LPガス事業者が考えるべき事業承継とは? 業界を取り巻く課題や将来性を踏まえて解説

LPガス事業者が考えるべき事業承継とは? 業界を取り巻く課題や将来性を踏まえて解説

伊藤忠エネクス メディア編集部

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来 「 社会とくらしのパートナー」として 全国各地の地域に根ざし生活に欠かせないエネルギーをお届けしてまいりました。 老舗エネルギー商社ならではの情報を発信します。

2024年現在、LPガスの需要は減少し、市場規模も縮小傾向にあります。経営者の高齢化も進行しており、LPガス事業を廃業するべきではないかと悩んでいる経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

廃業を選択すると、時間や費用がかかる上に、従業員や顧客、取引先などにも大きな影響を与えてしまいます。「本当は事業を継続したいけれど、後継者候補がいない」のであれば、事業承継を検討してみてください。

本記事ではLPガス事業者が選択できる事業承継について、業界を取り巻く課題や将来性を踏まえて詳しく解説します。事業承継のメリットや方法、手順などもご紹介するので、LPガス事業を展開している経営者の方はぜひ参考にしてみてください。

※本記事の情報は、2024年8月時点のものです

LPガス事業者の特徴

LPガス事業者とは、その名の通りLPガスを取り扱う企業や個人事業主のことです。全国各地に存在しており、LPガスの小売販売を主としているケースが多いです。中にはLPガスの販売と併せて、石油製品の販売や住宅設備工事の請け負いを行っている事業者も存在します。

LPガスは以下のような点が特長です。

  • ガスボンベなど必要な設備さえあれば、全国どこでも利用できる
  • 都市ガスの2倍以上の発熱量がある
  • 災害などにより、ガスの供給が遮断された場合も比較的すぐに復旧できる

LPガスの需要は、国内最終消費エネルギー(国内で実際に消費されるエネルギー)の約5%と割合自体は少ないものの、中華料理店などの飲食店用や工業用、化学原料用、自動車用、火力発電所のバックアップ燃料用といった、火力が必要な場面や災害対策で使われています。

※参考:日本LPガス協会.「需要」.
https://www.j-lpgas.gr.jp/genzai/needs.html ,(2024-08-05).

LPガス業界を取り巻く課題

2024年8月時点でLPガス業界の市場規模は縮小傾向にある上に、経営者の高齢化が課題になっています。ここからはこれらの課題について、詳しく解説していきます。

需要が減少し市場規模も縮小傾向

LPガスの国内需要は、年々減少傾向にあります。1996年度には過去最高の1,970万tになったものの、2014年度以降には約1,400万t程度で推移。需要の減少に伴ってLPガス事業者数も減っており、直近では毎年約300~500社の事業者が廃業しています。

需要の減少には、さまざまな原因が挙げられます。考えられる原因の一つは、オール電化住宅の普及です。一般家庭でのエネルギー別の消費割合は、1973年度と2021年度で以下のように変化しています。

消費エネルギー1973年度2021年度
電気28.2%50.3%
都市ガス17.0%24.0%
灯油31.3%14.8%
LPガス17.4%10.5%
石炭6.1%0%
太陽熱など0.4%

上記のデータからも電気の消費割合が増えており、LPガスの消費割合が減っていることが分かります。

また2017年に都市ガスの小売全面自由化が始まったことも、LPガス需要減少の原因の一つです。自由化によって、ご家庭に合ったガス会社を自由に選べるようになった他、都市ガスの新規事業者が増えてきています。各事業者で料金の見直しや新プランの開始などさまざまな取り組みが行われ、LPガスから都市ガスに切り替えるご家庭も増えていると考えられています。その結果、LPガスのシェアは、電気だけでなく都市ガスにも奪われてしまっているのです。

さらには近年、暖冬が続いていることも、LPガスの需要の減少に拍車をかけています。LPガスはガスファンヒーターを利用する寒い季節に需要が高まりますが、2004年からガスファンヒーターを利用するご家庭は減少傾向です。結果としてLPガスの消費量も減っているといえるでしょう。

※ 参考:一般社団法人 全国LPガス協会.「LPガス業界の現況について」.https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/carbon_neutral_car/pdf/002_06_00.pdf ,(2021-03-26).

※ 参考:資源エネルギー庁.「第4回 液化石油ガス流通ワーキンググループ事務局提出資料」.https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/ekika_sekiyu/pdf/004_04_00.pdf ,(2023-03-02).

※ 参考:経資源エネルギー庁.「第2部 エネルギー動向」.https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/pdf/2_1.pdf ,(2024-06).

