【太陽光発電の6つの優遇措置とは?】設備投資減税による優遇措置を解説
太陽光発電とは、太陽光の当たる場所に設置した発電用パネルを利用して行うエネルギー発電のことです。太陽光発電にはいくつものメリットがあるため、導入を決める法人も増えています。
法人が太陽光発電を導入するメリットやデメリットだけでなく、具体的な導入例も交えて解説するので、太陽光発電が自社に合っているかどうか分からない場合や、導入を迷っている企業はぜひ検討に役立ててください。
目次
太陽光発電にはいくつか種類がありますが法人で注目を集めるのは、電力コスト削減効果があると言われている自家消費型太陽光発電です。どのような点で削減につながるのか、具体的に見てみましょう。
世界的な情勢を踏まえて、電気料金は高騰が続いています。
業務用電気料金も例外ではありません。
しかし太陽光発電で発電した電力を自社で活用すれば、その分の電気料金を電力会社へ支払わずに済むため、業務用電気料金が高騰した場合でも費用を抑えやすくなります。
電力料金は1カ月におけるピーク時の電力使用量を元に基本料金が計算されます。
つまり、夏場などピーク時の電力使用量が増える時期(夏や冬)は、その他の時間帯に節電をしても電力コストが上がってしまう仕組みです。
しかし太陽光発電があればピーク時の電力の電力使用量を下げることができ、コストカットにつながります。
法人で太陽光発電を導入することには、多くのメリットがあります。ここでは5つのメリットについて確認しましょう。
自社で設置した太陽光発電は自社の電源設備として活用できるため、電気料金の削減につながります。
自社で使用する電力を賄うだけの導入コストを心配する方は多いでしょう。しかし導入コストもそれほど高価というわけではありません。小規模な事業所であれば、数十万円~数百万円程度で太陽光発電システムを設置できる場合がほとんどです。
実際に電力会社に支払っている電力コストを考えると、一時的に設置コストがかかるかもしれませんが、早期に回収してプラスに転じることができるでしょう。
太陽光発電の導入は中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制などの税制優遇の対象なので、節税対策につながります。
中小企業経営強化税制は、設備投資に対して即時償却もしくは10%の税額控除を行う制度です。発電した分をすべて自社で消費する「自家消費型太陽光発電」、もしくは50%以上を自社で消費し、残りを売電する「余剰売電型」のいずれかであれば、税制優遇が適用されます。
【発電の6つの節税方法とは?】設備投資減税による優遇措置を解説
自社での消費が50%に満たない太陽光発電は、中小企業経営強化税制の対象外ですが、中小企業投資促進税の適用が可能です。中小企業投資促進税は、設備投資の30%を特別償却、もしくは7%の税額控除のいずれかを選択することができます。
太陽光発電はCO2削減効果が見込めるため、太陽光発電を設置すると地球環境に配慮しているとして企業価値の向上につながります。
中でも、太陽光発電の導入が大きく関わりを持つのは「CSR」です。
近年、太陽光発電の設置をCSRの一つとしてホームページにも掲載する企業が増えています。企業にとって、こうしたCSRの公表が取引先や消費者にとって「その企業を選ぶ」動機となる可能性は無視できないでしょう。
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太陽光発電の設置などを通して企業価値が向上し選ばれる企業になる、売り上げなどの業績アップが見込めるといった、プラスの影響が期待できます。
再生エネルギーの中でも太陽光発電は普及率が高いため、万が一の故障に対応できる業者も多く参入しています。
発電などのエネルギーシステムが故障してしまうと、修理が完了するまで仕事がストップしてしますため企業には大きなダメージとなりかねません。太陽光発電は、できるだけ迅速に修理できる環境が整っているため、導入を検討する上で大きなプラスとなるでしょう。
太陽光発電は、基本的に日当たりが良いところなら設置が可能です。屋根の上や遊休地など、利用されていないデットスペースを活用するパターンが多く見受けられます。
また太陽光発電は、設置する場所の面積にあわせてソーラーパネルの枚数を調整できるため、広いスペースがあればその分多くのパネルを導入し、発電量を増やすこともできます。設置場所の制限や制約が比較的少なく、幅広い企業形態に適用できるのがメリットです。
事業用の太陽光発電には多くのメリットがありますが、同時にデメリットもいくつかあります。自家消費用の太陽光発電におけるデメリットを解説します。
