世界で目指す脱炭素社会!海外・国内の企業、自治体での取組事例は?

世界で目指す脱炭素社会!海外・国内の企業、自治体での取組事例は?

伊藤忠エネクス メディア編集部

伊藤忠エネクスは1961年の創業以来 「 社会とくらしのパートナー」として 全国各地の地域に根ざし生活に欠かせないエネルギーをお届けしてまいりました。 老舗エネルギー商社ならではの情報を発信します。

脱炭素社会の実現は、気候変動や環境問題を解決するべく世界が協力しあって取り組むべき目標の一つです。

各国では、多くの企業や自治体が脱炭素化に向けた施策を行っており、近年日本でも企業の規模を問わず脱炭素化経営を導入する企業が増えています。

「脱炭素社会の実現が叫ばれている背景」や「海外・国内の企業が行っている脱炭素社会への取り組み事例」に加えて、「自治体が力を入れている例」も紹介するので参考にしてください。

脱炭素社会とは?

脱炭素社会とは
脱炭素社会とは
脱炭素社会とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指す社会のことを言います。

温室効果ガスは、電化製品や自動車の使用、工場での製造・生産や畜産など幅広い活動によって排出されます。そのため脱炭素社会の実現には、各企業・各団体が意識的に改革を行うことが大切です。

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脱炭素社会への具体的な取り組みは、次のような内容が挙げられます。

  • 省エネ対策の実施
  • エネルギーの低炭素化
  • 再生可能エネルギーの活用

省エネ対策は、家庭や企業でも取り組みやすい施策の1つです。ただし、温室効果ガスの大幅削減を目指すには、省エネ対策と同時にエネルギーの低炭素化や再生可能エネルギーの活用も進める必要があります。

日本も脱炭素社会に向けて動き出している

世界各国が脱炭素化社会を目指す中で、日本も2050年を目途に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言しています。「実質ゼロ」にするためには、CO2をはじめとした温室効果ガスの排出量を削減することはもちろん、植林や森林管理などを行うことで、吸収量を増やすことも大切です。

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日本が脱炭素社会を実現するべく、さまざまな企業や自治体が既に多くの活動や取り組みを実施しており、カーボンニュートラルへの第一歩を踏み出しています。

再生可能エネルギー100%を目指す国際的イニシアチブ「RE100」

「RE100」は、企業が自社事業の使用電力を100%再生エネルギーで賄うことを目指す国際的な提案・政策で、国内外の多くの企業が「RE100」に参加しています。日本の参加企業数は、2023年2月時点で78社です。参加企業数は世界で第2位、アジアでは第1位を誇っています。(※)

また、企業が気候変動や地球温暖化への影響を分析して財務情報を開示する「TCFD」、企業の中長期の目標を設定する「SBT」でも、日本の企業数はトップクラスを誇ります。

※参考:日本気候リーダーズ・パートナーシップ「国際企業イニシアチブについて」https://japan-clp.jp/climate/reoh(参照2023-02-13)

海外企業の取り組み事例

先述した「RE100」には世界中で約400の企業が参加しており、参加企業の中で革新的かつ先駆的な戦略に取り組んでいる企業は、リーダーシップアワードに選ばれます。

実際に「RE100」でアワード2022を受賞した海外企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。ここでは代表的な3つの事例を紹介します。

Interface(インターフェイス)

「Beyond 100% Award」を受賞したInterfaceは、アメリカ・アトランタにある織物製造業を営む企業です。

Interfaceでは、何十年にもわたってCO2排出量削減への取り組みを続けています。例えば、世界中の工場や製造拠点で使用される電力は、サプライチェーン全体を100%再生可能エネルギーで賄っています。

Interfaceが掲げる目標は、2040年までに再生可能かつカーボンネガティブ(温室効果ガスの排出よりも吸収量が多い)企業になることです。

※参考:Interface「Interface Is a Carbon Neutual Enterprise」https://www.interface.com/SEA/en-SG/more-from-interface/press-room/Interface-Is-a-Carbon-Neutral-Enterprise.html(参照2023-02-13)

Iron Mountain(アイロンマウンテン)

「RE100キーコラボレーター賞」を受賞したIron Mountainは、実績と専門知識が豊富なアメリカのデータストレージベンダーです。

Iron Mountainは比較的自然災害の少ないアメリカ・アリゾナ州に第2データセンターを開設し、使用される電力の100%を再生可能エネルギーで賄っています。すべての開発が完了したら100MWもの電力供給が可能になると発表し、注目を集めています。

※参考:Iron Mountain「PROTECTING OUR PLANET」
https://www-ironmountain-com.translate.goog/about-us/corporate-responsibility/protecting-our-planet(参照2023-02-13)

O’right(オーライト)

「RE100エンタープライジングリーダー賞」を受賞したO’rightは、台湾のヘアケアブランド企業です。

O’rightではソーラーパネルと風力タービンを設置し、自家発電に取り組んでいます。また、雨水や製造過程で排出される水を回収・再利用するシステムを構築し、水資源の活用も積極的に行っています。また、CO2排出量ゼロの製品の研究開発を行っていることも特長です。

O’rightは、2025年までに使用電力の100%を再生可能エネルギーで賄うことを目標にしています。

※参考:O’right「世界をグリーンに、CO2排出量ゼロを目指すヘアケアブランド企業」
https://www.oright.inc/jp/about/3(参照2023-02-13)

日本企業の取り組み事例

日本企業の取り組み事例

環境省では、SBTに取り組む国内企業約60社を紹介しています。脱炭素経営やSBTに興味がある企業は、実際にどのような取り組みを行っているか参考にしてみましょう。

ここでは、2020年度のSBT取り組み事例から3社をピックアップして、それぞれの企業の目標や内容などを紹介します。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニエンスストアやレストランなどの事業を中心に行う総合流通グループです。