業界全体で高齢化・人手不足が進行

2021年度に行われた一般財団法人エルピーガス振興センターの調査によると、LPガス販売事業者における経営者の平均年齢の割合は以下の通りです(n=4,623)。

  • 20代:0.1%
  • 30代:2.8%
  • 40代:14.3%
  • 50代:27.4%
  • 60代:33.2%
  • 70代:16.9%
  • 80代以上:5.3%

60代以上が半数を超えており、経営者の高齢化が進んでいることが分かります。

さらにLPガス業界は、配送するドライバーやガス設備の定期点検をするスタッフなどの人手不足も深刻です。LPガスは小さいものでも5kg程度、大きいものであれば90kgもある容器を運ばなければならず、肉体的・体力的にハードな職業といわれています。また国家資格取得者が定期点検を行わなければならないので、特に地方のLPガス事業者は適当な人材を確保することが難しいでしょう。

※参考:一般財団法人エルピーガス振興センター.「令和3年度 石油ガス流通・販売業経営実態調査」.https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2021FY/000120.pdf ,(2022-03).

LPガス業界の将来性

オール電化の普及や都市ガスの自由化に伴い、今後も電気や都市ガスのシェアが伸びていきLPガスの需要は上がりにくいといわれています。しかしLPガスには「どのような地域でも利用できる」「高い火力が出る」「災害に強い」といった、他のエネルギーにはないメリットが多数あります。そのため市場規模は減少傾向にあるものの、一定の需要は残る見通しです。

今後、限られた需要を巡り他社との顧客獲得競争が激しくなっていく中で、事業を続けていくには以下のような取り組みが必要とされています。

取り組み例概要
LPガスの保安体制の強化
  • 無線通信でLPガス設備を管理し、万が一の場合に遠隔操作できる集中監視システムの導入を進める
  • 認定液化石油ガス販売事業者の認定を受ける
  • 重大な事故を防げる他、検針や請求業務の効率化ができる
  • LPガスの使用量の見える化など、さまざまなサービスを提供できる

これらの取り組みは顧客の満足度の向上や業務の効率化にもなり、人手不足への対策につながるでしょう。

LPガス事業者が事業承継をするメリット

市場規模が縮小している中でLPガス事業を存続させるためには、さまざまな取り組みの実施が必要です。しかし、先述したガス設備の改善や保安体制の強化などは初期費用がかかりやすく、企業によっては大きな負担となるでしょう。

「資金面で余裕がなく、どうしても新しい取り組みができない」「収益が下がってしまっている」といった場合は、事業承継という選択肢もあります。ここからは、LPガス事業を承継する主なメリットをご紹介します。

後継者問題を解決し廃業を防げる

事業承継とは、経営者が事業を後継者となる存在に引き継ぐことです。一口に事業承継といっても、さまざまな方法があります。

  • 親族内承継:経営者の家族や親族に事業を引き継ぐこと
  • 従業員承継:経営者の血縁ではない、企業に勤める役員や従業員に事業を引き継ぐこと
  • M&A(第三者承継):第三者である企業や創業希望者に事業を引き継ぐこと

M&Aを選択すれば、身近に後継者候補がいない企業であっても廃業を避けられます。事業規模の大きな譲渡先やいくつかの事業を展開している譲渡先が見つかれば、従業員不足や資金不足などの課題も解決できるでしょう。また譲渡先の企業が持つ知識や技術、ノウハウなどを活用することで、事業のさらなる発展も期待できます。

廃業する場合と比べて費用や時間を抑えられる可能性が高い

事業承継を行わずに廃業を選択すると、さまざまな費用がかかります。特に大規模な設備を保有しているLPガス事業者が廃業をする場合、莫大なコストをかけて設備を廃棄しなければなりません。事業者の財務状況によっては、債務を抱えてしまう恐れもあるでしょう。また法務局での登記や税務申告などを行う必要もあり、数カ月単位の時間がかかるのが一般的です。

事業承継をすればそのまま事業や資産を引き継げるので、廃業する場合と比べると費用や時間を抑えられる可能性が高いです。

LPガス事業の事業承継の方法

LPガス事業者がM&Aをする場合、以下の3つの方法があります。

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡・商権譲渡
  • 資本業務提携

ここからはそれぞれの詳細について、解説していきます。

株式譲渡

株式譲渡は、企業の株式の半分以上を売却(譲渡)し、譲渡先に経営権を移す方法です。譲渡する企業の法人格は存続するため、従業員や取引先への影響が少なく、M&Aの中でも特に多く活用されています。

