北海道電力の高圧・特別高圧向け電気料金は、2025年10月に北海道電力ネットワークの託送料金見直しに伴い、北海道電力の電気料金が見直されました。
また高圧・特別高圧では、燃料価格やJEPX(日本卸電力取引所)の市場価格などを毎月の電気料金に反映する「燃料費等調整」の仕組みがあります。月間約7.5万kWhを使用する需要家の場合、調整単価が1円/kWh変動すると年間で約90万円のコスト差になります。北海道の主要産業で電力コストを管理する担当者にとって、この仕組みの理解は予算策定や料金比較の前提になります。
この記事でわかること
※本記事は2026年3月時点の情報です。
目次
北海道電力の高圧・特別高圧向け電気料金に含まれる「燃料費等調整単価」は、以下の3つの要素を合算して算出されます。
燃料費等調整単価 = 燃料費調整単価 + 市場価格調整単価 + 離島ユニバーサルサービス調整単価
検針票(電力使用量のお知らせ)に記載される「燃料費等調整額」は、この合算単価に月間使用量(kWh)を掛けた金額です。それぞれの要素がどう計算されるかを確認します。
火力発電に使用する燃料(原油・LNG・石炭)の価格変動を電気料金に反映する仕組みです。
・算定方法:
3か月間の貿易統計に基づく平均燃料価格と、基準燃料価格(51,400円/kl)の差額に基準単価を掛けて算出
・基準単価:
高圧0.188円/kWh、特別高圧0.183円/kWh(平均燃料価格が1,000円/kl変動した場合の調整額)
・適用タイミング:
算定期間終了の2か月後の電気料金に反映(例:2025年11月〜2026年1月の平均→2026年4月分に適用)
たとえば、平均燃料価格が基準から1,000円/kl上昇すると、高圧需要家の場合は1kWhあたり0.188円の変動要因になります。月間75,000kWhの事業所なら、単純計算で月額約14,100円の影響です。
JEPXスポット市場の市場価格を電気料金に反映する仕組みです。
・算定方法:
3か月間の平均市場価格と、基準市場価格(12.24円/kWh)の差額に調整係数を掛けて算出
・調整係数:
高圧0.229、特別高圧0.223
・適用タイミング:
燃料費調整と同じく、算定期間終了の2か月後
離島への電力供給コストのうち、対象となる燃料費変動分を反映する仕組みです。詳細は後述の「離島ユニバーサルサービス調整とは」で解説します。
※参考:北海道電力「電気料金の見直しについて|2025年8月25日」
https://www.hepco.co.jp/info/2025/__icsFiles/afieldfile/2025/08/25/250825.pdf
※参考:北海道電力「燃料費等調整制度」
https://www.hepco.co.jp/business/price/system/index.html
※参考:北海道電力「燃料費等調整の方法」
https://www.hepco.co.jp/business/price/system/method.html
2025年10月1日、北海道電力ネットワークの託送料金見直しに伴い、北海道電力は低圧・高圧・特別高圧の電気料金を同日付で見直しました。高圧・特別高圧向けの料金表も2025年10月1日実施版に更新されており、法人向けでは基本料金や電力量料金などの単価が改定後の体系に切り替わっています。したがって、2025年10月以降の請求額を確認する際は、使用量だけでなく、料金単価表が改定後のものになっているかもあわせて確認する必要があります。
※参考:北海道電力「電気料金の見直しについて|2025年8月25日」
https://www.hepco.co.jp/info/2025/__icsFiles/afieldfile/2025/08/25/250825.pdf
※参考:北海道電力「料金表(高圧)[2025年10月1日実施]」
https://www.hepco.co.jp/business/price/stipulation/pdf/unitprice_hi_2510.pdf
離島に事業所がなくても、北海道エリアで高圧・特別高圧契約を持つ需要家には、この調整単価が反映されます。北海道電力の公表資料では、離島ユニバーサルサービス調整は、3か月間の離島平均燃料価格を算定し、離島基準燃料価格との差に基づいて調整する仕組みです。
| 項目 | 内容 |
| 離島基準燃料価格 | 79,300円/kl |
