なぜスーパーの電気代は高い?設備別コスト構造と削減の優先順位

なぜスーパーの電気代は高い?設備別コスト構造と削減の優先順位

伊藤忠エネクス メディア編集部

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この記事でわかること

  • スーパーマーケットの電気代が高い構造的な理由(設備別の消費割合)
  • 規模別の年間電気代モデルケース試算(3パターン)
  • 削減策の優先順位と、初期投資ゼロで始められるアプローチ
  • 市場連動型プランとスーパーの使用パターンの相性
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食品スーパーマーケットの電気代は、同規模のオフィスビルや一般小売店と比較して高くなりがちです。理由は明確で、冷蔵・冷凍ショーケース、照明、空調という「営業中は止められない3つの設備」が電力消費の大部分を占めるからです。

しかし、電気代の削減策は大型設備への投資だけではありません。電力の「調達単価」を見直すことで、初期投資ゼロでもコストを下げられる可能性があります。本記事では、スーパーの電気代が高い構造的な理由を設備別に分解し、削減施策の優先順位と、近年注目されている市場連動型プランとの相性を具体的なデータで検証します。

※本記事は2026年3月時点の情報です。

スーパーマーケットの電気代はなぜ高いのか――設備別コスト構造の分析

食品スーパーの電力消費は、冷蔵・冷凍ショーケース、照明、空調にバックヤード冷凍冷蔵庫を追加した大きく4つの設備に集中しています。

ほくでんネットワークが公表している食品スーパーの電力消費内訳によると、夏季・17時頃の構成比は、ショーケースが約42%、照明が約18%、空調が約17%、冷凍・冷蔵が約11%です。これらを合計すると約87%を占めます。

※この数値は、ほくでんネットワーク掲載の「一般的な食品スーパーにおける用途別電力消費比率(17時頃)」に基づく目安です。

ただし、この数値は北海道エリアの食品スーパーを対象としたものであり、本州以南では夏季の空調負荷がさらに高くなる傾向があります。地域・季節・店舗規模によって内訳は変動するため、あくまで構造を理解するための目安として捉えてください。

スーパー特有の「止められない設備」という構造

オフィスビルであれば、退勤後に照明と空調を落とせば大幅に消費電力が減ります。しかしスーパーの場合、冷蔵ショーケースは営業時間外も24時間稼働し続けます。商品の品質維持のために電源を落とすことができません。

さらに、営業時間中は来店客の出入りが頻繁で、入口の自動ドア開閉により外気が流入します。空調はこの外気負荷に対応し続ける必要があり、照明も売場全体の視認性と鮮度演出のために高い照度が求められます。

農林水産省の「飲食料品小売業における省エネルギー実施要領」でも、食品スーパーは冷凍・冷蔵ショーケース、冷凍機、空調機、照明など多くの電力使用設備を抱え、主な消費エネルギーとして電力を中心に管理すべき業種として整理されています。このことからも電気代の管理が経営効率に直結しやすい業種といえます。

※参考:北海道電力ネットワーク株式会社「食品スーパー」
https://www.hepco.co.jp/network/electric_life/power_saving/business/supermarket.html

※参考:農林水産省「飲食料品小売業の省エネルギー対策要領」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/ondanka/o_yoryo/pdf/kouri.pdf

規模別モデルケース試算――年間電気代はいくらかかるか

自店舗の電気代が「高いのか妥当なのか」を判断するには、同規模店舗の目安を知ることが出発点です。以下は高圧契約(50kW以上500kW未満の実量制)のモデルケース試算です。

店舗規模契約電力年間使用量年間電気代(税別・概算)
小型店(売場300㎡程度)の一例80kW25万kWh約570万円
中規模店(売場1,000㎡程度)の一例150kW60万kWh約1,280万円
大規模店(売場3,000㎡程度)の一例400kW160万kWh約3,420万円

