脱炭素経営とは?重要性やメリット、始め方を徹底解説!
CO2を削減するためにLEDを使用した照明の導入が進んでいます。長寿命かつ省エネなので、経済的な理由で導入を考える企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、LED照明によるCO2削減効果や普及の背景、企業のCSR活動との関係などについて解説します。
LED照明はどの程度のCO2削減効果があるのでしょうか。計算式とともに解説します。
消費電力によるCO2排出量を計算する式は以下のとおりです。
CO2排出量 = 消費電力(W)× 0.001 × 使用時間× 排出係数0.455
消費電力のところに、一般の蛍光灯とLED照明の消費電力をあてはめることで、それぞれのCO2消費電力が算出されます。
ただし排出係数は年度や電気事業者によって異なり、毎年、環境省が各電気事業者の報告を取りまとめた「電気事業者別排出係数一覧」を発表しています。
主な電気事業者と基礎排出係数(kg-CO2/kWh)令和3年度実績は以下の通りです。
※参考:環境省_算定方法・排出係数一覧「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」 https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc/(参照2023-01-23)
上述の式に一般の蛍光灯とLED照明の消費電力をあてはめてみましょう。4万時間使用としたとすると以下のようになります。
一般の蛍光灯 | LED照明 |
---|---|
42ワット✕2本✕0.001 × 4万時間× 0.455=約1,529㎏ |
11.9ワット✕2本✕0.001 × 4万時間× 0.455=約433㎏ |
4万時間は24時間365日照明を点灯し続けた場合、約4年半に相当します。
つまり、LED照明は約4年半で1096㎏のCO2を削減できるという計算になります。1096㎏は杉の木78本を50年間育成した場合のCO2吸収量とほぼ同等です。
企業は、LED照明を導入することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。CO2削減以外に当てはまる3つのメリットについて解説します。
LEDは長寿命、省電力が特長で、一般的にLEDは白熱電球の約40倍、蛍光灯の約4倍長持ちすると言われています。環境省によると一般電球60形が約1,000時間持続するのに対して電球型LEDランプは約4万時間も持ちます。
消費電力もLEDは白熱電球の約6分の1、蛍光灯の約2分の1なので、光熱費の負担を大幅に軽減できるので、経済的です。
確かに白熱電球は単価が安いため選んでしまいがちですが、経済産業省の調べでは、約100円で購入した白熱電球と約2,000円で購入したLED電球のランニングコストを比較してみると、約1,500時間(9カ月程度)でコストが逆転することが分かっています。(※)
長寿命が利点のLED電球ならば、4万時間もの間に経済的なメリットを受け続けることができます。
※参考:経済産業省「無理のない省エネ節約」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/lighting/ (参照2023-02-22)
LEDの電球や蛍光灯が人体に対して健康被害を及ぼしたという報告はほぼありません。
とはいえ光にブルーライトが含まれていることから、目や生体リズムへの影響は考えられます。普通に使用する程度ならば影響はさほどありませんが、長時間直視するのは注意してください。
一方蛍光灯は、水銀ランプの紫外線を蛍光体によって可視光線にする放電灯です。紫外線も水銀も少量のため、人体への影響は少ないものの安全性への懸念は否定できません。
LED照明は蛍光灯などと比べても廃棄処分が簡単です。有害物質が含まれていないので、自治体によっては不燃ごみや普通ゴミで処分できます。
ただし、普通ゴミで出せる地域でも別の一般ごみとは分類し、ワレモノや危険物などと書いて出さなければいけないため、ゴミを出す前に自治体のホームページできちんと確認してください。
万が一LED照明が割れている場合は回収の人がケガをしないように、袋を二重にしたりキケンやワレモノなどと明記したりして一目で分かるようにしましょう。
LEDは2000年代に入ると急速に普及しましたが、背景には環境や省エネへの意識です。LED普及と関連性の高い重要な3つのキーワードとともに解説します。
LEDの普及を後押ししたものに、2015年に国連サミットで採択された、SDGs(より良い世界を目指すための国際目標)があります。
