【令和6年度】省エネ設備の導入や入れ替えで利用できる補助金事業一覧! 来年度の各省の予算概要も併せてチェック
企業の健全な運営において、電気料金の変動は決して無視できない項目です。近年の電気料金の値上がりを受け、予算と実績の乖離に悩んでいる企業も多いでしょう。日本の電気料金は2010年度以降、緩やかな値上がりと値下がりを繰り返していましたが、2022年度に大幅な値上げに転じました。今後も値上がりが続く場合、企業はどのように対応したらよいのでしょうか。
本記事では、電気料金の値上がりが続く要因と企業が実践できる値上げへの対策方法を解説します。
※本記事の内容は2024年12月時点の情報です
日本の電気料金は2010年以降、一時的な値下がりはあったものの全体的には上昇推移をたどっています。家庭向け(低圧)電力は、2010年度に21.39円/kWhだった電気料金が2022年度には34.00円/kWhにまで上昇しました。また産業向け(高圧・特別高圧)電力は、2010年度に14.33円/kWhだった電気料金が2022年度には27.55円/kWhにまでなり、2010年度比で約92%も上昇しました。
しかし、電力消費の動向を見てみると、2010年以降減少が続いており、電気料金の上昇推移と反対の動きをしています。電力消費が減少した背景には、景気の後退や照明や空調をはじめとした設備の省エネ技術の進化などが挙げられます。
※参考:経済産業省 省エネルギー庁.「電気料金の変化」.https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2023/02.html ,(2024-12-12).
最終保障供給とは、高圧・特別高圧で電力の供給を受ける需要家がどの事業者からも電力の供給を受けることができない場合に、電力供給がストップしないよう一時的な供給を前提として結ぶ需給契約です。あくまでもセーフティーネットとしての役割を担うので、契約は原則1年以内かつ料金は標準的な料金メニューよりも割高になっています。
しかし、2022年に発生したロシアによるウクライナ侵攻や円安などによる燃料価格の高騰によって市場価格も高騰し、自由料金よりも最終保障供給料金の方が割安になるという逆転現象が発生。最終保障供給の制度は見直され、2022年9月以降は、最終保障供給料金に市場価格調整額が加味されることになりました。
市場価格調整額とは、電力の売買取引を行う日本卸電力取引所の取引価格と連動し、市場価格と電力会社が定めた基準価格の差額を電気料金に反映する仕組みです。市場価格調整額が電気料金の構成に加わることで、日本の電気料金が上昇を続けている間は、必然的に最終保障供給の値上げも続くでしょう。
先述の通り、電力消費は減っているのに電気料金は値上がりし続けています。この状況は、なぜ起きてしまっているのでしょうか。ここでは、2010年以降に日本で起きた電気料金の上昇推移に直結する要因について、解説します。
2012年にスタートした再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)は、太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギー(再エネ)で発電された電気を、電力会社が一定期間固定価格で買い取ることを国が保証した制度です。FIT制度が始まって以降、再エネによる発電量は急速に伸びており、2023年度時点で日本の総発電電力量の22.9%を占めています。
この再エネを買い取る際にかかる費用は、電気を使用する全ての個人・企業から集められており、これを「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」と呼びます。再エネ賦課金は、毎年経済産業大臣が設定する再エネ賦課金単価に1カ月の使用電力量を乗じて算出します。過去5年間の再エネ賦課金単価の推移は、以下の通りです。
年度 | 再エネ賦課金単価 |
2020年度 | 2.98円/kWh |
2021年度 | 3.36円/kWh |
2022年度 | 3.45円/kWh |
2023年度 | 1.40円/kWh |
2024年度 | 3.49円/kWh |
再エネ賦課金は毎月の電気料金に含まれているため、値上がりの一因となっています。料金の負担はあるものの、再エネ由来電源の発電供給量が上がれば、日本のエネルギー自給率を向上させることが可能です。化石燃料に頼らなくても安定した発電量を維持できれば、化石燃料の調達コストや高騰リスクを下げることにもつながるでしょう。
※参考:経済産業省.「令和5年度(2023年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)」.https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241122001/20241122001.html ,(2024-12-09).
※参考:経済産業省.「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2024年度以降の買取価格等と2024年度の賦課金単価を設定します」.
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240319003/20240319003.html ,(2024-12-09).
