中部電力ミライズの高圧・特別高圧向け燃料費調整額とは?仕組みと2026年最新動向を解説

中部電力ミライズの高圧・特別高圧向け燃料費調整額とは?仕組みと2026年最新動向を解説

伊藤忠エネクス メディア編集部

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この記事でわかること

  • 中部電力ミライズの燃料費調整額は、2026年4月からヘンリーハブ価格を含む3要素構成に見直されます。
  • 制度変更自体は一律の値上げではありませんが、独自値引きや国の支援終了により負担増の可能性があります。
  • 燃調単価が1円/kWh変動するだけで年間数百万円規模の影響が出るため、調整額を含めた比較が重要です。
とりあえず資料をダウンロードする

中部電力ミライズの燃料費調整額は、2026年4月に大きな転換点を迎えました。高圧・特別高圧の標準メニューに「HH(ヘンリーハブ)価格調整単価」が新設されるためです。中部エリアで製造拠点を構える企業にとって、月間約7.5万kWhの使用量であれば燃料費調整単価が1円/kWh変動するだけで年間約90万円のコスト差が生じます。本記事では、中部電力ミライズの燃料費調整額がどのような考え方で決まるのか、2026年4月の制度変更で何が変わったのかを、モデルケース試算とともに解説します。

※参考:中部電力ミライズ「特別高圧・高圧の標準メニューの見直しについて」
https://miraiz.chuden.co.jp/revision2022/high/

※参考:中部電力ミライズ「2026年4月分電気料金の燃料費調整について|プレスリリース」
https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/1217460_1938.html

※本記事は2026年3月時点の情報です。

中部電力ミライズの燃料費調整額を構成する3つの要素

中部電力ミライズの高圧・特別高圧向け燃料費調整額は、「燃料価格反映部分」「卸電力市場価格反映部分」、そして2026年4月から加わった「HH価格調整部分」の3要素で構成されます。

要素1:燃料価格反映部分

原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の価格変動を電気料金に反映する部分です。2026年4月以降は、基準燃料価格・基準単価・換算係数が見直され、基準燃料価格は52,900円/kl、基準単価(税込)は高圧0.092円/kWh、特別高圧0.091円/kWhとなります。

要素2:卸電力市場価格反映部分

JEPX(日本卸電力取引所)の中部エリアの卸電力市場価格を反映する部分です。2026年4月以降は、全日(0-24時)と昼間(6-18時)の加重平均価格、月別調整係数などを用いて算定する方式に見直され、基準市場価格は12.16円/kWhとなります。

要素3:HH価格調整部分(2026年4月新設)

2026年4月から新設された、米国天然ガス価格指標「ヘンリーハブ(Henry Hub)」の変動を反映する部分です。公式資料では、基準HH価格2.867$/MMBtu、基準為替レート147.60円/$、基準HH・輸送関連単価は特別高圧0.685円/kWh、高圧0.694円/kWhなどの算定諸元が公表されています。

これら3要素を合算したものが、毎月の燃料費調整単価です。


※参考:中部電力ミライズ「特別高圧・高圧の標準メニューの見直しについて」
https://miraiz.chuden.co.jp/revision2022/high/ 

※参考:中部電力ミライズ「燃料費調整単価|法人のお客さま」
https://miraiz.chuden.co.jp/business/electric/contract/fuelcost/unitprice/

2026年4月の制度変更――ヘンリーハブ導入と算定諸元見直し

前章で整理した3要素のうち、2026年4月に新たに加わったのがHH価格調整部分です。制度変更の核心は、燃料費調整が「LNG・石炭の貿易統計 + JEPXスポット価格」の2軸から、「貿易統計 + JEPX + 米国ヘンリーハブ」の3軸体制に移行する点です。

なぜヘンリーハブが導入されるのか

中部電力ミライズは、今後の電源調達構造の変化を踏まえ、2026年4月から高圧・特別高圧の標準メニューにHH価格調整単価を導入しました。公式資料では、燃料価格反映部分や卸電力市場価格反映部分の算定諸元見直しとあわせて、燃料費調整制度を変更すると説明しています。

制度変更の全体像

変更項目内容
HH価格調整単価の新設米国天然ガス価格の変動を高圧・特別高圧の燃料費調整に反映
算定諸元の見直し燃料価格反映部分・卸市場価格反映部分の基準値を改定
算定期間の見直し平均燃料価格・平均市場価格の算定期間を変更
電力量料金単価の調整見直し前後で「同水準」になるよう単価を設定

「負担は変わらない」の条件を正確に理解する

中部電力ミライズは、燃料費調整制度の変更に伴い、見直し前の2025年12月適用分の燃料費調整単価を加えた水準と、見直し後の2025年12月適用分の燃料費調整単価を加えた水準が同程度となるように、電力量料金単価を見直すと説明しています。