※モデルケース試算の前提条件:基本料金単価1,800円/kW/月、従量料金単価16円/kWh、力率割引なし。燃料費調整額・再エネ賦課金は含まず。年間電気代=(基本料金単価×契約電力×12ヶ月)+(従量単価×年間使用量)で算出。実際の基本料金単価は電力会社・契約条件により1,500〜1,900円/kW/月程度で変動します。大規模店の400kWは高圧小口(500kW未満)の上限に近い水準であり、500kW以上の場合は契約条件が異なります。

モデルケースでは電気代のうち70%~75%「従量料金」

高圧契約の電気代は「基本料金」と「従量料金(電力量料金)」で主に構成されます。今回のモデルケースでは、使用電力量が大きいため、従量料金が電気代全体の約70〜75%を占めます。使用量が大きい食品スーパーでは、基本料金の抑制に加えて、電力の「使い方」だけでなく「調達単価」を見直すことも削減余地の大きいアプローチになる可能性があります。

スーパーの電気代削減策と優先順位の判断基準

電気代削減の施策は、大きく3つの分類で整理できます。

①使う量を減らす(省エネ設備への更新)
②ピーク電力を下げる(デマンド管理で基本料金を削減)
③調達単価を見直す(電力会社やプランの変更)

以下は、スーパーマーケットで検討される主な施策を4軸で比較した一覧表です。

施策分類初期費用即効性年間削減インパクト投資回収目安
LED照明への全面更新①量を減らす中〜高(数百万円)工事後すぐ従来型蛍光灯器具からLED照明器具への更新で、照明電力を約50%削減できる場合あり約3〜4年
ナイトカバー・スリットカーテン設置①量を減らす低(数十万円)設置後すぐ導入事例ではショーケース電力の約19%削減約1年以内
インバーター空調への更新①量を減らす高(数百万〜数千万円)工事後すぐ更新前設備が古い場合は空調電力の大幅な削減が見込める場合がある約5〜8年
デマンドコントロール導入②ピークを下げる低〜中(数十万円〜)導入後すぐ導入事例では基本料金の5〜10%程度の削減約1〜2年
電力会社・プランの見直し③単価を見直すゼロ切替後すぐ従量料金単価に依存(年間数十万〜数百万円の差が出る場合あり)即時

※各施策の削減率は施設条件・既存設備の状態により異なります。上記は業界事例に基づく参考値です。

※参考:資源エネルギー庁「冬季の省エネメニュー(北海道)」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/media/data/2025_winter/syouenemenu_jigyosha01.pdf

※参考:農林水産省「飲食料品小売業の省エネルギー対策要領」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/ondanka/o_yoryo/pdf/kouri.pdf

自店舗に合った着手順序の見極め方

「何から始めるべきか」は、自店舗の電気代構造によって異なります。

基本料金の比率が高い場合(デマンド値が大きい)
 → デマンドコントロールの導入を優先

従量料金の比率が高い場合(使用量が大きい)
 → 電力プランの見直し+省エネ設備の更新を優先

どちらかわからない場合
  → まず検針票で基本料金と従量料金の内訳を確認

初期費用がかからない「電力会社・プランの見直し」は、独立した高圧契約を持つスーパーであれば今日から検討を始められる施策です。従量料金の比率が高い食品スーパーでは、kWhあたりの調達単価が1円下がるだけで、年間60万kWh使用の中規模店なら年間60万円の削減につながります。

電気料金の見直しを相談する

一方、「①省エネ設備への更新」は使用量削減につながりやすい一方で、初期投資と工事期間が必要です。省エネ設備更新では、SII(環境共創イニシアチブ)が公募案内を行う補助事業の対象となる場合があるため、年度ごとの公募情報を確認することを推奨します。2026年3月時点では、令和7年度補正予算関連の公募予定も案内されています。

※参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金」
https://sii.or.jp/setsubi07r/