原子力発電は、CO2を出さずに大量のエネルギーを安定的に供給できる電源として重宝されてきました。また使い終わった燃料を再処理することで再び利用できるため、エネルギー資源の少ない日本に適した発電方法という意見もあります。しかし、2011年の東日本大震災により、国内の原子力発電所は全て稼働を停止。その結果、日本はより火力発電に依存した電源構成となり、電力会社は化石燃料の調達コストを電気料金に反映するべく、相次いで値上げを発表しました。
2012年〜2015年の間に、原子力発電所の停止などに伴う燃料費の増加が理由の値上げが6回も行われています。
実施年月日 | 対象会社 | 改定率(%) |
2012年9月1日 | 東京電力 | 8.46 |
2013年5月1日 | 関西電力・九州電力 | 9.75(関西)・6.23(九州) |
2013年9月1日 | 北海道電力・東北電力・四国電力 | 7.73(北海道)・8.94(東北)・ 7.80(四国) |
2014年5月1日 | 中部電力 | 3.77 |
2014年11月1日 | 北海道電力 | 15.33 |
2015年6月1日 | 関西電力 | 8.36 |
2024年11月15日時点で、国内の原子力発電所は6,622.9万kWの供給力に対して、未申請が約33%、審査中が約14%、許可が約7%、稼働が約19%、廃炉が約26%の状態です。再稼働に至るまでには、原子力規制委員会が設定した従来の安全基準を強化した新規制基準をクリアしたり、地域住民の理解を得たりと多くの課題を乗り越える必要があります。
※参考:TEPCO 東京電力ホールディングス.「数表で見る東京電力」.https://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/charge/revision-history-j.html ,(2024-12-09).
※参考:電気事業連合会.「日本の原子力発電所 稼働状況一覧」.https://www.fepc.or.jp/sp/re-operation/ ,(2024-12-09).
燃料価格とは、火力発電に利用される化石燃料(原油・石炭・液化天然ガス)を調達するコストのことです。日本は2023年度のエネルギー自給率が15.2%で、化石燃料のほとんどを諸外国からの輸入に頼っています。そのため、調達にかかるコストを電気料金に反映するべく「燃料費調整制度」が始まりました。
2010年以降は、以下のような出来事により燃料価格の上昇・下降の変動が起こり、電気料金に大きな影響を与えました。
燃料価格の上昇・下降が起きた時期 | 出来事 | 概要 | 価格の推移 |
2010年~ 2012年 | アラブの春 | アラブ諸国で起きた民主化運動により、中東・北アフリカ地域の地政学リスクが上昇し、原油価格が高騰 | ドバイの原油価格 2010年 78.06ドル/bbl 2011年 106.03ドル/bbl 2012年 109.78ドル/bbl |
2015年前後 | シェール革命 | アメリカでシェール層に含まれる石油や天然ガスの掘削技術が開発され、供給過剰の状態になり燃料価格が下降 | アメリカの天然ガス価格 2014年 4.37ドル/mmbtu 2015年 2.61ドル/mmbtu 2016年 2.49ドル/mmbtu |
2020年前半 | 新型コロナウイルスの感染拡大 | 活動自粛などにより車や飛行機の稼働が激減、石油の需要が減ったのに伴い燃料価格が下降 | アメリカの石油価格 2020年3月 29.9ドル/bbl 2020年4月 16.5ドル/bbl 2020年5月 28.6ドル/bbl |
2021年 | 新型コロナウイルス以降の経済活動の回復 | 経済活動が再開し、世界中で一気にエネルギー需要が増加、需給バランスが崩れて、燃料価格が高騰 | アメリカの石油価格 2021年8月 67.7ドル/bbl 2021年9月 71.6ドル/bbl 2021年10月 81.3ドル/bbl |
2021年~ 2023年 | ロシアによるウクライナ侵攻 | エネルギー資源大国であるロシアがウクライナに侵攻したことで、エネルギーの供給バランスが崩壊、燃料価格が高騰。その後、G7がロシアへの経済制裁としてロシアからの原油輸入を禁止、燃料価格の高止まりが続く | オーストラリアの石炭価格 2020年 60.8ドル/mt 2021年 138.1ドル/mt 2022年 344.9ドル/mt 日本のLNG価格 2020年 8.31ドル/mmbtu 2021年 10.76ドル/mmbtu 2022年 18.43ドル/mmbtu |
中東情勢の緊張化やロシアによるウクライナ侵攻など、いまだに地政学リスクは高く、燃料価格は先の読めない状況が続いています。
※参考:経済産業省.「令和5年度(2023年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)」.https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241122001/20241122001.html ,(2024-12-09).
