企業は省エネに取り組むことで、光熱費のコストダウンや企業価値の向上などさまざまなメリットを得られます。さらに、省エネ設備の導入をすることで補助金をもらえるケースもあるため、省エネの施策は企業にとって重要です。
本記事では省エネの定義や、省エネ設備の導入や更新でもらえる補助金について解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
現代社会の暮らしは電気やガスなどのエネルギーによって成り立っています。
しかし、エネルギーを使いすぎると資源が枯渇したり、地球環境が破壊されたりするため、省エネによって資源を保全し環境を守ることが大切です。経済産業省ではエネルギーの効率的な利用の促進のため、エネルギー庁を発足し省エネ法を制定しています。また、補助金制度の整備によって省エネの推進に取り組んでいます。
企業が省エネ補助金制度を受けることで得られる効果は、以下のとおりです。
企業が省エネを導入するとエネルギーにかかる費用を削減でき、生産性の向上につながるとともに、CO2の排出量が減ることで温暖化対策にもなります。
現在では温暖化対策が世界的な課題となっており、CO2削減に向けて省エネへの関心が高まっています。
日本はエネルギー面において、海外からの輸入に頼っているのが現状です。日本は石油価格が高騰すれば、海外へ多額の資本が流出してしまうような経済構造の上に成り立っています。省エネによって石油の消費量が減れば、日本における石油依存の軽減に貢献できるでしょう。
「令和5年度先進的省エネルギー投資促進支援事業費」とは、省エネ性能が高い機器・設備の導入に必要な経費の一部を補助する制度であり、詳細は以下のとおりです。
応募資格 | 本事業の対象者は、事業者が計画したエネルギー使用合理化の取り組みのうち、省エネ性能が高い機器・設備の導入に必要な経費の一部を補助する「補助事業者」です。 |
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事業実施期間 | 本事業の実施期間は交付決定日から令和6年3月31日まで。 |
補助率と補助金額 | 定額、1/4以内、1/3以内、1/2以内、3/4以内 |
令和4年度までに採択が行われた、複数年度継続事業を対象とした補助(間接補助事業)について次で紹介します。ここでは2023年3月時点の情報を記載しています。
「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」での議論を踏まえ、先進設備の導入にかかる費用の補助が行われます。先進設備を導入する省エネ投資事業のうち、一定の省エネ要件を満たす場合が対象です。
補助率は中小企業等では定額以内、大企業等では3/4以内となっています。年度あたりの補助金上限額は15億円、補助金下限額は100万円です。
オーダーメイド型設備、つまり機械設計を伴う設備の導入を伴う省エネ投資事業の導入にかかる費用の補助が行われます。当該設備を導入する省エネ投資事業のうち、一定の省エネ要件を満たす場合が対象です。
補助率は中小企業等では定額以内、大企業等では3/4以内とされています。ただし、投資回収年数が5年以上7年未満の省エネ投資事業の場合は、中小企業等で1/3以内、大企業等で1/4以内になります。年度あたりの補助金上限額は15億円、補助金下限額は100万円です。
指定設備のうち、一定の省エネ性能をクリアした設備の導入にかかる費用の補助が行われます。補助金額は定額で、導入される設備種やスペックなどによって公募要領で定められています。指定設備の対象範囲や基準などについては、経済産業省と協議の上で決定されます。
トップランナー制度の対象機器・設備の場合には、原則としてトップランナー基準以上のものが補助対象です。トップランナー制度とは機器などの省エネ効率の基準の決め方の一つです。エネルギーを多く消費する機器についてはトップランナー制度によって、最も省エネ性能が優れている機器(=トップランナー)の性能が目標基準値として設定されます。
エネマネ事業者とエネルギー管理支援サービスを契約し、EMSを用いて省エネ化を図る場合の費用補助が行われます。EMSの制御効果と省エネ診断などによる、運用改善効果で一定の省エネ要件を満たす場合が対象です。
エネマネとはエネルギーマネジメントの略で、エネルギーを合理的に利用するための仕組みや活動をいいます。EMSとはエネルギーマネジメントシステムを指します。
補助率は中小企業等で設備費、工事費に対する1/2以内、大企業等で1/3以内です。年度あたりの補助金上限額は1億円、補助金下限額は100万円とされています。
2022年8月31日に各省庁から、令和5年度(2023年度)の概算要求が発表され、その中で太陽光発電の導入に関する補助金の情報も公開されました。
今年度において展開されていた補助金は、令和5年度も継続される見込みです。再生可能エネルギー設備の導入に関する補助金・助成金についてそれぞれ解説します。
需要家とは電気の供給を必要とする者を指します。 本制度は需要家による太陽光発電の活用を推進し、2030年の長期エネルギー需給見通しや温暖化ガス削減目標を実現させることを目的としています。
公募はまだ行われておらず、ここで記載しているのは2023年3月時点の情報です。
民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業は、民間企業などによる自家消費型・地産地消型の再エネ導入を促進し、再エネ主力化とレジリエンス強化を図ることを目的としています。
事業内容は下記のとおりです。
それぞれについて解説します。本事業の公募はまだ行われておらず、ここで記載しているのは2023年3月時点の情報です。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業について解説します。ストレージパリティとは太陽光発電設備の導入に際して、蓄電池を導入しないよりも蓄電池を導入したほうが経済的メリットを受けられる状態をいいます。
事業目的と事業内容 | 初期費用のかからない自家消費型の太陽光発電設備・蓄電池の導入を支援する事業です。太陽光発電設備・蓄電池の価格低減の促進とストレージパリティを達成し、国内の再エネの導入推進、防災性強化を図ることが目的です。 |
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事業形態と委託先および補助対象 | 事業形態は間接補助事業(太陽光発電設備:定額、蓄電池:定額・上限補助対象経費の1/3)や委託事業です。委託先および補助対象は民間事業者・団体などがあります。 |
