冷凍食品工場の電気代が高くなりやすい主な理由は、低温を維持する設備の常時稼働と、高圧契約におけるデマンド制の仕組みにあります。一般的な製造業と比較して突出して高い電気料金を毎月目にするたびに、「なぜこんなに高いのか」「どこを削ればいいのか」と頭を抱える担当者の方は少なくありません。
コスト構造を正確に把握するためには、冷凍食品製造に不可欠な設備の特性と電気料金の仕組みの2つを理解することが不可欠です。本記事では、冷凍食品工場の年間コスト構造を費目ごとに解き明かし、すぐに着手できる削減策を優先順位付きで解説します。
※本記事は2026年3月時点の情報です。
※参考:東京電力エナジーパートナー株式会社「契約電力の決定方法(実量制)│電気料金の仕組み(法人)」
目次
冷凍食品工場の電気代は、工場の規模・製造ライン数・稼働時間・保管温度帯によって大きく異なります。以下は公開統計だけでは一律に整理しにくいため、あくまで概算モデルとして参考にしてください。
| 規模 | 目安の月間電気代 | 契約電力の目安 |
| 小規模(従業員〜30名) | 50〜150万円 | 100〜300kW前後 |
| 中堅(従業員30〜100名) | 200〜500万円 | 300〜1,000kW前後 |
| 大規模(従業員100名以上) | 500万円〜 | 1,000kW超 |
上記は工場の製造ライン(急速冷凍設備・フリーザートンネル等)を含む数値です。なお、冷凍食品の保管のみを行う冷凍倉庫は、製造ラインを持つ冷凍食品工場とは電力の使われ方が異なるため、同列には比較しにくい点に注意が必要です。
一般的な食品工場(常温製品・チルド製品)と比較すると、冷凍食品工場の電力消費は大幅に高くなります。主な違いは次の点にあります。
一般的な製造業のうち、食品加工を含む昼夜連続操業型では、17時頃の電力消費内訳は生産設備83%、一般設備(空調・照明)17%とされています。
冷凍食品工場では、これに加えて急速凍結設備や冷凍・冷蔵設備が常時負荷として上乗せされるため、電力消費が大きくなりやすいのが特徴です。日本冷凍食品協会によると、冷凍食品製造におけるエネルギー源のうち電力の構成比は2001年60.0%、2013年62.0%、2015年60.9%、2019年62.7%、2020年64.5%で、凍結および冷凍保管に不可欠な電力が概ね6割強を占めています。さらに、同協会の品質管理基準では、冷凍食品は製造から販売までの各段階を通じて常に-18℃以下で保存されることとされており、低温維持のための電力が継続的に必要です。
実際に、北海道の冷凍設備に関する省エネ診断事例でも、冷凍庫の37kW冷凍機を年間8,760時間、負荷率30%で運転する試算が示されており、冷凍設備が通年でベース負荷になりやすいことが分かります。
※参考:資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者の皆様)」
※参考:一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品業界における第二次環境自主行動計画(令和4年改正版)」
※参考:一般社団法人日本冷凍食品協会「冷凍食品認定制度における品質管理の手引き及び基準」
※参考:北海道「CARBON NEUTRAL FIRST STEPS PLAN(株式会社ワイエスフーズ)」
冷凍食品工場の電力消費で最も大きなウェイトを占めるのが、圧縮機(コンプレッサー)を中心とした冷凍・冷却設備です。コンプレッサーは冷媒を圧縮・循環させて庫内の温度を下げる装置で、運転を継続する時間が長く、冷凍・冷蔵設備が電力消費の中心になりやすい構造となっています。この連続運転が、電力消費の大半を占める根本的な理由です。
冷凍食品の製造において核心となるのが、急速冷凍工程です。トンネル型フリーザー(フリーザートンネル)は、コンベア上を流れる製品を-35℃〜-40℃の冷気で一気に凍結する設備で、消費電力が非常に大きくなります。大型のフリーザートンネル1台で数十~百kWの電力を消費するケースもあり、製造ライン数が多いほど電気代は積み上がります。
厚生労働省が示す冷凍食品の保存基準では、冷凍食品は-15℃以下で保存しなければなりません。実際の現場では、温度変動や荷役時の影響を見込んで、これより低い温度帯で運用されることもあります。外気温が高い夏季は冷凍負荷が増大し、電力消費が増える傾向があります。
冷凍食品工場が高圧電力契約を結ぶ場合、基本料金は「最大需要電力(デマンド値)」に基づいて計算されるのが一般的です。デマンド値は30分ごとの平均使用電力(kW)を計測し、直近12ヶ月の中で最も高い値が「契約電力」として設定されます。
