最終保障供給とは? 高圧・特別高圧の需要家が知っておくべき新電力の現状や取り組みについて解説

最終保障供給とは? 高圧・特別高圧の需要家が知っておくべき新電力の現状や取り組みについて解説

2000年3月の特別高圧区分、2004年4月・2005年4月の高圧区分の電力小売自由化以降、電力会社を乗り換えた企業は多く、2022年3月時点で新電力が特別高圧区分で10.3%、高圧区分で27.0%のシェアを占めていました。(※1)しかし、2022年を境に小売電気事業者の事業撤退や倒産、廃業が増加しており、再度の乗り換えを余儀なくされる事態が発生しています。(※2)

契約している小売電気事業者が何らかの理由で電力の供給を停止する場合、供給停止日までに他の小売電気事業者との契約を締結する必要がありますが、なかなか乗り換え先が見つからず、最終保障供給の契約を締結する企業も急増しているようです。(※3)

本記事では、企業の管理部門担当者が知っておくべき、新電力の現状と最終保障供給契約について詳しく解説していきます。

※1 参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について(2022年7月20日)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/052_03_01.pdf,(2024-1-22)

※2 参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「電力・ガス小売全面自由化の進捗と最近の動向ついて(2023年1月25日)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/052_03_01.pdf,(2024-1-22)

※3 参考:経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会.
「最終保障供給料金の在り方について 第73回制度設計専門会合事務局提出資料(令和4年5月31日)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/052_03_01.pdf,(2024-1-22)

新電力の現状

2016年4月の電力の小売全面自由化以降、登録小売電気事業者は増加傾向にありましたが、2022年からは減少に転じ、契約停止や事業撤退、倒産、廃業が相次いでいます。(※4)

帝国データバンクの調べによると、2021年4月までに登録のあった全国の登録小売電気事業者706社のうち、195社が2023年3月24日時点で契約停止や撤退、倒産、廃業をしており、その割合は全体の27.6%にまで及んでいるとのことです。2022年3月末時点までの契約停止、撤退、倒産、廃業は計31社のため、わずか1年で6.3倍にまで急増しています。195社のうち、電力の供給停止につながる撤退および倒産、廃業は83社で、これらの小売電気事業者と契約していた企業は乗り換えを余儀なくされました。(※5)

現在問題なく電力の供給を受けていても、大手小売電気事業者すら撤退、廃業している今、自社が契約している小売電気事業者は安泰とは言い切れません。もし、契約している小売電気事業者が電力の供給を停止するとなってしまった場合は、早急に乗り換え先を選定する必要があります。電力の供給が停止するまでに他の小売電気事業者と契約を締結するのが基本ですが、高圧区分の契約には少なくとも1カ月半程度の時間がかかる上、前述した状況から新規の申し込みを受け付けている小売電気事業者が少なくなっているため、なかなか乗り換え先が見つからないケースも多いようです。

供給停止日までに乗り換え先を見つけられない場合でも、一般送配電事業者と最終保障供給契約を締結することで、途切れることなく電気を使い続けることができます。

※4 参考:経済産業省 資源エネルギー庁.「電力・ガス小売全面自由化の進捗と最近の動向ついて(2023年1月25日)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/058_03_00.pdf,(2024-1-22)

※5 参考:株式会社帝国データバンク.「新電力195社がすでに『契約停止・撤退・倒産』」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/058_03_00.pdf,(2024-1-22)

最終保障供給契約とは?

最終保障供給契約とは、高圧または特別高圧で電力の供給を受ける需要家(電気の利用者)が、小売電気事業者の撤退や倒産、廃業などにより、どの事業者からも電力の供給を受けることができない場合に、一般送配電事業者が一時的に電力を供給する制度です。

電気は人々の生活や仕事に不可欠なライフラインの一つであり、万が一にも電力の供給が止まってしまった場合、企業であれば事業の継続が困難になってしまいます。最終保障供給契約は、そのようなリスクを防ぐセーフティーネットとして設けられた制度です。

電気事業法第17条第3項において、一般送配電事業者は正当な理由なくして最終保障供給を拒否してはならないと定められているため、事前に最終保障供給契約を締結しておけば、乗り換え先が見つかっていなくても空白の期間なく電力の供給を受けることができます。(※6)