※参考:THE WORLD BANK. 「World Bank Commodities Price Data (The Pink Sheet)」. https://www.worldbank.org/en/research/commodity-markets , (2024-12-09).
先述の通り、日本は化石燃料の調達を輸入に頼っています。そのため、2022年から急速に進んだ円安も、電気料金に大きな影響を与えています。
【過去5年間の為替相場 東京市場 ドル・円相場/スポット 中心相場/月中平均】
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
2020年 | 109.34 | 109.96 | 107.29 | 107.93 | 107.31 | 107.56 | 106.78 | 106.04 | 105.74 | 105.24 | 104.4 | 103.82 |
2021年 | 103.7 | 105.36 | 108.65 | 109.13 | 109.19 | 110.11 | 110.29 | 109.84 | 110.17 | 113.1 | 114.13 | 113.87 |
2022年 | 114.83 | 115.2 | 118.51 | 126.04 | 128.78 | 133.86 | 136.63 | 135.24 | 143.14 | 147.01 | 142.44 | 134.93 |
2023年 | 130.2 | 132.68 | 133.85 | 133.33 | 137.37 | 141.19 | 141.21 | 144.77 | 147.67 | 149.53 | 149.83 | 144.07 |
2024年 | 146.57 | 149.42 | 149.63 | 153.43 | 156.13 | 157.82 | 158.06 | 146.23 | 143.38 | 149.63 | 153.72 | – |
2020年〜2021年初頭まで、円相場は1ドル100円台で推移していましたが、ここ5年で50円近く円安が進み、2024年7月には1ドル158.06円を記録しました。
このまま為替が円安に進んでいけば、化石燃料を調達する際の輸入金額の増加が止まらず、燃料価格の高止まりも続いてしまうでしょう。
※参考:日本銀行 時系列統計データ 検索サイト. 「主要時系列統計データ表」. https://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/fm08_m_1.html , (2024-12-09).
2010年度以降の電気料金の推移を見ると、一時的な値下がりはあったものの全体を通して値上がり傾向にあることが分かります。今後もこの上昇推移が続くのであれば、電気料金を削減するための対策を早急に講じる必要があるでしょう。ここでは、企業におすすめの対策を3つご紹介します。
電力の小売自由化以降、企業は所在地のエリア電力会社に縛られることなく、自社に適した電力会社や料金プランを自由に選択できるようになりました。激化する市場競争の中で多くの電力会社が自社の魅力を押し出すべく、新しい料金プランやエネルギーソリューションを提供しています。またその一方で、発電コストの増加や市場価格の変動を電気料金に反映するために、料金プランの改定も随時行われています。
そのため、電力会社や料金プランの比較検討を定期的に行い、より満足度の高い電力会社を見つけることが大切です。
伊藤忠エネクスは法人向け電力供給サービス「TERASELでんきforBiz」を提供しています。電力供給事業に参入して15年の知見やノウハウを生かして、お客さまの使用電力量や電気の使い方に合わせたオーダーメイドプランを提供しています。電力供給を行っている業種は40種以上、電気料金の平均削減率は1拠点当たり8.1%です。
企業のニーズに合わせた環境価値の調達も可能なので、電気料金の削減のみならず、RE100や温対法への対応も実現できます。「電気料金を少しでも削減したい」「いろんなニーズに対応してほしい」といったご要望がある企業は、ぜひ伊藤忠エネクスへお問い合わせください。
省エネは、実践することで使用電力量が減って電気料金が下がるだけではなく、企業の脱炭素化にも寄与できるので、積極的に行いたい取り組みです。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
設備の稼働状況を小まめに調整できない企業の場合は、使用している設備を高効率のものに入れ替えるだけで、設備の稼働量を変えずに使用電力量を減らすことができます。例えば、照明や空調設備、冷凍冷蔵設備、業務用給湯器、産業用モーターなどの入れ替えが有効です。設備の入れ替えには費用がかかりますが、国や自治体が実施している補助金事業を賢く活用して、省エネ化を目指しましょう。