| 離島平均燃料価格の上限 | 119,000円/kl |
| 算定期間 | 3か月間 |
| 適用タイミング | 算定期間終了の2か月後 |
離島平均燃料価格が79,300円/klを上回ればプラス調整、下回ればマイナス調整です。なお、119,000円/klを上回る場合は上限値で算定されます。
離島ユニバーサルサービス調整単価の基準単価は高圧・特別高圧ともに0.001円/kWhで、燃料費調整や市場価格調整より影響は小さい水準です。ただし、月間使用量が大きい需要家では無視できない場合もあるため、検針票で内訳を確認しておくとコスト把握の精度が上がります。
※参考:北海道電力「燃料費等調整の方法」
https://www.hepco.co.jp/business/price/system/method.html
北海道エリアでは、本州との連系線容量や需給状況の影響を受け、市場分断が生じた局面ではエリア間の価格差が拡大しやすくなります。市場価格調整が電気料金に反映される以上、こうした市場環境は法人の電力コストに影響します。
1. 準孤立系統と連系線容量の制約
北海道本州間連系設備の運用容量は90万kWです。さらに30万kWの増設工事が進められており、総容量は120万kWとなる計画で、2028年3月予定の運転開始が公表されています。こうした背景には電力需要のピーク時には容量が不足し、本州の安価な電力を十分に受電できないことがあります。この「市場分断」が発生すると、北海道エリアプライスが他エリアより大幅に高騰する可能性があるため、増設工事が計画されています。
2. 泊発電所の停止継続と再稼働見通し
北海道電力は、泊発電所3号機について「2027年のできるだけ早期に再稼働」と公表しています。また、北海道庁の公表資料では、鈴木知事が2025年12月に再稼働への同意を国に伝え、2026年3月に同意判断について説明しています。北海道電力は2025年10月時点で、再稼働後の高圧・特別高圧料金について平均6%程度の値下げ見通しを示しています。
3. 冬季の需要増加
北海道では冬季に暖房需要が増え、需給が引き締まりやすくなります。需要増や連系線制約などが重なる局面では、スポット市場価格が上振れしやすくなります。
市場価格調整単価は、平均市場価格が基準市場価格(12.24円/kWh)を上回るとプラス調整、下回るとマイナス調整になります。3か月の算定期間の結果が2か月後の料金に反映されるため、足元の市場高騰が請求額に遅れて表れる点にも注意が必要です。
※参考:電力広域的運営推進機関「各連系線の運用容量 算出方法・結果」
https://www.occto.or.jp/assets/renkeisenriyou/oshirase/2024/files/oshirase_2_2024_sansyutsuhouhoukekka.pdf
※参考:北海道電力ネットワーク「北海道本州間連系設備に係る広域系統整備計画の策定について」
https://www.hepco.co.jp/network/info/2021/1251271_1899.html
※参考:北海道電力「泊発電所3号機再稼働後の電気料金の値下げ見通しについて」
https://www.hepco.co.jp/info/2025/1252937_2068.html
※参考:北海道庁「泊発電所3号機の再稼働に関する知事の同意表明」
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kke/242895.html
制度を理解した上で、次に取るべきアクションは3つあります。
まず、直近の検針票(電力使用量のお知らせ)で以下の3点を確認してください。
| 確認項目 | 検針票での記載欄 | 確認の目的 |
| 契約電力(kW) | 「契約電力」欄 | 基本料金の算定基礎。デマンド管理の基準 |
| 月間使用量(kWh) | 「ご使用量」欄 | 調整単価の影響額を算出する基礎 |
| 燃料費等調整単価または燃料費等調整額 | 請求明細・検針票の該当欄 | 前月比での変動幅を把握 |
※検針票の表示形式は契約メニューや帳票様式によって異なる場合があります。
ポイント2: 調整単価の変動が年間コストに与える影響を試算する
以下のモデルケースで、調整単価の変動が年間コストにどう影響するかを試算します。
モデルケース: 北海道エリアの水産加工場(高圧契約の一例)