なお、前述の通り、最終保障供給契約の対象は高圧または特別高圧で電力の供給を受ける需要家のみで、低圧の需要家は対象外です。また最終保障供給契約は電気の使用場所(供給地点)を管轄する一般送配電事業者と締結するため、例えば東京電力エリアの場合は東京電力パワーグリッドと契約を締結し、電力の供給を受けることになります。

※6 参考:e-Gov法令検索.「電気事業法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339AC0000000170,(2024-1-22)

最終保障供給契約の契約期間は原則1年以内

最終保障供給契約は、あくまで新たな小売電気事業者と契約するまでのつなぎです。そのため最終保障供給契約の契約期間は、原則1年以内となっています。

ただし、契約期間の満了日までにいずれの小売電気事業者とも契約できなかった場合は、一般送配電事業者へ申し出ることにより契約を更新できます。

最終保障供給料金は標準料金メニューより割高

最終保障供給契約の長期化を防止するため、最終保障供給料金は標準料金メニューよりも割高に設定されています。

2022年8月までは標準料金メニューの2割増でしたが、2022年9月以降は、さらに市場価格調整額が加味されることになりました。

【現行(2022年8月31日まで)】基本料金+電力量料金(燃料費調整額を加味)
【変更後(2022年9月1日以降)】基本料金+電力量料金(燃料費調整額を加味)±市場価格調整額(※7)

ロシアによるウクライナ侵攻や歴史的な円安などによる燃料価格の高騰に合わせて、電気料金の市場価格も高騰。その結果、自由料金よりも最終保障供給料金の方が割安になるという逆転現象が起きてしまいました。最終保障供給料金の方が安くなってしまうと、企業が積極的に最終保障供給契約を選択したり、最終保障供給契約が長期化したりといったことが起きかねないため、料金の計算方法が見直されたのです。

計算方法の見直しによって逆転現象は是正され、2024年1月現在は従来通り最終保障供給料金の方が割高になっているため、最終保障供給契約の期間が長くなればなるほど、企業の利益を圧迫することになります。最終保障供給契約を締結した場合は、積極的に乗り換え先を探し、なるべく早く新たな小売電気事業者との契約を締結しましょう。

※7 参考:東京電力パワーグリッド.「最終保障供給料金の見直し内容」.https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/lr/pdf/info_price202209.pdf,(2024-1-22)

そもそも高圧電力とは?

電気の契約は、電圧によって主に低圧・高圧・特別高圧の3つに区分されます。電気設備に関する技術基準を定める省令(電技省令)第2条では、それぞれの電圧について、以下のように定義しています。(※8)

区分直流交流
低圧750V以下のもの600V以下のもの
高圧750V超7,000V以下のもの600V超7,000V以下のもの
特別高圧7,000V超7,000V超

一度に多量の電気を消費する施設には、大きな電圧が必要です。小規模な商店であれば低圧、中小ビルや中小規模工場であれば高圧、オフィスビルやデパート、大規模工場であれば特別高圧の区分で契約をするのが一般的で、原則、低圧は契約電力が50kW未満、高圧は50kW以上の需要家が対象となっています。

区分対象施設契約電力
低圧小規模な商店50kW未満
高圧中小ビル、中小規模工場50kW以上
※500kWでさらに区分が分けられることがあります
特別高圧オフィスビル、デパート、大規模工場

高圧電力の供給を受けるには、「キュービクル式高圧受電設備(キュービクル)」と呼ばれる高圧受電設備を建物内部または敷地内に設置しなければなりません。またキュービクルをはじめとする事業用電気工作物を設置・運用する場合は、電気事業法により、電気主任技術者の選任が義務付けられています。(※9)

※8 参考:e-Gov法令検索.「電気設備に関する技術基準を定める省令」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409M50000400052,(2024-1-22)

※9 参考:e-Gov法令検索.「電気事業法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339AC0000000170,(2024-1-22)

高圧電力にはコストメリットがある

キュービクルは需要家の所有物となるため、設置や保守点検などの費用は需要家が負担します。また新たに電気主任技術者を雇用する場合は、採用費や人件費が発生します。つまり、高圧電力を契約する際には、相応のコストがかかるのです。