安定した社会を維持するために、気候変動問題に積極的に取り組む姿勢を示しています。

株式会社セブン&アイ・ホールディングスが掲げる削減目標は、下記のとおりです。

  • 店舗運営に伴うCO2排出量を2030年までに50%削減(2013年度比)
  • 店舗運営に伴うCO2排出量を2050年までに実質ゼロ

CO2排出量削減に向けて、省エネ設備への投資や店舗の屋上を使った大規模太陽光発電の導入など、省エネ・創エネ・再エネ調達の3つに取り組んでいます。

※参考:株式会社セブン&アイ・ホールディングス「気候変動対策」https://www.7andi.com/sustainability/theme/theme3/environmental-reduction.html(参照2023-02-13)

エスペック株式会社

エスペック株式会社は、環境試験器の製造と販売、サービスメンテナンスなどを行う企業です。低炭素社会の実現に向けて、環境創造技術で貢献することを示しています。

エスペック株式会社が掲げる削減目標は、下記のとおりです。

  • 温室効果ガスの自社排出量を2030年度までに60%削減(2019年度比)
  • 温室効果ガスの間接排出量を2030年度までに30%削減(2019年度比)

温室効果ガスの排出量削減に向けて、省エネ設備の導入や環境配慮型製品の開発製造などに取り組んでいます。また、国内の一部賃貸契約物件を除く全ての事業所電力は、再生可能エネルギーに切り替わっていることも大きな成果です。

※参考:エスペック株式会社「気候変動対策」https://www.espec.co.jp/sustainability/env/climate.html(参照2023-02-13)

明治ホールディングス株式会社

明治ホールディングス株式会社は、乳製品・お菓子の製造販売、医療用医薬品・ワクチンの製造などを行っています。

事業の継続には豊かな自然の維持が欠かせないため、気候変動問題に積極的に取り組む考えを示しています。

明治ホールディングス株式会社が掲げる削減目標は、下記のとおりです。

  • CO2の自社排出量において2030年度までに50%削減(2019年度比)
  • CO2の自社排出量、バリューチェーンのCO2総排出量、購入した原料や包材の削減において2050年度までにカーボンニュートラル達成

CO2排出量削減に向けて、配送センターや工場における省エネ設備の導入やモーダルシフトの導入など、省エネ対策に力を入れています。また、太陽光発電やバイオエネルギーの導入など、再生可能エネルギーへの転換も進めていることが特長です。

※参考:明治ホールディングス株式会社「脱炭素社会」https://www.meiji.com/sustainability/harmony/climate_change/(参照2023-02-13)

日本の自治体の取り組み事例

環境省では、脱炭素化への具体的な取り組み事例集を作成しています。

脱炭素社会の実現に向けて、民間企業だけでなく日本の各自治体がどのような取り組みを行っているのかチェックしてみましょう。

ここでは、取り組み事例集で紹介されている3つの自治体について、詳しく解説します。

福岡県みやま市

みやま市では、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティみやま」を宣言しています。

脱炭素化に向けた取り組み事例は、下記のとおりです。

  • みやまスマートエネルギーによる電力の地産地消
  • 生ごみやし尿などから電力と液肥を生み出すバイオマスセンターの建設

地産地消で得たエネルギー利益は、産業振興や生活サービスの充実に活用されています。地域活性化にもつながる事業例として、多くの自治体から注目されています。

※参考:みやま市「ゼロカーボンシティみやまを宣言しました」https://www.city.miyama.lg.jp/s031/shisei/20210804115430.html(参照2023-02-13)

北海道下川町

下川町では、木質のバイオマスエネルギー活用による地域づくりを目指しています。

脱炭素化に向けた取り組み事例は、下記のとおりです。

  • 森林バイオマス地域熱供給によりCO2排出量を削減
  • 公共建築物の木質化による地域材の利用拡大
  • 公共施設での木質バイオマスエネルギー利用

森林バイオマス地域熱供給では、CO2排出量の削減と燃料代の削減に成功しました。削減された燃料代は、保育料の軽減や学校給食費の補助、医療費扶助などに活用されています。

※参考:環境省「エネルギー自立と地域づくり~北海道下川町のチャレンジ~」https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/pdf/2_01_shimokawa.pdf(参照2023-02-13)

静岡県浜松市

浜松市では、日照時間が長い地域性を生かしてエネルギー施策に取り組んでいます。

脱炭素化に向けた取り組み事例は、下記のとおりです。

  • 太陽光発電の導入拡大に向けた連携事業の実施(公共施設や市有地の屋根貸し)
  • 電力会社を設立し電力の地産地消を促進

電力共有を受ける民間事業者や施設は、環境教育イベント開催や防災拠点施設としての活用が条件となります。自治体出資の再生可能エネルギーによる地域新電力設立は、政令指定都市として初めてです。

※参考:浜松市「浜松市のエネルギー政策」
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/shin-ene/new_ene/index.html(参照2023-02-13)

まとめ

脱炭素社会の実現は、気候変動や環境問題を解決するために国内外問わず多くの企業や自治体が取り組むべき課題の一つです。

脱炭素化活動は、企業側にとって光熱費・燃料代の削減、事業展開の優位性につながるなどのメリットがあります。

脱炭素社会の実現や脱炭素化経営の導入に興味がある企業は、海外・国内の企業や自治体の取り組み事例を参考に、自社でもできることから始めてみませんんか?

地球規模で取り組まなければいけない環境対策に力を入れているのが、伊藤忠エネクスです。ESGや太陽光発電を始めとして、様々な取り組みを行っています。

https://service.itcenex.com/

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