冷凍食品工場では、製造ラインの立ち上げ時や夏季の高負荷時にデマンド値が跳ね上がりやすく、「1回のピークがその後の基本料金を押し上げる要因になりかねる。」」という構造があります。たとえば、ある1日に設備が重なって起動したことでデマンド値が100kW上昇すると、基本料金が月に数十万円単位で増加することもあります。
電気料金には、基本料金・従量料金に加え、以下の再エネ賦課金が上乗せされます。
| 再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金) | 再生可能エネルギーの買取費用を電力利用者が負担する制度。2025年度は1kWhあたり3.98円に設定されており、電力使用量の多い工場ほど影響が大きくなります。 |
※参考:関東経済産業局「冷凍食品配送センター のあくなき省エネ活動 株式会社 旭フーズ」
※参考:フクシマガリレイ株式会社「CO₂ユニット NOBRAC」
※参考:厚生労働省「冷凍食品の規格基準」
※参考:伊藤忠エネクス株式会社「高圧電力の契約プランはどのように決まる? 料金の内訳や電力会社の選び方も解説!」
※参考:経済産業省・資源エネルギー庁「エネルギーを巡る最近の動向について」
高圧電力契約の電気料金は、大まかに以下の式で計算されます。
電気料金 = 基本料金(契約電力kW × 単価 × 力率割引・割増)+ 従量料金(使用電力量kWh × 単価)+ 燃料費調整額 + 再エネ賦課金
基本料金の決め方として「実量制」と呼ばれる方式では、当月を含む直近12ヶ月の最大デマンド値が契約電力として使われます。デマンド値の管理が不十分な工場では、この「12ヶ月に1度の最大値」が基本料金を恒常的に押し上げ、削減の余地を失っている場合があります。
【例】契約電力が100kW増えると年間の基本料金にどう影響するか
電力会社の基本料金単価を仮に1,500円/kW・月とすると、100kW増加で月15万円・年間180万円の追加コストが発生します。これが「デマンド管理が重要な理由」です。
(※力率割引・割増は加味していない算定。)
※参考:東京電力エナジーパートナー株式会社「契約電力の決定方法(実量制)│電気料金の仕組み(法人)」
電気料金の仕組みを理解した上でプランを最適化したい方へ
TERASELでんき for Biz.では、高圧電力の料金プランの見直し相談を受け付けています。無料で相談できますので、詳しくはお気軽にお問い合わせください。
以下の条件を設定したモデル試算を示します(あくまで概算です。実際の費用は電力会社・地域・契約形態等によって異なります)。
| 費目 | 月額概算 | 年額概算 | 全体比率 |
| 基本料金(500kW × 1,500円) | 75万円 | 900万円 | 約20% |
| 従量料金(15万kWh × 15円) | 225万円 | 2,700万円 | 約60% |
| 燃料費調整額(概算) | 15万円 | 180万円 | 約4% |
| 再エネ賦課金(3.98円/kWh) | 59.7万円 | 716.4万円 | 約16% |
| 合計(概算) | 約375万円 | 約4,497万円 | 100% |
このモデルでは、従量料金が全体の約60% を占め最大費目となっています。次いで再エネ賦課金が約16%と無視できない割合になっています。基本料金は約20%ですが、デマンド管理によって削減しやすい費目でもあります。
※参考:東京電力エナジーパートナー株式会社「契約電力の決定方法(実量制)│電気料金の仕組み(法人)」
※参考:経済産業省・資源エネルギー庁「エネルギーを巡る最近の動向について」

削減策は「投資コストが低く・効果が大きい」ものから順に実施することで、最短でキャッシュフローを改善できます。以下の優先順位を参考にしてください。
投資コスト: 低(デマンドコントローラー導入:数十万〜数百万円)
効果: 基本料金の10〜15%削減が目安(設備・環境による)
デマンドコントローラー(デマンド監視装置)を導入すると、30分単位の電力使用量をリアルタイムで監視し、設定値に近づいた際にアラートを出したり、優先度の低い設備を自動制御したりすることができます。
食品工場でデマンド監視装置を導入し、ピーク時に冷凍設備の一部運転を順次停止する制御を実施した結果、契約電力を約15%削減し、年間約200万円の基本料金削減に成功したケースもあります。冷凍設備は停止できないと思われがちですが、製品への影響が出ない範囲での短時間の出力抑制や、起動タイミングの分散(順次起動)により、デマンドピークを抑えることは可能です。
