エコアクション21は、中小企業でも取り組みやすいように配慮された日本独自の環境マネジメントシステムです。環境経営への入り口として適したシステムで、取り組むことで企業はさまざまなメリットを得ることができます。
本記事ではエコアクション21の概要やISO14001との違い、エコアクション21に取り組むメリットなどについて解説します。環境経営を推進したい経営者や企業の担当者の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
※本記事の内容は2024年12月時点の情報です
目次
エコアクション21とは、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステムです。1996年に策定された後、幾度か改訂が重ねられ、2024年12月時点では「エコアクション21ガイドライン 2017年版」が最新版となっています。運営しているのは、環境省による要件適合確認を受けたエコアクション21中央事務局です。
エコアクション21では環境経営の認証・登録制度を採用しており、明確に定められたガイドラインの下、企業がPDCAサイクルを回して環境に配慮した取り組みを主体的に行えるような仕組みづくりがなされています。
環境経営に関する取り組みの中には、中小企業には参画のハードルが高いものもありますが、エコアクション21は中小企業を含めたあらゆる企業が、効果的かつ効率的、継続的に環境に配慮した取り組みを行えるように工夫されているのが特徴です。2024年12月時点で7,500を超える事業者がエコアクション21の認証を受けています。
ここからはエコアクション21の3つの特徴を見ていきましょう。
※参考:環境省.「エコアクション21」.https://www.env.go.jp/policy/j-hiroba/04-5.html ,(2024-10-10).
※参考:エコアクション21.「トップページ」.https://www.ea21.jp/ ,(2024-10-18).
エコアクション21では、以下に挙げる環境負荷について把握しておく必要があります。
加えて、必ず取り組むべき行動として、以下のような項目も定められています。
エコアクション21の必須要件として、環境経営レポートの作成・公表があります。
環境経営レポートとは、環境への取り組みによって得られた結果をまとめたものです。エコアクション21では、「環境に配慮した取り組みを推進するためにも社会からの信頼を高めるためにも、環境への取り組み状況や内容を公表する環境コミュニケーションが欠かせない」とされています。
なお、エコアクション21の認証・登録事業者の環境経営レポートは、エコアクション21のWebサイトで閲覧可能です。
エコアクション21では、第三者認証・登録制度が採用されています。
この第三者認証・登録制度は、エコアクション21ガイドラインで定められている要求項目を満たした事業者に対して、環境省の管轄組織に所属する第三者が一定の評価を行うものです。登録の際には必ず第三者による審査をクリアしなければならないため、制度の信頼性や権威性が担保されています。
地球温暖化や環境破壊は世界的な問題となっており、2015年には21世紀末までにCO2などの温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標とする「パリ協定」が採択されました。この目標を達成するには、各企業が化石燃料を使わない取り組みを進める必要があります。この取り組みを推進するための仕組みの一つが、エコアクション21です。
化石燃料の使用を避ける必要があると分かっていても、具体的に何から取り組めばよいのか分からないという企業も多いでしょう。エコアクション21では、把握すべき項目や実施すべき行動などをまとめたガイドラインを示すことで、あらゆる企業が効率的に環境経営に取り組めるようにしています。
また中小企業の中には、環境経営を推進するためのリソースを十分に確保できず、実施に踏み切れないケースもあるでしょう。エコアクション21は環境経営の国際規格よりも取り組みのハードルが低く設定されており、中小企業でも無理なく取り組めるようになっています。
※参考:外務省.「2020年以降の枠組み:パリ協定」.https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000119.html ,(2022-02-24).
エコアクション21と比較されやすいのが、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001です。いずれも環境マネジメントシステムの規格のため、「どちらを取得すべきか」と迷ってしまう場合もあるでしょう。
エコアクション21とISO14001には、以下のような違いがあります。
エコアクション21 | ISO14001 | |
策定した組織 | 環境省 | 国際標準化機構(ISO) |
規格の種類 | 国内規格 | 国際規格 |
登録有効期間 | 2年間 ※1年後に中間審査、2年後に更新審査を実施 | 3年間 ※1年ごとに定期審査、3年後に更新審査を実施 |
登録にかかる費用 ※従業員規模が100人の場合 | 約30万円 | 約160万円 |
審査方法 | 書類審査の後、現地審査 | 原則、現地確認による審査 |
向いている企業 | 中小企業 | 大手企業 |
ISO14001は中小企業でも認証取得を目指せる規格ですが、取得までの負担やコストを考えると、エコアクション21の方が取得しやすいです。
※参考:財団法人 地球環境戦略研究機関.「エコアクション21 認証・登録手続規定」.https://www.env.go.jp/content/900497013.pdf ,(2010-06-01).※参考:一般財団法人 日本品質保証協会.「ISO 14001(環境)」.https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso14001/flow.html ,(2024-10-10).
※参考:エコアクション21 地域事務局 とやま環境財団.「環境マネジメントシステム(エコアクション21とISO14001)の比較」.http://www.tkz.or.jp/ea21/hikaku.html ,(2024-10-10).