| 前提条件 | 値 |
| 契約電力 | 300kW |
| 月間使用量 | 75,000kWh |
| 年間使用量 | 900,000kWh |
| 調整単価の変動幅 | 月間影響額 | 年間影響額 |
| +0.5円/kWh | +37,500円 | +450,000円 |
| +1.0円/kWh | +75,000円 | +900,000円 |
| +2.0円/kWh | +150,000円 | +1,800,000円 |
※上記は燃料費等調整単価(3要素合算)の変動のみを示したモデル試算です。基本料金・電力量料金・再エネ賦課金等は含みません。前提:契約電力300kW、月間使用量75,000kWhの一例であり、施設規模・稼働パターンにより異なります。
調整単価が2円/kWh変動すれば、年間180万円のコスト差が生じます。この数値を予算策定や経営報告の材料として把握しておくことが、コスト管理の第一歩です。
※この試算自体はモデルケースに基づくものであくまで参考です。
市場価格や燃料価格の変動リスクを管理する方法の一つが、固定単価型プランを含む複数プランの比較です。固定単価型では、契約条件によっては毎月の変動要因を一定程度抑えやすくなりますが、実際の調整方式や上限設定の有無は小売電気事業者ごとに異なります。北海道電力も、高圧・特別高圧について平均燃料価格および平均市場価格に上限の設定がない旨を公表しています。
見積もりを取得する際は、直近12か月分の検針票データ(月間使用量・契約電力・最大需要電力)を準備しておくと比較しやすくなります。
以下に当てはまる場合、電力調達の見直しを検討する余地があります。
固定単価型プランと市場連動型プランの違いも確認しましょう。

※参考:北海道電力「燃料費等調整制度」
https://www.hepco.co.jp/business/price/system/index.html
よくある質問(FAQ)
北海道電力の高圧・特別高圧向け燃料費等調整制度では、離島ユニバーサルサービス調整が構成要素に含まれています。実際の適用範囲や請求書上の表示は契約条件で確認が必要ですが、少なくとも制度上は北海道エリアの高圧・特別高圧料金に組み込まれて公表されています。
北海道電力は、泊発電所3号機について2027年のできるだけ早期の再稼働を目指すとしています。また、再稼働後の高圧・特別高圧料金について平均6%程度の値下げ見通しを示しています。ただし、毎月の燃料費等調整単価は制度上の算定諸元に基づいて決まるため、再稼働がそのまま同額の調整単価引下げにつながるとは限りません。再稼働時期や実際の料金反映は今後の公表確認が必要です。
算定方式は事業者ごとに異なります。北海道電力と同様の名称でも、基準燃料価格・基準単価・市場価格連動の有無・上限設定の有無が異なる場合があります。切替を検討する際は、同月・同使用量で現在の請求書と候補先の見積書を並べ、基本料金・電力量料金・調整額を分けて比較してください。
※この点は制度一般の説明であり、個別の小売電気事業者ごとの約款確認が必要です。
北海道電力の高圧・特別高圧向け燃料費等調整制度について、以下のポイントを整理しました。
・3つの構成要素: 燃料費等調整単価は「燃料費調整」「市場価格調整」「離島ユニバーサルサービス調整」の3要素で構成される
・2025年10月改定の影響: 2025年10月は託送料金見直しに伴う料金見直しがあり、各契約プランへの影響を確認することが大切
・北海道特有のリスク: 北海道本州間連系設備は現在90万kWで、30万kW増設により120万kWとなる計画。連系線制約や冬季需給などが市場価格に影響しうる
今日から取れる3つのアクション
電力調達の見直しは、設備更新と異なり初期費用なしで比較検討できることがあります。市場価格や燃料価格の変動リスクを把握したい法人は、直近12か月分の検針票データ(月間使用量・契約電力・最大需要電力)をそろえて比較するのが実務的です。伊藤忠エネクスの「TERASELでんき for Biz.」でも法人向け電力プランを提供しておりますので、お気軽にお問合せください。無料で診断する。

※掲載内容は2026年3月時点の情報です。最新の料金・制度については北海道電力および各関係機関にお問い合わせください。
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