病院の場合、水道使用量を減らすことで大幅なコスト削減ができるかもしれません。地下水濾過システムを導入しておけば、災害時でも水を確保できます。
ただし、地下水濾過システムの導入にもコストがかかるので、費用対効果を踏まえて導入を検討することが大切です。また地下水の水質や量は、場所によって異なります。必ずしも水道料金が抑えられるほどの効果を得られるとは限らないため、必ず事前に調査しましょう。
病院でかかるコストのうち電気料金を削減するなら、電力会社を見直すのも一つの方法です。
前述した通り、水道光熱費率は医業収益の2%ほどでそれほど多くはありませんが、水道光熱費の半数以上を占めている電気料金を削減できれば、毎月の固定費を楽に減らせるでしょう。
ただし、電力会社を見直す際は、一つ注意しておきたいポイントがあります。
電力の小売自由化以降、多くの新電力が参入していますが、電気料金だけを重視して電力会社を選ぶと、乗り換えた先の新電力が事業撤退や倒産、廃業した際に予期せぬリスクを負う可能性があります。実際に新電力の電力供給停止によってトラブルに見舞われた病院もあるため、電力会社を選ぶ際は慎重に検討しなければなりません。
万が一、契約している新電力が事業撤退や倒産、廃業して電気受給契約が終了となった場合、供給停止日までに新たな電力会社と契約をする必要があります。供給停止日までに新たな電力契約を締結できなければ、「最終保障供給」の制度を利用しなければなりません。
最終保障供給とは、高圧または特別高圧の需要家が電力会社の事業撤退や倒産、廃業などにより電力受給契約が終了となった際に、大手電力会社から一時的に電力供給を受けられる制度です。最終保障供給によって電力が確保できなくなるリスクは避けられますが、一般的に最終保障供給の料金単価は標準メニューよりも割高に設定されているため、電気料金が高くなってしまうのは避けられません。
人の命を預かる病院で停電になることは絶対に回避しなければなりませんが、電気料金が一時的にでも高くなると、健全な病院経営ができなくなる恐れがあります。こういったリスクをなくすためには、安定した事業運営が見込める電力会社と契約することが必要不可欠です。
電力会社を見直す際は以下のチェックポイントを参考に、病院経営に適した電力会社を選びましょう。
「TERASELでんきforBiz」は、エネルギー総合商社として60年以上の歴史を持つ伊藤忠エネクスが提供する法人向け電力供給サービスです。
エネルギー事業で培ったノウハウを生かし、病院の使用電力量やニーズに応じたオーダーメイド式の料金プランを提案するので、電力会社の乗り換え効果を最大化させることが可能です。伊藤忠グループが保有する全国19カ所の発電所や九州電力グループとのアライアンス提携により、安定した電力提供を実現しています。
環境価値の調達にも対応しているので、電気料金の削減だけではなく再エネ化や脱炭素化を目指す病院にもおすすめです。
LED照明機器を導入することも、病院の電気料金削減につながります。
JIS規格「保健医療施設の照度基準」では、病院の適正な照度は病室は75~150lx、診察室は300~750lxと示されています。そのため、病院で照度を落として電気料金を削減するのは適切とは言えません。適正照度を維持した上で、照明にかかる電気代の削減を目指すなら、LED照明機器への変更がおすすめです。
経済産業省が公表したデータによると、病院で消費されるエネルギーのうち30%を占めるのが照明・コンセントです。病院は24時間365日電気を付けたままの部屋も多いため、照明機器を変えれば簡単に節電できます。
LED照明は従来型蛍光灯と比べて、約50%もの電力消費を抑えられるとされています。また寿命も従来型蛍光灯より長いので、メンテナンスコストも削減できるでしょう。
※ 参考:東京都環境局 東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京).「病院の省エネルギー対策 改訂版」.https://www.tokyo-co2down.jp/assets/company/seminar/type/text/byoin-02.pdf ,(2024-10-27).
※ 参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「夏季の省エネ・節電メニュー」.https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230609003/20230609003-7.pdf ,(2024-10-27).
LED照明は電気料金の節約に効果的ですが、院内全ての照明をLED照明に変えるとなると高額な導入費用がかかります。そこでおすすめなのが「伊藤忠エネクスの省エネルギー商材 斡旋サービス」です。
省エネルギー商材 斡旋サービスを利用すれば、初期費用0円でLED照明設備を導入できます。導入後は月々のサービス料が発生しますが、従来型蛍光灯よりも照明にかかる電気料金が抑えられるので、コスト削減を目指せます。また6年目以降は設備の所有権が契約者に移転し、サービス料がかからなくなるため、さらなる電気料金削減が可能です。
省エネルギー商材 斡旋サービスでは、省エネ効果の高い空調設備も提供しているので、併せてご検討ください。
省エネルギー商材斡旋サービス
03-4233-8041 平日9:00〜17:30質の高い医療を提供し続けるためには、健全な病院経営が必要不可欠です。患者数の減少や物価高の影響を受けて、コスト削減に取り組む重要性は以前よりも増しています。本記事でご紹介したコスト削減アイデアを取り入れて、安定した病院経営を目指しましょう。
電気料金の削減を検討しているなら、電力会社の見直しやLED照明設備の導入から着手するのがおすすめです。伊藤忠エネクスでは、TERASELでんきforBizや省エネルギー商材 斡旋サービス以外にもさまざまなエネルギーソリューションを提供しているので、病院が抱える課題やニーズに応じて適切なサービスをご提案します。まずはお気軽にお問い合わせください。
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