したがって、これは「2026年4月以降の実際の請求額が固定される」という意味ではなく、「制度変更自体を目的とした一律の値上げ・値下げではない」という理解が適切です。

※参考:中部電力ミライズ「特別高圧・高圧の標準メニューの見直しについて」
https://miraiz.chuden.co.jp/revision2022/high/

2025年度の独自値引き終了の可能性

中部電力ミライズは、2025年4月分から2026年3月分までの燃料費調整単価について、独自の負担軽減策として1.00円/kWhを値引きしています。2026年4月分以降について、同社の燃料費調整単価推移ページでは、当該独自値引きの継続は確認できません。したがって、2026年4月以降の予算策定では、少なくとも2025年度と同条件の独自値引きが継続する前提では見込まない方が安全です。
>>市場連動型プランについて詳しく知る

※参考:中部電力株式会社「2025年度の電気料金等の負担軽減策」
https://www.chuden.co.jp/ir/ir_kaiji/__icsFiles/afieldfile/2025/02/03/1.pdf

固定単価型との違いを見る

モデルケースで試算する燃料費調整額の年間影響額

燃料費調整単価が1円/kWh変動した場合に、自社の電気代がどれだけ動くかを2つのモデルケースで試算します。

モデルケース試算

項目ケースA:自動車部品工場ケースB:大型化学プラント
契約電力300kW800kW
月間使用量90,000kWh300,000kWh
燃調単価±1円/kWhの月間影響額±9万円±30万円
燃調単価±1円/kWhの年間影響額±108万円±360万円
燃調単価±3円/kWhの年間影響額±324万円±1,080万円

※試算前提:モデルケース試算であり、実際の請求額は契約種別・使用パターン・力率等により異なります。燃料費調整単価の変動のみを対象とした影響額であり、基本料金・電力量料金・再エネ賦課金は含みません。

計算根拠

年間影響額は「燃料費調整単価の変動幅(円/kWh)× 月間使用量(kWh)× 12か月」で算出しています。

  • ケースA:1円 × 90,000kWh × 12か月 = 1,080,000円
  • ケースB:1円 × 300,000kWh × 12か月 = 3,600,000円

実際の燃料費調整単価の振れ幅

中部電力ミライズの高圧向け燃料費調整単価は、2023年以降おおむね▲2円〜+3円/kWhの範囲で推移しています。仮に5円/kWhの振幅があった場合、ケースAで年間540万円、ケースBで年間1,800万円の差が生じる計算です。「たかが調整額」とは言えない規模です。月次の燃調単価を確認する実務上の意義は大きいと言えます。

国の電気・ガス料金支援(参考)

2026年1〜3月使用分については、国の「電気・ガス料金支援」として高圧向けに以下の値引きが適用されていました。

使用月高圧向け値引き
2026年1月▲2.30円/kWh
2026年2月▲2.30円/kWh
2026年3月▲0.80円/kWh

なお、今後の延長有無は政策判断に左右されるため、将来分の予算を組む際は最新公表を都度確認するのが安全です。

※参考:資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/gekihen_lp/

※参考:中部電力ミライズ「2026年4月分電気料金の燃料費調整について|プレスリリース」
https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/1217460_1938.html

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中部エリアの電力市場特性と燃料費調整額への影響

試算で示した燃料費調整単価の変動幅は、中部エリアの電源構成や広域連系の条件と関係しています。中部エリアの電力市場には、燃料費調整額の変動に影響しうる構造的な特徴があります。

LNG火力比率43%――燃料価格の影響を受けやすい電源構成

中部電力ミライズの電源構成(2024年度実績)では、LNG火力が43%と最大の電源を占めています。石炭火力(19%)を加えると、火力電源が全体の過半を占めています。こうした電源構成は、LNGや石炭などの燃料価格の変動が、電気料金の燃料費調整単価に影響しやすい構造であることを示しています。

電源比率(2024年度実績)
LNG火力43%
石炭火力19%
卸電力取引所11%
FIT電気6%
水力4%
その他17%

西名古屋火力発電所――高効率火力を保有する中部エリア

中部電力の西名古屋火力発電所7-1号は、コンバインドサイクル発電設備として世界最高の熱効率63.08%を達成し、ギネス世界記録に認定されています。高効率な火力発電設備は、同じ量の燃料からより多くの電力を生み出せるため、燃料使用効率の面で優位性があります。

ただし、電力市場価格や燃料費調整単価は、発電効率だけで決まるものではありません。実際には、燃料価格、卸電力市場価格、需要動向、電源構成、広域連系の状況など、複数の要因が重なって変動します。そのため、西名古屋火力発電所の高効率性は中部エリアの強みの一つではあるものの、それだけで市場価格の安定を直接説明できるわけではありません。