省エネ補助金の種類や概要を知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
省エネ設備への入れ替えを検討しているなら、伊藤忠エネクスの省エネルギー商材斡旋サービスがおすすめです。
先述の通り設備の入れ替えには費用がかかりますが、投資の計画や回収の見通しを立てるのは大変なものです。伊藤忠エネクスのサービスは初期費用0円で最新の省エネ設備を導入できます。導入後は月額のサービス料がかかりますが、電気料金の削減が見込めるので、トータルでみるとコストダウンが図れます。サービスの利用開始から5年が経過すると所有権が企業に移るので、月額のサービス料なしでそのまま設備を使い続けることが可能です。
企業において消費電力比率の高い照明や空調設備を最新モデルに入れ替えれば、大規模な省エネ化を実現できるでしょう。省エネの具体策を検討している企業や、手間なく最新の省エネ設備へ切り替えたい企業は、ぜひお問い合わせください。
省エネルギー商材斡旋サービス
03-4233-8041 平日9:00〜17:30伊藤忠エネクスでは、空調設備に特化したデマンドコントローラー「Ai-Glies」もご提案しています。デマンドコントローラーとは、デマンド値(30分ごとの使用電力の平均値)が事前に設定した値に近づくと、自動で設備の出力を調整して使用電力を抑えてくれる機器のことです。自動で使用電力を抑えられる他、最大需要電力が大きくなることによる電気料金の値上がりも防ぐことができます。
Ai-Gliesは、室外機に制御器を設置して気候や温度に合わせて空調の出力を自動調整するので、手軽に節電しながら快適な室温を保てます。使用電力の見える化をしたい企業や、多数の空調設備を同時に稼動させている企業は、ぜひ伊藤忠エクスのデマンドコントローラーの導入をご検討ください。
デマンドコントローラーに関するお問い合わせ
03-4233-8041 平日9:00〜17:30自社に太陽光発電システムを設置すれば、作った電気を自家消費して買電量を減らせるので、大幅な電気料金の削減が期待できます。買電量が減ることで、先述した再生可能エネルギー発電促進賦課金や燃料価格、為替変動の影響を受けにくくなるのもメリットです。しかし、太陽光発電システムを導入するには、数百万円〜数千万円程度の初期費用が必要です。定期点検費や清掃費などのランニングコストも含めて、投資の回収見込みが立つか慎重に計画を立てなければなりません。
まとまった初期費用を捻出できない場合は、PPAモデルやリースといった初期費用がかからない方法も合わせて検討してみてください。PPAモデルについて詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。
伊藤忠エネクスが提供する「TERASELソーラー」は初期投資不要で、太陽光発電システムを導入できるサービスです。お客さまの保有する建物の屋根や屋上、敷地内の遊休地などに太陽光発電設備を設置し、発電した電気は自家消費していただけます。お支払い方法には、定額のエネルギーサービス料をお支払いいただく「エネルギーサービス」と、自家消費した電気量×固定単価をお支払いいただく従量払いの「PPA」の2種類があります。PPAモデルとリースのどちらが自社に合っているか分からないという企業は、伊藤忠エネクスにご相談いただければ両方のスキームの比較・検討をお手伝いいたします。
電気料金への対策ができる他、脱炭素経営に向けた取り組みにもなるので、ぜひ伊藤忠エネクスへお問い合わせください。
TERASELソーラー(自家消費型太陽光発電システム)
03-4233-8041 平日9:00〜17:30電気料金は2010年度以降、一時的な値下がりはあったものの全体的には上昇推移をたどっています。再エネ賦課金や燃料費調整額のような新しい項目の追加や算定方法の変更であれば、電気料金の値上げ時期や値上げ幅についておおよそ検討がつきます。一方、燃料価格や為替の変動などは予期せぬタイミングで急激な高騰を引き起こす可能性があるので、企業は電気料金の値上がりに対してどのような対策を講じるのか、あらかじめ検討しておきましょう。
本記事でご紹介したように、電力会社や料金プランの見直し、省エネ設備や太陽光発電システムの導入を検討しているなら、伊藤忠エネクスへご相談ください。伊藤忠エネクスは、さまざまなエネルギーソリューションを提供しており、エネルギー総合商社としてのノウハウを基にお客さまに適した方法をご提案しています。エネルギーやコストの最適化を通して、電気料金の高騰リスクにも備えられるので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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