実施のポイント:
投資コスト: ほぼゼロ〜低
効果: 設定温度や霜取り条件、扉開閉の見直しによる使用電力量低減
冷凍庫の設定温度が必要以上に低くなっていないか確認してください。-20℃の維持義務のある製品を-25℃で管理していたとすれば、不要な電力を消費していることになります。製品品質と食品衛生法の基準を守りながら、設定温度を適正化するだけで電力消費を低減できます。
また、庫内へのモノの出し入れを効率化し、扉の開放時間を最小限に抑えることも有効です。
投資コスト: ゼロ(切り替えに費用は不要)
効果: 電力調達コストの削減(プラン・規模によって異なる)
日本では高圧・特別高圧分野から先行して自由化が進み、現在は法人も電力会社や料金メニューを選択できます。同じ電力量を使っていても、電力会社やプランによってコストが異なります。長期間同じ電力会社と契約し続けている場合、切り替えによりコスト削減できる可能性があります。
伊藤忠エネクスが提供している「TERASELでんき for Biz.」 は、法人向け(BtoB)の高圧電力サービスです。製造業・食品工場向けにエネルギーコスト削減のご相談を受け付けています。電力調達の見直しをご検討の際はお問い合わせください。
\伊藤忠エネクスの「TERASELでんきforBiz.」の特徴を見てみる/
※参考:東京電力エナジーパートナー株式会社「契約電力の決定方法(実量制)│電気料金の仕組み(法人)」
※参考:関東経済産業局「冷凍食品配送センター のあくなき省エネ活動 株式会社 旭フーズ」
※参考:一般財団法人省エネルギーセンター「工場及びビルの省エネルギーチェックリスト」
※参考:資源エネルギー庁「電力小売全面自由化で、何が変わったのか?」
投資コスト: 高(ただし補助金活用で実質負担を軽減可能)
効果: 更新内容によって大きな省エネ効果が見込める
設備のインバータ化・高効率機器への更新
10年以上経過した冷凍機・コンプレッサーを最新のインバータ制御機器に更新すると、大幅な省エネ効果が期待できます。インバータ制御とは、モーターの回転数を負荷に応じて可変させることで、常に一定速度で回転する旧来のモーター型と比べ、消費電力を大幅に削減できる技術です。実際の事例でも、EMS(エネルギーマネジメントシステム)導入と設備更新を組み合わせてエネルギー使用量を大きく削減した例があります。
フロン規制対応と自然冷媒転換
フロン排出抑制法のもと、業務用の冷蔵冷凍機器を使う管理者には、点検・記録、漏えい防止、廃棄時の回収などが求められます。自然冷媒機器は、こうしたフロン対策と脱炭素の両面から注目されており、環境省の支援事業でも食品製造工場が対象に含まれています。
2026年に活用できる主な補助金
※参考:環境省「フロン排出抑制法」
※参考:四国経済産業局「省エネ化を促進するEMSを導入した店舗リニューアル」
※参考:環境省「令和8年度予算(案)及び 令和7年度補正予算 脱炭素化事業一覧」
※参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和6年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業費補助金 公募要領」
冷凍食品工場の電気代が高くなりやすい主な理由は、①冷凍設備の長時間連続稼働・②製造ラインの大電力消費・③温度維持による高冷凍負荷・④デマンド値高騰による基本料金の底上げ・⑤激変緩和措置と再エネ賦課金の上昇の5点にあります。
電気代削減に向けては、以下の順で取り組むことが効果的です。
| 1. | コスト構造の見える化 | 電気代の内訳(基本料金・従量料金・調整費)を把握し、削減余地を特定する |
| 2. | デマンド管理の改善 | 投資コストが小さく即効性がある。デマンドコントローラー導入で基本料金を削減 |
| 3. | 電力調達の見直し | 電力会社やプランの切り替えで調達コストを低減 |
| 4. | 設備更新と補助金活用 | 中長期で大きな削減効果。補助金を活用してコスト負担を軽減 |
まずは自社の電気料金の内訳を「見える化」することから始めましょう。
伊藤忠エネクスが提供する「TERASELでんき for Biz.」 は、冷凍食品工場・食品製造業の電力コスト削減を無料で相談できる法人向け高圧電力サービスです。現在の電気料金明細をお手元にご準備の上、まずはお問い合わせください。
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