スーパーの電気代と市場連動型プランの相性ーー昼間営業×土日繁忙は有利か

電力会社やプランの見直しを検討する際、近年注目されているのが「市場連動型プラン」です。市場連動型プランとは、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場価格に連動して電力単価が30分ごとに変動する料金プランです。

ここでは、スーパーマーケット固有の電力使用パターンと、JEPXの価格傾向を突き合わせて相性を検証します。なお、実際の効果は個別の使用パターン・契約条件・市場価格の推移によって異なるため、以下はあくまで構造的な傾向の分析です。

時間帯の相性:昼間営業はJEPX安値帯と重なる

JEPXの市場価格には、太陽光発電の出力に連動した明確な時間帯パターンがあります。

時間帯JEPX価格の傾向スーパーの電力使用
昼間(9〜15時)太陽光発電の出力増加などを背景に、比較的安値になりやすい時間帯営業ピーク・ショーケース+空調+照明フル稼働
夕方〜夜(16〜20時)太陽光出力の低下や需給の引き締まりにより、高値になりやすい時間帯営業中・夕方の来店ピーク
深夜(0〜6時)昼間ほどではないが、夕方のピーク帯よりは落ち着きやすい時間帯閉店後・ショーケースのみ稼働

※JEPXのスポット市場価格は30分ごとに変動します。上記は公開資料から確認できる一般的な傾向であり、実際の単価は季節・需給・燃料価格・再エネ出力などで大きく変動します。

スーパーの電力使用が大きい昼間帯(9〜15時)は、太陽光発電の出力増加などを背景に、JEPX価格が比較的安くなりやすい時間帯と重なる傾向があります。近年も、太陽光を中心とした再エネ発電量の拡大により、日中時間帯で安値がみられることがあるとされています。

一方で、夕方以降の来店ピーク時間帯(16〜20時)はJEPX価格が最も高くなる時間帯と重なるため、全営業時間を通じて一方的に有利というわけではありません。

曜日の相性:土日繁忙はJEPX安値帯と重なる

区分JEPX価格の傾向
平日(月〜金)需要が大きく、相対的に高くなりやすい
土日工場・オフィス需要が低下し、相対的に安くなりやすい

※曜日別の実際の価格差は、季節・天候・需給状況によって変動します。

JEPXの市場価格は、工場・オフィス需要が相対的に落ちやすい土日に安くなる傾向があります。スーパーの「土日繁忙」という営業特性は、市場連動型プランの価格構造と構造的に合致する要素を持っています。ただし、曜日別・時間帯別の差は季節や需給によって変動するため、個別の契約検討では実際の30分値データで確認することが重要です。 

※参考:公益社団法人経済同友会「第7次エネルギー基本計画に向けた意見」
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/060/060_006.pdf

総合判定:条件次第で有利に働く可能性がある

スーパーマーケットの電力使用パターンは、JEPX価格が比較的安くなりやすい「昼間」や「土日」と重なる面があります。ただし、夕方から閉店時間帯の使用は価格が上がりやすい時間帯と重なりやすいため、固定単価型プランとの優劣は一律には決まりません。実際の判断には、30分ごとの使用実績と市場価格の突合が必要です。24時間営業店舗や深夜営業店舗では、条件がさらに異なります。 

\市場連動型プランについて詳しく知る/

市場連動型プランのリスクと導入判断の3つのチェックポイント

市場連動型プランへの切り替えを検討する際には、メリットだけでなくリスクも正確に把握する必要があります。

リスク:市場価格の急騰

2021年1月には、大寒波やLNG供給制約などが重なり、JEPXのスポット市場価格が一時的にシステムプライスで251円/kWhまで高騰しました。市場連動型プランでは、このような卸市場価格の急騰が電気料金に影響するリスクがあります。

また、2022年も燃料価格や国際情勢の影響を受けて、月平均価格が高止まりする局面がありました。

一方で、近年は単価上限付きの市場連動型プランも登場しており、プランによっては高騰リスクを一定程度抑える仕組みがあります。上限の有無や水準は電力会社ごとに異なるため、個別条件の確認が必要です。