株式譲渡のメリットは、後述する事業譲渡・商権譲渡と比べると手続きが簡単な点です。企業が保有する資産や契約、人材などをそのまま譲渡先の企業に引き継ぐため、早ければ交渉を始めてから1年以内にM&Aが完了するケースもあります。

また個人の株主の場合、株式譲渡で発生した売却益にかかる税金は約20%となり、事業譲渡・商権譲渡よりも安く抑えられるでしょう。

ただし、株式譲渡では企業全体がM&Aの対象になり、資産や従業員はもちろん債務も引き継がれるので、財務状況によってはM&Aが難航する可能性もあります。

事業譲渡・商権譲渡

事業譲渡は、契約によって取り決めた権利や義務を譲渡先に移す方法です。採算の取れていない事業だけを譲渡して事業再生を目指したり、軌道に乗った事業を売却して資金調達をしたりと、さまざまな企業戦略に用いられます。商売上の契約や顧客情報、取引先のつながりなどを含めた商権のみを譲渡する商権譲渡も、事業譲渡に含まれます。

なお、事業譲渡は比較的規模の小さい企業が選択するケースが多いです。

資本業務提携

資本業務提携とは、経営権に影響を及ぼさない範囲の株式を売却(譲渡)した上で、その企業と特定の業務に関する提携をする方法です。会社そのものを売却したり合併したりするものではありませんが、資本関係が生じるため、広い意味でM&Aの一つとして考えられています。業務提携の代表例は以下の通りです。

  • 技術提携:ライセンス契約や共同研究開発契約を行い、双方の企業が技術面で協力関係を結ぶ
  • 販売提携:契約した企業の販売網・人材・販促ノウハウなどを活用し、製品やサービスを販売する

あくまでも業務提携をしているのみなので、契約後に企業同士でミスマッチが生じた場合でも比較的簡単に関係を解消できます。一方で、他の事業承継と比べると、企業同士の結びつきが少なく、期待していたほどの効果につながらない可能性があります。また後継者を見つけられる訳ではないので、経営や事業を引き継ぎたい場合は他の方法を選択してください。

LPガス事業の事業承継の流れ

LPガス事業を事業承継する場合、事前準備から譲渡先の選定、契約の締結、税金の申告まで、経営者がやるべきことは数多くあります。スムーズに事業承継を進めるためにも、大まかな流れを知っておきましょう。ここからは、事業承継の中でも事業譲渡をする場合の流れについてご紹介します。

事前準備

まずは自社の経営状況や課題、将来性などを可視化しましょう。LPガス市場における自社のポジションや競合他社の事例などを踏まえた上で、「事業承継をして本当に自社の発展、利益につながるのか」を検討します。

なお自社の経営状況を整理する際は、中小企業庁が公開している中小会計要領や経済産業省が公開しているローカルベンチマークなどを活用するのもよいでしょう。中小会計要領は自社の経営状況の把握に役立てられる会計ルールで、ローカルベンチマークは質の高い財務諸表を作成できるようになるツールです。

組織面と事業面の2軸で自社の課題を洗い出し、課題解決に向けてさまざまな対策を講じましょう。具体的な対策として以下のような取り組みが挙げられます。

  • 組織面での改善:財務状況、社内体制、マニュアル・ルールなどの改善、権限の委譲など
  • 事業面での改善:商品やサービスの質の向上、生産効率の向上、新規市場の開拓など

※参考:中小企業庁.「中小会計要領について」.https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/youryou/about/ , (2024-08-05).

※参考:経済産業省.「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」.https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/ ,(2024-08-05).

計画

事前準備ができたら、事業承継の計画を立てましょう。中長期的な経営方針や目標、事業承継の時期、事業承継の方法などを「事業承継計画書」にまとめてください。

このとき、事業承継にかかる税金についても整理するのがおすすめです。事業承継ではある程度大きな額の税金が発生する可能性があります。何を譲渡する予定なのか、税金がどのくらいかかりそうなのかを把握しておきましょう。

専門家への相談/譲渡先の選定

事業承継では、譲渡先の選定や契約に関する交渉、確認などやるべきことが非常に多いです。専門的な知識・ノウハウも必要になるので、プロに相談・依頼するのがよいでしょう。相談先はLPガス事業の専門知識が豊富にある、伊藤忠エネクスがおすすめです。各事業者の状況やニーズを丁寧にヒアリングし、適切な提案をしてもらえるでしょう。また伊藤忠エネクスの他にも、国が運営する公的相談窓口である事業承継・引き継ぎセンターや民間のM&A仲介会社などに相談する選択肢もあります。