企業がエコアクション21に取り組むメリットをご紹介します。
エコアクション21に取り組むメリットの一つは、環境保全の取り組みを効率的に進められることです。
エコアクション21のガイドラインには、実務にかかる事業者の負担に配慮した上で、把握すべき環境負荷の必須項目や取り組むべき必須行動が具体的に示されています。何に取り組めばよいかが明確なので、中小企業であっても効率的に環境保全のための取り組みを推進できるでしょう。
コスト削減につながることも、エコアクション21のメリットの一つです。
エコアクション21で効果を出すためには、何度もPDCAを回して、継続的に改善を行わなければなりません。PDCAを回し続けることで業務改善や経費削減にも取り組めるので、企業全体のコスト削減にもつながっていくでしょう。
エコアクション21に取り組めば、ビジネスチャンスを広げられる可能性もあります。
パリ協定が採択されて以降、持続可能な開発目標である「SDGs」や、事業に使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達する取り組みである「RE100」などが始まりました。多くの企業が環境への取り組みを進めている中で、取引先を選ぶ際に「環境保全に取り組んでいるかどうか」を条件とする企業も増加傾向にあります。
エコアクション21の認証を取得すれば、先方の求める取引条件にかなう可能性が高まる他、競合他社との差別化にもつながるため、ビジネスチャンスを拡大できるでしょう。
顧客や消費者から信頼を得られるのも、エコアクション21に取り組むメリットです。
エコアクション21をはじめとした環境に配慮した経営に取り組むことは、企業の社会的責任を果たすことにつながります。特にエコアクション21は第三者認証であり信頼性や権威性も高いため、より信頼を得やすいでしょう。
またエコアクション21の認証を取得するとロゴマークの使用が認められるため、ロゴマークを使って外部に積極的なアピールをすることも可能です。
エコアクション21に取り組むと、低金利で融資を受けられる可能性もあります。
一部の金融機関では、エコアクション21の認証を受けた企業に対して低利融資制度を設けています。この優遇措置を活用すれば、環境経営に必要な資金を調達しやすくなり、より積極的に環境に配慮した取り組みを進められるでしょう。
さらにエコアクション21の認証を受けていると、自治体からの補助金審査や入札審査を受ける際に加点されるケースもあります。
※参考:エコアクション21中央事務局.「金融機関によるエコアクション21の関連融資」.https://www.ea21.jp/starter/bank-info/ ,(2024-12-20).
前述した通り、エコアクション21ではPDCAを回しながら環境への取り組みを進めていきます。PDCAの回し方は、以下の通りです。
PDCAサイクル | 実行すること |
Plan(計画の策定) | 現在の環境負荷を把握し、経営上の課題やチャンスを考慮して、環境経営の方針・目標を策定する |
Do(計画の実施) | 目標達成のための実施体制を構築し、実行に移す |
Check(取り組み状況の確認・評価) | 実行した取り組みを経て、使用電力量やごみの排出量、CO2排出量などが削減できているかを確認し、結果を分析して評価する |
Act(全体の評価と見直し) | 評価内容を基に改善策を立て、次の活動を実施する |
エコアクション21では、上記のプロセスを環境経営レポートとして毎年まとめて、公表する必要があります。
エコアクション21の認証を取得するまでの主な流れは、以下の通りです。
認証取得に関して疑問がある場合は、地域事務局への事前相談が可能です。
エコアクションの認証を取得するまでにかかる費用は、大きく分けて以下の2つです。
審査費用は、エコアクション21が定める標準審査工数表を基に決まります。審査人の一人日当たりの費用は50,000円(税別)です。現地審査の場合、別途交通費なども発生します。
認証・登録料は、従業員規模によって以下のように決められています。更新の際に発生する更新登録料も同様です。
従業員数 | 認証・登録料(2年分・税別) |
10人以下 | 50,000円 |
11人以上300人以下 | 100,000円 |
301人以上500人以下 | 150,000円 |
501人以上1,000人以下 | 200,000円 |
1,001人以上 | 300,000円 |
※参考:エコアクション21.「認証・登録の費用」.https://www.ea21.jp/starter/cost/ ,(2024-10-10).
伊藤忠エネクスは、エコアクション21の取り組みに役立つさまざまなサービスを提供しています。環境経営への取り組みを検討している場合は、ぜひチェックしてみてください。
サービス名 | 概要 |
TERASELでんきforBiz | ・法人向け電力供給サービス ・環境価値の付加による実質再エネ化やCO2排出量実質ゼロも実現可能 |
TERASELソーラー | ・契約者の保有施設に太陽光発電システムを設置し、発電した電力の自家消費ができる |
GXコンサルティングサービス | ・企業のCO2排出量などを可視化し、削減に向けた伴走支援を受けられる |
省エネルギー商材サービス | ・初期費用0円で、LED照明や省エネ効果の高い空調設備などを導入できる |
GTL燃料 | ・GLT燃料(天然ガス由来の軽油代替燃料)の供給 |
リニューアブルディーゼル | ・リニューアブルディーゼル(廃食油や廃動植物油などを原料とした次世代型バイオ燃料)の供給 |
エコアクション21は「どこから環境経営に取り組めばよいか分からない」という中小企業でも始めやすい環境マネジメントシステムです。地球環境の保全に貢献できる他、コスト削減やビジネスチャンス拡大といった多くのメリットがあるので、この機会にぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
伊藤忠エネクスでは、環境経営の取り組みに役立つさまざまなサービスを提供しています。
これから環境経営への取り組みを始める企業や、取り組み内容や進め方に悩んでいる企業は、ぜひお気軽に伊藤忠エネクスにご相談ください。
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