※参考:電力・ガス取引監視等委員会「2020年度冬期スポット市場価格の高騰について」https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/034_b09_00.pdf

導入判断の3つのチェックポイント

1.安値合致率の確認自店舗の月間使用量のうち、JEPX安値帯(昼間・土日)に使用が集中している割合はどの程度か。検針票の月間使用量と営業時間から概算できます
2.価格上限(キャップ)の有無検討中のプランに、JEPX高騰時の上限価格が設定されているか。上限がない場合、高騰時のコストが青天井になるリスクがあります
3.年間シミュレーションの実施過去1年間の自店舗の使用パターンとJEPX実績価格を突き合わせ、年間コストがどう変わるかを試算する。電力会社によっては、市場連動型プランの簡易シミュレーションや試算メニューを用意している場合があります。

まずは自店舗の検針票で契約電力(kW)・最大需要電力(デマンド値)・月間使用量(kWh)の3つの数値を確認してください。この3つの数値があれば、電力会社にシミュレーションを依頼する準備が整います。

よくある質問(FAQ)

担当者がよく聞く疑問

Q1. 電力会社を変えると停電する?

電力会社を切り替えても、電気の物理的な供給ルート(送配電網)は変わりません。送配電は地域の送配電事業者(東京電力パワーグリッド等)が引き続き担当するため、切り替えによって停電リスクが高まることはありません。

Q2. 高圧契約の電力会社切り替えにはどれくらいかかる?

高圧契約の場合、切り替えには概ね数ヶ月程度の期間がかかります(手続き内容により異なります)。新しい電力会社との契約手続き、現行契約の解約通知、スマートメーターの設定変更等を含む期間です。契約条件によっては違約金が発生する場合もあるため、現行契約の解約条件を事前に確認してください。

Q3. テナントで入居しているスーパーでも電力会社を変えられる?

テナント入居の場合、ビル全体で高圧一括受電契約を結んでいるケースがあります。この場合、テナント単独での電力会社変更は原則としてできません。まずは管理会社またはビルオーナーに電力契約の形態を確認してください。独立した高圧引き込みがある場合は、テナントでも個別に電力会社を選択できます。

Q4. 市場連動型プランで電気代が上がるケースは?

市場連動型プランでは、夕方〜夜間(16〜20時)に電力使用が集中する場合、固定単価型プランより割高になる可能性があります。特に、太陽光発電の出力低下後の夕方以降は価格が上がりやすい場面があるため、閉店時間が遅い店舗や夜間使用比率の高い店舗では、30分ごとの使用実績を踏まえた検証が重要です。

まとめ

食品スーパーマーケットの電気代は、冷蔵・冷凍ショーケース・空調・照明の3設備が消費電力の大部分を占める構造に起因しています。削減にあたっては、以下の3ステップで検討を進めることを推奨します。

  1. 検針票で3つの数値を確認する:
    契約電力(kW)・最大需要電力(デマンド値)・月間使用量(kWh)。この3つが削減策の判断材料になります
  2. 施策の優先順位を決定する:
    初期投資ゼロの「電力プラン見直し」、低コストの「ナイトカバー設置」「デマンド管理」、中長期の「LED化」「空調更新」の順で検討する
  3. 無料診断で自社への適合性を確認する:
    市場連動型プランへの切り替えを検討する場合、過去の使用パターンに基づくシミュレーションで実際の効果を確認する

伊藤忠エネクスの「TERASELでんき for Biz.」では、法人向けに市場連動型プランを含む複数のプランを提供しています。自社の電力使用パターンに合ったプランがあるかどうか、まずは無料診断で確認してみてください。

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※掲載内容は2026年3月時点の情報です。最新の料金・制度については各関係機関にお問い合わせください。

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