一方で、高圧電力はランニングコストを抑えることができます

高圧電力を契約すると、電力会社のトランス(変圧器)を介さずに自社で電気を管理できるようになります。その分、低圧電力と比べて料金単価が割安に設定されているため、月々の電気料金を安く抑えることができるのです。

またキュービクルの法定耐用年数は15年です。長期的に高圧電力を使用すれば、導入時に多少の費用がかかったとしても、十分なコストメリットを得られるでしょう。

電力使用量の分析と最適化

中小ビルや中小規模工場を保有する企業は、電力使用量の分析や最適化を行うことで、高圧電力のコストメリットにプラスして、さらに月々の電気料金を抑えられるようになるでしょう。ここでは電力使用量データの収集・分析の方法と、電力使用量削減のための取り組みをご紹介します。

電力使用量データの収集・分析の方法

電力使用量の削減方法を模索するためには、まず電力使用状況を正確に把握しなければなりません。具体的な方法としては、施設内にエネルギー計測機器を設置し、収集したエネルギーデータを専用のモニターやパソコンなどに表示できるようにします。

収集したエネルギーデータを分析すれば、一日にどのくらいの電気を使用しているか、どの時間帯にピークを迎えているか、施設内で特に電気使用量が多い場所はどこかといった情報を確認できます。例えば、他の部屋に比べて電気使用量が多い部屋がある場合、照明器具の照度が高い、LED電球が使われていない、無人の時間も照明や機器の電源が付けっぱなしになっているといった原因が考えられるでしょう。

このように施設内の電気使用量を洗い出すことで、気付かないうちに無駄な電気を使っていたところ、節電の意識が足りないところを明確にでき、必要な省エネ対策の実行へとつながります。

電力使用量削減の取り組み

需要家が電力使用量の削減を目指すときに実践したい取り組みを2つご紹介します。

ピークカット

ピークカットとは、電力使用量の多い時間帯(ピーク時)の節電に取り組むことです。電気料金は一般的に以下の計算式によって算出されます。

  • 電気料金=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)
  • 基本料金=基本料金単価×契約容量(契約電力)
  • 電力量料金=(電力量利用単価×1カ月の使用電力量)±(燃料費調整単価×1カ月の使用電力量)
  • 再エネ賦課金=再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×1カ月の使用電力量(※10)

ピークカットが影響するのは基本料金です。高圧電力の中でも500kW以下の契約の場合、契約電力は最大デマンドと呼ばれる値を基準に決定されるのが一般的です。

電力会社との契約におけるデマンドとは、「30分間の平均使用電力(kW)」のこと。契約電力は直近12カ月のデマンドのうち最も大きい値(最大デマンド)を基準に決定され、1カ月ごとに変更されます。

つまり、ピーク時の電力使用量を削減すれば最大デマンドの値も小さくなり、基本料金を抑えることができるのです。

ピークカットの手段としてよく挙げられるのが、太陽光発電の利用です。施設に太陽光発電の設備を設置し、そこで作られた電気をピーク時に使用することで、最大デマンドの値を小さくします。

※10 参考:経済産業省資源 資源エネルギー庁.「月々の電気料金の内訳」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/spec.html,(2024-1-22)

日常的な省エネ対策

ビルや工場は延床面積が広いため、照明や空調などに使用する電力は一般家庭よりはるかに多いです。これらの設備は営業日には必ず使用するため、照明は小まめに消す、冷房は無理のない範囲で1度上げる、暖房も無理のない範囲で1度下げるといった心がけをするだけでも、大きな節電につながるでしょう。

また照明をLEDランプにする、空調を最新の設備に交換するといった対策を行えば、より高い節電効果が期待できます。さらに、営業時間そのものを短縮するのも有用です。例えば、ノー残業デーを設けて定時で全員退社し施設を施錠してしまえば、残業時間分の消費電力を大幅に削減できます。

従業員の快適さを損なわない範囲で、できることから取り入れてみましょう。

以下のページでは、空調コントロールによる省エネの具体的な方法について解説しています。今すぐできる電力使用量削減の取り組みをお探しの方は、併せてチェックしてみてください。