※参考:中部電力株式会社「中部電力西名古屋火力発電所7-1号 世界最高効率のコンバインドサイクル発電設備としてギネス世界記録認定」
https://www.chuden.co.jp/publicity/press/3267477_21432.html

広域連系との関係――東京エリアとの間には周波数変換設備が必要

中部エリアは60Hz、東京エリアは50Hzで運用されているため、両エリア間で電力を融通する際には周波数変換設備を介する必要があります。東清水FCなどの設備はその役割を担っており、東京中部間連系設備の増強も進められてきました。

このため、中部エリアの需給や市場価格は広域的に連動する一方で、他エリアとの融通には設備容量や運用上の制約が関係します。燃料費調整額そのものは中部電力ミライズの制度に基づいて算定されますが、その背景には、こうした広域連系の物理的条件もあります。
※参考:電力広域的運営推進機関「ようこそ 東清水変電所へ」
https://www.occto.or.jp/assets/iinkai/kouikikeitouseibi/cost/2017/files/cost_03_05.pdf 

※参考:電力広域的運営推進機関「東京中部間連系設備に係る広域系統整備計画」
https://www.occto.or.jp/assets/kouikikeitou/seibikeikaku/tokyochubu/files/FC_20210804_sankou.pdf

よくある質問(FAQ)

担当者がよく聞く疑問

Q1. 高圧・特別高圧の燃料費調整額に上限はありますか?

自由料金では、燃料費調整に上限がないものが多いため、契約中のメニュー内容を確認する必要があります。規制料金のような一律の上限が当然に適用されるわけではありません。

※参考:資源エネルギー庁「電気料金の改定について(2023年6月実施)」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/kaitei_2023/

Q2. 燃料費調整単価は毎月いつ確定し、いつの使用分に反映されますか?

2026年4月以降の中部電力ミライズの高圧・特別高圧標準メニューでは、平均燃料価格は当該月の3か月前の1か月平均、平均市場価格は当該月の3か月前21日から2か月前20日までの1か月平均を用いて算定します。詳細は毎月同社公式サイトで公表されます。

※参考:中部電力ミライズ「特別高圧・高圧の標準メニューの見直しについて」
https://miraiz.chuden.co.jp/revision2022/high/ 

Q3. 新電力に切り替えれば燃料費調整額はなくなりますか?

なくなるわけではありません。新電力各社も燃料費調整制度または類似の市場連動型の仕組みを設けています。名称や算定方法は電力会社によって異なりますが、「燃料価格や市場価格の変動が電気料金に反映される」という構造は同じです。新電力への切替を検討する場合は、電力量料金の単価だけでなく、燃料費調整の算定方式やJEPX連動の割合も比較項目に含めることが不可欠です。

Q4. ヘンリーハブ価格が上がると、中部エリアの電気代は必ず上がりますか?

必ず上がるとは限りません。燃料費調整額は3つの要素の合算であるため、ヘンリーハブ価格が上昇しても、LNG貿易統計価格やJEPXスポット価格が下落すれば相殺される場合があります。実際のLNG調達は複数の価格指標が混在しており、ヘンリーハブ単独の変動がそのまま料金に反映されるわけではありません。

まとめ

中部電力ミライズの高圧・特別高圧向け燃料費調整額は、「燃料価格反映」「卸市場価格反映」「HH価格調整」の3要素で構成されます。2026年4月からのヘンリーハブ導入は、LNG調達構造の変化を料金制度に反映する変更であり、制度変更自体は値上げ・値下げを目的としていません。ただし、2025年度の独自値引き(1.00円/kWh)の終了可能性や、国の料金支援の終了時期が不透明であることから、実質的な負担額には注意が必要です。

以下に当てはまる場合、電力調達の見直しを早めに検討することを推奨します。

  • 月間使用量が多く、燃料費調整額の月額影響が数万円~数十万円を超えている
  • 直近12か月で燃料費調整単価の請求額が前年比15%以上増加した
  • 現在の契約が中部電力ミライズの標準メニューのままで、他社見積もりを取得していない

今日から確認すべき3ステップ

1. 検針票で現状を把握する
直近3か月分の電力明細から「契約電力(kW)」「月間使用量(kWh)」「燃料費調整単価(円/kWh)」「燃料費調整額(円)」を抜き出し、推移を確認する

2. 2026年4月以降の制度変更を確認する
中部電力ミライズの公式プレスリリースで、HH価格調整単価の具体的な算定諸元と新しい電力量料金単価を確認する

3. 他社の調達条件と比較検討する:燃料費調整の算定方式は電力会社ごとに異なるため、電力量料金だけでなく燃料費調整の仕組みも含めた総合比較を行う

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