プロに相談・依頼をすれば、自社の状況や希望に合わせて適切な譲渡先の候補を選定してもらえます。良いと思った企業があれば、専門家に仲介してもらいながらコンタクトを取り、交渉に進んでください。

面談/秘密保持契約の締結

譲渡先の候補と、事業承継に対する認識や条件のすり合わせを行います。このタイミングで双方の重要情報を開示する必要があるので、秘密保持契約を結んでください。すり合わせや契約をするに当たって不明点があれば、プロに相談しましょう。

交渉がある程度進み、さらに細かく認識を合わせたい場合、トップ面談を実施します。書類やデータだけでは分からない、事業に対する思いや理念、経営者自身の人柄などを主に確認します。トップ面談に臨む際は、事前に想定される質問や回答を用意しておくのがおすすめです。どうしても譲れない条件についてもまとめておいてください。

なお、トップ面談の前後で、意向表明書や基本合意書を取り交わすことがあります。概要は以下の通りです。

  • 意向表明書:譲渡先候補となる企業が事業承継を行う意向をまとめた書類
  • 基本合意書:譲渡する側の企業と譲渡先の企業が、これまで合意した内容をまとめた書類。意向表明書の提出後に取り交わすケースが多い

それぞれ法的な拘束力はありませんが、事業承継のスケジュールや譲渡価格といった重要事項がまとまっているので、認識に相違がないかしっかりと確認しましょう。

営業権の評価/条件提示

トップ面談を行って双方の企業がM&Aを進めたいと思った場合、譲渡先の候補が、譲渡側の企業の営業権の評価(デューデリジェンス)を行います。営業権とは、企業が有している利益や価値のことです。例えば、企業のブランド力や知識・ノウハウ、顧客リストなどが挙げられます。営業権を評価するには、さまざまな方法があります。

営業権の評価方法詳細
DCF法将来的に発生するであろうリスクや利益を加味した上で企業価値を算出する方法
超過収益法現在見込まれる収益(実際収益)から、期待収益を差し引いて評価する方法
類似会社比較法業種や規模が類似している上場会社の収益性や時価を基に評価する方法

LPガス販売事業者の場合は、取り扱っている管理戸数や管理している建物の種類などによっても評価額が変わることがあります。評価方法や評価額について詳しく知りたい場合は、専門家に相談してみてください。

その後、これまですり合わせた内容を反映させて、最終的な条件の提示を行います。気になることや不明点があれば、専門家に相談しながら納得がいくまで交渉しましょう。

事業譲渡契約書の締結

交渉が済んだら、事業譲渡契約書の締結に進みましょう。締結後は全ての条項に法的な効力が伴います。契約を破ってしまうと損害賠償を請求される恐れもあるため、最後に契約内容に不利な条件がないか丁寧に確認することが大切です。

なお、事業譲渡をする側は株主総会を開いて事業譲渡契約書の内容を開示し、株主から承認を得なければならないケースがあります。株式会社が全ての事業を譲渡する場合や重要な事業の一部を譲渡する場合は、株主総会での承認が必要です。株主総会で承諾を得られたら、事業譲渡契約が正式に結ばれます。株主からの質問や反対意見を想定して、事前の準備や調整をしておきましょう。

各種届出/顧客の引き継ぎ

事業譲渡契約書には、事業譲渡日が記載されています。記載された譲渡日に、販売権や顧客の引き継ぎなどを行いましょう。事業譲渡をする側は、登記変更や許認可手続き、臨時報告書の提出、顧客・取引先への連絡といったさまざまな対応をしなければなりません。またLPガス事業者特有のルールで、以下の届出をして管轄の都道府県知事の認可を得る必要もあります。

  • 液化石油ガス販売事業承継届書
  • 液化石油ガス販売事業者事業譲渡証明書
  • 液化石油ガス販売事業者事業譲渡明細書

契約によっても必要な届出や手続きが異なるので、事前にプロに確認しておきましょう。

対価の支払い/税金の申告

事業譲渡契約書の締結後、譲渡先から対価が支払われます。収益を得ることにより、税金の申告・支払いが発生することを認識しておきましょう。

具体的には、譲渡する側が法人の場合には法人税、個人の場合には所得税や住民税などがかかります。場合によっては節税できるケースもあるので、プロに相談してみてください。

LPガス事業の事業承継を成功させるためのポイント・注意点

LPガス事業で事業承継を行えば、事業の拡大と収益の伸長を期待できるでしょう。ここからは、企業にとって重要な事業承継を成功させるためのポイントや注意点をご紹介します。