伊藤忠エネクスの高圧・特別高圧電力プランと電気料金の削減実例

電力会社ごとにさまざまな高圧・特別高圧のプランがありますが、伊藤忠エネクスには、お客さまごとに最適なプランを作成する「電力オーダーメイドプラン」があります。あらかじめ設定されたメニューではなく、お客さまの電気使用状況に合わせて個別に単価を設定するため、お客さまそれぞれの乗り換えメリットの最大化・最適化を実現できます。

また電気代高騰のリスクが高い「市場連動型」ではなく、「価格固定型」のため、電気料金を一定にしたい、電気代高騰のリスクを抑えたいという企業にもおすすめです。

高圧・特別高圧電力の契約による電気料金の削減実績も豊富。以下はその一例です。

業種切替元削減率削減金額
(年間)
食料品小売業最終保障供給17.5%8,933万円
金属製品製造業最終保障供給8.7%8,584万円
学校法人最終保障供給18.6%5,336万円
食料品製造業エリア電力会社16.3%1,175万円
有機化学製品製造業エリア電力会社3.0%267万円
機械同部品製造修理業エリア電力会社20.0%151万円

前述の通り、高圧電力はランニングコストを抑えることができますが、伊藤忠エネクスの電力オーダーメイドプランなら、そのコストメリットの最大化を実現できるでしょう。電力使用量削減の取り組みも合わせて行えば、電気料金の大幅な削減につながるはずです。

特別高圧・高圧電力限定のオーダーメイドプランを「期間限定」で受付中

082-502-2656 平日 09:00 – 17:00

高圧電力の切り替え手続きの流れと注意点

高圧・特別高圧で電力会社の乗り換えをする場合の手続きの流れを、伊藤忠エネクスへの乗り換えを例に解説します。基本の手続きの流れは以下の通りです。

1

乗り換えを希望する小売電気事業者へ電気料金明細を提示

乗り換えを希望する小売電気事業者へ、電気料金の明細を提示します。

2

お見積もり

直近12カ月分の電気料金請求書を提示すると、より正確な見積もりが可能です。

3

ご契約・スイッチング

電気料金や契約内容の合意

4

電力の供給開始

電気料金や契約内容の合意ができたら、電気受給契約を締結します。

電力会社の切り替えにあたって、現在契約している小売電気事業者との契約解除手続きや、最終保障供給契約の廃止手続きが必要になる場合があります。契約書などを確認し、必要な手続きを並行して進めましょう。

電力の供給開始までに要する期間は小売電気事業者によって異なり、伊藤忠エネクスの場合は見積もりの依頼から最短でも1カ月半程度かかります。契約している小売電気事業者から供給契約解除の通知があった場合や、最終保障供給契約の満了が迫っている場合は、なるべく早めに見積もりを依頼しましょう。

最終保障供給契約は早めに切り替えを!
高圧電力を乗り換える際は電気料金と併せて経営状況もチェックしましょう

高圧及び特別高圧区分の電力を供給している小売電気事業者は複数ありますが、2022年以降、全国的に契約停止や事業撤退、倒産、廃業が相次いでいます。電力会社の乗り換えを検討している場合は、電気料金の安さだけではなく、業績や実績も確認し、経営が安定している事業者を選ぶのが大切です。

また契約している小売電気事業者から供給契約解除の通知があった場合や、最終保障供給契約を締結している場合は、積極的に乗り換え先を探し、なるべく早く新たな小売電気事業者との契約を締結しましょう。

伊藤忠エネクスは九州電力との電力小売提携により、安定した電力の供給を実現しています。1961年の創業以来、全国各地で石油製品やLPガス、電力を中心としたエネルギーの供給に携わってきた確かな実績があり、契約地点は15,000カ所、契約先の業種も30を超えています。高圧・特別高圧の乗り換えをご検討されている場合は、ぜひ伊藤忠エネクスへお気軽にお問い合わせください。

特別高圧・高圧電力限定のオーダーメイドプランを「期間限定」で受付中

082-502-2656 平日 09:00 – 17:00
一覧へ戻る 一覧へ戻る

キーワード検索