天候や時間によって発電効率が低下してしまう可能性があることは、太陽光発電の避けられないデメリットです。太陽光が当たらなければ基本的に発電はできないため、雨天や夜間の発電効率はどうしても低下してしまいます。
太陽光発電による安定した電力供給を検討するなら、蓄電池と組み合わせた利用も検討しましょう。蓄電池があれば、余剰の電力を満タンになるまで貯められ、雨天時や夜間に電力を消費する際は蓄電池から電力を賄えば、電力会社への支払いを少なくできます。
太陽光発電は導入コストだけでなく、維持費もかかります。導入する前にあらかじめ維持費について考えてもしっかり理解しておくことが大切です。
導入後にかかってくる太陽光発電の維持費は、点検費用や清掃・メンテナンス費用、いざという時のための保険料、保険適用外の故障や破損に対する修理代、条件によっては固定資産税や所得税などが当てはまります。
一度設置した太陽光発電は長期間にわたって安定稼働させることが前提となるので、あらかじめ費用の計算をしておく必要があります。
太陽光発電を設置すると、反射光によってトラブルが起こるリスクがゼロではありません。
反射光によるトラブルは、太陽の光が企業の所有する太陽光パネルに当たり、近隣住宅の窓などに入射してしまうことで起こります。太陽光による光害は眩しいだけではなく、熱中症被害をもたらす可能性もあるため注意しなければなりません。
こうしたトラブルが発生しないよう、事前に入念なシミュレーションやパネルの仮設置を行い問題がないか慎重に確認することが大切です。
太陽光発電の業者は、残念ながら良心的で質の良い業者ばかりではありません。中には知識不足のままセールスや施工をしてしまう会社や、実績が少なくトラブルの際に十分な対応が期待できない会社もあります。
こうした業者に依頼してしまうのを避けるためには、「ただ売り込みに来たから」「会社が近いから」という理由だけで依頼を決めるのではなく、業者のレベルや実績をしっかりと調査することが重要です。ホームページに掲載されているものはもちろん、口コミサイトなどもチェックしてみてください。
また業者を決める際は、3~5社の相見積もりをとり、料金やプランの内容を比較することが望ましいです。太陽光発電は数十年利用し続けるシステムです。施行会社との付き合いも長く続くととらえ、対応や保証が充実した会社を選ぶようにしましょう
先述のとおり、再生可能エネルギーの利用は企業のCSR活動や社会的な評価に直結します。とりわけ投資家からの注目度が高まっているのは次のような理由があるからです。
ESGは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を並べたもので、企業にはこれら3つの観点における対策・配慮が必要である、という考え方が「ESG」と呼ばれています。
太陽光発電をはじめとした取り組みは、環境にも社会にもプラスの影響を与える代表的なESG対策の一つです。投資家たちも、ESG対策が充実している企業は成長の見込みがあるとの見方が広がっており、ESG投資という手法が活発化しています。
企業の社会的価値や投資価値を高める方法として、太陽光発電は大いに検討する余地があるでしょう。
太陽光発電にメリットがあると理解していても、具体的にはどのように利用でき、どの程度の効果があるかイメージしにくい部分もあるかもしれません。
本章では、実際に太陽光発電を導入している法人の事例を見てみましょう。
三重県津市の三交不動産株式会社では「津メガソーラー杜の街」と称して、大規模なメガソーラーを設置しています。
本施設は、近隣住民への配慮から防眩性に優れたソーラーパネルを採用しているだけでなく、非常時には地域住民がメガソーラーを自由に電源として利用できるようバッテリーの設置も備えるなど、近隣住民との共存を非常に重視しています。
津メガソーラー杜の街で発電した電力量は、施設に設置した電光掲示板で簡単に確認でき、地球温暖化防止にどの程度寄与しているかがひと目で分かります。
三交不動産株式会社は、保有する発電施設を自社施工による分譲住宅に住む方々向けの災害時電源として活用できるシステムを構築し、住宅にも付加価値をもたらしました。
近鉄不動産株式会社は近鉄志摩スペイン村ソーラー発電所を運営しています。伊勢志摩国立公園内、海沿いの元々駐車場のあった場所に、景観に配慮しつつ多くのソーラーパネルが設置されている様子は圧巻です。
近鉄志摩スペイン村ソーラー発電所では専用の見学台が設置されており、地域の小中学校が環境学習を目的に見学に訪れています。
近鉄不動産株式会社は、太陽光発電システムと電気自動車を組み合わせて災害時に避難場所に電力を供給するシステムを導入した実績があり、本発電所も大規模停電時の活用が期待されています。
5つのメリットでも触れましたが、太陽光発電は国や自治体などの補助金精度を活用して、導入コスト対策を行うことが可能です。