早めに計画・相談をする

事業承継は、自社の課題を洗い出すところから始まり、後継者・後継先となる企業の選定、条件の確認や調整、手続きまで、やるべきことが非常に多いです。事業承継の種類や条件によって異なるものの、事業承継を検討してから全てが完了するまでに数年かかることも珍しくありません。

専門的な知識や交渉力が必要になるので、専門家の手を借りるとはいえ、経営者にかかる負担は大きいでしょう。経営者自身の体力があるうちに早めに計画を立て、プロに相談することが大切です。

情報漏えいに注意する

事業承継を行う際には、関係者以外に事業承継を進めていることを明かさないようにしましょう。事業承継を進めていることが顧客や取引先に知られた場合、「事業がうまくいっていないのではないか」と勘ぐられ、最悪の場合は取引を打ち切られてしまう可能性もあります。

また従業員に知られた場合、「事業承継によって自分たちは解雇されるのではないか」とネガティブな印象を持たれてしまい、社内がパニックに陥ったり退職者が増えたりする恐れもあります。事業承継ではさまざまな資料や情報が必要になりますが、手配する際には情報が漏れないように管理を徹底しましょう。

関係者の理解を得る

事業承継は経営者だけではなく、経営者の親族や企業の従業員、顧客・取引先、後継者・譲渡先といったさまざまな関係者に影響を与えます。中には、事業承継を好意的に捉えない人もいるかもしれません。

事業承継によって発生し得るリスクや懸念点をどのように払拭していくのか、事前にしっかりと考えておき、適切なタイミングで説明することが大切です。伝えるタイミングとしては、事業承継が正式に決まったとき(事業譲渡契約の締結後)がよいでしょう。事業承継の話が進んでいるときに公表すれば、前述したように顧客に取引を打ち切られてしまったり、従業員に退職されてしまったりする恐れがあります。

特に従業員は、事業承継という大きな変化によってモチベーションが下がってしまう可能性も考えられるため「なぜ事業承継をするのか」「譲渡先をどのように選んだのか」「今後、待遇や働き方は変わるのか」といったことを丁寧に伝えましょう。

LPガス事業の経営にお困りなら伊藤忠エネクスにご相談ください

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来、LPガスや石油といった生活に欠かせないエネルギーを日本全国に提供している"エネルギー総合商社"です。半世紀以上かけて培ってきた知識やノウハウのもと、約57万軒の顧客(一般家庭・法人含む)にLPガスを販売しています。

LPガス事業の事業承継に関するお問い合わせの他、株式譲渡やLPガス事業の事業譲渡のご相談、業務委託のご依頼なども受け付けています。企業の状況や課題をしっかりとヒアリングした上で、事業を発展させるために適した方法をご提案しますので、LPガス事業においてお悩みがある経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

LPガス事業の事業承継事例

これまで伊藤忠エネクスが携わってきた、LPガス事業の事業承継の事例を簡単にご紹介します。より詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

事例1 区分 株式譲渡
対象地域 中国
顧客数 4,000軒
事例2 区分 営業権譲渡
対象地域 九州
顧客数 1,000軒
事例3 区分 営業権譲渡
対象地域 四国
顧客数 400軒

まとめ

LPガス業界は需要が減少傾向にあるだけではなく、経営者の高齢化が進んでおり、毎年多くのLPガス事業者が廃業しています。このような市場の中で事業を継続することに課題を抱えているなら、事業承継を検討してみてください。

経営者の家族や親族、企業の従業員の中に後継者候補がいない場合、M&Aによる事業承継という選択肢もあります。M&Aには株式譲渡だけではなく、一部の事業を譲渡したり資本業務提携をしたりと、さまざまな方法があります。まずは企業の状況や課題を洗い出し、事業承継の計画を立ててみましょう。

なお事業承継をするには、専門的な知識が必要です。事業承継を考え始めたら、早めにプロの支援を受けましょう。LPガス事業者の場合は、伊藤忠エネクスに相談するのがおすすめです。その他、国が運営している事業承継・引き継ぎセンターや民間のM&A仲介会社も相談先として検討できます。

伊藤忠エネクスはLPガス事業に関する豊富な知識やノウハウを有しており、企業の状況や課題に合わせて適切なご提案を行います。LPガス事業の経営に関するご相談も受け付けているので、事業承継以外にも、後継者がいない、業界の先行きが不安など、経営や将来に関してお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

一覧へ戻る 一覧へ戻る

キーワード検索