実施期間 | 実施期間は令和3年度から令和7年度までです。 |
新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業について解説します。
事業目的と事業内容 | 地域の再エネポテンシャルを有効活用するため、地域との共生を前提に新たな手法による太陽光発電の導入・価格低減を促進する事業です。再エネ熱利用、未利用熱利用、自家消費型再エネ発電などの導入・価格低減が促進の対象となり補助金を受けられます。再エネポテンシャルとは再生可能エネルギーの導入可能性のことです。 |
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事業形態と委託先および補助対象 | 事業形態は間接補助事業(計画策定:3/4・上限1,000万円、設備等導入:1/3・1/2)や委託事業です。委託先および補助対象は民間事業者・団体などです。 |
実施期間 | 実施期間は令和3年度から令和7年度までのものと令和4年度から令和7年度までのものがあります。 |
再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業について解説します。
事業目的と事業内容 | 2050年カーボンニュートラルの実現を見据えて、熱分野でのCO2ゼロに向けたモデル創出や、寒冷地という脱炭素化の困難な地域でのモデル創出を支援する制度です。熱の脱炭素化を推進することを目的としています。 |
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事業形態と委託先および補助対象 | 事業形態は間接補助事業(計画策定:3/4・上限1,000万円、設備等導入:2/3)です。委託先および補助対象は民間事業者・団体などです。 |
実施期間 | 実施期間は令和2年度から令和6年度のものと、令和5年度から令和7年度のものがあります。 |
離島における再エネ主力化に向けた運転制御設備導入構築事業について解説します。
事業目的と事業内容 | 離島における再エネ設備や需要側設備の管理・制御技術を実装する事業です。離島全体での再エネ自給率の向上を目的としています。離島は地理的条件や需要規模などの要因によって、電力供給量に占める再エネの割合が低いため、再エネ設備を群単位で管理・制御することが重要です。 |
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事業形態と委託先および補助対象 | ・事業形態と委託先および補助対象 事業形態は間接補助事業(計画策定:3/4・上限1,000万円、設備等導入:2/3)となっています。委託先および補助対象は民間事業者・団体などです。 |
実施期間 | 実施期間は令和3年度から令和7年度までです。 |
平時の省CO2と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業について解説します。
事業目的と事業内容 | 民間企業などによる直流給電システムを活用した、平時の省CO2と災害時避難施設を両立する、建物間での電力融通モデル創出を支援する事業です。直流給電システムを複数の建物間で構築することで、一定エリア内で平時は省CO2を図りつつ、災害時には地域の避難拠点を形成可能にすることを目的としています。 |
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事業形態と委託先および補助対象 | 事業形態は間接補助事業(計画策定:3/4・上限1,000万円、設備等導入:1/2)です。委託先および補助対象は民間事業者・団体などです。 |
実施期間 | 実施期間は令和2年度から令和6年度までです。 |
データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業について解説します。ゼロエミッションとは、廃棄物のエミッション(排出)をゼロにしようとする考え方です。環境・防災分野におけるレジリエンスは、想定外の事態に対し社会・組織が速やかに機能を回復させる強さを指します。
事業目的と事業内容 | データセンターのゼロエミッション化を支援し、災害時のレジリエンス強化を推進する事業です。デジタル社会とグリーン社会の同時実現を目的としています。 |
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事業形態と委託先および補助対象 | 事業形態は間接補助事業(補助率1/2・1/3・太陽光発電設備や省エネ設備は1/3)です。委託先および補助対象は民間事業者・団体などです。 |
実施期間 | 実施期間は令和3年度から令和7年度までです。 |
公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業について解説します。
事業目的と事業内容 | 公共施設が有する制御可能な設備の運転方法についての実証に取り組む事業です。地域の再エネ電力を有効活用し、公共施設などの再エネ比率を高めることを目的としています。 |
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事業形態と委託先および補助対象 | 事業形態は間接補助事業(補助率2/3・一部上限あり)です。委託先および補助対象は地方自治体・民間事業者などです。令和5年度は継続事業のみ実施され、新規募集はありません。 |
実施期間 | 実施期間は令和2年度から令和6年度までです。 |
企業は省エネに取り組むことでエネルギーにかかる費用をコストダウンでき、環境に配慮した事業を行っているとして社会的な評価が得られます。省エネ設備の導入や更新では、補助金を活用できる場合があります。現在では省エネに関連したさまざまな補助金制度があるため、ニーズにあったものがあるか確認することが重要です。
補助金を申請する際には注意点がいくつかあります。例えば、必ず補助金がもらえるといった保証がなく、補助金申請代行には前金が必須です。補助金は省エネ機器を導入する企業が自ら責任を持って申請することが原則となっており、申請の際は補助金をしっかりと理解する必要があります。
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