ただし公募制のものが多く、申請には期限もあるため注意が必要です。
設置業者の中には補助金の活用方法や申請のサポートをしてくれるところもあるので、相見積もりを取る際に問い合わせてみることをおすすめします。
本章では太陽光発電の導入で利用可能な税制優遇や補助金制度をいくつかご紹介します。
※本章でご紹介している制度は、2023年1月時点の情報です。
中小企業経営強化税制は、中小企業の設備投資を補助するための制度です。制度の内容と適用の条件を以下にまとめたので、ご参照ください。
税制優遇の内容 | 設備投資に対して即時償却もしくは10%の税額控除 |
---|---|
条件 | 発電を行った分の電気を50%以上、自社で消費する |
発電した分の自社における消費が50%を下回る場合は、税額控除率は下がるものの、中小企業投資促進税制が活用できます。
※参考:中小企業庁「経営サポート「経営強化法による支援」」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/(参照2023-02-22)
「新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」は環境省主催の補助金です。このうち企業が導入し補助金申請できるのは、「建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業」で、具体的には以下のような手法が対象となります。
補助対象となる太陽光発電の種類 | 対象の設備 | 補助率 |
---|---|---|
駐車場を活用した太陽光発電(ソーラーカーポート) | 太陽光発電パネル、接続箱、パワーコンディショナ、配線ケーブルなど | 施設等導入の1/3(上限1,000万円) |
廃棄物処分場などを活用した太陽光発電 | 太陽光パネル、定置用蓄電池、配線ケーブル、処分場等への設置に必要な設備など | 施設等導入の1/2(上限1,000万円) |
※参考:環境省「PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進加速化事業のうち、(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」
http://www.eta.or.jp/offering/22_08_shin2/files/01_jigyougaiyo.pdf(参照2023-02-22)
「地産地消型再エネ増強プロジェクト事業」は、東京都によって公募が行われている助成事業です。助成対象、助成率は以下のとおりです。
補助対象となる設備の種類 | 助成 対象者 |
補助率 |
---|---|---|
民間企業が設置する太陽光発電等(都内設置) | 中小企業など | 助成対象経費の2/3(上限1億円) |
その他 | 助成対象経費の1/2(上限300万円 | |
民間企業が設置する太陽光発電等(都外設置) | 中小企業など | 助成対象経費の2/3(上限1億円) |
その他 | 助成対象経費の1/2(上限7,500万円) | |
民間企業が設置する太陽光発電や蓄電池等(都外設置、都内消費・蓄電) | – | 再エネ発電設備は、助成対象経費の1/2(上限2億円) |
– | 蓄電池は、助成対象経費の2/3(上限1億円) |
助成要件がそれぞれ異なるため、制度の詳細についてはホームページをご参照ください。
※参考:クール・ネット東京「地産地消型再エネ増強プロジェクト(都内設置)」
https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/chisan-zokyo(参照2023-02-22)
企業が太陽光発電を導入し、電力の自家消費を行うと経費削減の効果に加えて社会的責任を果たし企業イメージのアップを図ることもできます。太陽光発電と蓄電池を併用して電力の消費状態を細やかにモニタリングするシステムもあり、CO2削減にも大いに役立つと言えるでしょう。
確かに太陽光発電システムの導入はある程度のまとまった経費やランニングコストがかかりますが、その分を自家消費で賄えたり補助金や税制優遇の対象となったりもするので、
長期的な視点で資金繰りをシミュレーションしてみると良いでしょう。ESG対策の一つとしても効果的な太陽光発電システムは、社会的責任を果たし価値向上を狙う企業の方へぜひ導入をおすすめしたい設備です。
このように地球規模で取り組まなければいけない環境対策に力を入れているのが、伊藤忠エネクスです。ESGだけでなく、様々な取り組みを行っています。
太陽光発電以外にもCO2の見える化も含めて、検討してみませんか?