SDGsは環境破壊や貧困を終わらせ、平和や豊かさを世界の人々が平等に享受できるようにするために掲げられた17の目標です。その中で取り組みの一つとして挙げられているのが「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」です。
LED照明は具体的な施策の一つである「エネルギー効率の改善率を倍増させる」に有効な方法と考えられています。
またSDGsの目標である「住み続けられるまちづくりを」「気候変動に具体的な対策を」の実現のためには省エネ化や脱炭素、温室効果ガスの排出量と吸収量を均等にするカーボンニュートラルへの対策が必要ですが、それにはLEDのような省エネ設備の普及が不可欠です。
【全部で17目標】世界共通のSDGsを分かりやすい図で理解しよう
SDGsへの取り組みなどを受け、近年では世界的に白熱灯や水銀灯などの使用が自粛傾向にあり、国内メーカーでも蛍光灯や水銀灯の製造を中止にしているところが増えてきました。今後さまざまな施設、オフィス、家庭でますますLED照明が普及していくでしょう。
パリ協定もまた、LED照明の普及と密接な関わりがあります。
パリ協定では以下のような長期目標が掲げられています。
日本の中期目標としては2030年までに2013年度の水準から温室効果ガスの排出量を26%削減することを定めています。そのためには企業もLED照明を設置するなどして、温室効果ガス削減の努力をすることが求められています。
ESG投資の活発化によって、多くの企業は環境に配慮した取り組みを検討し始めたり、実際に取り組んだりしています。
ESGの取り組みをする企業は、持続可能な社会の実現に貢献しガバナンスにも優れているため、企業価値が高まる可能性を持っていると投資家たちから評価されます。
多くの投資が集まれば企業の資金繰りにも好影響となるため、ESG対策が企業から改めて注目されています。
投資家はESGの取り組みについてしっかりと評価し、投資対象を選別します。そのため、企業は環境への取り組みを一時的なものにするのではなく継続して行うことが重要と言えます。
CSR(Corporate Social Responsibility)は環境や社会、法務に積極的に取り組むことで実現する、企業の社会的責任を指しています。
CSR活動をホームページなどで公開すると、社会的責任を果たす姿勢を社内外にPRでき、企業のイメージ向上やステークホルダとの認識共有、従業員の満足度向上などの効果が期待できるでしょう。
LEDを使ったCSR活動は大規模な資金調達が必要なく人的コストも余りかからないため、多くの企業が行っています。
企業が太陽光発電で自家消費するメリット! コスト削減と社会的評価は侮れない
省エネや長寿命が期待されるLEDですが、導入前に知っておかなければならない注意点が4つあります。
LED照明を取り付けるには既存照明器具の天井開口を利用することもできるものの機具が限られることから、新たに天井開口の拡張や部分的な張替が必要になり、工事に関する費用がかかる場合があります。
蛍光灯などの放電ランプは、電源に直接つなぐと電流が急激に増えて故障の原因となるため、安定器を使用して電流を一定の値になるように調整します。
ただしLED照明に変える場合は、安定器の取り外しが必要になります。
安定器を付けたままLED照明を装着すると、蛍光灯とは異なり安定器が劣化しても光のちらつきや異音などの症状がないまま、発火などが起こる可能性があります。
LED照明は白熱電球よりも割高というデメリットはありますが、導入費用を抑えることも可能です。伊藤忠エネクスはネクシィーズとのパートナーシップにより照明電気代を大幅にコストダウンしています。
初期費用ゼロ、月々のサービス料を支払うだけで、5年後には導入設備がそのまま、自社のものとなります。
https://service.itcenex.com/service/power/energy-saving/
LED照明の普及は急激に進んでいますが、その背景にあるのが環境への意識の高まりです。SDGsやパリ協定でも温室効果ガスの削減は大きな目標とされ、一つの施策として省エネ効果の高いLED照明への取り換えが進められています。
また企業にとってESG投資やCSR活動の観点からも、LED照明への変更は意義のある取り組みです。
ただしLEDは取り付けの際に、安定器の撤去工事が必要などの注意点があるため、LED照明の導入は計画的に行うようにしましょう。
地球規模で取り組まなければいけない環境対策に力を入れているのが、伊藤忠エネクスです。太陽光発電やESG、LED照明を始めとして、様々な取り組みを行っています。
この機会に、ぜひ検討してみませんか?